賃貸物件に入居する時の「初期費用」。その内訳から費用を抑える方法

住宅に住む時には、基本的には住宅を「購入」するか、「賃貸」するしか方法がありません。その中では住宅を「賃貸」している人の方が多く、世の中には賃貸物件がたくさんあります。そして、賃貸物件が多いので、その物件を管理する賃貸不動産会社も多いです。

しかし、はじめて賃貸する人はどのような金額がかかり、どのような不動産会社に注意すべきか分からない方もいます。そこで今回は、賃貸に関しての「費用」や「相場」、そして不動産会社や物件に関する「注意点」を全てお話します。賃貸に関することをイチから全て解説するので、特にはじめて賃貸物件に住もうと思っている方はチェックしてみてください。

目次

1.初期費用はいくらかかるのか?
☞礼金について
・礼金とは?
・礼金ゼロ物件とはどんな物件?
☞敷金について
☞仲介手数料について
・仲介手数料とは?
・仲介手数料不要の物件
☞前家賃について
☞引越し費用、損害保険料
☞その他費用について
・保証会社への保証料
・消毒、クリーニング料
・鍵交換代
・町会費

2.初期費用を抑えるテクニック
☞敷金、礼金、仲介手数料ゼロ物件を探す 普通に検索する
☞フリーレント物件を探す
・フリーレントとは?
・フリーレントの期間
・不動産会社や大家のメリット
・フリーレントの注意点
☞支払方法を工夫する
・クレジットカード払いや分割ローンの利点
・検索方法
☞値下げ交渉で礼金を下げてもらう
・敷金の交渉は厳禁
・家賃値引き
☞キャッシュバックがある賃貸サイトで探す
☞ワケあり物件に住む

3.初期費用の相場
☞敷金について
☞礼金について
☞仲介手数料について
☞月額家賃
☞初期費用の相場

4.注意するべき不動産会社
☞礼金を上乗せする不動産会社

5.初期費用「地方と都心の違い」
☞関西や地方でのルール
☞敷引きの相場

6.まとめ

1.初期費用はいくらかかるのか?

費用まずは、初期費用はどのような項目があり、大体どのくらいの金額がかかるのかというお話です。結論から言うと、その物件ごとで初期費用の項目は大きく異なります。理由としては礼金、敷金、仲介手数料を入居者からどの程度もらうかが物件ごとに全然違うからです。

一応マックスにかかった場合の金額を想定しておくと、目安として家賃の6か月分を用意しておけば、この金額を超えることはほぼありません。内訳としては「礼金:家賃2か月」「敷金:家賃2か月」「仲介手数料:家賃1ヵ月」「前払い家賃1ヵ月」です。ただし、細かくいうと、この金額にプラスして「引越し費用」がかかります。

礼金について

まずは礼金についてです。礼金については、物件によって最も異なる初期費用と言っても過言ではありません。

礼金とは?

お礼そもそも礼金とは、大家に対して支払う金額になります。この礼金は、物件の賃貸借契約が終了したときにも返還されない金額になります。あくまで、大家に「お礼」として支払った金額だからです。

礼金ゼロ物件とはどんな物件?

特に都心では、礼金が無料の物件も増えてきました。このような礼金ゼロ物件が生まれた背景としては、以下の2つのことがあります。

1つ目は「特定優良賃貸住宅の融資」を受けている物件が増えたことです。様々な条件をクリアして、特定優良賃貸住宅として認定されれば、金利が低い融資を受けることが出来ます。ただし、その融資を受けた物件は、大家が入居者から礼金や更新料を受け取ることができないのです。

最近では建築技術が上がり、省エネや耐震に対する入居者の興味・関心が上がってきました。そのため、特定優良賃貸住宅にするメリットも増え、礼金・更新料の徴収が不可能という大家側のデメリットを上回るメリットになってきているのです。

2つ目は物件探しが容易になったからです。今やインターネットで検索すれば、賃貸情報は大量に出てくる時代です。昔は大家自体も不動産会社と話し合いながら賃貸情報を出し、賃借人と交渉するという手間がかかっていました。礼金はその「手間」に支払う意味もあったのですが、今やその「手間」は格段に減ったのです。そのため、礼金をゼロにするという物件は自然と生まれてきました。今やインターネット上から「無料」で色々な情報を引き出せるので、その「無料」の風習も少なからず影響しています。

そのため、礼金が「安い」もしくは「無料」だとしても、「怪しい物件」というワケでありません。中には事故物件であったり、何か事情がある物件だったりする場合がありますが、そのような時には事前に告知してくれます。

礼金についてさらに詳しく知りたい人は「礼金とは何か?知っておくべき礼金の知識」も参考にしてください。

敷金について

補修敷金とは大家に「預ける」お金になります。敷金は、退去する際その部屋を補修する必要がある場合に利用されるお金になります。つまり、大家は預かっている敷金から、補修費でかかった分の金額を差し引くということです。そのため、敷金から補修費用を差し引いて、余剰金があった場合には退去時に返還されます。

ただ、補修費用以外にも家賃を滞納していた場合なども敷金から差し引かれるので、その点は認識しておきましょう。都心での敷金額はおよそ家賃の2~3か月分です。また、関西などの地方では敷金ではなく「敷引制度」という制度があります(詳細は後述します)。

仲介手数料について

仲介つづいて、仲介手数料についてです。仲介手数料には宅地建物取引業法(以下、宅建業法)で定められたルールがあるので、良く理解しておきましょう。

仲介手数料とは?

仲介手数料とは、その名の通り仲介してくれた手数料として、不動産会社に支払う金額になります。通常賃貸物件を探す時には不動産会社に仲介を依頼します。そして、賃貸物件が見つかり契約に至った場合には、仲介成立の報酬として不動産会社に仲介手数料を支払います。不動産会社が受け取ることができる仲介手数料の金額の上限は、「家賃一か月分+消費税」と宅建業法で決まっています。大抵の不動産会社は、この上限一杯で請求します。

仲介手数料不要の物件

賃貸住宅の広告に「取引態様」という箇所があります。ここには、「媒介・代理・貸主」という3つの言葉のいずれかが記載されています。大抵の場合には「媒介」「代理」と記載されていて、この時には仲介手数料は発生します。そもそも媒介とは「仲介」と同じ意味の言葉ですし、代理とはオーナーの「代理」という意味なので「仲介」と意味合いは同じです。しかし、「貸主」となっている場合には、その不動産会社が自ら所有する物件を貸すという意味です。

つまり、不動産会社と入居者が直接賃貸借契約を結び、物件を住まうという事になるのです。この時には、不動産会社に「仲介」してもらうワケではないので仲介手数料は発生しません。そのため、先ほどの礼金と同様、仲介手数料が「安い」もしくは「無料」だからと言って「怪しい物件」というワケではありません。

前家賃について

前家賃は入居を開始する当月の家賃のことを指します。たとえば、5月に賃貸借契約を結び6月から入居を開始するとします。この場合には、5月に賃貸借契約を結んだ時点で、6月分の家賃を前もって支払っておきます。これを前家賃といいます。また、月の途中から入居する場合には、前家賃としてその月の家賃(入居日から月末までの日数を日割り家賃として計算されることが多い)と翌月分の家賃を前家賃として支払うケースが多いです。また、共益費(管理費・修繕金)についても、前払いで徴収するケースがあります。前払いするとしたら、前家賃と同じく入居する月の1ヵ月分を前払いするケースが多いです。

引越し費用、損害保険料

引っ越しその他の費用としては、引越し費用と損害保険料です。引越し費用は広さや荷物の量にもよりますが、一人暮らしの1LDKくらいの規模でも最低5万円前後はかかってきます。また、引越しに伴って大型家具の処分や家電の処分などがあれば、処分費用がかかる場合があります。損害保険料とは、賃貸住宅入居時にかかる費用です。これは不動産会社やオーナーにもよりますが、火災保険などの金額を別途1~2万円徴収するケースが多いです。

※火災保険について詳しく知りたい人は「賃貸入居者が押さえておきたい火災保険の基本的知識!」を参考にしてください。

その他費用について

最後に、上記以外の「その他の費用」についてです。特に、この「その他費用」については、物件によってかかってくるかどうかは異なります。

保証会社への保証料

住宅を賃貸するときも住宅ローンを借りる場合と同じで、原則保証人が必要になります。保証人は借主が家賃を支払えなくなった時に、借主の代わりに家賃を支払う人の事を指します。住宅ローンでは保証人制度はほぼなくなりましたが、賃貸ではまだ保証人制度があります。

しかし、住宅ローンと同様、賃貸住宅の場合も保証人の役割を「保証会社」が代わって担うことが多くなりました。その保証会社に支払う費用が「保証料」になります。保証料の金額については家賃によっても異なりますが、大体3万円~5万円程度です。

消毒、クリーニング料

クリーニング室内の消毒・クリーニング費用は物件によって金額はまちまちです。目安としては3~5万前後ですが、広さによっては7~8万円以上かかる場合もあります。また、「クリーニング費用として退去時に〇〇万円頂きます」と賃貸借契約の特約に盛り込んでいる例もあります。

傾向としては、ペット飼育可能な物件ほど、クリーニング費用や消毒費用は高くなる傾向があるようです。そのため、ペットは飼わないけれどもペット飼育可能物件に入居する方は、退去後も含めたクリーニング代は良く確認しておきましょう。

※退去時の費用に関しては「賃貸物件退去の際に知っておくべきこと」も参考にしてください。

鍵交換代

鍵交換鍵交換代を初期費用として徴収する物件もあります。当然、入居者が替わっているにも関わらず鍵を替えていなければ、前の入居者が侵入出来てしまうということになります。この鍵交換台は退去の時にかかる物件も多いので、どのタイミングで費用発生するかは確認しておきましょう。

参考記事:借りる方が負担するべき?鍵交換費用とは

町会費

その物件が属している町会に支払う費用です。原則、町会費はマンション1棟で加入するかどうかを選択するので、マンション1棟で加入を決めていた場合には全ての部屋で町会費がかかります。金額は、月500円~1,000程度です。

2.初期費用を抑えるテクニック

初期費用を抑えるテクニックは「交渉」するか、安いところを「探す」の2つしかありません。特に「交渉」に関しては、中々成功しない場合も多いので注意しましょう、

敷金、礼金、仲介手数料ゼロ物件を探す 普通に検索する

検索まずは、単純に敷金・礼金・仲介手数料がかからない物件を探すと良いです。今ではこの3つ全てを「無料」にしている物件も少なくないので、インターネット検索でも店舗でのヒアリングでも一定の物件数はあります。

フリーレント物件を探す

フリーレント物件に入居すれば、最初の何か月かは家賃が無料になります。

フリーレントとは?

無料フリーレントとは「入居後一定期間の家賃が無料になる」という物件のことを指します。たとえば、「フリーレント期間1ヵ月」の物件であれば、入居後1ヵ月分の家賃は0円になるということです。そのため、前項で説明した「前家賃」がなくなることもあり、初期費用を抑えられるか、場合によっては前家賃が0円になります。引越し費用やその他賃貸関係の初期費用は、前項のように意外と高いものです。そのため、フリーレントで家賃と初期費用を抑えられれば非常に助かります。

フリーレントの期間

フリーレントの期間は事業用なら半年という物件もあります。しかし、一般個人向けであれば大体「1ヵ月」がフリーレント期間の相場になります。ただ、URについては基本「フリーレント2か月」になるケースもあります。

不動産会社や大家のメリット

フリーレントは一定期間の家賃が免除になるので、不動産会社や大家にはデメリットに思います。また、フリーレントにしているだけで「何か事情があるのか?」「事故物件なのか?」と疑われてしまうこともあるようです。しかし、具体的には不動産会社や大家にとって以下のようなメリットがあります。

1.入居者が集まりやすいので、空室率が下がる

2.家賃を下げるくらいなら、フリーレント期間を設けた方が利益は出る

3.家賃を下げると他の部屋からも家賃減額請求がくる可能性があるので、フリーレントで対応した方が利益は出る

フリーレントは、大家側にもこのようなメリットがあるのです。そのため、フリーレントだからといって必ずしもネックがある物件ではありません。

フリーレントの注意点

注意フリーレントの唯一にして最大の注意点は「違約金」です。特に家賃が相場より高めで、フリーレントを設定して帳尻を合わせようとしている物件には要注意です。なぜなら、一定期間入居してもらわないとフリーレント(家賃なしで貸している)している期間分損をしてしまうからです。

そのため、フリーレント物件の賃貸借契約書には、「半年」「1年」「2年」などのように短い期間で中途解約する場合には、解約違約金が発生する旨の条文が契約書に盛り込まれています。この点は良く注意しなければいけません。

支払方法を工夫する

つづいて、支払方法についてです。多くの物件が家賃は「銀行振込」や「口座引き落とし」などの現金払いが一般的です。ただ、物件によってはクレジットカード払いや分割ローンで支払うこともできます。

クレジットカード払いや分割ローンの利点

クレジットカードクレジットカード払いの利点は何よりもポイントが付くことです。たとえば還元率1%のカードで、家賃の支払い(家賃10万円)や初期費用の支払いをしたとします。家賃が10万円なので初期費用は5か月分の50万円と換算します。そのため、初期費用を支払っただけで5,000円分のポイントがクレジットカードに付保されるということです。

また、年間で家賃の支払いを120万分クレジットカードで行っているので、年間1.2万円分のポイントが付保されているという事になります。分割ローンにする利点は、キャッシュフローの分散です。入退出時はどうしても費用負担が大きくなるので、一時的に分割払いにして支払いを分散させることで手元資金を残しておけます。

検索方法

不動産ポータルサイトによっては、「クレジットカードで支払い可能な物件特集」を組んでいます。検索エンジンで検索するのも良いですし、各ポータルサイトで特集をチェックしてみると良いです。

値下げ交渉で礼金を下げてもらう

値下げ交渉実は、賃貸物件では値下げ交渉しない方も多いです。大家からすれば値下げ交渉はもちろんされたくありませんが、空室になるくらいであれば値下げ交渉されても良いから借り手を付けたいと思っている大家も少なくありません。そして、その値下げ交渉の中で大家が一番妥協しやすい項目は「礼金」なのです。家賃を下げてしまうと、何年間も住まわれるほど逆に下げた分の金額は積み重なります。また、先ほど言いまいしたが、他の入居者に家賃減額請求をされるリスクがあるのです。

一方、敷金を下げてしまうと補修費用が必要になった時に追加請求することになるので、トラブルリスクが高まります。そのため、大家にとって値下げ交渉をするなら礼金が一番良いのです。また、借りる方からしても初期費用の中で返ってくることのない礼金を下げることが出来れば、非常にお得な気分になれます。

ただし、礼金2か月分を1ヵ月分や、礼金15万円のところを10万円くらいが限界です。そもそも賃付けに大苦戦している物件であれば、礼金を既に下げていることが多いので、礼金を設定している時点で大苦戦しているワケではないからです。

敷金の交渉は厳禁

厳禁先ほど言ったように敷金を下げられてしまうと、貸主側も困ってしまいます。また、実は敷金を下げることで借主側にもデメリットがあるのです。敷金はあくまで補修費用などに充てる金額になるので、余剰分は退去時に返還されます。

そのため、そもそも敷金を下げることで貸主は得をしているワケではないのです。また、敷金を割引くということは、補修費用が敷金で賄えなかった時に、不足分を請求される可能性もあるのです。このように、敷金を交渉して仮に金額を下げられたとしても、借主・借主両者に得はないのです。そのため、敷金の値下げ交渉は避けた方が懸命です。

家賃値引き

先ほど言ったように家賃の値引きは中々難しいです。しかし、仮に家賃の値引きをするとしたら「部屋」「タイミング」「項目」の3点に気を付けると良いです。まず、「部屋」に関しては、大家側からしてみても苦戦している物件は早めに空室を解消したいと思っているはずです。そのため、長期間賃貸募集をしている部屋や、1階住戸などのネックがありそうな部屋の方が家賃の値引き交渉はしやすいです。そのため、値引きをするなら大家側も「早く賃付けしたい」と思うような部屋を値引きすると良いでしょう。

また、「タイミング」ですが、賃貸募集の過渡期は避けましょう。主に転勤が発生しやすい3~4月、また、子供が夏休みであり上期末に向けた7~8月は、賃貸市場は過渡期と言われています。そこでは来客も多いので賃貸が決まりやすいため、大家側も中々家賃の減額請求には応じません。そのため、閑散期と言われている5~6月、10月~11月あたりを狙って交渉すると成功しやすいです。また、「項目」に関しては家賃よりも共益費の減額交渉の方が成功しやすいです。共益費は主に管理費なので、最悪の場合は管理形態を替えることで対応できるという理由です。

キャッシュバックがある賃貸サイトで探す

キャッシュバックがある不動産物件サイトで賃貸物件を探し、そこを通じて問い合わせを行うと、その物件が契約に至ったらキャッシュバックされます。これは初期費用を抑えるワケではないですが、初期の段階で工夫することにより、キャッシュフローを改善できます。

ワケあり物件に住む

空き家
ワケあり物件とは、主に事故物件のことです。その部屋で過去自殺があったり他殺があったり、もしくは入居者が病死、事故死した部屋のことをいいます。このような物件は次に住む人へ「告知義務」があります。事故物件は基本的には懸念される方が非常に多いです。そのため、借り手が中々つかいないため、敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用を全て0円にする物件もあります。また、家賃も相場の半分以下程度まで下げる物件も少なくありません。

3.初期費用の相場

相場初期費用の相場金額については、繰り返し言っているように物件ごとに異なります。そのため、地域や物件によってバラバラなので明確な相場価格がないというのが結論です。ただ、国土交通省の「住宅市場動向調査」というデータで※敷金や礼金に関してのデータあります。

敷金について

敷金を支払った人の割合は全体の67%と、7割近い人が敷金を支払っています。逆に言うと33%の物件は敷金0円物件であるということです。また、敷金の支払月数は「1ヵ月:50.9%」「2か月:29.8%」と2か月支払っている人は3割に満たないという数字になっています。また、敷金3ヵ月を支払っている人も9.7%います。これは家賃20万円超を超える高級物件が大半です。

礼金について

礼金を支払った人の割合は全体の43%になっていますので、半分以上は礼金0円の物件に住んでいるということです。また、礼金の支払額も「1ヵ月:69.9%」「2か月:17.3%」となっており7割近くが1ヵ月分の礼金になっています。また、礼金を支払っている人の割合は年々減っています。平成24年には56.8%の人が礼金を支払っているの人がいたのに今は43%ですので、今後はますます礼金なしの物件が増えてくるかもしれません。

仲介手数料について

仲介手数料は53.9%の人が支払っています。逆に言うと、全体の半分近くが仲介手数料を支払っていないということになります。この場合には、不動産会社は仲介手数料を貰っていないのではなく、貸主からもらっているということになります。たとえば、家賃が10万円の物件の仲介をした場合には、家賃1ヵ月分プラス消費税の「108,000円」が仲介手数料の上限になります。

実はこの金額は貸主から全てもらい、借主側の仲介手数料は0円にしても問題ないのです。
そのため全体の半分近くが貸主側の負担により、入居者側の仲介手数料負担がない物件を選んでいるという事です。または、不動産会社が貸主である物件に住んでいるというケースもあります。

月額家賃

入居した物件の月額家賃の平均金額は71,382円となっています。

初期費用の相場

前項までのことを踏まえて考えると、以下のような金額が初期費用額の相場になります。

1.家賃の平均は71,382円

2.敷金は家賃1ヵ月分

3.礼金は家賃1ヵ月分

4.仲介手数料は家賃の半額(貸主と折半しているという想定)

5.引越し費用は7万円(想定)

つまり、合計で319,837円となり、家賃の約4.5か月分の費用がかかってきます。そのため、先ほど言ったように家賃の6か月分を見越しておけば十分に足りる計算になります。

※国土交通省 住宅市場動向調査
http://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000107.html

4.注意するべき不動産会社

注意不動産を賃貸する上で注意するべき不動産会社は「礼金を上乗せする不動産会社」です。

礼金を上乗せする不動産会社

このような不動産会社は、巷では「悪徳不動産会社」と言われています。たとえば、EさんがマンションAの204号室に不動産会社Xの仲介で入居したとします。その時に、Eさんは礼金として家賃の2か月分を支払ったとします。しかし、知人のFさんが同じマンションAの304号室にX社の仲介で入居したとします。その時にFさんは礼金を1ヵ月しか支払っていませんでした。しかし、賃貸専門のマンションの場合には、オーナーは個人であろうが法人であろうが複数いるケースは少ないです。

つまり、不公平感がないように、礼金や敷金の設定はどの部屋も同じすることが多いです。このようなケースの時には、X社が礼金を上乗せして自社の利益にしている場合があります。本来礼金は「オーナー」に支払う金額であり「不動産会社」に支払う金額ではありません。このような不動産会社を見抜くためには、自分の部屋をインターネットで検索してみましょう。その時に不動産会社が提示した礼金額と異なっていれば、不動産会社が礼金を上乗せしている可能性があります。

5.初期費用「地方と都心の違い」

tokyooosaka地方と都心の初期費用で最も異なる点は敷金・礼金の考え方です。今までお話した敷金・礼金の仕組みというのは、主に都心や関東近域のルールになっています。しかし、関西や地方にいくと、このルールが異なるケースが多いです。

関西や地方でのルール

関西や地方では、敷金・礼金の代わりに「保証料」「敷引き」という仕組みがあります。保証金の相場は物件によりますが、大体家賃の1~4か月分です。この金額のうち、退去時の原状回復費用として、破損具合に関係なく一定の金額を大家が徴収することを「敷引き」といいます。

敷引きの相場

敷引きの相場としては、前項の保証金の半額~6割程度になります。関東との大きな違いは、保証金と敷引きの金額が明確であることです。関東は退去時に室内をチェックして補修費用の見積もりをしないと、敷金の返還金や不足費用は分かりません。その点、関西や地方で採用されている敷引きルールは、金額が明確なのです。ただし、金額が決まっているとはいえ、故意・過失によって部屋が破損している場合には別途補修費が請求される場合はあります。

6.まとめ

このように賃貸の際の初期費用は奥が深いです。上記の点で「自分が賃貸を借りたときと違う」と思われた方も多いと思います。それだけ、物件によって初期費用の金額が違い、もっと言うと徴収するかどうかすら違うのです。また、初期費用は工夫をすれば抑えることもできます。強引な交渉はお勧めしませんが、数万円~10数万円と決して小さな額ではないので、時間をかけてお得な物件を選んでみてください。

- 2016年10月18日