住宅ローンを借り入れる際、奨学金はどのような影響を及ぼすのか?

今は奨学金を借りて大学に行く人も多いです。そのため、社会人になっても奨学金を返済し続けている人も珍しくありません。奨学金を返済している人が住宅ローンを組むときは、「奨学金はどのような扱いになるのか」と疑問に思うものです。

結論から言うと、奨学金も「借入」という扱いになるので、住宅ローン審査のときは気を付けなければいけません。今回は、住宅ローンを借り入れるとき、奨学金はどのような影響を及ぼすのかを詳しく解説します。

目次

1.奨学金を借りているときの住宅ローン

1-1住宅ローンの審査

1-1-1返済比率

1-1-2審査金利

1-2ほかの借り入れがあるとき

1-3繰り上げ返済か自己資金の増額か

2.奨学金の返済滞納について

2-1金融機関が滞納を重く見る理由

2-2信用情報について

2-3信用情報が消えるタイミング

2-3-1管理される機関

2-3-2履歴消去の注意点

2-4信用情報を確認する

2-4-1住宅ローン審査前に信用情報を調べる

2-4-2信用情報の確認方法

2-5滞納しても住宅ローンに通るケース

3.まとめ

1.奨学金を借りているときの住宅ローン

住宅ローン結論から言うと、奨学金を借りていて返済中だからといって、 住宅ローンを組めなくなるワケではありません。ただ、冒頭の通り金融機関は奨学金も借入と判断するため、審査に厳しくなるのは事実です。

1-1住宅ローンの審査

審査奨学金が住宅ローン審査にどう影響するかは、そもそも金融機関が住宅ローン審査をどのようにしているかを理解する必要があります。住宅ローン審査で理解しておくべきことは、「返済比率」「審査金利」の2点です。まずは、この2点を理解しましょう。

1-1-1返済比率

返済比率とは、「年間の返済額が年収のどのくらいの割合を占めているか」を数値化したもので、計算式は「年間返済額÷年収」になります。たとえば、年間返済額120万円(月々10万円)で年収450万円場合には返済比率は26.6%(120万円÷450万円)になります。

金融機関によって返済比率の基準は異なりますが、大抵の金融機関は「年収400万円未満で返済比率30%以下」「年収400万円以上で返済比率35%以下」と設定しています。

仮に、年収390万円で、年間返済132万円(月々11万円)の借り入れを起こすとします。その場合の返済比率は33.8%(132万円÷390万円)になるので、返済比率的に審査は否決となります。返済比率がオーバーしている場合で審査に通ることは、ほとんどないです。

ただ、属性(年収や勤務先、自己資金率、勤務年数、年齢など)が良い場合には、返済比率がオーバーしていても融資する場合もあります。

1-1-2審査金利

ただし、審査するときの金利は実際に借り入れる金利よりも高くなります。なぜなら、仮に金利が上昇したり、借入者の年収が下がったりしても返済が滞らないようにするためです。

審査する際の金利を「審査金利」と言いますが、この審査金利は大体3%強で設定されます。

そのため、たとえば「金利0.8% 借入金額3,000万円 借入期間35年」で住宅ローンを組むとします。この場合には、年間983,016円(月々返済81,918円)です。このとき、仮に年収が350万円であれば、返済比率は28%(983,016円÷350万円)です。

一見すると、前項で説明した返済比率をクリアしていますが、これは金利0.8%前提の話です。仮に審査金利が3.1%の金融機関であれば、年間1,405,620円(月々117,135円)の支払いです。

そのため、返済比率は40.1%(1,405,620円÷350万円)になるので、返済比率オーバーになるということです。この場合には、返済比率が30%未満になるよう、自己資金を入れる必要があるということです。

まずは、住宅ローン審査には返済比率という基準があり、審査するときには金利が変わるという点を認識しておきましょう。

1-2ほかの借り入れがあるとき

前項の返済比率と審査金利を踏まえ、実際に奨学金がある場合も考えていきます。上述したように、奨学金の借り入れは、ほかの借り入れと同様に判断されます。そのため、前項で解説した「月々返済額」に奨学金の返済額をプラスする必要があるのです。

仮に、奨学金の返済が年間で60万円(月々5万円)の場合には、その金額が返済額に上乗せされるということです。

先ほどの「金利0.8% 借入金額3,000万円 借入期間35年 年間返済額983,016円(月々返済81,918円)」の例で見てみましょう。この年間返済額に60万円を上乗せするので、1,583,016円が年間返済額になります。

奨学金がない状態の年間返済額983,016円であれば、328万円の年収があれば返済比率は30%未満でクリアしていました。しかし、奨学金がプラスされた年間返済額1,583,016円になると453万円の年収がないと、返済比率35%未満はクリアできません。

このように、奨学金などのほかの借り入れがプラスされると、年間返済額に上乗せされるので審査がかなり厳しくなります。奨学金を返済している方で住宅ローンを組もうと思っている方は、この点を認識しておきましょう。

返済比率の計算は、審査金利が金融機関によって異なるので不動産会社に行ってもらいましょう。

1-3繰り上げ返済か自己資金の増額か

仮に、奨学金の返済ができるくらい一括で資金が貯まっているとします。このような状態のときに迷うのが、「自己資金の増額」をするべきか、「奨学金を一繰り上げ返済」するべきかという点です。

結論から言うと、どちらを選択するべきか金融機関にヒアリングした方が良いです。

多くの金融機関が「繰り上げ返済」というと思いますが、中には「自己資金の増額」という金融機関もあります。

なぜなら、金融機関ごとに審査基準が異なり、「重視するポイント」に違いがあるからです。

自己資金比率を上げることで審査が通りやすくなることも稀にありますので、一応金融機関へヒアリングしてから繰り上げ返済するかどうかは決めましょう。

2.奨学金の返済滞納について

滞納つづいて、奨学金の返済を滞納したことがある場合のお話です。結論からいうと、奨学金の返済を滞納したことがある人は、その滞納履歴が消えるまでは住宅ローンの審査に通過するのは厳しいです。これは、ほかの借り入れにも同じことがいえます。「滞納」という行為を金融機関は非常に重く受け取るのです。

2-1金融機関が滞納を重く見る理由

金融機関が住宅ローンを融資するときに、最も危惧することは「ローンの滞納」「自己破産などの債務不履行」です。要は、期限までに予想していたお金が返済されないと、金融機関の収支が狂ってしまうから嫌がるというワケです。

また、金銭に関しては人によってルーズかどうかが分かれます。そのため、「ほかの借り入れで滞納したことがある人は、住宅ローンも滞納するだろう」と判断されるというワケです。

滞納履歴があると、いくら年収が高くて安定した企業に勤めていても、大抵の場合は住宅ローン審査には落ちます。それだけ、「滞納」という行為は金融機関にとって重い出来事になるのです。

そのため、住宅ローンの借り入れを検討している人で奨学金を返済中の人は、何があっても滞納だけはしてはいけません。もし、既に滞納してしまっている場合は、「いつ」滞納して「どのように」記録されているかを確認しましょう。これについては後述します。

2-2信用情報について

そもそも、金融機関が滞納しているかどうか分かる理由は、「信用情報」という履歴になります。

信用情報と呼ばれる履歴には、過去の延滞や作成したクレジットカード、そして自己破産などの履歴なども全て記録されます。住宅ローンに限ったことではありませんが、お金を融資するときに金融機関は信用情報の照会を行うのです。

ローンは1つの金融機関が融資しているワケではありません。色々な金融機関が融資しているので、どうやって信用情報を調べるのかと疑問に思う人もいると思います。実は、金融機関が信用情報を個別で管理しているワケではなく、「保証会社」専門の「機構」が信用情報を管理しています。

そのため、仮にA銀行で住宅ローン審査をしようが、B銀行で住宅ローン審査をしようが、照会する信用情報はほとんど同じになります。

2-3信用情報が消えるタイミング

既に奨学金を滞納してしまった人が気になるのが、その信用情報の履歴はどの程度残るかという点です。

結論をいうと奨学金の滞納履歴は一般的に「5年間」履歴として残ります。滞納歴があって住宅ローンを借り入れたい場合には、この履歴が消えるまで「待つ」という選択肢もあるのです。

2-3-1管理される機関

さきほど、「『保証会社』や専門の『「機構』が信用情報を管理しています。」といいました。その中でも奨学金全般については「日本学生支援機構」が管理していて、全国銀行個人信用情報センター(KSC)という機関で信用情報を管理しています。

KSCのルールでは、滞納は3か月間でマークするというルールです。そのため、滞納歴があるといっても1か月であれば履歴として残っていない可能性があります。

2-3-2履歴消去の注意点

先ほど、滞納の履歴は5年で消えると言いましたが、履歴が消えるタイミングには注意点があります。それは、滞納をしてから「5年」というワケではなく、滞納したローンを完済してから5年経過時点で履歴が消えるという点です。

つまり、4年前に奨学金の返済を滞納しているときには、「後1年で消える」というワケではないのです。奨学金を完済してから「5年」経過しないと履歴が消えないので、完済するタイミングが非常に重要ということになります。

2-4信用情報を確認する

このように、奨学金の返済を滞納している場合は、審査が厳しくなります。

住宅ローン審査をして滞納歴が分かった時点で否決になると思いますが、金融機関は「過去の滞納歴によって否決になりました」とは言わず「総合判断」という言い方をします。

なぜなら、金融機関は自社のローン基準を公にしないからです。関係者は分かってはいますが、「滞納歴があるから審査に落とした」とは明言しないということです。その場合は、自分で「調べる」という方法をとります。

2-4-1住宅ローン審査前に信用情報を調べる

仮に、奨学金の滞納歴がある場合には、住宅ローン審査前に信用情報を調べてみましょう。なぜ、住宅ローン審査前かというと、住宅ローンが否決になるとその履歴も残るからです。その履歴は別の金融機関も確認できるため、否決の履歴があると心象が悪くなります。

そのため、否決という結果が出る前に信用情報を自分で確認しましょう。不動産営業マンなどは「一旦審査してみましょう」と勧めてくることもありますが、滞納歴が自分で分かっているのであれば審査する前に確認した方が良いです。

2-4-2信用情報の確認方法

信用情報を確認する方法は「CIC」「JCC(日本信用情報機構)」「KSC(全国銀行個人信用情報センター)」という機関に問い合わせることです。奨学金であればKSCをまず調べるべきですが、確実にCICとJCCに履歴がないかは分かりません。

そのため、心配な方は上記3機関全てに問い合わせてみましょう。基本的に金融機関が信用情報を照会するのは上記3機関なので、この3機関に履歴がなければ問題ありません。

なお、信用情報を調べるためには、自分で問い合わせるしかありません。個人情報になるので、身分証明書を持参の上、直接来訪するというケースもあります。

2-5滞納しても住宅ローンに通るケース

審査に通る非情に稀なケースですが、奨学金の返済を滞納しても住宅ローンに通るケースもあります。そもそも、住宅ローン審査は上述した「返済比率」以外にも、以下の要素を加味して審査されるのがその理由です。

・勤務先の規模、安定性

・勤務形態、年収

・年齢や転職歴

・自己資金歴

・信用情報

要は、金融機関は延滞せずに、きちんと返済してくれる人に融資したいのです。そのため、安定的に継続性がある仕事に就いていて、かつ年収的に返済に無理がない人は審査に通りやすいです。仮に、滞納歴が1回程度であれば、「うっかりミス」として捉えられることもあります。

しかし、滞納は滞納ですので、仮に審査を通過するとなると非常に良い属性である必要があります。たとえば、「一部上場企業」「年収1,000万円以上」「正社員で勤続10年以上」「奨学金は完済」「転職歴なし」「年齢35歳(完済時も働いている年齢)」「自己資金率30%以上」などの属性です。

また、連帯保証人に属性が良い人がいると、審査は通りやすくなります。たとえば、妻が上記のような属性であれば連帯保証人にすることで、滞納歴があっても審査に通る場合はあります。

しかし、これは非常に稀なケースであるので、滞納したら住宅ローン審査に通るのは厳しいとは思っておきましょう。

3.まとめ

奨学金を返済しているときに住宅ローンを借り入れるときには以下の点に注意しましょう。

・奨学金はほかの借り入れと同様に判断される

・返済比率を計算するときには奨学金の返済額も加味して審査される

・奨学金の滞納歴があると審査には通らない

・奨学金の滞納歴があるときには自ら確認してから住宅ローン審査をする

奨学金もあくまで「ほかの借り入れ」と同じです。また、滞納については非常に厳しく見られますので、現在滞りなく返済している人は滞納には十分注意しましょう。

- 2017年04月11日