新築マンション価格高騰により購入者層に変化が起きている【マンションマニア】

現在のマンション市況についてマンマニが感じていることを記事にいたします。

主に建築費高騰の影響を受けて新築マンションの価格が高騰しているなかで、それぞれの街において「新住民」が増えようとしています。「新住民」とはなにか?例えば山手線の外側に位置する、東京都A区に建設中の大規模マンションでは地元需要10%、地元外需要90%と見受けられるマンションがあります。こちらのマンションはすでに50組を超える相談がマンマニのもとへあるのですが、A区在住と回答したのはたったの1組。返信をいただけなかった方もいるため全員の回答というわけではありませんが、地元需要が10%以下であることはマンマニ調べでは間違いありません。

この数字は異常であると考えます。湾岸エリアなどの新しい街なら地元外需要が基本かと思いますが、A区は成熟した街ですから本来は地元需要が多くなります。

なぜこのようなことが起きているのか?

なぜ?その理由はまず、地元民が買えない価格設定であることです。人それぞれ予算というのは違いますから一概には言えませんが、あきらかにその街に住む方々の収入では手に届きにくくなっています。仮に手が届いたとしても、その街のことや相場などをよく知っているからこそ、買おうと思えない価格なわけです。

どのような方がA区でマンションを買おうとしているのか?

世帯年収1000万円以上は当たり前で世帯年収1500万以上もごろごろといます。数年前なら港区などでも購入ができた方々です。その方たちが今家を買うことを決断して探し始めたけれども、都心では買えるマンションがない。それ以上に、そもそも供給が少なく探す範囲が広がってきているのです。

平成バブルの時との違い

バブルこれは平成バブルのときと同じように感じますが、あきらかに違うことがあります。
それは平成バブルの時は、駅から遠くて不便なマンションまでもが、高額で売られていたということです。今は相場よりは高いにせよ、70㎡で2000万円台前半という新築マンションもあります。平成バブルと違い土地の価格はそこまで上がっていないため、それなりの立地を購入できているようです。
先程話したA区のマンションも物件近くに2路線が走っており、大変利便性の良い場所です。だからこそ都心派思考の方々に人気があるのでしょう。

今の市況で新築マンションを買っても問題ないのか?

「新築プレミアム」が価格に含まれていると思えるのであればなんら問題ありません。
車で例えると新車を買うのと同じで、新車は乗った瞬間に価値が下がります。しかし、皆それを理解しつつも新車という気分の良さや、手厚いアフターフォローを魅力に感じて、中古車ではなく新車を買うのです。現在の新築マンションも同じで、住んだ瞬間に価値は下がります。しかし、それ以上に得られるものが多いのも新築の魅力なのです。

ただ、注意してほしい点もあります。主な購入者が世帯年収1000万円を大きく越えるマンションをそれ以下の年収、例えば世帯年収600万円~700万円で無理して買うと、いつか売りに出すときに値下げ競争に巻き込まれて動けなくなってしまう可能性があります。なぜなら世帯年収が高い購入者は繰上返済できる額も大きく、貯蓄もしやすいですから、売りたくなったら価格を下げてでも売るということがしやすいと考えられます。

そうならないためにも周辺の相場をしっかりと確認して「○○年後にはいくらくらいまで下がる可能性がある」というのを理解して買うことが大切です。無理をせずに中古マンションにシフトするか、近郊エリアの駅近立地で目に優しい価格の新築マンションも検討してみるのもいいでしょう。

執筆者:マンション評論家 マンションマニア

- 2016年07月20日