今後ますますニーズが高まる資格、「マンション管理士」とは何か?

マンション管理士という資格を知っているでしょうか。マンション管理士は、不動産業界では有名な資格であり、難易度も高い資格です。また、今後はマンション管理士のニーズが高まってくると予想されます。

しかし、マンション管理士自体は、世の中にあまり知られてはいない資格です。そこで今回は、マンション管理士とは何か?という基本的な内容から、今後のマンション管理士ニーズまで、細かく解説していきます。

目次

1.マンション管理士とは?
☞マンション管理士の仕事内容
・顧問業務
・管理委託契約を見直す
・管理規約の見直し

☞マンション管理士ができた背景
・共同住宅の数
・マンション管理士の必要性

2.「資格」としてのマンション管理士
☞マンション管理士になる方法
☞どういう試験内容?
・マンションの法令や実務に関すること
・管理組合の運営円滑化に関すること
・マンションの建物、付帯設備、構造に関すること
・マンション管理の適正化推進に関する法律のこと
☞どういう人達が受験(取得)してる?
・管理会社に勤務していない人
・独占業務ではない

3.マンション管理士のニーズ
☞マンションの建て替え問題
・建て替えを行っているマンションは少ない
・建て替えをしている事例は「等価交換」
・老朽化するマンションが増える
☞空き家問題
☞リノベーション物件の増加

4.マンション管理士の活かし方
☞管理会社での活かし方
・ディベロッパー
・マンションの入居者
☞管理会社以外での活かし方
・建築士×マンション管理士
・ディベロッパー勤務者

5.まとめ

マンション管理士とは?

マンション
不動産系の資格で有名なのが「宅建士」の資格です。この宅建士は不動産の「取引」の専門家であるのに対して、マンション管理士とはマンションの「管理業務」の専門家になります。主には、マンション管理組合のサポートをする業務です。

マンション管理士の仕事内容

マンション管理士の仕事内容を簡単にいうと、「マンション管理組合のお手伝い」です。分譲マンションには、どのマンションにも「マンション管理組合」という、入居者で組成される組合があります。

このマンション管理組合の意思がマンション全体の意思であるため、大規模修繕などのマンションに関わる全てのことは、マンション管理組合の意思次第で変わっていきます。

しかし、マンション管理の業務は多岐に渡るので、管理組合だけでは解決できないことも多いのです。そのサポートをするためにマンション管理士という資格は生まれました。

具体的に、マンション管理士は、マンションの管理組合は以下のような業務をします。

1.顧問業務

2.管理委託契約の見直し

3.管理規約の見直し

顧問業務

顧問業務とは、簡単にいうと「管理組合の運営をサポートする」ということです。この業務は、正式に管理組合と顧問業務を結ぶことで行うことができます。顧問業務とは、具体的には定期的に開催される管理組合の理事会や総会へ出席するところから始まります。

理事会や総会へ出席して、そのときに話し合う議案書を点検したり、管理会社との日程調整や内容のすり合わせなどをしたりします。

管理委託契約を見直す

管理委託契約とは、マンションの入居者が管理会社と結んでいる契約になります。マンションの管理に関しては、管理会社が任意で管理会社を選定して、その管理会社と「管理委託契約」を結ぶことでマンションの管理をお願いするのです。

分譲マンションを購入するときには、大抵の場合、売主であるディベロッパーが既に管理会社を決めています。そのため、最初の管理会社に関しては、管理会社がほぼ自動的に決まってしまうということです。

管理会社によって、「管理人の有無」や「掃除の頻度・範囲」などが決まり、それらにより管理費が決まってくるのです。しかし、管理会社の管理内容が適切かの判断をするのは、プロでない管理組合だけだと中々難しいです。

そのため、コスト面とサービス面から、フラットに管理内容を精査するのがマンション管理士の仕事です。仮に、適切な管理に修正できれば管理費が下がったり、管理の質があがったりする可能性があります。

管理規約の見直し

マンション内の決め事は、全て管理規約に記載されています。たとえば、「ゴミ出しのルール」という細かいところから、「賃貸時の注意点」などの具体的なケース事案まで網羅されているのが管理規約集です。

管理規約は、マンションが完成した当初に作成するので、時代の移り変わりや入居者の変化などによって内容を変える必要が出てきます。そのときに、マンション管理士が主導となって、管理規約集を見直すのです。

管理規約を見直すことで、入居者がより住みやすいマンションになったり、管理費負担が減ったりします。そのコンサルティングを行うのがマンション管理士の仕事というワケです。

マンション管理士ができた背景

マンション管理士の資格は、2001年に施行された「マンション管理適正化法」に基づいて作られた資格です。そもそも、マンション管理適正化法とは、マンションの増加を鑑みて、「マンション内の住環境を良好に保つ必要がある」という考えのもとに作られています。

その「マンション内の住環境を良好に保つこと」を担っているのが、マンション管理士というワケです。つまり、マンション管理士は、マンションなどの不動産を管轄する国土交通省が、「日本の住宅環境を適切なものにするための専門家をつくりたい」と考えたことから誕生しました。

共同住宅の数

最新データが2013年度になりますが、2013年度時点で、日本で供給されている共同住宅の総数は1,980万戸にのぼります。その中で、築35年を超える建築物が約376万戸、そして築25年~35年未満の建築物が421万戸です※1。

つまり、本来であれば2回目の大規模修繕を迎えなくてはいけない(一般的な大規模修繕は12年周期)築25年以上の建築物が、約2,356万戸もあるということです。これは、共同住宅全体の約40%に該当します。

※1 国土交通省

http://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-jutaku- 2_tk_000002.html

マンション管理士の必要性

このような大規模修繕や長期修繕家企画の見直しに関して、適切なアドバイスができるのがマンション管理士になるのです。マンションは資産であるので、資産を保つためには、この「修繕」に関しては非常に重要になってきます。

マンション管理士のように、幅広い知識を持っている専門家が修繕計画を策定することで、マンション入居者に安心感を与えることが出来るというワケです。

「資格」としてのマンション管理士

つづいて、マンション管理士の資格を取るためにはどうすれば良いかというお話です。マンション管理士の資格は決して楽に取得できる資格ではありませんので、試験範囲や内容などを良く確認しておきましょう。

マンション管理士になる方法

マンション管理士になるためには、マンション管理士試験に合格して、マンション管理士として登録することが必要です。マンション管理士として登録を受けることで、はじめてマンション管理士を名乗ることができます。

マンション管理士は国家資格であり、冒頭でも言いましたが、合格率の低い難関資格でもあります。2016年11月に行った試験では、受験者数は13,737人で合格者数は1,101人でした。合格率はわずか8.0%です。

また、2016年が特別だったわけではなく、マンション管理士の合格率が10%を上回った年はありません。さらに、マンション管理士の資格自体、非常に専門性の高い資格になります。そのため、全くマンション管理に関係ない人が受験をしているとは考えにくいのです。その受験者ですら、合格率が10%を切るので、どれほど資格取得が困難かはお分かりいただけると思います。

どういう試験内容?

試験
試験内容としては、マンション管理に関わること全てが試験範囲となります。なぜなら、マンション管理士は、管理組合の代わりにマンションの管理全般をコンサルティングする必要があるからです。具体的には以下のような科目です。

1.マンションの法令や実務に関すること

2.管理組合の運営円滑化に関すること

3.マンションの建物、付帯設備、構造に関すること

4.マンション管理の適正化推進に関する法律のこと

マンションの法令や実務に関すること

上記1の「法令や実務」に関しては、民法や不動産登記法などの不動産関連の法律知識が必要になります。また、建築基準法や消防法、マンションの建て替えの円滑化等に関する法律など、マンションの建築後に関係する法令の知識も必要です。

管理組合の運営円滑化に関すること

上記2の「運営の円滑化」は、管理組合役割や、苦情対応と対策、訴訟と判例など、管理組合の運営に欠かせない知識が必要です。管理組合のサポートをするとうことは、当然このような入居者対応も仕事の一つになるということです。

マンションの建物、付帯設備、構造に関すること

上記3の「設備、構造」に関してです。マンション内には、「共用設備」と言われる設備があります。たとえば、全室の下水を下水管へつなげる配管や、共用部専用の電源などです。このような細かい設備に関しては、一般的には知られていません。

しかし、このような設備は「長期修繕計画」にも組み込む必要がありますし、日々の管理の中で「点検」する必要があるのです。

マンション管理の適正化推進に関する法律のこと

そして、上記4「適正化推進に関する法律」は、マンション管理に関連する法律が出てきます。基本的には暗記科目が多く、法律関連も多岐に渡るので「難関」と呼ばれる資格なのです。

どういう人達が受験(取得)してる?

統計があるわけではありませんが、マンション管理士の資格を取る人の多くは、管理会社勤務者と言われています。理由は、業務内容的に、管理会社勤務でないと活用するのが難しいからです。

一方、多くの管理会社は「マンション管理士」の資格取得を推奨しており、マンション管理会社内ではポピュラーな資格と言えます。

管理会社に勤務していない人

当然、マンション管理士の中には、管理会社に勤務していない人もいます。そのような人は、マンション管理士以外の資格を持っているケースが多いです。たとえば、「宅建士」や「建築士」など不動産関連のものです。

また、「行政書士」「司法書士」などの資格と並行して保有している人もいます。そのような人であれば、マンション管理士の資格を持っていることによってディベロッパーから信頼を得たり、つながりが出来たりする可能性があります。

このような、ほかの資格と合わせたマンション管理士の「資格」の活かし方は、次項で詳しく解説します。

独占業務ではない

マンション管理士は独占業務がありません。独占業務とは、その資格を持っている人しかできない業務のことです。たとえば、税理士の独占業務は「納税者の代わりに税務署へ申告すること」ですし、弁護士の独占業務は「業務として法律事件の弁護を行う」です。

しかし、マンション管理士には独占業務はなく、名称独占資格でしかありません。つまり、上記で言った管理組合のサポートは、マンション管理士の資格がなくてもできるのです。しかし、マンション管理士の「知識」がないと、実際には業務遂行が難しいです。

そのため、マンション管理士はその「資格」自体に価値があるというよりは、その資格を取得することにより得る「知識」に価値があるのです。

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