リゾートマンションとは?【格安中古物件の購入には注意も必要】

リゾートマンションと聞くとどんなイメージを持つでしょうか。「リゾート」という単語が入っているので、何か楽しそうで避暑地や別荘との風景を思い浮かべる方も多いと思います。そのイメージももちろん正解なのですが、リゾートマンションはバブル期に最も値崩れした商品であると言っても過言でありません。リゾートマンションには、そのようなネガティブな側面もあるのです。

また、究極のぜいたく品であるからこそ、不況時での価格変動がしやすいとも言われています。そこで今回は、「そもそもリゾートマンションとは何か?」という点から、リゾートマンションの変遷や、昨今のリゾートマンション事情まで詳しくお話していきます。

目次

1.リゾートマンションとは?
☞リゾートマンションのメリット
☞リゾートマンションのデメリット
・リゾートマンションは居住用ではない
・リゾートマンションの価格変動
☞リゾートマンションの代表地

2.リゾートマンションと通常のマンションの違い
☞ランニングコスト(管理費・修繕費など)
☞管理規約
☞部屋数の違い
☞生活利便性
☞建物構造について

3.リゾートマンションの変遷
☞リゾートマンションの問題点
☞安い物件がお得とは限らない
・管理が急上昇している場合がある
・問題あり物件の事例
☞昨今のリゾートマンション
・熱海のリゾートマンションが人気
・熱海のリゾートマンションは値崩れしにくい
・税金も比較的安い

☞リゾートマンションを買うということ
・ローンについて
・資産価値の測り方
・実は宿泊費を節約できている

4.まとめ

1.リゾートマンションとは?

リゾートマンションリゾートマンションとは、温泉などがある観光地や避暑地、または海沿いなどに建てられているマンションのことを言います。平たく言うと、「リゾート地に建てられているマンション」ということです。リゾートマンションは主に「別荘」などのセカンドハウスが目的で建築されることが多いです。

リゾートマンションはバブルの時に人気に火がつき、「一戸建ての別荘は難しくてもマンションであれば・・・」という考えの元購入が広がりました。そこでリゾートマンションの建築ラッシュがはじまったことが、後々の急激な値崩れに繋がってきます。(詳細に関しては後述します)

リゾートマンションのメリット

リゾートマンションに住んでいる人が、通常のマンションよりもメリットに感じるところは以下のようなことです。

1.共用部分の管理は管理会社にお任せなので楽

2.周辺が開けている場合が多いので、基本的に眺望が多いマンションが多い

3.マンションなので同じ立地なら、一人の土地が広い一戸建てより安価

4.共用施設が充実しているマンションが多い

5.立地的にステータスを感じることができる

また、マンション内の共用施設だけでなく、周辺にも娯楽施設が多いです。例えば、車で数分走れば海に行くことが出来たり、リゾートマンションの傍にスキー場があったりします。そのため、旅行先としては非常に良い環境が整っているといえます。

リゾートマンションのデメリット

一方で、リゾートマンションもデメリットと呼ばれるところもあります。そのデメリットが以下の3点です。この3点のデメリットに関しては以下、詳しくお話します。

1.管理に対する住民の意識が薄い

2.修繕に対する住民の意識が薄い

3.価格変動が激しい

リゾートマンションは居住用ではない

リゾートマンションは「ずっと住み続けるところ」として購入している人は少ないです。あくまで、セカンドハウスであり別荘として利用するために購入している場合がほとんどです。そのため、通常のマンションよりも住民の管理や修繕に対する意識が希薄です。

例えば、通常はマンション内の住民全員で管理組合を組成します。管理組合を組成することは、リゾートマンションでも例外ではありません。その管理組合は、マンション内の色々なことを決めていきます。例えば、修繕計画の変更やマンション内の清掃内容の変更などです。

しかし、リゾートマンションには入居者がずっといるワケでないので、リアルタイムで管理組合の意見が反映されないのです。意見が反映されないというよりは、何か決議が必要だとしても、そのマンションにいない人も多いので決議を取ることが物理的に出来ないのです。

そうなると、管理・修繕に関しての本気度が小さくなり、管理・修繕がずさんになっても、通常のマンションほどクレームを言う人はいないのです。そのため、建物の劣化が早まったり共用施設の劣化が早まったりしやすいというデメリットがあります。そうなると結果的にリゾートマンション自体の資産価値も下がりやすくなってしまいます。

また、マンションの建て替えなどはリゾートマンションで行うのは非常に困難と言われています。マンションの建て替えは基本的に入居者の4/5の同意が必要になります。そのため、通常のマンションですらマンションの建て替え決議は困難なのです。そのマンションの建て替えを、普段入居者がいないリゾートマンションで行うとすると、尚更4/5の賛同を得るのは難しくほぼ不可能と言っても良いでしょう。

リゾートマンションの価格変動

価格変動不動産の価格をはじめ、全てのモノの価格は需要と供給のバランスによって決まります。当然、需要があれば価格は上がりますし、需要がなければ価格は下がります。そして、不動産は高額であるが故に、需要が低迷しやすいです。なぜなら、不動産は「絶対に買わなければいけない」という時はないからです。例えば、食料品は絶対に買わなければいけませんし、洋服も着る服がなくなれば絶対に買わなければいけません。そのため、どんなに不況になっても生活必需品の価格は下がりにくいです。(ある一定レベルまでは下がりますが、それ以下にはなりにくい)

しかし、不動産に関しては、不況になれば真っ先に「買う必要のない物」の部類に入ります。不況になり給料が下がっている中で、わざわざ借金をして不動産を買う人は、景気が良い時に比べれると圧倒的に少ないのは感覚的に分かると思います。それが「リゾートマンション」なら尚更です。「居住用」の不動産ですら不況の時は売れ行きが落ちるのに、セカンドハウスとして利用するリゾートマンションの需要が上がるはずありません。そのため、リゾートマンションは不動産の中でも最も価格が下落するリスクが高いのです。

リゾートマンションの代表地

箱根リゾートマンションは、主に富裕層の人口が多い東京をはじめ、関東周辺から行きやすい場所に建てられることが多いです。避暑地でいうと、軽井沢、那須、箱根、草津、富士五湖などが有名です。スキー場周辺では、苗場、塩沢あたりが有名なリゾートマンション地です。温暖な地域では熱海、伊豆が代表的な場所です。どこも別荘地としても有名なエリアになります。

2.リゾートマンションと通常のマンションの違い

違いリゾートマンションと通常のマンションは、立地以外にも以下のように様々な違いがあります。

ランニングコスト(管理費・修繕費など)

結論から言うと、リゾートマンションの方がランニングコストは高いです。当然、リゾートマンションも通常のマンションも、どちらにもランニングコストは発生します。しかし、リゾートマンションの方が通常のマンションより共用部が多いことがほとんどなので、管理費は割高になりやすいのです。

「リゾート」というくらいなので、「住む」という目的よりも「楽しむ」「リラックスする」という目的でリゾートンマンションを購入する人は多いです。そのため、例えば温泉施設や大浴場、屋内プールなどの、「楽しむための施設」がリゾートマンションに併設されていることが多いです。これらの施設が多いという事は、単純にその施設を管理する人の人件費が増えます。また、その施設の清掃費用や修繕費等も住民が支払う事になるので、ランニングコストは高くなるのです。

管理規約

通常のマンションとリゾートマンションは、マンションの規約自体も異なる点があります。例えばペットに関してです。通常のマンションは「大きさは中型犬までの大きさ」や「飼育できる数は2匹まで」など色々な制限があります。しかし、リゾートマンションはペットと過ごす人も多いので、例えば「1階部分だけは大型犬OK」など規制が緩い場合も多いです。また、共用部分が多いため、細かい使い方などが記載されています。

部屋数の違い

先ほど言ったように、リゾートマンションは「住む」のではなく「楽しい時間、リラックスできる時間を過ごす」ということが目的です。そのため、1LDKや2LDKの間取りが多く、3LDKや4LDKなどのファミリータイプの部屋は少ないです。

生活利便性

リゾートマンションの周囲は、通常のマンションと比べると生活利便施設は少ないです。通常のマンションを建築する時には、そのエリアに「商業施設」「医療施設」「教育施設」など生活する上で欠かせない施設があるかどうかは重要視します。

しかし、リゾートマンションは別荘地に建てられるので、あくまで「セカンドハウス」です。そのため、生活利便性よりも「眺望」「静さ」などの過ごしやすさが優先されます。物件にもよりますが、リゾートマンションは市街地から離れた場所に建築されることが多いです。

建物構造について

リゾートマンションが建てられる立地は、住宅街ではないことが多いです。特に雪が良く積もったり、海風にさらされやすかったりと、自然の影響が強い場所は構造や素材を少し変える場合が多いです。例えば、海風にさらされても錆びない素材をつかったり、劣化しやすいタイルは使用しなかったりなどです。

3.リゾートマンションの変遷

下落結論から言うと、リゾートマンションの価格下落率はかなり激しいです。特にバブル期に購入したリゾートマンション(リゾートマンションに限った話ではありませんが)は、現在の相場価格の10倍以上の金額で購入した人も少なくありません。

リゾートマンションの問題点

先ほど言ったようにリゾートマンションは贅沢品のため、不況に陥れば需要がなくなります。需要がなくなるだけではなく、資金繰りが悪化した人がリゾートマンションを手放すケースも当然あります。特に、バブル崩壊という、日本が先進国の仲間入りをしてからの最大の不景気と言われていた時には、リゾートマンションを手放す人が爆発的に増えました。そうなると、需要が落ちるだけでなく、供給も多くなるので、更に需給バランスは崩れ価格は低迷します。

この需給バランスが極端に崩れたため、分譲時の価格の何十分の一のように、価格が急激に下落して手放す人もいました。不景気になると「いくらでも良いので早く手放したい」という方が増えます。そうなると「成約事例」として極端に安い金額の物件が出てきます。

そのエリアの相場価格は、成約事例を基に形成されるので、そのような超安価な物件が出てくると更に相場価格は崩れるのです。このような負の連鎖によって、リゾートマンションの価格は、通常マンションと比べても急激な勢いで下がっていきました。

安い物件がお得とは限らない

安い一方、逆にそこまでリゾートマンション価格が下がったという事は、超激安の掘り出し物もあるのでは?と思った方もいると思います。確かに、超激安の掘り出し物物件は当時もあったと思いますが、極端に安い物件には問題点がある場合が多いです。

管理が急上昇している場合がある

問題点の一つに「管理費」が挙げられます。先ほど「リゾートマンションのデメリット」でも触れたように、リゾートマンションの管理は通常のマンションと比べるとズサンな事が多いです。そのため、経年劣化による建物の老朽化によって、はじめは安かった管理費も極端に上がっていることがあるのです。通常のマンションは修繕費用が上がる事はあっても、管理費が上がる事は中々ありません。

しかし、リゾートマンションは共用部が多いので、管理費が上がるリスクも大いにあるのです。極端な話、管理費だけで「毎月6万円」というリゾートマンションもあったほどです。その管理費に加えてローンの支払いもあります。そのため、管理費が上がった事で全体的な支払いが厳しくなってきたら、管理費が未払いの状態のまま売却せざるを得ない時もあります。管理費が未払いのまま滞納されると、その未払い分の管理費は「次の購入者」が債務として引き継ぐのです。そのため、超激安物件だったとしても、管理費・修繕費などのランニングコストは未納ではないかは必ず確認しましょう。

問題あり物件の事例

比較的東京から近い越後湯沢の物件でも「2LDK、10万円」という、およそ不動産の価格とは思えない物件がありました。まさにこれは前項で説明した管理費に問題ある物件でした。この物件は実に200万円以上の管理費を滞納しており、さらに物件の管理費・修繕費も月8万円を超える物件になっていたのです。

しかも、それでも修繕積立金は不足しており、今後も修繕費の上昇はあり得るという状態でした。これではせっかく10万円で購入できても、結局ランニングコストだけ月7~8万円いってしまえば、2,000~3,000万円のローンを組んだ時と変わらない支払いになってしまいます。

昨今のリゾートマンション

バブル期を経て、今も尚リゾートマンションは建築され販売されています。バブル崩壊直後ほどではありませんが、リゾートマンションの需要は依然高いとは言えない状態です。少なくとも、投資用不動産としてリゾートマンションを専門に購入している人は皆無と言っても過言ではないでしょう。

熱海のリゾートマンションが人気

熱海とは言え、現在の分譲マンション価格は過去10年の中でもトップクラスの金額になってきています。2016年になり、マンション契約率などを見ると多少下がってきてはいますが、少なくともここ10年で考えると「不動産市況は良い」時期であると言えるでしょう。その中で今、熱海のリゾートマンションが団塊の世代を中心に再燃しているようです。定年と同時に、東京からも近い熱海に移り住んだ人も多く、バブル以降放置されていた土地も物件建築が始まったエリアがあるほどです。

ただ、団塊の世代はまさにバブル世代でもあるので、バブル崩壊後の不況を、身をもって体感している世代です。当然、マンション価格の下落なども目の当たりにしてきています。だからこそ、以下のように熱海が注目されている理由があるのです

熱海のリゾートマンションは値崩れしにくい

熱海のリゾートマンションは管理が全国的にも1~2万円高いとのことです。ただ、都心までの距離が近いという点と、「温泉」という「流行り廃りがあまりない娯楽」が有名なため、値崩れがしにくいエリアといわれています。団塊の世代は、バブル崩壊後のリゾートマンション価格を知っているからこそ、値崩れしにくいエリアを選んだとも言えそうです。

税金も比較的安い

購入者は団塊世代の夫婦が中心です。そのため、一定の蓄えがあるとは言え、固定費は少しでも抑えたいと思っています。熱海は都心からの距離の割に固定資産税などの税金が安価であると知られており、固定費が抑えられるという点も選ばれている理由です。

リゾートマンションを買うということ

ポジティブリゾートマンションに関してはネガティブな話も多かったですが、熱海のように注目を集めている点もあるのです。最後に、リゾートマンション購入時に意外と知られていないことについてお話します。

ローンについて

意外と知られていませんが、リゾートマンションなどのセカンドハウスや別荘を購入するために利用できるローンもたくさんあります。通常の住宅ローンよりも金利が高くなるケースが多いですが、フラット35だけは違います。住宅支援機構の提供するフラット35のセカンドローンであれば、通常の住宅ローンタイプのフラット35と同じ条件で借り入れができるのです。通常の金融機関であれば、金利は倍以上に設定されてもおかしくはありません。その中で金利が変わらないフラット35セカンドハウスは非常に良心的なローンであると言えるでしょう。

資産価値の測り方

先ほどから何度か言っている通り、リゾートマンションという特性上、通常のマンションよりは値崩れがしやすいです。そんな中で価格が下がりにくい「資産価値の高い不動産」を測る方法として、ローンの担保価値を測るという考え方があります。金融機関から借り入れを起こす時は、融資条件として不動産に抵当権を設定(担保設定)します。つまり、金融機関は、その不動産に融資するだけの価値があるか、担保価値はどのくらいかという点をジャッジするというワケです。

そのため、仮に物件価格の全てを融資額としてローン審査を行い、審査OKであった場合には、金融期間は「担保として価値がある」と判断したことになります。当然、金融機関が「担保価値がある」と判断したからと言って、絶対に価格が下がらないというワケでありません。ただ、資産価値を測る上で一つの目安にはなります。

実は宿泊費を節約できている

リゾートマンションをセカンドハウス代わりに買っている方は、家族の「宿泊料」が浮いているという点も注目してみましょう。勿論、物件購入金額は1,000万円単位なので、宿泊費に換算したら何十年も住まなくてはいけません。しかし、毎回旅行に行く場所を決めたり、宿泊所を決めたりする手間と時間を短縮できているという点も忘れてはいけません。また、仮に温泉が付いていたりすると、その施設利用費用も浮いているという事になります。

更に、自分が所有しているマンションなので、チェックインもチェックアウトも自由です。また、どんなに繁忙期であっても予約が出来ないなんてことは当然ありません。その点もリゾートマンションを持っている大きな利点と言えます。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。リゾートマンションのイメージが少し変わった方もいるのではないでしょうか。今回は、バブル期の話も絡んでしまったので、どうしてもネガティブな話が多かったです。しかし、リゾートマンションだから価格が下がりやすいという点が決して全てのリゾートマンションにいえるワケではありません。

バブル期は全て異常な価格で推移していたという背景があります。今の不動産価格が上がっているとはいえ、株価や金利をみて異常な水準までは達していません。リゾートマンションに興味を持っている方は、その点も加味した上で検討してみください。

- 2016年10月11日