【賃貸VS持ち家】どうして人は家を買うのか?

衣食住の『住』の中で永遠のテーマであるとも言える【賃貸VS持家】議論。
ずっと昔から様々な場面でこの議論は取り上げられていますね。皆様の中にも、このまま賃貸住宅に住み続けるのか、それともマンションや戸建てを購入したほうが良いのか、迷っている方も多いのではないでしょうか?本日は賃貸と持ち家について考察してみたいと思います。

全国や東京の持ち家率はどれくらい?

全国総務省統計局が発表したデータでは、住宅に住む一般世帯の持ち家率は全国で見ると61.9%(平成22年時点)、東京都の持ち家率は46.6%(平成22年時点)となっています。最も高い持ち家率を誇る都道府県は富山県の78.3%(平成22年時点)で約8割が持ち家という結果が出ており、東京都の46.6%は都道府県の中で最も持ち家率が低い結果となっています。ちなみに、この総務省統計局の調べでは、持ち家率が50%を下回る都道府県は東京都と沖縄県(49.6%)のみだそうです。

なお、賃貸・持ち家に関わらず住宅の建て方に目を向けると、一戸建ての割合が最も多いのが秋田県の82.3%、逆に最も一戸建ての割合が少ない東京都は30.6%となっており、地域により居住形態に大きな異なりがあると言えます。

画一的な【賃貸VS持ち家】という議論には意味がない!?

さて、ここからが本題となりますが、まず初めに『賃貸と持ち家はどちらが得か?』『賃貸と持ち家はどちらが良いか?』といった議論については、個人によってそのケース差が大きいため画一的な議論をしても結論が出るものではないと思っています。

例えば、年収○○万円の人が○○○万円の物件を金利●%・35年ローンで購入した場合と、月々○○万円の賃貸マンションに一生住み続けた場合等の過程を元に、生涯で支払う金額のシミュレーションを行っている記事なども目にします。実際に数字として表されているため非常にイメージしやすい事は確かなのですが、しかし、そのような条件に当てはまる人はほんの一部でしかありません。

また、例え現時点では条件に当てはまっていても、現実には家族構成の変化や転勤に伴った転居・買い替えなど個人により様々な事情が発生しますから、簡単にシミュレーション結果は覆ってしまいます。ですから画一的に【賃貸VS持ち家】という議論をすることに大きな意味はなく、結局のところは、賃貸に住み続けるか持ち家を持つかは個人の判断に依存するしかないという結論に至らざるを得ません。

では、家を買う人はどのような判断材料・意思をもって購入しているのでしょうか?
家を買う事で何が得られるのか、また、賃貸住宅に住み続ける事とどう違うのか、その辺りを考えてみたいと思います。
なお、今回は投資用やセカンドハウスは省き自己居住のための家を購入する場合のみを考えます。

そもそも、家を買う理由とは?

なぜ?家を買う理由は人それぞれです。簡単にインターネットで調べてみた一般的な理由を挙げると以下のような感じでしょうか。家を買わない理由も合わせて考えてみましょう。

家を買う理由(メリット)

●家賃を払い続けるのがもったいないから(同じ額払うなら買ったほうが良い)
●心理的に、他人物ではなく自分の城を持ちたいから
●賃貸とは違って持ち家は資産になるから
●老後の生活拠点を確保する為
●賃貸住宅では自分の希望するような家が見つからないから

家を買わない理由(デメリット)

●税金や管理面のコストを考えると、オーナーが支払ってくれる賃貸住宅のほうが得だと思うから
●賃貸のほうが身軽で、簡単に引越しができるから(持ち家の場合、買い替えは面倒臭い)
●持ち家は天変地異・リストラなど万が一の際に負債だけ残り、リスクが大きすぎるから
●少子高齢化や新築住宅の供給過多により今後住宅は余ると予想している。つまり、住宅価格は値下がりするので今買う意味がない、少子高齢化により高齢者でも簡単に賃貸住宅に住めるような仕組みになると思うから

これらの理由を比べて考えてみると、結局家を買う理由(メリット)は家を買わない理由(デメリット)としても捉える事ができるものが多いですね。例えば、家を買う理由の中に『持ち家は資産になるから』というものがありますが、逆に家を買わない理由の中に『資産は負債になるリスクがある』というものも見られます。確かに、住宅は資産となりますが、車などと違って数千万円ものお金を借りる事となるのですから、リストラやトラブルによりローンが支払えなくなった際等のリスクを考える事も大切だと思います。

つまり、今自身が置かれている状況をもとに、家を買う事に付随する事象についてそれをメリットと捉えるかデメリットと捉えるかによって、持ち家派と賃貸派に分かれているという事のようですね。

家を買う事に付随する事象を考えてみる

家購入では、賃貸住宅にはない家を買う事に付随する事象を考えてみましょう。
また、それらに対する持ち家派・賃貸派の意見をまとめてみましょう。

家を買う事に付随する事象

■家が自分のもの(資産)になる
持家派:自分の城という心理的価値、家族に資産を残せる、いざとなったら売る事もできる
賃貸派:返済が終わるまでは大きなリスクにもなる、別の形で資産形成したほうが良い

■ローンを組む・税金・管理コストを払う
持家派:同程度のお金を支払うならローンを組んで買ったほうが良い、仕事のモチベーションにもなる
賃貸派:ローンが払えなくなったら?税金がかかる、積立金やリフォームなどの維持管理コストがかかる

■住宅の選び方・使い方の幅が広い
持家派:賃貸に比べて選択の幅が多い、自分好みにリノベーションも出来る、使い方も自由
賃貸派:賃貸でも様々な種類の住宅がある、古くなったら新築へ引越す事もできる

■生活拠点として一ヶ所に留まる
持家派:一ヶ所にとどまる事で安定した生活を送る事ができる
賃貸派:もし転勤や近隣トラブルがあったら?家族が増えたら?身軽な賃貸のほうが対応しやすい

■老後の生活がある程度保証できる
持家派:ローン支払いが終われば老後の生活も安心できる
賃貸派:ある程度の貯金と収入があれば老後も賃貸住宅に住み続けられる

ざっとこのような感じでしょうか。
これらの事象をもとにそれぞれが自分の置かれた状況と照らし合わせて、家を買うか、それとも賃貸住宅に住み続けるかを判断する事になるのでしょう。もちろん、自分の置かれた状況のみではなく、日々変化する経済情勢や環境の変化、購入候補住宅の価格等に関する条件など総合的に判断する必要があると思います。

まとめ

□画一的な【賃貸VS持ち家】議論は個人差があるためあまり意味がない
□持ち家にはそれに付随する事象があり、それらをどう捉えるかによって立ち位置が変わる
□住宅購入に際しては、持ち家に付随する客観的事象と現在自分が置かれた状況、経済状況等を総合的に照らし合わせて判断をする事が良い

以上、【賃貸VS持ち家】どうして人は家を買うのか?について考えてみました。
皆様は家を買う理由やそのメリット・デメリットについてどのように考えますか?
家を買うか賃貸に住み続けるか迷っている方がいましたら、是非上記を参考に考えてみてください。

今後は、実際に住宅購入を決めた人がチェックするべきポイントなどもまとめてみたいと思います。
お読みいただきありがとうございました。

- 2015年01月25日