不動産投資にはマンションがおすすめ!?そのメリット・デメリットを考える

「投資」と呼ばれるものにも、たくさんの種類があります。株や債券、一昔前はFXなどが流行っていました。その中の「不動産投資」と呼ばれる投資にどんなイメージを持っているでしょうか?「何かと怪しい」「初期費用がかかる」「素人には難しい」と思っている方もいるかもしれません。

しかし、実は不動産投資こそ小さいリスクで安定的な収入を得られる一般の方にもおススメの投資なのです。勿論、信頼できる不動産業者の選定や、適切な物件の購入、維持管理については自分自身が勉強することも必要です。今回は不動産投資の魅力をメリット、デメリットという観点からお話します。

目次

1.税金に関してのメリット・デメリット
☞所得税を知ろう~所得の計算方法~
☞所得税を知ろう~総合課税について~
☞計上できる経費について
☞確定申告について
☞青色申告を活用する
☞赤字での繰り越し計上が出来る

2.融資を受けるメリット・デメリット
☞レバレッジを掛けられるメリット
☞債務を負うデメリット
☞金利について

3.不動産の種類・不動産会社が豊富
☞種類とエリア
☞不動産会社の選定
☞諸費用を知っておく
☞築年数に注意する

4.まとめ

1.税金に関してのメリット・デメリット

税金不動産投資のメリットとして良く挙げられる事として「節税」があります。しかし、必ず節税が出来るワケではないですし、節税するためには基礎的な知識を持っておくことが大切です。

所得税を知ろう~所得の計算方法~

不動産投資で節約できる税金は「所得税」になります。そもそも不動産の所得とはなんでしょうか?
例えばマンションを一室購入し、賃貸にまわしたとします。不動産投資における所得はその賃料収入をそのまま計算するのではなく、そこから必要経費を引いて算出します。計算式で表すと「収益-必要経費」です。

不動産投資で節税するということは、経費を計上することによって、所得を減らし税金を抑える事です。例えば株やFX、債券などの投資商品は基本的には経費計上できる金額(金利など)は大きなものではありません。その点は不動産投資のメリットと言えますが、経費計上できるものは実際に不動産運営に関わる費用だけですので、その「経費」についてしっかり理解しておかないと意味がありません。

所得税を知ろう~総合課税について~

所得税の税率は、前項でお話をした所得の金額に応じて税率が変わります。所得税の税率は所得が高くなるほど税率が上がる「累進課税」と呼ばれる制度が適用され、更に「総合課税」という仕組みになっております。この総合課税が他の投資とは違い、不動産投資のメリットでもあり、デメリットでもあります。

例えば、年間所得800万円のサラリーマンが、サラリーマンで得た収入とは別に400万円の不動産所得があったと仮定します。その場合には合計所得1,200万円(このように所得を「合算」することが総合課税です)とみなされ1,200万円の所得に対する税率が掛かってくるということになります。

このように、本来であれば800万円の年収に対する税率は23%なのに対して、不動産所得を加えると33%まで上がります(税率は下表参照。控除額は加味していません)。株やFXなどは「分離課税」と呼ばれる形式ですので、他の所得とは合算されません。それ故、総合課税である点は不動産投資のデメリットと言えるでしょう。

しかし、逆に考えると、不動産投資で所得がマイナスの場合には税率が下がる可能性もあります。そうなった場合には総合課税は「節税が出来る」ということになります。つまり、必ずしも不動産投資(総合課税)=節税ではなく、節税かどうかは状況によるという点は理解しておきましょう。

※所得税速算表

課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円を超え330万円以下10%97,500円
330万円を超え695万円以下20%427,500円
695万円を超え900万円以下23%636,000円
900万円を超え1800万円以下33%1,536,000円
1800万円を超え4000万円以下40%2,796,000円
4000万円超45%4,796,000円

出典:国税庁ホームページ

計上できる経費について

節税に対するメリット・デメリットを深く知るためには、計上できる経費についてを学ぶ必要があります。不動産所得を計算する上で、計上できる経費の定義は「対象不動産の維持運営」に掛かった経費のみです。例えば、不動産投資についてのミーティングを管理会社と行ったので「飲食代を経費計上する」などは、不動産投資に関係あるかどうかを判断しかねるので、経費として認めることは厳しいです。何が計上することが出来、何が計上することが難しいかを把握することが賢く節税をするための大事な対策になります。

確定申告について

確定申告節税をするためには確定申告をする必要があります。株やFX、債券などは証券会社が納税を代わりに行ってくれる「特定口座」を作れますが、不動産投資は自分で確定申告をする必要があります。その煩わしさと手間は不動産投資のデメリットと言えるでしょう。
また、確定申告は、慣れない中で行うので非常に難しいです。確定申告の書類作成は税理士に依頼することが出来ますが3万~10万程度の費用が掛かってしまいます。

青色申告を活用する

こちらは不動産投資の大きなメリットと言えるでしょう。青色申告のメリットは、「青色申告にするだけで、年65万分を収入が差し引く事が出来る」という点です。つまり、不動産投資を行い、簡単な手続きで青色申告にするだけで、所得を低くし所得税を抑えることが出来ます。これはその他の投資ではないメリットです。

赤字での繰り越し計上が出来る

青色申告をしているメリットがもう一つあります。それは赤字計上の繰り越しが最大3年間出来ることです。例えば、初年度を200万円の赤字を出してしまい、2年目は200万円の黒字になったとします。その際は初年度に出してしまった200万円の赤字と、2年目の黒字を相殺することによって所得を0円にすることが可能という事です。それによって大きな節税効果が見込まれます。

但し、注意点は他の所得と合算した時に「赤字」であるという事です。つまり、サラリーマンであれば給与所得を加味した上で赤字でないと繰り越しが出来ないので、中々赤字の繰り越しをすることがないというのが現状です。もし大規模な不動産投資をしており、一棟アパートを購入した年などはこれが活用できるかもしれません。

2.融資を受けるメリット・デメリット

融資不動産投資は他の投資と違い融資を受けて投資をすることが多いです。その融資を受ける事によって発生するメリット・デメリットをお話します。

レバレッジを掛けられるメリット

融資を受けるメリットとして挙げるとすると「レバレッジ」が一番でしょう。その方のプロフィールにもよりますが、自己資金0円で数千万円の融資が受けられる場合もあります。つまり、最初に支払う仲介手数料や諸費用だけが必要で、実際にはその数十倍の投資が出来るということです。FXのレバレッジは不動産投資以上ですが、他の投資ですと不動産投資程のレバレッジはありません。

債務を負うデメリット

デメリットとして債務が挙げられます。簡単に言うと借金をしているので、それを返さなくてはいけません。例えば、株取引では証券会社からお金を借りて資金の3倍まで取引が出来る信用取引というものがあります。いくら自己資金の3倍まで取引が出来るとは言え、仮に自己資金が100万円だとしたら、100万円の範囲内で取引をすれば、自己資金がなくなることはあっても、借金を負うことはありません。

しかし、不動産投資の取引ですと最初から借金を負うケースが多いので、自己資金以上に失うお金も出てくるリスクがあります。その点が不動産投資のデメリットと言えるでしょう。

金利について

前項のように融資を受けることは債務を負うというデメリットがありますが、金利をキチンと学ぶことが出来ればメリットとも言えるでしょう。投資用不動産のローン金利は、居住用住宅ローンほどは低くありませんが、それでも低い金利です。金利については銀行や借入者のプロフィールによって大きく変わってきますので、銀行が何を基準に金利を設定するかは理解しておく必要があります。

まずは「信用情報」です。簡単に言うと、「過去に延滞履歴がないか」という事です。金融機関が融資をする上で最も避けたいことは、債務不履行の次に「返済の延滞」が挙げられます。故に、過去にクレジットカードなどで延滞の履歴がある等の履歴があれば、居住用でも不動産投資用でも融資はかなり厳しくなります。続いて、年収、勤続年数、勤務先、家族計形態などの本人プロフィールです。これらを加味した上で、そもそも融資を行うか、融資を行う時には金利を何%で設定するかを金融機関が判断します。

大事なことは色々な金融機関にヒアリングを行う事です。金融機関によって審査項目は同じでも審査基準は違います。銀行によっては1%以上金利に差がでることもありますので、賢く不動産融資を受けるためには、多少手間はかかりますが、複数の金融機関に打診するのが良いでしょう。それが、不動産の融資をメリットに変えるコツです。

3.不動産の種類・不動産会社が豊富

種類不動産投資は色々な種類の投資物件があり、数多くの不動産会社がいます。それらを自分で選べると言う点は不動産投資のメリットと言えるでしょう。例えば、FXで言うと通貨の種類は限られていますし、その中で「買う」「売る」の二択しかありません。株も様々な銘柄がありますが、不動産投資ほどの種類はありません。

数ある不動産と不動産会社をキチンと見極めて、どの不動産投資するべきか?どの不動産が信頼出来るか?をキチンと学ぶことにより「投資対象が豊富」ということがメリットに繋がります。

種類とエリア

まず種類について戸建てや一棟アパートではなく、一室のマンションが良いでしょう。理由は初期費用を極力抑えられ、ニーズが高いからです。初期費用をいかに低くするかで不動産投資成功の是非は変わってきますし、戸建てよりもマンションの方が借り手が多いです。

更に、エリアは首都圏が良いです。不動産投資の最大のリスクは「空室になること」です。これは不動産投資のデメリットとも言えますが、賃借人がいなければ収入が0円になってしまいます。それらを防ぎデメリットを極力抑えるためには首都圏などのニーズが高いエリアがベストなのです。
広さは1R~1LDKが良いでしょう。前項の「初期費用を抑える」という意味もありますが、賃借人が最も多い広さが1R~1LDKだからです。

不動産会社の選定

まず不動産投資で成功する必須条件として「立地」が挙げられます。空室リスクを抑えるためには都心やニーズが途切れにくい大型商業施設があるエリアなどが良いです。それら人気エリアにどれだけ紹介できる不動産を持っているかが不動産会社を見極める上で重要な事になります。また、利回りをキチンと経費を精査し節税まで加味した上で案内をしてくれるかどうかも見極めるポイントにしましょう。

諸費用を知っておく

初期費用を抑える事が不動産投資では大事だと申し上げました。それにも繋がってきますが、不動産投資で取得する不動産に掛かる諸費用を知っておきましょう。仲介手数料は勿論、ローンに関わる手数料や保証料、登記費用、火災保険、各種税金などが挙げられます。勿論、これらの諸費用を加味した上で購入不動産を決めなくてはいけませんし、購入後の節税にも必要になってくる情報です。初期費用がかかるという不動産投資のデメリットを、諸費用金額と項目をキチンと理解することで軽減しましょう。

築年数に注意する

結論から申し上げると、中古物件に不動産をする時は、旧耐震物件は避けましょう。旧耐震とは昭和56年以前に建築された建物のことです。耐震基準は昭和56年に法改正され、現在の耐震基準を満たしている「新耐震」と、昔の基準で建築された「旧耐震」の物件に分かれています。未だに旧耐震に基づいて建設されたマンションは約106万戸存在し、そのうちの6割~8割は実際に耐用性がないと言われています。しかし、その中でも耐震補強工事が出来たものはわずか1割にとどまっているというのが現状です。

現実問題として、旧耐震の物件を全て新耐震の基準で補強なり建て替えが出来ていれば良いですが、上述のように旧耐震の物件が数多くある上に、実際は耐震補強も建て替えも出来ないマンションが大半です。そのようなマンションに投資をすると言う事は寿命が短い可能性のあるマンションに投資をすると言う事です。マンション投資の際は旧耐震であるか否かの確認は必須と言えるでしょう。

もし、旧耐震物件を購入し、欠陥があった場合や、法令が変わり補修工事が必要になった場合には多額の費用がかかります。

4.まとめ

以上が不動産投資のメリット・デメリットになります。冒頭でも申し上げた通り、投資には様々な種類があり、それぞれの投資にはメリット・デメリットがあります。不動産投資の特徴としては、自分自身で勉強することにより、良い不動産会社と出会え(見極められ)、良い不動産と出会えるということです。他の投資も勿論勉強は必要ですが、不動産投資はその中でも一番勉強の成果が表れやすいでしょう。

つまり、今回挙げた不動産投資のメリットを最大限活用するのも、デメリットを最大限減らすのも自分自身がどれだけ勉強したかにかかっていると言う事です。不動産投資を検討されている方は、是非色々と勉強してみください。そうすれば不動産投資における最大のメリットである「小さいリスクで安定した収入を継続的に得る」ことが実現できるはずです。

- 2016年05月12日