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「親子リレーローン」のメリット・デメリットについて

住宅ローンの中に「親子リレーローン」という種類があるのを知っているでしょうか。このローンは意外と知られていませんが、

条件が合う人であれば非常にメリットが大きいローンになります。

ただ、デメリットや仕組みを知っておかないと損するケースもあるので、概要は理解しておくべきです。

そこで今回は、親子リレーローンについて詳しく解説します。

目次

1. 親子リレーローンとは?
 1-1. 親子リレーローンの詳細
 1-2. 審査条件
  1-2-1. 返済が70歳を過ぎるタイミングでもローンを組むことができる
  1-2-2. 引き継ぐ者の条件は原則直系親族か配偶者
  1-2-3. 返済期間は親と子合わせて35年
  1-2-4. 返対象不動産は同居予定か共有持ち分である不動産
  1-2-5. そのほかの審査条件は住宅ローンと同じ
 1-3. 収入合算できる金額
 1-4. 団体信用生命保険について
  1-4-1. 民間銀行とフラット35の違い
  1-4-2. 団信の仕組み

2. 親子リレーローンのメリット・デメリット
 2-1. 親子リレーローンのメリット
  2-1-1. 借入期間が長くなる
  2-1-2. 融資額が増える
 2-2. 親子リレーローンのデメリット
  2-2-1. 返済計画の変更がしにくい
  2-2-2. 遺産相続のときのトラブルリスク

3. まとめ

1. 親子リレーローンとは?

親子

そもそも親子リレーローンとは、戸建てやマンションや土地などの不動産を購入するとき、親子で住宅ローンを組むことです。 親子「リレー」と呼ばれているくらいなので、親と子が同時にローンを返済するという仕組みではありません。

まずは親が返済していき、その後に子供が返済を引き継ぎます。 親の年齢によって借入額なども変わってきますし、引き継ぎ時期なども条件によって異なります。

1-1. 親子リレーローンの詳細

良く勘違いされがちなのが「ペアローン」との違いです。

ペアローンとは、あくまで「1つの不動産のローンを2人で組むこと」であり、返済自体は同時になります。

たとえば、5,000万円の不動産を購入するときに、夫と妻で2,500万円ずつのペアローンを組むとします。 その場合、夫と妻はそれぞれ2,500万円返済を同時にスタートさせるというワケです。

しかし、親子リレーローンは、親から子へと引き継がれていきます。 子供は最初、ローン返済負担はなく、親は子へ引き継ぐタイミングまでは返済負担があります。 子供からすると、収入がまだ少ない若いうちには返済負担がなく、親からすると、収入が減ってくる老後に返済負担がなくなるというワケです。

ペアローンは借入額を2人で分けるので、「借入額を増やす」ときに良く使われます。

一方、親子リレーローンは、借入期間を2人で持つので「借入期間を長くする」ときに良く使われます。

1-2. 審査条件

審査

親子リレーローンは、通常の住宅ローンとは仕組みが異なるため審査条件も異なります。

具体的には以下のような審査条件になります。ただ、詳細は金融機関で異なるので、担当者に確認ください。

  • ・返済が70歳を過ぎるタイミングでもローンを組むことができる
  • ・引き継ぐ者の条件は原則直系親族か配偶者
  • ・返済期間は親と子合わせて35年
  • ・対象不動産は同居予定か共有持ち分である不動産
  • ・そのほかの審査条件は住宅ローンと同じ

1-2-1. 返済が70歳を過ぎるタイミングでもローンを組むことができる

通常の住宅ローンは年齢が70歳を超えると住宅ローンの審査すらできない金融機関が多いです。

しかし、親子リレーの場合には、後々子供にローンを引き継ぐので、70歳以上の場合でもローン審査をすることができます。

1-2-2. 引き継ぐ者の条件は原則直系親族か配偶者

ただ、原則としてローンを引き継ぐ人は直系親族か配偶者に限られます。要は、関係性が強いと判断されるかどうかが大切ということです。


1-2-3. 返済期間は親と子合わせて35年

親子リレーローンとはいえ、原則は、最大借入年数は35年である場合が多いです。

ただ、たとえば年齢が68歳の人は通常の住宅ローンだと12年(完済条件が80歳前提)しかローンを組むことができません。

しかし、親子リレーであれば後継者の年齢も加味できるので、最長の35年で組むこともできるのです。


1-2-4. 返対象不動産は同居予定か共有持ち分である不動産

親子リレーローンを利用する場合には、ローンの借入者は同居、もしくは共有持ち分で不動産を購入する必要があります。 共有持ち分なので、不動産の名義人が親と子の2人の名義になります。なぜなら、2人の名義にしないと「贈与」のような扱いになるからです。

たとえば、子供が自分たちだけのマンションを購入するために、親子リレーローンを検討していたとします。 しかし、あくまで「自分たちだけが住む用のマンション」なので、親からすると自分と関係ない不動産の購入資金を援助(贈与)しているようなものになります。

贈与になると贈与税が課税されるため、大抵の場合には二世帯住宅の建築などのときに親子リレーローンは利用されます。


1-2-5. そのほかの審査条件は住宅ローンと同じ

そのほかの審査条件は住宅ローンを組むときと変わりません。つまり、以下のような点を審査されるということです。

  • ・会社規模や業種・業績
  • ・本人の年収や勤務形態
  • ・自己資金率や余剰資金
  • ・信用情報

当然、本人の収入の継続性勤務形態などは審査対象になります。 また、「過去の延滞歴がないか」などの信用情報も通常の住宅ローンと同様に調べます。

1人で審査するよりも年収が合算されたり、借入期間も伸びたりするので審査は緩くなりますが、 原則の審査項目は通常の住宅ローンと変わりません。

1-3. 収入合算できる金額

親子リレーローンの審査時は、基本的に収入合算で年収は審査します。 つまり、「親の年収+後継者の年収」の合計額で審査できるということです。 年収の合算方法は金融機関によって異なるので、よく注意する必要があります。

金融機関を選ぶときには、収入合算できる金額をポイントにおいても良いくらいです。

基本的には親の年収に子の年収がどの程度換算されるかですが、具体的には以下のようなパターンがあります。

  • ・親の年収100%+後継者の年収100%
  • ・親の年収50%+後継者の年収50%
  • ・親の年収100%+後継者の年収100%
  • ・親の年収100%+後継者の年収50%

一般的に1のケースは少ないです。ただ、より1に近い条件の方が年収は高く見られるので、審査に通りやすくなります。 また、借入者の諸条件によってもパーセンテージが変わってくるので、金融機関ごとという観点のほかに「借入者のプロフィールによる」という観点もあります。

1-4. 団体信用生命保険について

団体信用生命保険
引用元:【公式HP】住宅金融支援機構

親子リレーローンでは、団体信用生命保険(団信)には注意する必要があります。

団信とは、住宅ローンの借入者が亡くなったり高度障害になったりしたときに、その時点の残債が補てんされる生命保険です。

通常の住宅ローンは、団信への加入がローン融資の条件となっています。ただ、親子リレーローンの場合には、 原則、親と子のどちらか1人しか団信ヘは加入できず、親子が両方団信に加入することはできません。

1-4-1. 民間銀行とフラット35の違い

フラット35
引用元:【公式HP】フラット35

また、団信の扱いは民間銀行とフラット35では異なります。

フラット35とは、国土交通省住宅局と財務省が管轄する独立行政法人のことです。

民間金融機関の中では、親と子が1/2ずつ団信に加入できる金融機関もあります。 しかし、フラット35の場合には、先ほど言った通りどちらか一方の加入という条件になるのです。

1-4-2. 団信の仕組み

仕組み
引用元:【公式HP】住宅金融支援機構

通常の住宅ローンは借入者が1人なので団信の仕組みも単純ですが、親子リレーローンは借入者が2人になるので少々複雑です。

団信は返済期間中に借入者が亡くなる、もしくは高度障害になったときに残債が補てんされます。 つまり、たとえば子が団信に加入していて子が亡くなったときには、残債は全て補てんされます。

そのため、本来ローンが終わった(子へ受け継いだ)親が残債を肩代わりすることはないのです。

一方、親が団信に加入していて親が亡くなった場合には、その時点で住宅ローン債務はなくなります。 年齢を考えて親が団信加入するケースの方が良いと考える人が多いですが、親が団信に加入していると子の死亡時には残債は補てんされません。

つまり、親の収入が途絶えた状況でも、親にローン返済が降りかかるリスクがあるということです。

親の年齢が80歳を超えれば残りの期間の団信を親から子へ切り替えるなどの対応もできますので、詳しくは金融機関と相談ください。

2. 親子リレーローンのメリット・デメリット

前項までで親子リレーローンの概要を解説しました。

親子リレーローンは、非常にメリットの大きいローンになりますが、デメリットもあります。

これから親子リレーローンを組もうとしている人はもちろん、親子リレーローンの存在を知らなかった人もメリット・デメリットは抑えておきましょう。

2-1. 親子リレーローンのメリット

メリット

まずは、親子リレーローンのメリットから紹介します。

具体的なメリットは以下の通りです。

結論からいうと、二世帯住宅を建築するときなどは、親子リレーローンを選択する方がメリットは大きい場合が多いです。

  • ・借入期間が長くなる
  • ・融資額が増える
  • ・無駄な税金がかからない

2-1-1. 借入期間が長くなる

先ほども言いましたが、借入期間が長くなるという点が親子リレーローンの最も大きなメリットです。 理由は、借入期間が長くなるということは、月々の返済額が小さくなるということだからです。

たとえば、年齢63歳の親と、27歳の子供が二世帯住宅を建築するとします。 仮に、27歳の子供は収入も安定しないため、親だけでローンを組もうとすると、大体の金融機関は17年(完済時80歳)が最大です。 もし親の年齢が70歳以上であれば、ローンを組むこと自体が不可能です。 このケースで借り入れ金額が5,000万円、金利0.7%の場合には月々返済額は260,041円です。

一方、親子リレーローンなら35年で組めますので、そのときは134,260円まで返済額は下がります。 もちろん、返済額は長くなりますが、約26万円を月々返済するのは現実的ではありません。 つまり、親子リレーローンでないと現実的に返済額が厳しいですし、ローン審査に通る可能性が低くなるのです。

2-1-2. 融資額が増える

また、親子リレーローンだと、単純に融資してもらえる額が増えます。 先ほど言った「返済期間が長くなる」という理由もそうですが、「年収を高く見てもらえる」という点も大きいからです。

たとえば、前項の例のと同じく、「63歳 年収1200万円」でローンを組むとします。 しかし、金融機関的には、「年齢的に後数年で引退するので、数年後からは収入が年金のみになる」という判断をします。 そのため、いくら年収が高かったり、有名企業に勤めていたりしても、年齢的な意味で簡単に審査を通過するワケではありません。

しかし、そこに「27歳 年収400万円」の子供が加わったらどうでしょう。

まず、金融機関は返済年数を35年で見てくれるので月々返済額が抑えられます。 そうなると返済比率(年間返済額÷年収)も抑えられるので、審査は通りやすくなります。

また、仮に「後継者は年収の50%合算」という条件だったとしても、年収は1,200万円から1,400万円へ上がります。 そのため、審査条件が改善し、結果的に融資してくれる金額も増えるのです。

2-2. 親子リレーローンのデメリット

デメリット

つづいて、親子リレーローンのデメリットを紹介します。

具体的なデメリットは以下の通りです。

  • ・団信の負担が大きい場合がある
  • ・返済計画の変更がしにくい
  • ・遺産相続のときのトラブルリスク

上記「団信の負担が大きい場合がある」という点は、 上述した「親に団信をかけて子が亡くなったときには親が債務を負う」というときになります。

2-2-1. 返済計画の変更がしにくい

親子リレーローンの大きなデメリットは、返済計画を変更しにくいことです。

住宅ローン返済は35年でローンを組む人も多いので、返済途中で家族数が増えたり、勤務先が変わったりすることも多いです。 また、予想外に親が早く亡くなった場合で子に団信をかけていたときには、子は予期せぬ負担を強いられることになるのです。

さらに、独身のとき親子リレーローンを組む場合には、結婚の障壁となる可能性もあります。 妻からすれば「義父・義母との同居」になるので、決して快いものではないからです。

ただ、親子リレーローンを組んでいるということは、1本住宅ローンを組んでいるという扱いになります。 そのため、ほかの借り入れをすることが非常に困難になるのです。

2-2-2. 遺産相続のときのトラブルリスク

親子リレーローンの場合に親が亡くなると、子が全ての債務を引き継ぎます。 しかし、相続に関しては持ち分割合に応じて財産分与することになります。

たとえば、父50%長男50%の持ち分割合で、5,000万円の住宅ローンを組んで二世帯住宅を親子リレーローンで購入したとします。 そのとき親が亡くなった時点で子にローンは引き継がれます。

しかし、このとき仮に次男と長男に財産分与の権利が50%ずつあれば、父の持ち分の50%を長男と次男で半分に分けるのが原則です。 しかし、長男からすると「なぜ、ローンは自分が支払っているのに、持ち分を次男にあげなくてはいけないのか」という状態になります。

このようなケースで揉めることもあるので、遺産相続に関しては親子リレーローンのデメリットと言えます。

3. まとめ

このように、親子リレーローンは二世帯住宅の購入時などには非常に便利です。

デメリットもありますが、事前にケアしておけば大きなリスクにはならないですが、団信の名義人だけは慎重に選びましょう。

※ 本記事は2017年04月時点の内容になります。

中古マンション購入に掛かる費用や手続きの流れについて知りたい方は下記のページをご参照ください。
中古マンション購入の流れと注意点、費用の目安などについて

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