価格上昇はついに高止まり!?注目タワーマンションその後を調べてみた

ご存知の方も多いかもしれませんが、2016年5月に東日本不動産流通機構(東日本レインズ)より発表されたデータによると、東京都は同年4月、直近1年間上がり続けていた平均成約平米価格の上昇が止まり、前月比-2.5%で下落しました。また、平均成約価格についても-3.5%下落し、今年に入って初めて3700万円台を割り込みました。
繁忙期が過ぎ去った反動、というのももちろん考えられます。しかし、同じく東日本レインズから発表されている今年5月のレポートについても、前月の減少を大きく取り返したかというとそういうわけでもなく、東京23区内についても平均成約価格や平均成約平米単価が上昇し続ける地区、そうでない地区が分かれてきたようにも見えます。

価格上昇が激しかったマンションのその後…

そこで今回は以前マンションサプリに掲載された、「都心タワーマンションの中古価格上昇に陰り?マンションスコアからタワーマンションの最新価格動向を読み解く!」で注目した当時価格上昇が激しかったマンションのその後を調査し、実際この6ヶ月ほどでどれほど価格に変化があったのかを調査してみることにしました。
今回調査したマンションはそちらの記事同様の下記です。

❐セントラルレジデンス新宿シティタワー
❐クロスエアタワー
❐パークコート麻布十番ザ・タワー
❐赤坂タワーレジデンストップ オブザヒル
❐THE ROPPONGI TOKYO

それぞれ、どのような結果になっているのでしょうか。では、早速詳細を見てみましょう。
(※マンションスコアは、マンションマーケット(※1)独自の評価方法により算出したマンションごとの相場情報です。対象マンションの取引事例や近隣のマンションの取引事例を考慮して算出した想定価格となります。)

※1マンション相場情報サイト「マンションマーケット」:https://mansion-market.com/
全国約10万棟のマンションの相場価格(資産価値)や、過去の価格推移、賃料相場等を公開しています。

1,セントラルレジデンス新宿シティタワーは「横ばい」

2015年11月頃:94万円/㎡
2016年4月時点:93万円/㎡

セントラルレジデンス新宿シティタワー_相場

セントラルレジデンス新宿シティタワーは、2015年11月頃からの半年でほとんど相場価格が変わらず、安定的になっています。マンションマーケットのサイト上では1万円の下落があるように見えますが、詳細を見ると実質4000円ほどしか平均価格が下がっておらず、ほぼ下落はないと言っても良いでしょう。

2,クロスエアタワーは「下落」

2015年11月頃:120万円/㎡
2016年4月時点:113万円/㎡

クロスエアタワー_相場

クロスエアタワーは2015年の後半にあった、第二の価格上昇を最後に、ゆるやかに価格が下がってきています。そしてちょうど半年頃から更に下落の角度がきつくなり、半年かけて平米価格の平均が7万円程落ちています。2012年竣工のまだまだ新しいマンションですので、経年による下落というよりも、市場の影響の方が大きいと思われます。

3,パークコート麻布十番ザ・タワーは「上昇」

2015年11月頃:162万円/㎡
2016年4月時点:178万円/㎡

パークコート麻布十番ザタワー_相場

パークコート麻布十番ザ・タワーはこの半年でかなり価格上昇しているマンションの一つです。2015年の中頃に平均平米単価が190万円/㎡となり、グラフでも大きな山ができた後少し価格が落ちました。しかし2016年に入ってから再び価格の上昇が見え、4月現在で178万円/㎡までになり、半年間で10万円以上価格が上がりました。
先述したとおり東京都内は4月、平均成約価格が大幅に下がっていますからその流れを跳ね除けるようなこの状況は、パークコート麻布十番ザ・タワーの人気を裏付けるものでしょう。

4,赤坂タワーレジデンストップ オブザヒルは「下落」

2015年11月頃:178万円/㎡
2016年4月時点:172万円/㎡

赤坂タワーレジデンストップオブザヒル_相場

前回の調査では価格を維持しているマンションとして紹介されていた「赤坂タワーレジデンストップオブザヒル」ですが、ここ半年で6万円程平米価格の相場を下げ、172万円/㎡となっています。ここ2ヶ月程度は安定しているようですが、2016年に入ってすぐに僅かに下降したところが響いたのだと考えられます。元々坪単価550万円を優に超えるエリアなので、小さな下降も大きな価格変化につながっています。

5,THE ROPPONGI TOKYOは「横ばい」

2015年11月頃:189万円/㎡
2016年4月時点:188万円/㎡

ザ六本木東京クラブレジデンス_相場

その一方で、THE ROPPONGI TOKYOは詳細なデータをみると、平米価格の相場が半年で1万円を下回る程度の下落で抑えられており、引き続き価格が維持できている事がわかります。経年するとどうしてもマンション価格は下降してしまうものですが、その中では下がり幅がかなり少なくとても安定した価格を保っています。

軒並み価格が下落している一方で…維持、上昇しているマンションも

今回注目マンションのその後を調べた結果……

<上昇>
・パークコート麻布十番ザ・タワー

<横ばい>
・セントラルレジデンス新宿シティタワー
・THE ROPPONGI TOKYO

<下落>
・クロスエアタワー
・赤坂タワーレジデンストップ オブザヒル

5棟中2件の価格が下落していることが分かり、中古マンション市場の高止まりをやや感じられる結果になりました。
また、今回ピックアップした以外のマンションマーケットに掲載されている新宿区・目黒区・江東区・港区の高層マンションも、区によって多少差がありますが、概ね全体の30~40%のマンションがこの半年で価格を下げており、中古マンションの価格上昇の流れも一段落してきているのが見て取れます。

しかしその一方で価格を維持している、それどころか大きく上昇しているマンションもあります。
これはつまり、タワーマンションであればどれでも価格が上昇するのではなく、選ばれたマンションだけが価格上昇をする方向へ市場がシフトしていく前触れなのではないかと考えます。

今後のタワーマンションの価格展望

最近は譲渡益を目的とした売り出し住戸が増え、竣工した途端に新築時の販売価格の1.3~1.5倍の値で何十戸も売りに出されているタワーマンションも少なくはありません。

しかし昨今、空き家問題がところどころで話題に上がるように、住戸の需要と供給のバランスは着実に崩れ始めています。人口の集中している東京都ですら空き家率は10%を越えていますから、その波が現在人気のタワーマンションにも訪れる可能性は十分に考えられます。空き家も含め、それだけ売り住戸が多いということは、買う側が複数の売り住戸を比べることができる「買い手優位」な状況になっているとも言えます。見比べた結果選ばれなかったものは価格をそのままにして買い手を粘り強く見つけるか、価格が下げるかの選択を迫られることになります。そのため、価格の上昇が止まりむしろ下落し始めるというのは、必然の流れではないかと筆者は考えます。

その一方で、今回の「パークコート麻布十番ザ・タワー」や「セントラルレジデンス新宿シティタワー」「THE ROPPONGI TOKYO」のように市場の流れに関係なく価格が上昇、もしくは横ばいのままのマンションも存在しています。「選ばれるマンション」は居住用、投資用、諸々の角度によって多少観点が異なりますので、一概には言えませんが、各視点から選ばれたマンションが価格を引き上げ、それ以外のマンションは価格を下げていくという「二極化」が加速していくことが考えられます。

市場の動向とともに、所有している物件や注目しているマンションなど、よりミクロな視点でマンションの価格相場を把握していく必要があるのかもしれません。

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- 2016年06月16日