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住宅ローン検討前に知ろう。2017年上半期の住宅ローン金利推移を振り返る

2016年にマイナス金利政策を実施してから、低金利を追い風に住宅ローンの申込者は増えてきています。
それだけ住宅ローンが注目されている現在、実際の住宅ローンはどのように推移しているのでしょうか?

今回は、変動金利と固定金利に分けて、2017年上半期の金利推移を解説していきます。 また、その話を理解するために、そもそも金利は何を基に設定されるかという点も解説します。

目次

1. 金利の連動性について
 1-1. 変動金利は何に連動するか?
  1-1-1. 市中金利とCDについて
  1-1-2. 短プラの実際のレート
  1-1-3. 実際の住宅ローン変動金利は?
 1-2. 固定金利は何に連動するか?
  1-2-1. 国債の利回りについて
  1-2-2. 国債価格について

2. 実際の金利について
 2-1. 変動金利
 2-2. 実際の変動金利
 2-3. 固定金利
 2-4. 実際の固定金利
 2-5. 固定金利の店頭金利について

3. 優遇金利と店頭金利から見る今後の金利

4. まとめ

1. 金利の連動性について

金利の連動

2017年の住宅ローン金利を語る上では、そもそも住宅ローン金利は何に連動しているかを語る必要があります。

住宅ローン金利が何に連動しているか分からないと、今までどのような推移だったのかも、今後どのような変化をしていくかも分からないからです。

住宅ローン金利は、大きく分けて「変動金利」「固定金利」に分けられ、それぞれ連動している指標が異なります。

1-1. 変動金利は何に連動するか?

まず、変動金利は「短期プライムレート(短プラ)」という金利に連動します。

短プラとは、銀行が「優良な企業に1年以内の短期で貸し出すときの金利」のことで、各金融機関が独自に設定しています。
優良企業であるほど金利は低くなるので、短プラは銀行が一般的に貸し出す金利で最も低い部類の金利になります。

そして、この短プラは以下2つと連動します。

  • ・市中金利
  • ・譲渡性預金(CD)

つまり、短プラと連動している住宅ローンの変動金利は、市中金利とCDに連動しているということです。

1-1-1. 市中金利とCDについて

市中金利とは、金融機関同士でお金を貸し借りするときの金利になります。

一方、CDは債券などと同じような「金融商品」になります。 簡単にいうと、CDは「第三者に譲渡することができる定期預金」という金融商品です。

いずれにしろ、この2つの金利と短プラは連動しています。 ということは、市中金利やCD金利が上がれば短プラは上がり、住宅ローンの変動金利も上がるということです。 もちろん、その逆もあります。

1-1-2. 短プラの実際のレート

結論から言うと、短プラのレートは2009年以降、ずっと2.475%※1で推移しています。 つまり、8年近くも短プラのレートは変わっていないということです。 もっというと、バブルが崩壊して金利が落ち着いた1995年以降、短プラは大きく変動していません。

しかし、その期間には「ゼロ金利政策」や「量的緩和」、さらには「量的・質的緩和」「マイナス金利政策」まで導入されているので、本来であれば金利が変わっているのが正常です。

※1住宅支援機構 「民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)」
https://www.flat35.com/loan/atoz/06.html

1-1-3. 実際の住宅ローン変動金利は?

この辺りが良く混乱するところなのですが、実は実際に私たちが借入をする「変動金利」の金利は下がっています。
つまり、短プラは変わっていないのに、変動金利だけ下がっているということです。

なぜかというと、短プラは「市中金利」や「CD」と連動するので、短プラを下げるということは、 逆にいうと市中金利やCDも下げるということになります。
そして、その結果企業への貸出金利が下がり、金融機関の収益を圧迫します。

低金利の中、ただでさえ金融機関は収益を上げるのが難しい状況なのに、短プラを下げてしまうと、さらに金融機関の収益が下がってしまうのです。
そのため、短プラを下げずに、「優遇金利」を上げることで住宅ローンの変動金利を下げているのです。

ここまでの話では、まず「変動金利は短プラと連動している」と認識しましょう。

その次に、「短プラ自体は下がっていないが住宅ローンの変動金利は下がっている」、 そして、「その理由は各金融機関で優遇金利を上げているから」という点を認識しましょう。

実際の変動金利については、後ほど詳しく解説します。

1-2. 固定金利は何に連動するか?

一方、固定金利は「10年新発国債」の利回りに連動します。 つまり、国が発行する債券である「国債」の利回りに連動するということです。
国債は市場で取引される債券なので、変動金利が連動している「短プラ」に比べて金利推移が明確です。

1-2-1. 国債の利回りについて

国債に限らず、全ての債券にいえることですが、債券は価格が上がれば利回りが下がり、価格が下がれば利回りは上がります。
そして、債券の価格が上がるときは「需要」が上がったときであるので、国債を欲しい人が増えれば債券価格は上がります。

つまり、国債の需給によって、利回りは以下のように変化するということです。

  • ・国債を欲しい人が増え「買い」が増えれば、国債価格は上がり、利回りは下がる
  • ・国債が不要な人が増え「売り」が増えれば、国債価格が下がる、利回りは上がる

もっと簡単にいうと、国債価格が上がれば固定金利は下がり、国債価格が下がれば固定金利は上がるということです。

1-2-2. 国債価格について

では、国債価格はどのような状況で変わるかという話です。

国債は金融商品である「債券」なので、市場で自由に取引されます。 債券の売買は投資家の思惑があるので、「○○のときに必ず上がる!(下がる!)」とは言い切れません。

ただ、国債利回りは、現在は下がっており※2、その推移に連動して固定金利が下がっている※3のは事実です。 つまり、現在は国債が買われ、国債価格が上がり国債利回りが下がっているということです。

国債を買っている機関は複数ありますし、個人でも買っている人はいるでしょう。 そのため、「なぜ国債を買っているか?」という点は一概に言えませんが、一般的には以下の理由で国債が買われていると言われています。

  • ・マイナス金利なので、日本銀行にお金を預けておくなら投資する
  • ・緩和政策でいずれ高く売れる

金融機関は、日本銀行の当座預金にお金を預けていても、マイナス金利により逆にお金が減ってしまいます。 そのため、減るくらいならそのお金で国債を買った方がマシというワケです。

また、日本銀行は緩和政策の一環として、市場から大量の国債を買っていますので、「いずれは高値で日本銀行が買い取ってくれる」という思惑もあります。

いずれにしろ、固定金利は変動金利よりはシンプルで、 マイナス金利政策などによって金利も国債利回りも下がり、国債利回りに連動して固定金利も下がっているという構図です。

※2日本相互証券株式会社 新発債の利回り推移グラフ
https://www.bb.jbts.co.jp/ja/historical/marketdata01.html

※3アルヒ株式会社 【フラット35】の金利推移
https://www.aruhi-corp.co.jp/rate/transition/

2. 実際の金利について

推移

さて、前置きが長くなりましたが、変動金利・固定金利はどのような要因で変わるかが分かったと思います。 次は、その要因によって、実際に金利がどのように推移しているかを見ていきます。

結論から言うと、変動金利も固定金利も下がっている状況です。 2017年の初頭から既に下がっていて、2017年の上半期が終わった今も下がっている状況は続いています。

2-1. 変動金利

まず、変動金利については、先ほどいったように短プラ自体の金利は2,475%と8年ほど変わっていません。

しかし、実際に金融機関で住宅ローンを組むと、変動金利は8年前と比べると下がっています。

金融機関は、短プラを独自に決めますが、住宅ローン金利も金融機関が独自で決めます。 また、住宅ローン金利には「店頭金利」「優遇金利」があり、店頭金利から優遇金利を差し引いた金利が「実質金利」です。

この「店頭金利」は、多くの金融機関が短プラと同じく2.475%に設定しており、 「優遇金利」を大きくすることで「実質金利」を下げているという構図です。 では、実際にいくつかの金融機関で変動金利を比べてみましょう。

今回は、大手都市銀行とネット銀行を合わせて3行ピックアップします。

2-2. 実際の変動金利

日本最大のメガバンクである「三菱東京UFJ銀行」の金利は、それぞれ以下の通りです。

  • ・店頭金利:2.475%
  • ・優遇金利:1.85%
  • ・実質金利:0.625

つづいて、大手都市銀行である「りそな銀行」の金利は、それぞれ以下の通りです。

  • ・店頭金利:2.475%
  • ・優遇金利:1.88%
  • ・実質金利:0.595

つづいて、ネット銀行大手である「イオン銀行」の金利は、それぞれ以下の通りです。

  • ・店頭金利:2.37%
  • ・優遇金利:1.80%
  • ・実質金利:0.57%

上記はいずれも2017年7月現在の金利ですが、いずれも低水準で推移しています。 2008年~2013年くらいまでは、実質金利が低くても0.7%弱でした。 また、メガバンクは0.875%前後での推移でした。

2013年後半あたりからネット銀行が台頭して、0.7%を切る金融機関が増え、2016年のマイナス金利政策導入後からは0.5%台の金融機関も多くなってきました。

2017年はその流れを引き続き継続しており、上記のような低金利での推移になっています。

2-3. 固定金利

一方、固定金利も低い金利で推移しています。 基本的には、「変動金利商品は今後金利の変動リスクはあるけれども金利が低い」という商品で、 逆に「固定金利商品は今後金利の変動リスクはないけれども金利が高い」という商品になります。

しかし、マイナス金利政策導入後でも、変動金利の指標になっている短プラは変わっていません。

一方、固定金利は国債の利回りが基になり、国債は市場で勝手に取引されるので、固定金利は大きく下がることがあります。 そのため、固定金利が変動金利を下回るという逆転現象さえ起りました。

具体的には、2016年2月の三井住友信託銀行の住宅ローンは、変動金利よりも固定金利(5年)の方が金利は低いという現象になっていました。 2017年に入って、変動金利より低いという現象はほぼなくなったものの、引き続き固定金利は低く推移しています。

2-4. 実際の固定金利

実際の固定金利は、先ほど資料として紹介した住宅支援機構※1のグラフの「固定金利期間選択型(10年)」の推移が最も分かりやすいです。 このグラフは、住宅支援機構が主要都市銀行の住宅ローン金利を集計して、中央値をポイントとしています。

また、変動金利で比較したときと同じ金融機関で、固定金利を比べてみましょう

まず「三菱東京UFJ銀行」は以下の通りです。

  • ・店頭金利:2.3%
  • ・優遇金利:1.6%
  • ・実質金利:0.7%

つづいて、大手都市銀行である「りそな銀行」の金利は、それぞれ以下の通りです。

  • ・店頭金利:3.25%
  • ・優遇金利:2.6%
  • ・実質金利:0.65%

つづいて、ネット銀行大手である「イオン銀行」の金利は、それぞれ以下の通りです。

  • ・店頭金利:2.29%
  • ・優遇金利:1.6%
  • ・実質金利:0.69%

いずれも2017年7月現在の、固定10年プランの金利になります。

2-5. 固定金利の店頭金利について

前項で、まず注目して欲しいのが、店頭金利の低さです。 りそな銀行は3.25%ですが、三菱東京UFJ銀行とイオン銀行は、 変動金利の店頭金利である2.475%(三菱東京UFJ銀行)および2.375%(イオン銀行)より、固定金利の店頭金利の方が低くなっています。

これが先ほどお伝えした、「指標」の違いです。 つまり、短プラを下げられないことにより変動金利の店頭金利は高いままで推移していますが、 固定金利は国債利回りと連動するので、店頭金利も低く推移しているということです。

事実、住宅支援機構の固定金利の推移グラフ※1を見ると、2000年前後には4%あった金利が2017年7月には3.25%まで落ちています。 そのため、金融機関の固定金利の店頭金利も連動して下落しているというワケです。

3. 優遇金利と店頭金利から見る今後の金利

今後の金利

優遇金利は、「全期間引き下げプラン」であれば、住宅ローン借入中ずっと同じ優遇金利です。 たとえば、「全期間1.6%優遇」であれば、住宅ローンの借入期間中ずっと金利を1.6%マイナスしてくれるということです。

仮に固定金利であれば、店頭金利が変わろうと「全期間引き下げプラン」ならずっと同じ金利ですが、変動金利であれば金利が変われば連動します。 しかし、「全期間引き下げプラン」なら、変動金利でも優遇金利自体は変わりません。

つまり、「全期間引き下げプラン」の変動金利を組んでいて、住宅ローン借入中に金利が変わるリスクがあるとすれば、店頭金利が引き上げられたときです。 そのため、店頭金利が変わらない変動金利は、現在では「変動のリスクが小さい」とも言えます。

通常であれば、マイナス金利に連動して市中金利などが下がり、それに連動して短プラも下がります。 しかし、短プラが下がらず推移しているということは、マイナス金利政策を解除しても市中金利は上がらずにそのまま推移する可能性が高いということです。

金利が高いときに住宅ローンを組んだ人は、「マイナス金利なのに金利が全然下がらない」というデメリットがありますが、 元々金利が低い今は「今後も短プラが上がらなければ金利は低いまま推移する」というメリットがあります。

さらに、物価目標も達成できていない現状、そもそもマイナス金利を解除するとしても当分先であると考えられます。 そのため、少なくとも2017年後半も同じような低い水準で金利は推移していくと考えられるでしょう。

※4日本銀行 金融政策 https://www.boj.or.jp/mopo/outline/index.htm/

4. まとめ

2017年、および過去と未来の住宅ローンについては以下の点を抑えておきましょう。

  • ・住宅ローンの変動金利レートは短プラに連動していて8年間変わっていない
  • ・住宅ローンの固定金利は10年新発国債に連動していて下がってきている
  • ・2017年の住宅ローン金利は初頭から低く推移していて、上半期はずっと低く推移した
  • ・現時点では金利が上がる要素はないので、2017年下半期も低水準で推移する可能性が高い

※ 本記事は2017年08月時点の内容になります。各サービス内容の詳細については当該サービス事業者にご確認ください。

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