相場に変化の兆し?厳しい新築マンション市況 現在の状況はいかに【マンションマニア】

8月も終わり9月に入ります。まだ暑い日は続いていますが夏は終わりを告げようとしています。マンションの購入、売却を考える方が多くなり、マンション市況も動きが活発になる時期へ突入です。

しかしながら、雲行きが怪しくなってきています。関東圏の某エリアではすでに値引き合戦が始まっています。モデルルーム内での商談席では「うちは○○%引きします」「うちはA物件より頑張って○○%引きます」「うちは引けませんが家電、家具など付けますよ」「諸費用は負担いたします」こんな言葉が普通に飛び交っています。「○○%引きの掲示をされましたがいかがでしょうか?」などなど、読者様からの問い合わせでもお値引きの話は増えてきました。

しかも・・・超大手までもが値引き合戦に参加しているのです。これは雲行きが怪しいとしか言いようがありません。マンションマニアはデベロッパーも好きですし、マンションも好きです。けして買うな!買うな!という批判的な立場ではなく、良いところ、悪いところを相談者様に伝えて「納得して購入してもらう」ことが役目だと思って活動しています。しかしながら広告屋でない以上は実際の市況については真実を伝えるべきだと考えています。

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新築マンションの市況に影響するポイント

今の新築マンション市況はどうなのか?「一部エリアを除いて厳しくなってきている」というほかありません。では今なぜ新築マンション市況の雲行きが怪しくなってきているのか理由をいくつか挙げてみましょう。

・建築費高騰の影響でエンドユーザーが新価格についていけない
・過去の相場を知っているので手が出せない
・数年前のマンションより仕様、構造などのグレードが低いことが多い
・買い替え需要が少ない

逆に、唯一の救いは奇跡的な低金利です。しかしながら、金利が確定するのはローン実行時ですから青田売りのマンションには効果が薄いようです。

建築費高騰の影響は

まず、建築費高騰の影響で価格が高い件についてですが、一つだけ誤解を解いておきます。新価格はけしてデベロッパーの利益が増えているわけではありません。掲示板サイトなどで「ぼったくり価格だ!」なんて書き込みを見かけますが、むしろ身を削っているのです。利益率はあきらかに減っています。むしろ利益0に近い事業もあるくらいです。エンドユーザーも苦しければデベロッパーも苦しいのです。

過去相場との比較

次に過去の相場との比較ですが、土地の価格が上昇していたり、近隣で商業施設がオープンしたりという理由があれば過去の相場と比べるだけ無駄なのですが、単純に建築費高騰分だけが価格に乗っているとたしかに損した気分になりますね。その分は金利低下分で補填できるのですが、ローン実行時に金利が確定するため購入を踏み切りにくいのが現状でしょうか。救済措置で「申し込み時の金利を保証します!!」なんていう商品があれば青田売りのマンションの動きが活発化しそうですが。

グレード感の変化

次にグレード感についてですが、こちらは一部の設備を除けばお金を払いオプションで解決できることが多いですね。最近では玄関センサー付きライトや保温浴槽も標準ではないマンションが増えていますが、お金を払えば解決できます。ただ、敷地に目一杯建物を建設してランドスケープにゆとりがなかったり、外観に吹き付けが多いなど、お金で解決できないところをコストカットされているとどうにもならないですね。

買い替え需要の減少

次に買い替え需要が少ないことについてです。こちらはかなり深刻です。なぜ買い替え需要が少ないのか?答えは簡単で「自分たちが住むマンションよりもグレードが低くて価格も高い新築マンションに引っ越す意味がない」からです。そりゃそうですよね。そのため特別な事情がない限り自宅を売却する方が少なく、中古市場も築浅の中古マンションが売りに出なくなってしまっています。売りに出しても次に行く先がなければどうすることもできないですから仕方ないことでしょう。相談者様でも築浅中古を狙っている方が多く、「○○マンションの売りが出たら多少高いくらいなら必ず買う!」という方もいるくらいなので、今売却して利益を出し賃貸へ、その後新築相場が下がってから住み替えという方には良い時期だと思います。

まとめ

リーマンショック後ほどにはならないことだけを祈りますが、もうすぐ雨が降りだしそうな相場です。デベロッパーも価格はどうにもできないため売り方を工夫しているところが増えました。エンドユーザーの心を揺さぶる工夫をしなければ近郊、郊外エリアでの高値販売は厳しい状況でしょう。

執筆者:マンション評論家 マンションマニア

- 2016年08月30日