マンション管理で知っておくべき3つのこと

「マンションは管理を買え」
こういう言葉があるくらい、マンションによって「管理」は大事な要素です。管理がなぜ大事かというと、「住みやすさ」という点も勿論ありますが、「資産価値」という点と「費用(管理費)対効果」という二点が大きな要素です。また、それは管理会社だけでなく、管理形態や長期修繕計画の組み方によっても変わってきます。
今回は、その「管理形態」をはじめ、資産価値と費用対効果について大事な「長期修繕計画」「管理状況」を合わせた3大要素を紹介していきます。

目次

1.マンションの管理形態について
☞1-1 管理形態を知っておくべき理由
☞1-2 全部委託契約について
☞1-3 一部委託契約について
☞1-4 自主管理について
☞1-5 管理形態について まとめ

2.長期修繕計画と管理状況について
☞2-1 長期修繕計画
☞2-2 管理状況について

3.まとめ

1.マンションの管理形態について

マンションマンションの管理契約は大きく分けて、「全部委託管理」と「一部委託管理」「自主管理」の3種類があります。この3つの管理形態にはそれぞれのメリット・デメリットがあります。

1-1 管理形態を知っておくべき理由

まず、この3つの管理形態を知っておくべき理由についてお話します。管理形態は、マンションの売主である不動産ディベロッパーが管理会社と話し合います。その結果、管理形態を決めてから分譲するケースが多いです。つまり、新築マンションで購入する時は勿論、中古マンションで購入する時も、分譲時の管理形態をそのまま引き継ぐケースが多いのです。

そのため、新築マンションを選ぶときも中古マンションを選ぶときも、決して入居者の意見が100%反映されているワケではないという事です。更に、管理形態を変えたり管理会社を変えたりする行為は、管理組合(入居者)の同意が必要になってくるため、簡単に出来るものではありません。

つまり、マンションを買う時には「変えられない管理」も一緒に買うと思っておくべきなので、管理形態について深く知っておく必要があるのです。

1-2 全部委託契約について

全部委託契約とは、読んで字のごとく、マンションの管理全てを管理会社に委託するという管理形態です。最近の分譲マンションでは、この全部委託契約を採用しているマンションが多いです。

■メリット
・全ての管理を管理会社が運営してくれるので、管理組合(入居者)が何かを決めたり決議したりする必要がなく手間が少ない。
・管理会社が積極的に管理についての新しいサービスや取り組みなど紹介するため、最先端の情報を自ら取りに行く必要がない。
・管理の全てを委託しているので、売主である不動産ディベロッパーと管理会社のプロ同士のノウハウが埋まっている。

■デメリット
・管理会社に任せきりなので、管理会社主体となっている場合がある。
・メリットで「不動産ディベロッパーと管理会社のノウハウが詰まっている」と言ったが、会社によっては「入居後」より「いかに売却しやすいか」を優先している場合もある。

このように全部委託契約については、メリットとデメリットが裏腹になっています。確かにプロである不動産ディベロッパーと管理会社が決めているので、安心感があります。しかし、言い換えると実際の入居者の希望は一切考慮していないので、希望とズレが生じている場合もあります。

1-3 一部委託契約について

一部委託契約とは、一部を管理会社に委託する管理形態です。言い換えると、出来ることは管理組合で行うという事になります。

■メリット
・効率の良い管理が出来る。例えば、「清掃はX社が安くて質が良いのでX社に委託しよう」、「B社の対応は悪いから変えよう」など管理組合の意思を反映した、効率の良い管理が出来る
・管理費が安くなることが多い。全部委託契約だと管理会社が清掃会社の手配や補修会社の手配をします。そこに管理会社の手間賃として「マージン」が発生しているので、それをなくすことが出来るため。
・管理組合の本気度が全部委託契約より高いため、管理組合の団結力が高まる

■デメリット
・管理組合で主導する部分が多々あるため、手間がかかってしまう
・特に管理組合の幹部に負担がかかるため、幹部の力量や、やる気が管理の質を左右する
・管理組合が主導する部分が多いため、ある程度管理の知識がある人物がいないと厳しい

一部委託契約だと、全部委託契約よりも管理組合のやることが多いです。そのため、上手くやれば管理費を下げ質の高い管理が実現できますが、逆に下手すると質の低い管理になる可能性があります。

1-4 自主管理について

自主管理とは全ての管理を、管理会社を通さずに自分達で行う事です。

■メリット
・一部委託契約以上に、自分達の意思が反映される管理形態になる
・一部委託契約以上に、中間マージンが節約できるので、上手くいけば質の高い費用対効果の良い管理形態になる

■デメリット
・管理の全てを管理組合で主導するため、関連業者とも直接契約を結ぶ必要がある。そのため、3つの管理の中で最も手間がかかる
・一部委託契約以上に有識者が必要になる。

自主管理については、3つの管理形態の中で、最も費用対効果が上下にブレます。管理組合の中に管理会社出身の人か余程詳しい人がいない限りは厳しい管理形態です。

1-5 管理形態について まとめ

新築マンションを購入する時には、管理については売主も力を入れて説明します。しかし、中古マンションを購入する時には、仲介担当者もそれほど良く分かっていない事もあり、新築時ほどの説明はありません。しかし、このように3つの管理形態はメリット・デメリットがはっきりと分かれているのです。

だからこそこの3つの管理形態はしっかり把握しておきましょう。特に一部委託管理や自主管理の場合は管理組合が正常に運転しているかを確認する必要があります。そのためには、管理組合の総会資料を見せて貰ったり、管理規約を見せて貰ったりと、出来るだけ多くの資料を手に入れましょう。

2.長期修繕計画と管理状況について

修繕つづいて、長期修繕計画と管理状況についてのお話です。

2-1 長期修繕計画

長期修繕計画とは、そのマンションの外壁や配管などの、いわゆる「共用部分」の補修工事の計画です。結論から言うと30年スパンで考えているマンションがベストです。20~25年で考えているマンションが多い中で、何故30年スパンかというと、30年目に大規模な工事が控えているからです。

代表的な例で言うと、エレベーター工事や機械式駐車場の補修費用です。この2つは築30年で、場合によって設備の入れ替えが発生します。入れ替えが発生すると億単位の金額がかかることもあるので、そこまで加味した修繕計画にしていないと修繕できません。そのため、長期修繕計画は30年スパンがベストです。

2-2 管理状況について

管理状況が良好かどうかを見る上で一番分かり易いのは「清掃状況」です。特に中古マンションを購入する場合には、ゴミ捨て場や駐輪場などの共用部分もしっかりチェックしましょう。また、清掃回数や、どの部分まで清掃するかも確認する必要があります。

手の届かないFIX(固定)窓の清掃は入っているか、バルコニーのガラス部分の清掃は入っているか等、細かい違いでマンションの綺麗さは変わってきます。それは資産価値と直接つながってくる大事な要素です。

これらの点は専門的な部分が含まれるので物件の仲介担当者にアドバイスを貰いながら進めると良いでしょう。

3.まとめ

いかがでしたでしょうか。マンション管理で大事な「管理形態」「長期修繕計画」「管理状況」の3つがご理解頂けたと思います。マンションの購入は価格や間取り、設備・仕様、立地など確かめなければいけない要素が多いです。

そのため、管理については、確認を疎かにする人が多いですが、資産価値を守るため、住みやすさを保つためには非常に大事な要素です。不明点は売主や仲介会社の担当に確認しながら、管理についても頭に入れながらマンション選びをしましょう。

- 2016年07月22日