江戸川区の子育てのしやすさはどの程度?支援の取り組みなどメリット・デメリットを調べる

江戸川区は東京東部に位置する区です。
東京都最東端の自治体で、千葉方面からの玄関口として栄えています。
総武線快速や東京メトロ東西線が通っており東京駅や東京都心へのアクセスもよく、通勤・通学には非常に便利な立地でもあります。

区内には区立、都立、私立問わず自然公園や親水公園が多く、特に水族館や大観覧車があることで有名な葛西臨海公園は区内だけではなく近隣からも多くの人が遊びに来ます。
東京都内とは思えないほど自然が豊かで子育てに最適な環境のため、近年非常に人気の高いベッドタウンとなっています。

1950年代から一貫して人口は増え続けており、特に死者数が出生数を下回る自然動態による増加が見て取れます。

1.現在の江戸川区における子供に関する状況

子供江戸川区の人口は転出率を転入率が上回る社会的動態と死亡率を出生率が上回る自然動態の両面による増加を続けています。
65歳以上の老年人口は30年で4倍に増加しており、日本全体に見られる少子高齢化現象は避けられない状況にあります。

ですが合計特殊出生率は2014年度で1.39と都市部としては極めて高く、全国平均にかなり近い数値が出ています。
このように23区でありながら出生率が高く、子育てに適した環境が整っているのが江戸川区の特徴でもあります。

(1)江戸区の保育所の状況と待機児童。

待機児童の問題が取り沙汰されるようになって随分と経ちました。
ですが東京都内、特に23区では画期的な対策はまだ見つかっていません。
各区様々な対策で試行錯誤をしていますが、保育所を新設するのも限度があり、また、このまま少子化を続ければいずれ待機児童が減少に転じることも予想されるため、あまり大々的な施策を取れないのも現状です。

江戸川区の待機児童も年々増加の一途をたどっています。
平成28年度で待機児童数が397名となっており、23区内でも2番目に多い結果となりました。
これに加えて、もともと保育園の申し込みをしていない育休中の保護者や仕事をしていないけれど、預けられたらすぐに復職したいと考えている家庭などを示す潜在的待機児童数を鑑みれば、江戸川区の待機児童の状況は決していいとは言えません。

この率の高さは単純に江戸川区には子供の数が多いことが、まず原因として挙げられます。
0歳から5歳までの人口を見ると3万5000人と都内でも多くの子供が住んでいます。
特に近年再開発によりタワーマンションなどが多い葛西地区は子供の数が集中しており、地区別待機児童数もトップとなっています。
反対に東部地区では待機児童が0人と、区内でも地区によって偏りが大きいのも江戸川区の待機児童の特徴です。

そんな中でも江戸川区は年々保育所を増やし、待機児童対策を行っています。
平成29年度は1か所保育園を新設、5つの小規模保育事業所を立ち上げました。
また、区立保育園を民営化し柔軟な対応を可能にした園が1か所、園舎を建て替え、受け入れを増やした園が1か所あります。

江戸川区では1人でも多くの園児を受け入られるよう定員の弾力化を進めています。
保育士・保育スペースの確保をしっかり行ったうえで定員より多く受け入れられるよう検討を行い、少しでも待機児童を減らす努力が見受けられます。

ただこれも、待機児童数の多い0歳~2歳までの人員を割り当てるために3歳以上の保育人員を割いていたため、結果として今までは比較的緩やかだった3歳クラスの待機児童が発生してしまうというデメリットも生じています。

現在は、幼稚園での延長保育の実施を始め、長い園では夜8時まで預かりを実施している場所などもあり、フルタイムで働く保護者でも預けやすくなってきています。

また、箱だけ増やしてもそこで働く人員が確保できないという問題もあります。
全国的にも保育士不足は問題とされています。

そこで江戸川区は保育士確保のために家賃補助や育休延長の補助金などを設定、経済的な保証をしっかりすることで希望者を増やし、離職率を下げる試みを始めています。
これにより保育士の確保を進めています。

江戸川区は子育てしやすく、ファミリー層に非常に人気の高いエリアです。
とはいえ待機児童数にはばらつきがあり、住む場所を選んだり、幼稚園の延長保育をうまく利用することでその問題も解決することが多いです。
待機児童数が多すぎて本当に預けられる可能性が全くない訳ではない、という点において江戸川区は子育てがしやすい区だと言えるでしょう。

(2)認証保育所と補助金制度について

認証保育所とは東京都独自の保育園制度で、0歳児からの保育が可能・13時間以上の開園時間が可能などといった認可より緩やかな条件で開園を許可された保育所で、入所申し込みなどに際して保護者個人と保育所が直接やり取りすることが特徴です。

認可保育園より公的な介入が少ない為、保護者の希望に合った様々なニーズにこたえられますが、その分最高8万円の利用額が請求されるなど割高なのがデメリットでもあります。

ただ、大抵の市区町村ではこの認証保育所を利用する際の補助金が設定されており、江戸川区でも例にもれず補助金が支給されます。
具体的な金額としては世帯の所得税合計が55,500円未満ですと25,000円、109,500円未満で15,000円がそれぞれ支給されます。
また、1歳未満の子供の場合は後述の乳児養育手当との差額で相殺されます。
区内に認証保育所は現在25か所あり、待機児童緩和に一役買っています。

また、区の取り組みとしても次年度に新規開設をしてくれる企業や団体の募集を積極的に行っており、保育所の足りないエリアの情報開示などに積極的に動いています。
その結果、毎年数件ずつですが認証保育所が増えている状態でもあります。

(3)一時保育場所について

江戸川区では区内約15か所の保育園で一時預かりを実施しています。
これは法律で定められた緊急一時預かりと違い通院や冠婚葬祭、リフレッシュなどでも利用できる江戸川区独自のシステムです。

預かり開始時間など詳しくはそれぞれの保育園のホームページに記載がありますが、1日に預かれる上限人数などもありますので予定が決まり次第早めに予約を入れることをお勧めします。
基本的に1世帯1か月に5日までの預かりとなります。
料金はおおむね4時間まで2000円、8時間まで4000円ですが、これも保育園によって微妙な差額があるので、気になる方はこちらも各園に問い合わせると良いでしょう。

保育園以外の預かり場所としてファミリーサポートセンターがあります。
こちらは事前に登録会に参加してメンバー登録をしておく必要がありますが、保育園の一時預かりより安価で、細かい希望を伝えられるので気軽に利用できます。
一般の方のボランティアによって成り立っているシステムですので、細かな規約があり、確認が必要です。

また、ファミリーサポートセンターが行っている一時預かりもあります。
1歳以上のお子様が対象で、共有プラザ内にある子育てひろばにて、預かりを行っています。
こちらは1時間800円からで、利用できる状況にも細かな規定がありますので確認が必要です。

2.江戸川区の児童手当について

子供手当
児童手当は子供の健やかな成長を助けるために全国一律で支給される補助金です。
その金額や手続きについては全国一律です。
その他にも様々な手当てが子育て世帯には支給されます。
東京都や江戸川区独自の手当ても含めて説明していきます。

(1)児童手当について

児童手当は前述のとおり、国によって定められた手当です。
3歳未満は15,000円、3歳以上中学生以下は10,000円(ただし第3子の場合は12歳まで15,000円)と定められています。
また、生計中心者(父母のうちどちらか所得の高い方)と子供の人数により支給制限がありますので、自分や配偶者の所得が上限に達していないかの確認も必要です。

支給月は自治体によって様々ですが、江戸川区は6月(2~5月分)、10月(6~9月分)、2月(10~1月分)にまとめて請求者名義の口座に振り込まれます。
窓口もしくは郵送にて申請が可能で、申請日の翌月から支給可能です。
申請が遅れた場合でも遡って請求はできませんので、転居などで江戸川区に転入した際は他の手続きと一緒に申請できるように書類一式をあらかじめ用意しておくことをお勧めします。

(2)児童扶養手当・児童育成手当

児童扶養手当児童育成手当は父または母のいないひとり親家庭に支給される補助金です。
二つの手当ての違いは、児童扶養手当の方が1回に支払われる金額が高く、代わりに支給要件が厳しいということです。

児童扶養手当は最高で42,290円(2人の場合は52,280円)が支払われますが、その算出基準となる所得には養育費(8割)や生計同一者の所得も含まれるため、保護者の所得が高くなくても支給が受けられない場合があります。
また、児童扶養手当は自立努力義務が課されており、支給開始から5年が経つと手当額が制限されるなど様々な規約があります。

反対に児童育成手当の要件はもう少し緩く、支給の算出基準は扶養者の所得のみに限られます。
月額は13,000円と児童扶養手当より少なめですが、所得上限以外の支給制限もなく、児童が18歳に達するまで毎月支給されます。
また、医療費の助成、家賃の助成などもあります。

(3)乳児養育費手当について

乳児養育費手当とは江戸川区が独自に打ち出している制度です。
赤ちゃんにとって一番重要な乳児期を保育に専念できるよう経済的支援を行うことを目的として制定された手当です。
所得の上限に達していないこと、区が制定する子ども子育て支援新制度の対象となる保育施設(保育園など)に預けていないことなどの条件はありますが、出生月から最大12回(1歳になるまで)、毎月13,000円の支給が受けられます。
また、申請は窓口のみで可能で、郵送では行えませんので注意が必要です。

3.江戸川区の子供の医療費に関する制度は

子供の医療子供の医療費の助成は自治体によってまちまちです。
東京都内は概ね助成制度がしっかり整っている自治体が多く、義務教育中は無料になることが殆どです。
小さな子供は発熱しやすく、ちょっとしたことでも大きな病気や死亡事故につながることも多いため、病院に気軽にかかれるよう医療費の制度をしっかり把握しておくことが大切です。

(1)中学3年生までは基本的な医療費が無料

江戸川区では、中学3年生までの子供を対象に社会保険や国民健康保険に加入している家庭の子供の保険診療の自己負担分を助成してくれます。
病院や薬局の窓口に医療証を提示することにより、無料で診察を受けたり薬を処方してもらえる制度です。
乳幼児(0歳から6歳まで)を乳児医療証、小学校入学年度から義務教育修了年度までの子供をこども医療証として区別していますが、受けられる助成の内容は一律です。
保護者の所得による支給制限はなく、対象となる子供は全員助成を受けられます。

ただし、生活保護を受けている家庭、子供が児童福祉施設に入所している、または里親に委託されている方は対象外となります。

(2)医療費が助成されないケース

保険診療の対象外となる治療を始めとしたいくつかの条件によっては医療費が助成されない場合があります。

具体的には以下の通りです。

・保険診療の対象外となるもの(差額ベッド代、予防接種代、薬のケース代、文書料、健診料など)

・加入中の社会保険・国民健康保険等から助成の出る高額医療費や家族療養費附加金該当分など

・日本スポーツ振興センター法の適応範囲内のもの(保育園・幼稚園・学校の管理下での傷病に対して支払われる保険料)

・交通事故など第三者に責任があるもの

・特定の疾病に関わる助成を受ける場合(ただし、治療費が助成金を上回る場合は差額が返還されます)

(3)払い戻しについて

・入院時の食事代

・治療用装具の作成

・医療証の紛失・忘れ

こういったものには医療証が適用されないため、窓口で実費を支払うことになります。

ただし、後日請求することによって還付を受けることができます。
乳児・こども医療証、健康保険証、領収書、保護者名義の通帳・認め印(治療用装具の場合は診断書のコピー及び治療用装具支給決定通知書)を持参のうえ、区役所・出張所にて還付手続きができます。
還付請求の期限は支払日から起算して5年ですので、早めの手続きを心がけましょう。

(4)その他医療費負担に関して

ちょっとした風邪や怪我でしたら、大抵の場合、医療証により無料になります。

ですが特定の疾病や大きな怪我の治療となると、高額医療費に相当する場合も多々あります。
そういった場合でも、様々な方法で医療費を軽減することができます。

以下、代表的な助成制度です。

高額療養費に該当する疾病の場合

加入中の健康保険組合に申請すると、「限度額適用認定証」が発行されます。
これを乳児(こども)医療証・健康保険証と一緒に窓口に提示することにより窓口で支払う金額が減免されます。

家族療養費附加金が支払われる場合

家族療養費附加金とは、自己負担が高額になり、健康保険組合が定めた基準を超えた場合に支払われる補助金です。
各健康保険組合によって違いますので、加入中の組合の制度を確認しておくと良いでしょう。
家族療養費附加金支給決定通知書を担当窓口で提出することにより還付金を受けられます。

(5)医療証の発行方法

出生・転入によって江戸川区民になった際、3か月以内に手続きすることによって出生日・転入日分から、さかのぼって助成を受けることができます。
3か月を過ぎてしまうと手続した日からの助成となりますので、出産・転入をされた場合はなるべく早く手続きをすると良いでしょう。
申請者の身分証明書、子供の健康保険証、マイナンバーカード(通知カード)、認め印、代理人の場合は委任状を添えて区役所、もしくは出張所の担当窓口で手続きを行います。

また、医療証の内容に変更があった場合も手続きが必要になりますので速やかに届け出ましょう。
紛失・汚損した場合は子供の健康保険証と認め印で再発行ができます。
郵送での再発行申請も可能です。健康保険証のコピーと再交付申請書を添えて郵送してください。

4.楽しく子育て!子育て中に利用できる施設など

子育て子育てをしていると、様々な悩みが次から次へと生まれるものです。
乳児期の健康や成長について、離乳食や栄養バランスについて、学校の勉強についていけるか、思春期の対応など、悩みがつきることはありません。

そんなときに 相談できる場所・一緒に悩みを語れるママ友づくりに役立つ場所をご紹介します。

(1)子育てガイドの作成

江戸川区では区内のお父さん・お母さんから広く意見を募集し、「えどがわ子育てガイド」を作成しています。
子育てひろばや区役所、区のホームページで閲覧可能で、赤ちゃんが生まれてから就学までに必要な情報やおでかけできる施設など、お母さんの知りたい情報が満載で、子育てに大いに役立ちます。
特に出産関係の助成金の情報や予防接種・健診についてまとめてあるので、初めての妊娠・出産で不安なお母さんには心強い味方です。

(2)子育てルーム

江戸川区内には、20か所の子育てルームがあります。
区の管轄で運営しているものやファミリーサポートセンターが主体のもの、NPO団体が開設しているものなど形態は様々ですが、乳幼児を遊ばせながらお母さん同士の交流を深めることを目的とした施設が多く、いわゆる密室育児になりがちな第一子の場合、特に貴重な場となります。

その中でも区が運営している共有プラザは子育て支援及び中高生の交流・活動支援を行うことを目的に区内6か所に開設された支援施設です。
乳幼児を持つお母さんの交流会や子育て相談なども頻繁に行われており、おはなし会やわらべうたの日などイベントも盛りだくさんです。

また、特に乳児を持ったお母さんのためのらっこルームも区が開設しています。
こちらは0歳~就学前までのお子さんを気軽に遊ばせながら、お母さん同士の交流を深めることのできる施設です。
交流の中で情報交換をし、母子ともに様々なことを学び成長することができます。

子育て担当指導員が常駐しているので、日常の些細な悩みや疑問を質問することも出来て、大変有意義です。
ランチタイムやおやつタイムに持参したお昼やおやつを摂ることができるので、お母さん同士のランチ会なども楽しむことができます。

(3)小学校以上の教育について

どの自治体でも乳幼児期の子育て支援については積極的で、様々な施設を利用することができます。

ですが、小学校以上となると支援が手薄になり、保護者の悩みを相談できる場所が少なくなります。

特に勉強に関する悩みは子供によって千差万別のため、保護者の力だけでは解決することが難しくなっています。
そこで江戸川区では、べんきょう応援サイトを立ち上げ、学習塾などの情報をこまめに発信しています。

また、日常生活での不安や質問を相談できる窓口の案内なども記載されており、悩みのつきないお母さんの心強い味方になっています。

5.公園・公共施設

公園平成22年に子ども未来館が開館しました。
この施設は1階が図書閲覧のできるライブラリー、2階が探究活動や学び活動ができるアカデミーとなっており、1階で得た知識を2階で深める、実地で学ぶ、あるいは2階の探究活動で得た疑問を1階の図書で調べる、などといった反復学習により知識を深めていける施設となっています。
紙芝居や絵本もあるので、小学生だけではなく幼児でも楽しむことができます。

また、江戸川区は公園面積が東京23区中1位の区でもあります。
区内には数多くの自然公園・親水公園があり、季節を問わずイベントも行われているので、子供を連れて遊びに行くには充分な環境です。

6.まとめ

江戸川区は便利さと自然の多さが調和した住みやすい区です。
独自の助成金があったりと子育て世帯への補助も厚く、子育てをするには非常に良い環境といえるでしょう。
保育園の待機児童問題など解決すべき課題も多くありますが、自治体の問題への取り組み姿勢も前向きのため今後の改善も期待でき、より良い環境で子育てできるでしょう。

※提供内容には注意を払っておりますが、調査時期により現状と異なる場合があります。最新の情報につきましては各市区役所までお問い合わせください。

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- 2017年05月08日