住宅ローンの過去推移と今後について

住宅を購入するときには、多くの人が住宅ローンを組んで購入します。その住宅ローンを選ぶときに最も気になるポイントは「金利」です。なるべく金利が低い時に金利が低い銀行で借りることができれば、月々返済額と総返済額を抑えることができるからです。そこで今回は、過去の金利推移を振り返り、今後の住宅ローン金利の推移を予想します。

バブル期の住宅ローン金利

バブル期の住宅ローンまずは、昭和59年頃から現在までの金利推移を見てみましょう。以下のグラフのように、バブル期といわれた平成元年から平成4年くらまでは、変動金利は8.5%程度の金利になっています。今現在は2.475%ですので、その差は約3.4倍です。

仮に、8.5%の金利をそのまま住宅ローン金利に当てはめてみます。たとえば、借入金額5,000万円、借入期間35年、金利8.5%で住宅ローンを組むとします。そのときには、月々返済額は373,430円になり、総返済額は1.5億円を超えます。つまり、借入をした5,000万円の3倍の金額を返済する必要があるということです。

ただし、バブル期は、預金金利もそれなりに高い時代でした。現在だと定期預金でも0.1%程度の銀行もある中で、バブル期は普通預金で2%程度の金利が付く時代だったのです。そのため、バブル期にある中では住宅ローン8%という数値は、決して高くないとされていた数値でした。これだけでもバブル期がいかに異常であったかが分かります。

バブル崩壊

バブル崩壊バブル期は、「土地神話」「株神話」という言葉があったくらい、土地や株は買えば次の日には必ず価値が上がっているという状態でした。東京23区の土地代だけで、アメリカ全土を変えるくらいの価値があったとも言われています。つまり、現実より遥かに高い価値まで、急上昇してしまっていたのです。

そんなバブル経済も「不動産総量規制」と「公定歩合引き下げ」によって終わりを迎えました。それがバブル崩壊といわれている現象です。

「不動産融資総量規制」というのは、簡単にいうと「銀行は不動産の売買に関する融資を規制しなさい」という決まりです。つまり、不動産の売買を極端に少なくする規制を設けたのです。この規制により、不動産の需要は極端に減ります。需要が減れば不動産価値は下がります。

たとえば、不動産をいくつも所有していた会社は、その不動産の価値が下がったことによって「含み損」を抱えます。含み損をかかえると決算に大打撃を与えるので、株価も下がりますし、単純に事業資金がなくなってしまうのです。

また、日銀は公定歩合(日銀が民間銀行に貸し出す金利)を2.5%から6.0%まで引き上げました。公定歩合を上げたことにより、銀行は個人や企業へ融資する金利はさらに上がったのです。不動産総量規制により大打撃を受けた企業が多い中で、さらに金利が上がれば誰もお金を借りることはできません。

これら一連の目的は、市場に供給されすぎたお金を少なくして、上がり過ぎた物価を戻すことでした。しかし、急激な金融引き締めによって、バブルがはじけたように、日本全土で一気に不況になってしまいます。そのため、住宅ローンを借りる人も少なくなり、住宅ローンは下がって(正常に戻って)いったのです。

2000年代~2010年頃までの住宅ローン金利

つづいて、2000年~2010年代前半までの住宅ローン金利を見ていきましょう。さきほどお見せしたグラフの通り、実は変動金利でいうと2.475%からほとんど変動がないのです。しかし、金融機関が独自に「優遇金利」を設定することにより、実質的に住宅ローンは下がっているのです。

3種類の金利について

住宅ローンを借りるときには、店頭金利優遇金利、そして実質金利という3種類の金利があります。この3種類の金利を理解しておかないと、優遇金利、そして住宅ローン金利を理解することはできません。

店頭金利

店頭金利とは、各銀行が独自に設定している住宅ローン金利のことです。銀行は、変動金利であれば短期プライムレート(短プラ)を基準に、固定金利であれば新発10年国債の金利を基準に独自で金利を設定します。

短プラは銀行間でお金を貸し借りするときに利用される金利です。新発10年国債の金利は、その名の通り国債の所有者が得られる金利です。つまり、国債の価格が高くなれば(需要が高まれば)利回りは下がり、国債の価格が低くなれば(需要がなくなれば)利回りは上がります。

優遇金利

優遇金利とは、前項でお話した店頭金利から、銀行が独自に差し引く金利のことです。前項で話した店頭金利と、この優遇金利が銀行ごとに違うため、銀行ごとに住宅ローン金利は異なるのです。

実質金利

実質金利とは、店頭金利から優遇金利を差し引いた、「実際に融資される金利」になります。たとえば、ある銀行の変動金利の店頭金利が2.475%で、優遇金利が1.6%だったとします。そのときには、この銀行で変動金利を借りると、0.875%(2.475%-1.6%)の金利になるということです。

優遇金利を銀行が取り入れる理由

銀行そもそも優遇金利を銀行が取り入れている理由は、他行との差別化です。銀行は、優遇金利幅を拡大することで金利を下げます。金利を下げることで銀行側の収益は落ちますが、その分借入者を増やす事でカバーをしているのです。

言い換えると、優遇金利は各銀行の「戦略」でもあります。インターネットで金利を調べてみると分かりますが、金利は実にマチマチです。2016年現在では変動金利で0.5%を切る銀行もあれば、1.0%程度の金利の銀行もあります。

つまり、端的に言うと0.5%を切る金利にしている銀行は「借入者を増やしたい」という戦略があり、1.0%に設定している銀行は「収益を増やしたい」という戦略があります。もちろん一概には言えませんが、いずにしろ銀行によって、そして時期によって優遇金利が異なるという点は必ず認識しておきましょう。

当時の優遇金利

金利の推移を分かりやすく説明するために、「変動金利」に注目してみます。当時はネット銀行が台頭してきた時期ではありますが、特に2000年代前半はメガバンクや主要銀行が住宅ローンを組むメインの銀行でした。

時期や銀行によってもバラつきはありましたが、大抵の銀行は店頭金利2.475%で優遇金利幅は1.0%~1.7%程度でした。つまり、実質金利は1.475%~0.775%程度だったということです。この金利はバブル期の金利8%超えの時と比べると、どれだけ低金利かが分かると思います。

1 2 3