不動産投資を考えている人の中には、「不動産投資セミナー」へ参加することによって投資の勉強をする人もいます。しかし、不動産投資セミナーは種類が多く、どのようなセミナーに参加するべきか迷うものです。
そこで今回は、不動産投資セミナーの内容や、注意点、良いセミナーの見分け方などを解説します。セミナー選びの参考にしてみてください。
目次
1.不動産投資セミナーの内容
☞サラリーマンのための中古マンション投資セミナー
・無料セミナーが多い
・初歩的な内容
☞不動産投資の資金調達セミナー
☞失敗しない不動産一棟経営セミナー
2.無料と有料で違う?
☞無料セミナー
☞有料セミナー
3.不動産投資セミナーで気を付けること
☞セミナーの内容を吟味する
☞個人情報の取り扱い
☞強引な営業には注意
・簡単に面談しない
・法律で営業の規則が決まっている
4.良いセミナー・悪いセミナーを見分ける方法は?
☞主催している会社
・創業年数や事業内容など
・会社規模や管理戸数・仲介数などの実績
・セミナーの開催規模や頻度
☞ランキングや口コミ
☞リスクを話すかどうか
5.まとめ
1.不動産投資セミナーの内容
不動産投資セミナーは色々な種類があります。理由は、不動産投資の種類や出席者の属性が異なるからです。基本的には、不動産投資を手掛ける会社が主催者となり、目的も主催者やセミナーごとに異なります。この「目的」の詳細に関しては後述します。
不動産投資の代表的なセミナーでいうと、以下のようなセミナーです。
1.サラリーマンのための中古マンション投資セミナー
2.不動産投資の資金調達セミナー
3.失敗しない不動産一棟経営セミナー
上記1に関しては、不動産投資として最もハードルの低い「中古マンションの一室投資」を軸として、さらに「サラリーマン」にターゲットを絞ったセミナー。
また、上記2に関しては、中級者向けに「資金調達」を軸としたセミナー。
そして上記3は、上級者や資産家の方に向けた「不動産一棟投資」に関してのセミナーです。
サラリーマンのための中古マンション投資セミナー
「サラリーマン」をターゲットとしたセミナーは非常に多いです。理由は、不動産投資は「資産家」や「投資家」も多いですが、実はサラリーマンで不動産投資をしている人も多いからです。
しかし、いきなりサラリーマンに不動産投資を勧めても、不動産投資のハードルは決して低くないため実現化しにくいのが実情です。そのため、「年収700万円のサラリーマンの方へ」など、具体的なプロフィールをタイトルにして、とにかくセミナーへ参加してもらうための趣旨で開催することが多いです。
無料セミナーが多い
サラリーマンをターゲットにしている不動産投資セミナーは、基本無料セミナーです。なぜなら、有料にしてしまうと出席のハードルが上がり、参加率が低くなってしまうからです。
初歩的な内容
また、内容も投資に関する初歩的な内容になります。たとえば、「不動産融資の流れ」「不動産投資で経費にできる項目」や「確定申告で節税する方法」など、サラリーマンが不動産投資をしたときに、「お得」になる情報を網羅します。
最初に受けるセミナーとしては、このような「サラリーマン」をターゲットとしたセミナーが良いでしょう。
不動産投資の資金調達セミナー
不動産投資の資金調達セミナーは、前項と同様でサラリーマンをターゲットにしたセミナーもあれば、中級者向けのセミナーもあります。
サラリーマンをターゲットにするときは、「サラリーマンが、いかに資金調達しやすいか」を語るセミナーが多いです。そのため、目的は前項と同じで「サラリーマンでも不動産投資はできる」と伝えることになります。
一方、不動産投資の資金調達は通常の入居用住宅の資金調達(住宅ローン)とは異なります。なぜなら、住宅ローンは入居用住宅という必須なものであるのに対して、不動産投資の資金調達は必須なものでないからです。
そのため、不動産投資の融資調達の方が難易度は高く、以下のような具体的な内容をセミナーで伝えることが多いのです。
1.ローンを組む金融機関の紹介
2.住宅ローンとアパートローン(不動産投資向けローン)の根本的な違い
3.金融機関ごとの「審査基準」について
4.アパートローンを通すコツやポイント
このように、前項の「サラリーマン向けセミナー」よりも一歩踏み込んだ内容になっています。そのため、既に不動産投資をしていて更に物件数を増やしたい方なども、このセミナーのターゲットになってきます。
失敗しない不動産一棟経営セミナー
一方、一棟不動産投資に関しては、上述した2つのセミナーとは少々毛色が異なります。内容としてはレベルが少し上がり、以下のような内容になります。
・現在のマーケット情報
・収益物件の資産価値や稼働率の説明
・具体的事例で収益やリスクを説明
上述した2つのセミナーに比べると、実際にどの程度「儲かるか」という話である場合が多いです。なぜなら、一棟不動産投資ができるということは、相続などで不動産を所有しているか、資金が潤沢にある資産家であるケースが多いからです。
つまり、投資をはじめるハードルが、サラリーマンの方などに比べると低いということになります。そのため、「投資をするため」というよりは、「投資をすること」によるメリットを解説するセミナーが多いのです。
2.無料と有料で違う?
「不動産投資セミナー」で検索をすると、実に数多くのセミナーが開催されているのが分かると思います。また、セミナーの中には、「無料」のセミナーと「有料」のセミナーがあることも分かると思います。
無料セミナー
結論から言うと、無料セミナーは、「不動産投資物件の販売」が絡んでいるケースがほとんどです。つまり、無料セミナー開催の目的は、「不動産会社が自社の投資物件を販売するため」となります。
もちろん、不動産投資についてはきちんとセミナーで解説します。そのセミナーを聞き、不動産投資意欲が高まったところで、主催者である不動産会社の営業マンが個別で接客します。
そもそも、セミナーを開催するということは、人件費や会場費などの「経費」がかかります。そのため、主催者側からすると、お金をかけてセミナーを開催する分、成果を得る必要があるのでセミナー後に営業活動をするのです。
無料セミナーは主催者側が出席者に営業をするため、以下のような情報を求めるケースが多いです。
・氏名や勤務先、年収などの個人情報
・不動産投資の経験の有無
・物件購入の予定など
有料セミナー
結論から言うと、無料セミナーとは違い、有料セミナーでセミナー後に営業行為があることは少ないです。つまり、あくまで「不動産投資のノウハウ」などを伝えるのが目的ということです。
もちろん、そのセミナーで投資家とつながりを持っておくことで、長い目でみたとき「顧客」になってくれることも期待しています。ただ、そのような「営業」目的は二の次で、純粋に不動産投資のノウハウを伝えることが主の目的です。
そのため、有料セミナーはセミナーの目的自体がハッキリしているケースが多いです。たとえば、「東京で中古マンション投資をしたい方」や、「アパートローンの資金調達でお悩みの方」など、ターゲットを明確しているケースがほとんどです。
また、セミナーの「内容」だけに目を向けると、無料セミナーよりも有料セミナーの方が質は高いケースが多いです。
理由は、有料セミナーの講師のレベルの高さです。有料セミナーの講師は、セミナーを生業としているプロの投資家など、セミナーとして「相手に伝える」という場数を踏んでいる講師ばかりです。そのため、自然とセミナーの質が上がっていくというワケです。
3.不動産投資セミナーで気を付けること
つづいて、上述したような不動産投資セミナーで気を付けることを解説します。セミナーを受ける前と、セミナーを受けた後の注意点があるので、良く理解しておきましょう。
セミナーの内容を吟味する
どのセミナーを受けるかは、自分の目的やセミナーのターゲット、そしてセミナー内容をきちんと理解してから出席するようにしましょう。上述したように、セミナーによって内容も違えば、ターゲットも違います。
仮に、全く不動産投資の知識がない人が、「アパートローンの資金調達」に特化したセミナーを受講しても意味がありません。そのため、インターネットなどからセミナーを検索するときには、「目的」「ターゲット」「内容」を吟味しましょう。
また、最初は無料セミナーへの出席をおススメします。有料セミナーは質が高くて分かりやすいセミナーも多いですが、内容自体は中級者以上に向けたセミナーが多いからです。そのため、不動産投資の知識が全くない状態で受講すると、理解できない場合があるというワケです。
個人情報の取り扱い
先ほどいったように、特に無料セミナーは必ずと言っていいほど個人情報を聞かれます。個人情報をネット上で入力してからでないと、参加ができないセミナーも多いです。
また、いわゆる「フェア」と呼ばれるようなセミナーもあります。フェアは、複数の講師が解説をして、色々な角度から投資方法を解説してくれるという内容です。このフェアに関しては、複数の講師が所属する、複数の不動産会社がそれぞれブースを設けているケースが多いです。
そのブースごとに個人情報を記載するアンケートを書く場合もあるので、一日のうちにたくさんの会社に個人情報を預けることになります。その後、しつこい営業電話や営業メールを受けることも多いため、そのような連絡を拒否したい場合はその旨を不動産会社に伝えましょう。
強引な営業には注意
前項のように、個人情報を記載するため強引な営業を受けることもあります。そのため、セミナーにいくときには、営業をどの程度受けるかを明確に相手へ伝えておきましょう。一つ言っておくと、全てのセミナーがしつこい営業をするワケではありません。
しかし、特に無料セミナーは、セミナー後の営業活動が目的であるので、はっきり断らないと営業が長い期間続くことがあるのは事実です。
簡単に面談しない
セミナーでは不動産投資を保留にする場合でも、「後日面談をする」ということは少なくありません。
しかし、一度面談すると「脈あり」と思われるため、その後どんどん営業されることになります。
ただ、面談をすることによって不動産投資の理解が深まり、投資の重要性をさらに理解することはあります。そのため、ある程度検討意思が高まったときのみ面談へと進みましょう。個別面談は、具体的な物件詳細や利回りの話になるので、自分自身も知識がないと話が理解できません。
法律で営業の規則が決まっている
あまりに強引でしつこい営業を受けている場合には、宅地建物取引業法(宅建業法)を覚えておきましょう。宅建業法上、営業には以下のような決まりがあります。
・宅建業者の名称や営業マンの氏名、営業の目的を明確にしないといけない
・相手方(自分)が契約をしない意思表示をしたにも関わらず、しつこい営業は禁止
・迷惑な時間帯や、迷惑な訪問営業等は禁止
仮に、上記に該当する営業を受けた場合には、宅建業法を持ち出して不動産会社に指摘することをおススメします。
4.良いセミナー・悪いセミナーを見分ける方法は?
さいごに、良いセミナーと悪いセミナーの見分け方を解説します。セミナーごとに「質」は大きく異なります。
一方で、セミナーの数は非常に多いため、良いセミナーを見極めるのは簡単ではありません。セミナー選びの際は以下の点を参考に見極めましょう。
主催している会社
まずは、そのセミナーを主催している会社を調べましょう。セミナーを開催する場合には、必ず主催している会社のホームページが貼り付けてあります。
そのホームページより、以下の情報をチェックするべきです。
・創業年数や事業内容など
・会社規模や管理戸数
・セミナーの開催規模や頻度
創業年数や事業内容など
まずは会社の創業年数や事業内容などをチェックしましょう。創業内容の長さが「信頼」とイコールになるワケではありませんが、創業年数が長いほどノウハウは蓄積されています。
また、その会社が「仲介」をメインにしているのか「管理」をメインにしているのかもチェックしましょう。理想はどちらもメイン事業にしている会社です。理由は、仲介をしていればエリアや相場観などに優れており、管理をしていれば物件購入後のことに詳しいからです。
会社規模や管理戸数・仲介数などの実績
また、会社の規模や管理戸数も大切な要因です。これも、前項と同じ「ノウハウの蓄積」が理由です。会社規模が大きいほど、管理戸数や仲介数などの実績が豊富であることが多いです。不動産投資セミナーは、「利回り」や「賃料相場」などの数字が良く出てきます。その数字に関して、管理戸数や仲介戸数などの実績が多いほど、信頼性が高くなるのです。
セミナーの開催規模や頻度
そして、セミナーを主催する会社が、定期的にセミナーを開催しているかもチェックしましょう。定期的にセミナーを開催している会社であれば、ホームページに実績として記載されていることが多いです
セミナーは、主催する会社の役員などが登壇するケースもあります。しかし、外部から講師を招く場合も多いです。そのため、セミナーを定期的に開催する会社ほど、良い講師とのつながりがあり、それが質の高いセミナーへつながります。
また、セミナー受講者の声をアンケートとして徴収していることも多いです。そのため、セミナーを開催した後の反省点を改善し、質の良いセミナーになっている可能性が高いのです。
ランキングや口コミ
不動産投資セミナーのランキングや口コミは「参考」程度に見ておきましょう。ランキングや口コミに記載されている内容は、主催者の関係者が記載している場合があるからです。そのため、その情報は「参考」程度に見て、上記の会社規模や事業内容の補助的な要素にしておきましょう。
リスクを話すかどうか
この「リスクを話すか」という点は、セミナーに出席した後に、そのセミナーの内容は信頼しても良いかを確かめるためのポイントです。不動産投資を含めた、全ての投資にはリスクはつきものです。
しかし、特に無料セミナーの場合には、その後に物件を販売したいので「良い」情報を伝えるケースが多いのです。
たとえば、現在であれば以下のような点が不動産市況で「リスク」と言える点です。
・新築マンションの価格下落※1
・新築マンションの契約率下落※1
・マンション賃料下落※2
上記のような、不動産価格や契約率、賃料に関するデータは実にたくさんの種類があります。たとえば、東京23区全体での賃料は下落していても、「東京都○○区」だけで絞れば賃料は上昇しているかもしれません。
このように、セミナーによっては、エリアや時期、物件の規模などを区切って、何とか「買い時」と思わせるような資料をつくることもあります。そのため、記載されているデータ情報は鵜呑みにせずに、必ず自分で調べることを忘れてはいけません。
今では、ネットで調べれば、以下のような公的機関のデータはすぐに調べることができます。
※1国土交通省
http://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-jutaku- 2_tk_000002.html
※2東京カンテイ
http://www.kantei.ne.jp/news/cate01_m.php?category_no=10
5.まとめ
このように、不動産投資セミナーは実に多種多様なセミナーになっています。ただ、自分の「立ち位置」を明確にして、セミナーの趣旨やターゲットをきちんと見極めれば、自分にとって一番良いセミナーが見つかるはずです。
1回のセミナー参加で、全てを分かった気になるのは危険です。自分でも独学で勉強しつつ、リテラシーを高めましょう。その上でセミナーを選べば、さらに質の高いセミナーに出会うことができます。
マンションサプリ 編集部 - 2017年03月17日