タワーマンションはなぜ上層階の方が高い?タワマン節税とは?

マンションの価格は、上層階ほど高値になる事が多いです。マンションや不動産会社によっては、上層階と下層階で数10%の価格差を付けることもあります。当然ですが、購入検討者は自分の予算内で少しでも良い条件の部屋を購入したいと思っています。今回は、タワーマンションの上層階の価格が高額な理由、そしてタワマン節税についてお話します。特にタワマン節税についてはルールが変わる可能性があるので、しっかり理解しておきましょう。

目次

1.マンション価格はどのように決めるのか?
☞眺望について
☞日当たりについて
☞ステータスや地震について

2.タワマン節税とは?

3.制度改正

4.まとめ

1.マンション価格はどのように決めるのか?

価格タワーマンションの上階が高い理由を話す前に、そもそもマンションの価格は何によって決まるかの話をしなければいけません。新築マンションの価格は、需要によって価格が決まります。需要という言葉を言い換えると「人気」になります。つまり、マンション内で人気の出そうな住戸を高く設定して、人気が出なそうな住戸を低く設定するという事です。その「人気」を決める要素は、以下のように「眺望」や「日当たり」「ステータス」などがあります。

眺望について

まず、タワーマンションの上層階は何と言っても眺望が良いです。上層階が人気になる理由は、この「眺望」が最も大きな理由であると言っても過言ではありません。但し、通常の中層階のマンションだと、絶対に上層階の方が眺望は良いワケではありません。例えば、3F付近に電線が掛かったり嫌悪施設が見えたりする場合等には、電線が掛からず嫌悪施設が見えない2F住戸の方が高額になる場合があります。また、ちょうど目の前のビルと中層階が相対する場合には、中層階の価格の方が下層階よりも安くなる可能性もあます。

ただ、タワーマンションと呼ばれるマンションは、一般的には20階建て以上のマンションです。つまり、ある程度の高さを超えれば、目の前を遮る物はありません。そのため、タワーマンションは階数と眺望の良さはほぼ比例するため、上層階の方が高額になるのです。

また、タワーマンションが建っているという事は、周辺にもある程度の高さの建物が建てられるエリアという事です。つまり、周辺に他のタワーマンションを建てる事が出来るとも言い換えられます。そのため、眺望においては上層階の方が将来不安は小さいのです。勿論、それはタワーマンションではない中低層階のマンションにも同じことが言えます。ただタワーマンションは眺望を気にする人が多いからこそ、将来的に眺望が阻害される不安を持つ人も多いです。つまりは、単純に「階数が高いから価格が高い」のではないという事です。タワーマンションの需要を加味した上で、眺望面での将来を考えても上層階の方が人気はあるので高額になるという事です。

日当たりについて

つづいて上層階が高額であると挙げられる要素としては「日当たり」です。日当たりは当然「向き」によって異なりますが、階数も重要になってきます。厳密に言うと階数というよりは、目の前がどのくらい開けているかという事です。

部屋に入ってくる陽の光の3割は空気の反射と言われているので、目の前が開けているかどうかは重要な要素になるのです。先ほども言いましたがタワーマンションが建つエリアというのは、高い建物が建てられるという事です。そのため、タワーマンションだからこそ、上層階の方が将来不安を加味した上での日当たりは良いのです。

ステータスや地震について

また、タワーマンションの上層階に住んでいるというステータスも、価格が高くなる要素の一つです。60階建てのタワーマンションの最上階に住んでいるというだけで、ステータスを感じる事ができます。また、今では少なくなってきましたが、下層階は「地震が起きると上階に潰されてしまう」という印象を持っている人もいます。これは、1995年に起きた阪神淡路大震災で起きた出来事が大きな原因と言われています。

阪神淡路大震災では、鉄筋コンクリート造のマンションも倒壊しました。本来であれば、震度7の地震に対しても倒壊しないはずの建築基準でしたが、それが倒壊したという事で「そもそも違法建築だったのでは?」という噂が流れたほどです。当時はニュースでも倒壊したマンションやアパートが映し出され、その映像を見ると、倒壊した建物の多くは下層階が潰れる形で倒壊していました。そんな出来事もあり、上層階の方が地震には強いという話が不動産を購入する消費者の間で生まれたのです。

このように、タワーマンションは上層階の方が高い理由には、キチンとした理由があるのです。単に「階数が高いから」というワケではなく、将来不安も含めた「日当たり・眺望」、そしてステータスも加味されての価格設定になっています。ただし、不動産会社によっては、一部分の住戸しか価格を付けない事もあります。その一部分の住戸を売り出し、その売れ行きを見た上で他の住戸の値付けをするという事です。そのようなマンションは「高額住戸=条件の良い住戸」というワケではないので、その点は認識しておきましょう。

2.タワマン節税とは?

節税タワマン節税とは、相続税の評価額は上層階と下層階は変わらないのに、実際の売買金額は上層階の方が高い事を利用した節税の事です。この時に節税できる税金は相続税になります。相続税は、土地は路線価を基に算出して、建物は固定資産税評価額を基にして算出します。

ここで大事なポイントは、固定資産税評価額(≒相続税評価額)は、マンション1棟で評価するということです。つまり、言い換えると、マンションのどの部屋であろうと、固定資産税表額(≒相続税評価額)は同じであり、それは固定資産税・相続税も同じであることを意味しています。

また、基本的には、路線価で換算した土地の課税評価額(相続税の基になる評価額)と固定資産税評価額で換算してた建物評価額は、現金で持っているよりも低い評価になります。

つまり、現金で持っているよりもそのお金を不動産に換えた方が相続税は抑えられるのです。そして、タワーマンションの上層階だと、売買代金が高いため、更なる節税効果が期待できるという事です。例えば、50階建てのタワーマンションが売り出されていたとします。仮にこのタワーマンションの平均坪単価が400万円だったとします。その時に、このマンションの下層階・中層階・上層階の価格イメージは以下のような金額になります。

・2階~5階までの超下層階:平均坪単価200万円(70㎡換算約4,235万円)

・~15階までの下層階  :平均坪単価300万円(70㎡換算約6,352万円)

・25階前後の中層階   :平均坪単価400万円(70㎡換算約8,470万円)

・~45階までの上層階  :平均坪単価500万円(70㎡換算約10,587万円)

・最上階までの超上層階 :平均坪単価600万円(70㎡換算約12,705万円)

つまり、4億の現金資産を持っている人が最上階の部屋を2部屋購入したとします。そうなると、不動産資産2億5,410万円、現金資産1億4,590万円になります。不動産の方が相続税は安いので、現金で4億円持っているよりは不動産資産に換えている分相続税は安くなります。

但し、現在このタワマン節税に規制がかかる動きがあります。規制とは、相続税評価額を算出する時に、階数の概念を取り入れるという事です。つまり、今までは安価な下層階も高価な上層階も相続税評価額は変わりませんでしたが、今後は高価な上層階ほど相続税評価額を高くするかもしれないという事です。そうなると、上述したタワマン節税の効果は得られなくなります。まだ正式決定がされていない規制ですが、タワマン節税を考えている方は今後の規制に注視しましょう。

3.制度改正

改正但し、現在このタワマン節税に規制がかかる動きがあります。理由としては、タワマン節税の仕組みは明らかに「不自然」であるからです。上述した通り、タワマン節税とは実勢価格と不動産評価額が異なることを利用した節税対策です。この「実勢価格と不動産評価額が異なる」という点が、普通に考えて不自然な考えなのです。

タワマン節税は、上層階の人からすると「節税になる」というメリットがあります。ただ、一方で下層階の人からすると、「なぜ上層階よりも本来の価値は低いのに、支払う税金は同じなんだ」と理不尽なことになっているワケです。

具体的な見直し内容は以下の通りです。

<対象建築物>

・建物の高さ60メートル超え、おおむね20階建て以上
・新築のタワーマンション

<改正内容>

・1棟全体の税額は変更せずに中間の階を起点に上層階は増税して低層階は減税
・おおむね1階階数が上がるごとに0.25%増税

たとえば、50階建てのマンションを例にしています。中層階の25階を基準階として「0」とおくと、最上階の50階は6.25%ほど増額、最下層階の1階は(実際には1階に部屋があるケースはほぼありませんが)6.25%ほど減額されます。つまり、最上階50階と最下層階1階の税額差は12.5%ほどになるということです。

このような見直し案が現在検討されています。ただ、これは2017年の税制改正大綱に盛り込む予定なので、2018年度からの見直しになります。

また、厳密にいうとこれは「相続税」ではなく「固定資産税」の見直しになります。ただ、上述したように、相続税の評価額は固定資産税評価額を用いているので、実質は相続税も上記のように変わるのです。

上記のような制度改正がされると、上述したタワマン節税の効果はなくなる、もしくは薄くなります。まだ正式決定がされていない規制ですが、タワマン節税を考えている方は今後の規制に注視しましょう。

4.まとめ

このようにタワーマンションの上層階の価格が高い理由は、現在の日当たりや眺望だけでなく、将来も見越した点にあります。その上層階と下層階の差額を利用したタワマン節税というのも初めて聞いた方もいると思います。ただ、先ほど言った通り、タワマン節税には規制が入る可能性があるので、今後はタワマン節税という言葉は無くなってしまうかもしれません。

- 2016年09月26日