アパートローンとは?概要から住宅ローンとの違いまで徹底解説

「アパートローン」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。不動産関連のローンの中では、住宅ローンほどは知られていないローンになります。アパートローンを組むのは投資用不動産を購入するときになりますが、アパートローンと住宅ローンは根本的に異なります。

今回は、アパートローンの概要や住宅ローンとの違い、そして実際のアパートローンなどの紹介をします。アパートローンを組もうとしている方は参考にしてください。

目次

1.アパートローンとは?
☞アパートローンと住宅ローンとの違い
☞アパートローンと住宅ローンの金利の違い
・なぜ住宅ローン金利は低いか?
・具体的にどの程度下がるか?

2.アパートローンを利用する注意点
☞税制優遇が利用できない
・住宅ローン控除
・3,000万円の特別控除
☞確定申告を忘れずに行う
☞金利と審査基準について

3.アパートローンの審査について
☞投資物件の収益性
☞投資物件の収益の妥当性
☞返済シミュレーション

4.アパートローンのメリット・デメリットについて
☞アパートローンのメリット
・レバレッジが大きい
・不動産自体を評価してくれる
☞アパートローンのデメリット

5.アパートローン商品の紹介
☞三菱UFJ信託銀行のアパートローン
☞オリックスのアパートローン
・セレクトコース
・マンションプレミアムコース
☞横浜銀行のアパートローン

6.まとめ

1.アパートローンとは?

アパートローンアパートローンとは、アパートやマンションの1棟経営、もしくは1室を購入して投資する際に利用されるローンの総称です。「アパート」と付いていますが、実際には不動産投資全般のことを指します。そのため「不動産投資ローン」とも言います。

冒頭でも言いましたが、アパートローンを利用する人は、不動産投資をする人であって、当然ながら不動産を購入するためにアパートローンを組みます。

アパートローンと住宅ローンとの違い

アパートローンと住宅ローンの違いは、購入する不動産が「入居用かどうか」という点です。住宅ローンはあくまで「入居」することが前提のローンになっています。そのため、入居しない不動産の購入はアパートローンの利用が必須になるのです。そもそも入居用不動産かどうかを判断する方法は、原則は住民票の移動になります。

ただし、住宅ローンを借りたいがために一時的に住民票を移して、すぐに住民票を抜くという行為は契約(ローンを結ぶ「金銭消費貸借契約」)違反になります。仮に、住宅ローン融資後に違反が発覚したら、「即一括返済」などのペナルティが課せられますので注意しましょう。もちろん、この話は1室の不動産投資の場合です。アパートやマンションを1棟購入する場合は、明らかに投資用なので住宅ローンは組めません。

また、入居用の不動産かどうかという「目的」以外にアパートローンと住宅ローンは「金利」「審査基準」についても違いがあります。

アパートローンと住宅ローンの金利の違い

アパートローンと住宅ローンの金利は大きく違います。結論から言うと、アパートローンの金利は、住宅ローンの金利に比べて数倍高いです。これは、アパートローン金利が高いというよりは、住宅ローン金利が極端に低いというのが理由です。

なぜ住宅ローン金利は低いか?

なぜ住宅ローン金利の方が低いかというと、居住用住宅とは「必須なモノ」であるからです。もちろん、賃貸なども選択肢もありますが、いずれにしろ住宅は住む家で必要不可欠なものです。そんな「生活必需品」を購入するための住宅ローン金利が高いと、借りる方が少なくなってしまいます。

住宅ローンの借入者が少なくなるということは、住宅の購入者が少なくなるということです。そうなると、住宅の売買は活性化せずに、最終的には日本の経済悪化に影響します。そのため、住宅ローン金利は低いのです。

具体的にどの程度下がるか?

具体的にどの程度の金利差があるかというお話です。2017年2月現在、住宅ローンは変動金利で0.5%を切る金利もあります。

一方、クレジットカードの借り入れであれば2~3%程度で、車のローンでも1.5%以上はします。このようなローンと比較すると、住宅ローンがどれほど低金利か分かると思います。

では、アパートローン金利を見てみると、低くても2%程度3%以上の金融機関の方が多いです。つまり、住宅ローンとの金利差は4~5倍以上あるということになります。

また、もう1つの基準である「審査基準」に関しては後述します。

2.アパートローンを利用する注意点

注意点アパートローンを借り入れするときには、以下の点に注意しましょう。

1.税制優遇が利用できない

2.確定申告を忘れずに行う必要がある

3.住宅ローンとは金利が異なる

4.住宅ローンとは審査基準が異なる

税制優遇が利用できない

利用できないさて、アパートローンを組むときに最も気を付けるべきことは、居住用不動産を所有しているときは利用できた税制優遇が使えなくなることです。税制優遇とは、具体的には以下のような制度のことです。

1.住宅ローン控除

2.「3,000万円」の特別控除

このほかにも色々な優遇が利用できなくなります。理由は、「居住用」ではないからです。先ほど言った通り、「居住用不動産」は生活必需品です。そのため税制面でも優遇措置を設けることで、購入者の負担を減らし、不動産市場を活性化させるという狙いがあるのです。

また、居住用不動産の税制優遇は上記3点以外にもたくさんあります。詳細は国税庁ホームページ※1で確認ください。

参考:※1国税庁HP

住宅ローン控除

まず、投資用不動産だと住宅ローン控除は受けられません。住宅ローン控除とは、一定の条件を満たすと、年末ローン残高の1%が還付されるという税制優遇です。つまり、年末に3,000万円のローン残高があれば、30万円分の税金が還付されるということです。

その「一定の条件」の中には、「居住用不動産の購入」という条件が含まれています。そのため、投資用不動産の購入が目的である「アパートローン」では、住宅ローン控除は受けられないのです。

「上限金額」などの諸条件はありますが、この還付は大きな額でありローン返済の負担を大分和らいでくれるのは事実です。特に、今住宅ローン控除を受けている人は、この恩恵を受けていると思うのでアパートローンでは利用できるない旨は良く理解しておきましょう。

住宅ローン控除の諸条件などは、上述した要素以外にもたくさんあります。

住宅ローン控除については「賢く活用!「住宅ローン控除(減税)」の条件や使い方を分かりやすく、まとめてみました」も参考にしてみてください。

3,000万円の特別控除

また、アパートローンは「3,000万円の特別控除」を受けることができません。この特別控除は、「譲渡所得(不動産の売却益)がでたときに3,000万円まで控除される」という税制優遇になります。つまり、不動産を売却して利益が出たら譲渡所得税がかかりますが、「3,000万円までの利益であれば非課税にする」という税制優遇になるのです。

しかし、これも前項と同様に「居住用不動産の売却」が条件になるので、アパートローンで購入した投資用物件には適用されません。

確定申告を忘れずに行う

確定申告また、アパートローンを組むということは、アパート経営やマンション経営をするということなので、必ず確定申告をする必要があります。確定申告をする理由や目的は以下の通りです。

1.賃料収入は「不動産所得」になるため

2.不動産所得は総合課税※2

3.経費を算出して所得を計算

4.計算された所得に応じて所得税が課税される

このように、不動産の賃貸収入は不動産所得になります。また、不動産所得は総合課税になるので、たとえばサラリーマンの方は会社から貰っている「給与収入」と合算して税率が決まります。つまり、不動産所得額と給与所得額によっては、税率が上がる可能性もあるのです。いずれにしろ、その税率を所得に掛けて、未納分の税金を自ら申告して納税する必要があります。

また、所有している物件にかかった修繕費やローン支払い(利息分のみ)は、経費として計上できます。

参考:※2国税庁HP

金利と審査基準について

上記「2.住宅ローンと金利が異なる」に関しては上述した通りです。特に、一度分譲マンションを購入したことがある人は、その金利差に驚くと思います。

しかし、繰り返しますが、住宅ローン金利が極端に低いだけで、アパートローン金利が際立って高いワケではありません。

また、審査基準についてはは先ほどの通り後述します。この「審査基準」についても、分譲マンション購入経験者は注意しましょう。なぜなら、住宅ローンを組むときと審査基準が同じという認識で審査すると、予想外のポイントで否決になる可能性があるからです。

3.アパートローンの審査について

審査住宅ローンの審査は、借入者が「返済できるかどうか?」「仮に返済できなければ不動産を処分すれば問題ないか?」という観点が重要になります。

一方、アパートローンは「事業」としての観点が強いです。つまり、その不動産は収支的に黒字になるかどうかという点です。もちろん、その人の属性も大事ですが、収益性が高い物件であると判断されれば、フルローンを組むことも可能です。この「投資物件の収益性」について詳細を解説します。

投資物件の収益性

アパートやマンション投資の収益性は、継続的に空室率が低く家賃も下落しにくいかという点が大切です。つまり、「未来」の予測になるので、評価すること自体が難しいというワケです。そのため、その投資「計画」が現実的かどうかは大事な判断基準になります。

その「実現性」に関しては以下の2点が大きいです。

1.投資物件の収益の妥当性

2.返済シミュレーション

投資物件の収益の妥当性

投資物件の収益妥当性は、その物件の「家賃設定」「修繕計画」が重要になります。不動産投資は1年や2年の短期的なスパンではなく10年~数十年の長期的スパンでの投資になります。

そのため、将来的に家賃が下落するリスクがあり、初期の家賃設定の妥当性が今後の収益計画の実現性の鍵を握るのです。

また、融資をするときには投資物件を担保に入れます。特にマンションやアパートの1棟経営の場合には、部屋の1室ではなく建物1棟の評価が大切になるのです。そのため、建物の資産価値がきちんと守られるかを測るため、「修繕計画」は重要な要素になります。

返済シミュレーション

返済前項の「妥当性があり実現性が高い計画」があっても、それ以上の支出(返済額)になってしまったら意味がありません。そのため、その物件の収益を計算した後は、その収益を加味した上で返済できるかどうかの判断をされるのです。

当然ですが、そもそもの計画で赤字になれば審査はNGです。たとえばアパート経営をすると仮定し、そのアパート1棟の賃貸収入が年間500万円で支出(諸経費)が150万円かかったとします。

その場合、アパートから得られる純利益は350万円です。仮にこの計画が「妥当性があり実現性が高い計画」と判断されても、ローン返済額年間400万円であれば50万円の赤字です。計画を立てるのも大事ですが、収益と返済額のシミュレーションも大事ということです。

4.アパートローンのメリット・デメリットについて

このようにアパートローンは住宅ローンと根本的に異なるローンですので、住宅ローンとはメリット・デメリットが異なります。アパートローンを組む人は、このメリット・デメリットを良く理解しておきましょう。

アパートローンのメリット

メリットアパートローンのメリットは以下2点です。

1.レバレッジが大きい

2.不動産自体を評価してくれる

レバレッジが大きい

大前提として、アパートローンは「アパート」や「マンション」という、投資用物件を購入するためのローンになります。つまり、「投資」をするために借り入れを行うということです。

アパートローンは頭金が少なくても、借入者の状況や担保不動産の評価が高ければ借入を行えます。仮に、頭金が10%だったとしたら、最初の初期費用の10倍もの物件が手に入るということです。その物件は「家賃収入」という大きな金額を生み出しますので、アパートローンを組んだ投資はレバレッジが大きいのです。たとえば、株やFXであれば「信用取引」という手法はありますが、ローンを借り入れてまで投資することはできません。

一方、アパートローンは投資にも関わらず、自分の手持ち費用の何倍ものお金を借りて投資することができるのです。

不動産自体を評価してくれる

また、先ほど言ったように、アパートローンの審査基準は不動産の「収益性」という点を重視します。つまり、借入者の勤務先や年齢などの属性(プロフィール)が多少悪くても、担保不動産が優良であれば融資する可能性があるということです。

もちろん、その不動産を経営する上での「事業計画」は綿密に作り上げる必要があります。逆にいうと、事業計画がしっかりしてれば、自分の属性の悪さを払しょくできる可能性があるということです。

アパートローンのデメリット

デメリット一方、アパートローンのデメリットは以下の3点です。

1.基本的には自分は住めない

2.税制優遇がない

3.金利が高い

上記の「2.税制優遇がない」「3.金利が高い」という点は上述した通りです。繰り返しますが、「3.金利が高い」というのは、あくまで住宅ローンと比較したときの話です。ほかの融資と比較すると決して高いワケではありません。

「1.基本的には自分は住めない」に関しては良く覚えておきましょう。基本的には住宅ローンとは逆で、「投資用」のローンになるので、その不動産に借入者が住むということはできません。

5.アパートローン商品の紹介

では、さいごにアパートローンの商品を紹介します。アパートローンの商品は多岐に渡るので、今回は、種類の違う「大手銀行」「ノンバンク」「地方銀行」の3種類を紹介します。

三菱UFJ信託銀行のアパートローン

まず、大手である三菱東京UFJ信託銀行のアパートローンから紹介します。三菱東京UFJ信託銀行のアパートローン概要は以下の通りです。

1.原則として土地を所有している

2.借入金額は100万円以上~3億円以下

3.ただし土地評価額の2倍以内

4.優位期間は1年~30年

金利種類は変動金利と固定金利があり、固定金利は3,5,7,10,20年の5種類から選ぶことができます。また、三菱東京UFJ信託銀行のアパートローンは保証人を2名以上付けることが条件になっています。手数料は一律10万円(消費税別)なので、比較的安価な部類に入ります。

また、団体信用生命保険には借入時65歳未満完済時75歳未満の場合は任意加入でき、融資利率に0.3%上乗せされます。

2017年2月時点の金利は、1.9%~3%ということで、詳細は審査してみないと分かりません。金利などについてはホームページ上での記載はないので、詳細は三菱東京UFJ信託銀行※4にお問い合わせください。

※4三菱東京UFJ信託銀行
http://www.tr.mufg.jp/loan/apartloan.html

オリックスのアパートローン

つづいて、オリックスのアパートローンを紹介します。オリックスのアパートローンには以下のような特徴があります。

1.アパートローン商品が2種類ある

2.団信保険料が不要

3.保証料が不要

上記の通りオリックスは、アパートローンの商品自体が2種類あります。また、団信保険料が不要で保証料が不要な点も特徴です。

ただし、初期費用としては取扱事務手数料が「借入金額の1%(消費税別)」になるので、初期費用は安価とはいえません。保証料や団信保険料がない分、初期費用を少し高めに設定していると言えるでしょう。

セレクトコース

まずスタンダードなセレクトコースの概要は以下の通りです。

1.借入維持の年齢が20歳以上60歳未満

2.同一勤務先に3年以上勤務

3.前年度の年収が500万円以上

2017年2月時点の金利は、3年固定特約型が2.3%、5年特約型が2.5%、変動型が2.675%になります。固定特約型とは、一定期間は固定された金利でその後は原則変動金利に切り替わるプランです。

つまり、3年固定特約型は3年間の金利は2.3%ですが、3年経過後は変動金利に切り替わるので、そのときの変動金利の数値を当てはめて金利が決まります。変動金利の仕組みは通常のローンと同様、年2回金利を見直して5年ごとに返済額へ反映する仕組みです。

マンションプレミアムコース

ただし、オリックスのアパートローンは、「マンションプレミアムコース」というプランもあります。この商品は先ほど紹介した商品よりも金利が低いのですが、借入するためには以下のような条件が加わります。

1.前年度の年収が1,000万円以上

2.借入時の年齢が55歳未満

3.40㎡以上のマンション一室の投資

上記のように、属性の良い借入者に対して優遇を行うのは「マンションプレミアムコース」です。

しかし、上述したように不動産投資のローンは審査基準として「担保物件」が重要な要素になります。

そのため、仮に属性が良かったとしても「マンション一室の投資」となるのです。2017年2月時点の金利に関しては3年固定特約型で年1.975%、5年固定特約型で年2.175%、変動金利で年2.35%になります。

先ほどのセレクトコースと比較すると、どちらも0.325%低い設定になっています。ほかにも細かい諸条件がありますので、詳細は先ほどのオリックスホームページ※5を確認ください。

※5オリックス
http://www.orixbank.co.jp/pr/ft001/?id=31020319999&utm_source=adwords&utm_medium=cpc&utm_campaign=ft

横浜銀行のアパートローン

さいごに横浜銀行のアパートローンを紹介します。横浜銀行アパートローンの概要は以下の通りです。

1.借入時の年齢が満20歳以上

2.団信加入者は完済時年齢が満82歳未満

3.融資金額は3億円、団信付きだと1億円以内

このように、概要については、上述した三菱東京UFJ信託銀行とオリックスとあまり変わりません。金利の種類も上記と同様、変動金利および、固定金利2年3年5年10年15年20年のプランがあります。

保証人は1人以上用意する必要があり。団信に加入しない場合は推定相続人を1人以上保証人にする必要があります。

横浜銀行では、団信加入が必須になっていますが、保険料自体は横浜銀行が支払います。また、事務手数料は三菱東京UFJ信託銀行と同様、一律10万円(税別)です。金利についてなどの詳細は、直接横浜銀行に確認※ください。

上述したように、各金融機関によって「団信保険」「保証人の有無」「事務手数料」が特に異なります。金利の比較やローン種類の比較ももちろん重要ですが、この3点にも注意
して金融機関を選びましょう。

※6横浜銀行
http://www.boy.co.jp/kojin/loan/apartment/

6.まとめ

上述したように、アパートローンとは不動産投資用のローンであり、住宅ローンとは根本的な違いがあります。諸条件や審査基準が異なる点は、特に注意しましょう。

また、金融機関を選ぶときには、各金融機関へ問い合わせて良く話を聞きましょう。

住宅ローンよりも、借入者のプロフィールや投資物件によって変わることが多いので、ホームページを見ただけでは分からないことも多いからです。

- 2017年02月27日