マンションコンシェルジュとは一体何か?仕事内容から導入のメリット・デメリットについても解説

マンションには「コンシェルジュ」というサービスがあります。コンシェルジュサービスを導入しているマンションはそれほど多くありませんが、コンシェルジュ付きマンションは高級マンションの代名詞ともいえるでしょう。

今回は、そんなマンションコンシェルジュについて詳しく解説します。実際にどのような業務を行い、どのようなメリット・デメリットがあるのかを解説し、コンシェルジュになるためにはどうすれば良いかも合わせて解説します。

目次

1.コンシェルジュとは
☞仕事内容
・共用施設の申込
・宅急便の受付
・クリーニングの取次
・各種手配
☞管理人との違い
☞どういったマンションにコンシェルジュがいるか?
☞コンシェルジュの依頼と停止
・分譲マンションの場合
・コンシェルジュの導入停止

2.コンシェルジュのメリット・デメリット
☞コンシェルジュのメリット
・入居者の利便性向上
・資産価値が上がる
・防犯面で安心
☞コンシェルジュのデメリット
・管理費の上昇
・周辺環境によっては不要
・防犯面の心配

3.コンシェルジュを導入する理由
☞マンションの付加価値を上げたい
・商品とは?
・コンシェルジュの付加価値
☞管理費のカラクリ
・マンション全体の収入
・稼働率に注意

4.コンシェルジュになる
☞コンシェルジュの雇用形態
☞コンシェルジュはどのような人が就く?
☞コンシェルジュのやりがい
☞待遇など

5.まとめ

1.コンシェルジュとは

コンシェルジェ
コンシェルジュとは、「マンションで入居者の応対をする管理人のような役割」を担う人たちのことです。

多くのコンシェルジュが管理会社から派遣される人で、入居者からの要望を解決するのが主な役割になっています。

コンシェルジュは、和訳すると「門番、守衛」や「 (ホテルの)接客係、劇場の切符や旅行の手配などサービス」になります。
良く勘違いされがちですが、いわゆる「マンションの管理人」とは役割が異なってきます。

仕事内容

コンシェルジュの仕事は、実に多岐に渡ります。マンションによって多少役割が異なってきますが、コンシェルジュはマンションの入居者に対して以下のようなことをしてくれます。

・共用施設の申込

・宅急便の受付

・クリーニングの取次

・各種手配

マンション住民の要望があれば、上記以外にもコンシェルジュの役割の範囲内で入居者のサポートをしてくれます。

共用施設の申込

コンシェルジュは大規模なマンションに設置されていることが多いので、マンション自体に共用施設がある場合が多いです。
共用施設とは、「スポーツジム」や「キッズルーム」「ゲストハウス」などのことです。

たとえば、週末に親戚が来るのでゲストハウスを利用したい場合には、コンシェルジュに相談すれば予約をしてくれます。
大抵のマンションはネットから自分で予約を行うことができますが、高齢者の方などは代理で行ってくれると楽です。

宅急便の受付

コンシェルジュは宅急便の受付も代行してくれます。
宅配ボックスがあるマンションも多いですが、マンションの戸数分の宅配ボックスがあるワケではありません。
最近はネット通販も盛んなので、不在時も預かっておいてもらえるコンシェルジュは非常に便利です。

クリーニングの取次

クリーニングの取次もコンシェルジュが行います。
クリーニングは、宅配ボックスを介して依頼できるマンションもありますが、その場合はクリーニングで依頼した分のボックスは不在時に使えないボックスになってしまいます。

また、毛布や布団など、かさ張るモノに関しては、直接クリーニング店へ持っていくしかありません。
コンシェルジュがいればコンシェルジュに預けることができますので、クリーニング店まで持っていく手間はかかりません。

各種手配

ほかにもコンシェルジュはタクシーやハイヤーの手配、花の宅配の仲介など、入居者からの要望に応えています。

管理人との違い

違い
上述した通り、コンシェルジュは管理人とは役割が異なります。
コンシェルジュは、「入居者の要望に応える・サポートする」という面が強いですが、管理人は「マンションの維持・管理」という役割がメインです。

管理人の具体的な業務は、たとえばマンション内を点検したり清掃したり、マンション内の巡回をしたりという業務です。
もちろん、管理人も入居者からの質問や要望にも対応しますが、コンシェルジュほど行うサービスの範囲は広くないです。

マンションによっては管理人が常駐していない場合も多く、マンションにいたとしても受付に滞在しないことも多いです。
一方、コンシェルジュは決まった時間(24時間の場合もある)必ずカウンターに常駐しています。

どういったマンションにコンシェルジュがいるか?

先ほどいったように、コンシェルジュが付いているマンションは大規模マンションであることが多いです。
また、マンションとしては「高級」といわれる、立地が良いエリアなどにもコンシェルジュは多いです。
その理由は以下の通りになっています。

・管理費が上がるため

・サービスを利用したい人の人数が多いため

・ホテルライクな仕様になっているため

後述しますが、コンシェルジュは管理会社のサービスの一部であるため、コンシェルジュに支払う人件費は管理費に含まれています。
そのため、小規模なマンションでコンシェルジュを導入すると、1人当たりの管理費が上がります。
それが理由で、入居者が多い大規模マンションでコンシェルジュを導入していることが多いのです。

また、大規模マンションは入居者が多いので、上述したようなサービスを受けたいと思っている方が多いのも理由の一つになります。

そして、コンシェルジュがいるとホテルのような雰囲気になるので、高級マンションとの相性が良いです。
利便性はもちろん、高級マンションの付加価値として導入する場合もあります。

コンシェルジュの依頼と停止

コンシェルジュは管理会社に不随するサービスなので、コンシェルジュを導入するかどうかはマンションの住民の意思で決めることができます。
そのため、コンシェルジュの導入を途中から行ったり、コンシェルジュの導入を停止したりすることもできます。

分譲マンションの場合

分譲マンションにコンシェルジュが導入されている場合には、そのマンションの売主がコンシェルジュを導入する前提でマンションを販売しています。
売主である不動産ディベロッパーは、マンションを販売するときにソフト面のサービスも決めます。

管理会社の選定も不動産ディベロッパーが決めますし、それに付随するコンシェルジュの導入もマンションの販売時には決めておくということです。
つまり、コンシェルジュ付きのマンションは、売主の意思によってコンシェルジュの導入が決まっているということです。

コンシェルジュの導入停止

コンシェルジュの導入を停止するときには、「管理内容の変更」になるため、管理組合の決議によって決まります。
管理組合とは、入居者で組成される組織のことです。
要は、「入居者の意思」によってコンシェルジュサービスの停止をするかどうかが決まるということです。

実際には、管理組合の総会、もしくは書面にて全住民に「コンシェルジュを停止するか」の書面を差し入れます。
その後に決議を取り、住民の意思で停止するかどうかの決定を行います。

2.コンシェルジュのメリット・デメリット

メリット・デメリット
つづいて、コンシェルジュを導入していることのメリット・デメリットを解説します。
コンシェルジュは「利便性」というメリットだけが注目されがちですが、デメリットもしっかり理解しておきましょう。

コンシェルジュのメリット

メリット
まず、コンシェルジュを導入するメリットは、主に以下の3点になります。

・入居者の利便性向上

・資産価値が上がる

・防犯面で安心

入居者の利便性向上

コンシェルジュを導入する最大のメリットは、入居者の利便性が向上することです。

上述したコンシェルジュの役割を見てもらうと分かりますが、コンシェルジュは広い範囲で入居者のサポートをしてくれます。
本来であれば、入居者自身でしなければいけないことが多いですが、ホテルのようにコンシェルジュが代行してくれる点は大きなメリットです。
特に、クリーニングや宅急便の取次などは、実生活において入居者が面倒と感じることです。

また、高齢者の場合には、自分で手配するのが困難な場合があります。
今はネット社会ですので、たとえば共用部の予約は「基本ネット予約」というのが主流です。
これをコンシェルジュが行ってくれるのは高齢者にとっては大きなメリットになります。

資産価値が上がる

つづいてのメリットは、マンションの資産価値が上がるという点です。

資産価値が上がる理由としては、ソフト面でのサービスが充実しているからです。
この点については「4.コンシェルジュを導入する理由」で詳しく解説しますので、ここでは割愛します。

ただ、単純に中古で売買するときに、購入検討者の印象を考えれば資産価値が上がる理由が分かると思います。
特に、高級マンションやタワーマンションなどは、そのマンション自体で行う「サービス」に付加価値を求める人が多いです。

コンシェルジュというサービスは、マンションのサービスとしては比較的珍しいサービスなので、付加価値も高いのです。

防犯面で安心

コンシェルジュを導入する3つ目のメリットは、防犯面で安心できるという点です。

マンションは、エントランスでオートロックがありますし、エレベーターも鍵が必要なマンションもあります。
ただ、侵入しようと思えばできないことはありません。

そのとき、マンションのエントランスにコンシェルジュがいれば、不審者をチェックすることができます。
そもそも、コンシェルジュが常駐しているようなマンションに、わざわざ侵入しようとは思わないはずです。
そのため、特に小さい子供がいる家庭などに、防犯面からコンシェルジュは喜ばれます。

コンシェルジュのデメリット

デメリット
一方、コンシェルジュは以下のようなデメリットもあります。

・管理費の上昇

・周辺環境によっては不要

・防犯面の心配

管理費の上昇

まず、最も大きなデメリットは管理費が上がることです。

コンシェルジュは人件費がかかるので、その人件費が管理費に上乗せされます。
いくら上乗せされるかは、コンシェルジュの派遣元やコンシェルジュの滞在時間、コンシェルジュの人数などによって変わってきます。

そのため、コンシェルジュ付きのマンションを検討するときには、管理費のどの部分がコンシェルジュに費やしているかを確認しましょう。

周辺環境によっては不要

コンシェルジュは確かに便利なサービスではありますが、過剰サービスであるという意見も少なくありません。
上述した「コンシェルジュの役割」は、自分で行おうと思えば全て自分で行うことができます。

また、たとえば「クリーニング店が近い」や「コンビニが近くにある」などの周辺環境の場合、コンシェルジュは過剰サービスであることもあります。

過剰サービスに感じるかどうかは入居者によって違いますが、特に若い方は「自分でできる」という意味で、コンシェルジュは不要と思っている人が多いようです。

防犯面の心配

前項で説明したように、コンシェルジュがいることは、基本的に防犯面ではプラス材料になります。
しかし、家の鍵を管理している「人」が増えるので、その点からすると防犯面ではマイナスになることもあります。

先日、芸能人の家に不法侵入したのもコンシェルジュだったというニュースがありました。
コンシェルジュは管理会社から室内の鍵を委託されているので、入ろうと思えば室内に入ることもできます。

極端な話、管理会社は警備の関係で全住戸の鍵を預かっているため、大体のマンションは管理会社が部屋に入ろうと思えば入ることができます。
コンシェルジュを導入するということは、その鍵を管理する「人」が増える分、多少リスクが増すということです。

3.コンシェルジュを導入する理由

なぜ?
つづいて、そもそも不動産ディベロッパーである売主が、コンシェルジュを導入する理由を解説します。
この導入目的を知っておくことで、今住んでいるマンションにコンシェルジュが必要かどうかの参考になります。

結論から言うと、不動産ディベロッパーがコンシェルジュを導入している理由は、主に「マンションの付加価値を上げたい」という理由です。

マンションの付加価値を上げたい

まず、不動産ディベロッパーはマンションの付加価値を上げるために、コンシェルジュを導入します。
購入者がマンションを選ぶ基準は、大きく分けて「エリア」「価格」「商品」の3つの要素があります。

その中でも「エリア」は変えることができない要素であり、価格に関しても土地代や建築代などによって割れない価格ラインが出てきます。
ただ、「商品」だけは不動産ディベロッパーの努力次第で価値を上げることが可能です。

商品とは?

商品とは、具体的には「間取り」「仕様・設備」のハード面と、それこそ「コンシェルジュの導入」などのソフト面に分かれます。

間取りは、「居住しやすい間取り」や「ターゲットのニーズに合わせた間取り」を考え反映します。
また、仕様・設備に関しては、ただグレードを上げるのではなく、ニーズに即して費用対効果の高い仕様・設備を導入することに主眼が置かれます。

ソフト面は、コンシェルジュ以外には「管理」などのことを指します。
たとえば、管理人は常駐した方が良いか、駐車場の設置台数は何台にするかなどを決定します。

コンシェルジュの付加価値

上述したコンシェルジュのデメリットでもいったように、周辺環境的にコンシェルジュが不要である場合があります。
それを、「他社とのソフト面での差別化」を理由に導入しているケースもあるので、その場合には本来コンシェルジュは不要かもしれません。

このように、コンシェルジュは自分にとって本当に必要かを考えて判断するべきです。
それは、今から購入するマンションにも言えることですし、今住んでいるマンションでも言えることになります。

管理費のカラクリ

管理費のカラクリ
また、コンシェルジュを導入する上で知っておくべきことは、マンションにおける管理費のカラクリです。
管理費のカラクリを知っておくことで、管理費上昇リスクがどの程度あるかが分かります。

そもそも管理費とは、主に以下の用途で使われる費用になります。

・管理人の人件費

・共用部の清掃費用

・管理組合総会などの費用

コンシェルジュを導入しているマンションであれば、もちろん上記にコンシェルジュの人件費が加わります。
まず、上記の支出を計算してから、マンション全体の収入を差し引いてマンション全体にかかる管理費を積算するという流れです。

マンション全体の収入

マンション全体の収入とは、マンションに設置されている駐車場や駐輪場などの費用になります。
実は、これらの共用部にかかる費用は、管理組合の会計にプールされるお金であり、管理費の一部を賄っています。

稼働率に注意

注意点は、「管理費会計に関わる共用部の稼働率」です。たとえば、「駐車場は80%の稼働率で管理費を積算している」とします。
この場合は、駐車場が80%埋まる(駐車場代の収益がある)という前提で管理費を積算しているということです。

つまり、想定した稼働率を下回れば、管理費は上がる可能性があるということです。
そのため、この稼働率を甘く見ているマンションは要注意です。

コンシェルジュがいると、その分ほかのマンションよりも元々管理費は上がりやすいので、将来的に管理費上昇リスクがあるマンションは避けましょう。
どうしても稼働率が気になれば、その根拠を不動産ディベロッパーに質問するべきです。

4.コンシェルジュになる

コンシェルジュになる
では、コンシェルジュにはなるためにはどうしたら良いでしょうか。
先ほどいったように、コンシェルジュは基本的に管理会社に不随する形で派遣されます。

4コンシェルジュの雇用形態

コンシェルジュは管理会社に不随するといいましたが、管理会社の正社員であるというケースは少ないです。
なぜなら、管理会社自体はコンシェルジュのようなサービスをメインに行っているワケではないからです。

管理会社の業務は、さきほど「管理人」のところでも言ったように「マンションの維持・管理」がメインの業務になるため、コンシェルジュも雇用する理由があまりないのです。

そのため、派遣会社より派遣されたコンシェルジュを管理会社が雇い、マンションへコンシェルジュとして送り込むのが一般的な流れです。

コンシェルジュはどのような人が就く?

コンシェルジュに就く人は、派遣会社が主幹としているアルバイトの場合もあります。
特に、昨今は慢性的な人手不足ですので、アルバイト募集をかけて社内で研修を行い、コンシェルジュとして派遣するという流れも珍しくありません。

また、グレードの高いマンションのコンシェルジュは、ホテルからの派遣の場合もあります。
ただ、このようなケースは一時的に派遣する場合が多いので、そのマンションでずっとコンシェルジュを行うという例は少ないです。

コンシェルジュのやりがい

コンシェルジュのやりがいは、やはり「人からの感謝」でしょう。
上述したとおり、コンシェルジュは入居者の要望に対して応えるのが仕事です。
特に、高齢者の方や忙しい方などは、コンシェルジュのおかげで快適な生活を送れている人もいるでしょう。

また、小さなお子さんと顔なじみになり、声を掛けてもらったり逆に声を掛けたりするのもコンシェルジュならではのやりがいです。
つまり、単純にマンションを「管理」するのではなく、人と人との触れ合いがコンシェルジュのやりがいと言えます。

待遇など

待遇
コンシェルジュの待遇は、会社によって異なります。
上述したように、派遣会社がメインで送り込むことが多いので、その派遣会社の給与の高さによってコンシェルジュの待遇も変わってきます。

また、アルバイトとして入る場合には、求められるスキルの高さや研修などがあるため、比較的高めの時給で設定されることが多いようです。

5.まとめ

このように、マンションコンシェルジュはマンションの「サービス」の一環です。
コンシェルジュを導入するには、ある程度のマンション規模が必要ですし、「管理費が上がる」などのデメリットもあります。

そのため、コンシェルジュ付きのマンションを検討するときには、本当に自分に必要かどうかは判断しなければいけません。
また、コンシェルジュ付きのマンションでコンシェルジュを停止するとしても、自分にとって必要かどうかで判断しましょう。

- 2017年04月18日