
マンション売却にかかる税金は、所有期間や売却益の有無によって大きく変わります。
居住用マンションなら3000万円特別控除で税額がゼロになるケースも多い一方、申告を忘れると特例は一切使えず、無申告加算税と延滞税が本来の税額に上乗せされます。「自分の場合はいくらかかるのか」「節税できる特例は何か」「確定申告はいつ、どうすればいいか」という3つの疑問を、計算式・シミュレーション・特例の適用条件まで網羅して解説します。
売却前にこの記事を読んでおくだけで、税負担を数十万円から数百万円単位で変えられる可能性があります。
マンション売却にかかる税金は、売却益の有無によって種類と金額が大きく変わります。利益が出た場合にのみ課税される譲渡所得税は、所有期間が5年以下なら税率39.63%、5年超なら20.315%と差が大きく、事前に把握しておくことが損をしない売却の第一歩です。本セクションでは税金の全体像を整理したうえで、自分のケースに当てはまる税金の種類と納付タイミングを明確にします。
マンション売却にかかる税金は、大きく2つのグループに分けて考えると整理しやすくなります。1つ目は売却益が出るかどうかに関係なく必ず発生する税金、2つ目は売却益が出た場合にのみ発生する税金です。
必ず発生する税金として代表的なものは、印紙税と登録免許税の2種類です。印紙税は売買契約書に収入印紙を貼り付けることで納めるもので、契約書に記載された売却金額に応じて税額が変わります。登録免許税は、住宅ローンが残っている場合に抵当権抹消登記をおこなう際に発生します。マンションの場合、建物と土地の2つの不動産に対して1,000円ずつ、合計2,000円が目安です。
売却益が出た場合にのみ発生するのが、譲渡所得税です。譲渡所得税は正式な税目の名称ではなく、所得税・復興特別所得税・住民税の3つを合わせた総称です。売却によって利益が出なかった場合、これらの税金は一切発生しません。国土交通省の住宅市場動向調査によると、マンションの売却価格が購入金額を下回るケースも一定数存在することから、自分の売却が利益になるかどうかを先に確認しておくことが重要です。
譲渡所得税と呼ばれるものの実態は、3種類の税金がセットになったものです。それぞれの内容と税率の仕組みを正確に理解しておくことが、税額の見積もり精度を上げることにつながります。
所得税は、マンション売却によって得た利益に課される税金で、売却したマンションの所有期間によって税率が変わります。売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下の場合を短期譲渡所得、5年超の場合を長期譲渡所得と区分し、それぞれ異なる税率が適用されます。
復興特別所得税は、東日本大震災の復興財源として2013年から2037年まで課税される税金で、所得税額に対して2.1%が上乗せされます。2026年時点でも継続して課税対象となっているため、税額計算の際に忘れず加算する必要があります。
住民税は、売却した翌年度から課税される地方税で、確定申告の内容をもとに各自治体が計算して課税します。給与所得者の場合は翌年6月以降の給与から天引きされる形で増額されるため、売却の翌年に手取り額が減ったと感じる原因になります。
以下の表で、所有期間ごとの税率をまとめて確認できます。
| 区分 | 所有期間 | 所得税率 | 住民税率 | 復興特別所得税 | 合計税率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
| 10年超軽減税率(6,000万円以下部分) | 10年超 | 10% | 4% | 0.21% | 14.21% |
※所有期間の判定は売却した年の1月1日時点を基準とします(国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」)。
短期と長期では合計税率に約2倍の差があります。仮に譲渡所得が500万円あった場合、短期では約198万円、長期では約101万円の税負担となり、所有期間が1年違うだけで約100万円の差が生まれる計算です。売却タイミングの判断において所有期間は非常に重要な指標となります。
印紙税と登録免許税は、売却益の有無を問わず必ず発生する税金です。金額は小さいように見えますが、売買契約金額が大きいマンションでは印紙税だけで数万円になるため、あらかじめ把握しておくとよいでしょう。
印紙税の金額は売買契約書に記載された契約金額によって決まります。現在、不動産売買契約書には2027年3月31日までを期限とした軽減措置が適用されています。以下の表が2026年4月時点における税額の目安です。
| 売却金額 | 本則税率 | 軽減後税額 |
|---|---|---|
| 1,000万円超〜5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
| 1億円超〜5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
印紙税の納付タイミングは、売買契約書を締結するタイミングです。契約書に収入印紙を貼り付けて割印を押すことで納付が完了します。貼り忘れが発覚すると本来の税額の3倍に当たる過怠税が課されるため注意が必要です。
登録免許税は、住宅ローンが残っている場合に必要な抵当権抹消登記の際に発生します。マンションの場合、建物と土地(敷地権)の2つの不動産それぞれに対して1,000円ずつ、合計2,000円が一般的な金額です。納付タイミングは引き渡し時で、通常は司法書士が手続きを代行します。
なお、売却時に必要な住所変更登記が発生する場合も登録免許税がかかります。2026年4月1日からは住所変更登記が義務化されているため、登記上の住所と現在の住所が異なるケースでは、売却前に確認しておくことが必要です(国税庁「登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」)。
「マンション売却後に急に住民税が上がった、という相談をよく受けます。税金は売却した年にまとめて払うのではなく、翌年以降にずれて課税されるものもあるため、売却前から資金計画に組み込んでおくことが大切です」
— 不動産売却実務における税務相談の現場より
税金の種類とタイミングを正確に把握しておくと、売却後の資金計画が崩れるリスクを大幅に下げられます。特に住民税は売却の翌年6月以降に給与天引きが増える形で課税されるため、売却益が出た年の翌年の生活費に余裕を持たせておくことが現実的な対策といえます。
マンション売却の税金は種類が多く、納付タイミングもバラバラなため、初めて売却する方がもっとも戸惑うポイントのひとつです。印紙税は契約時に現金で準備が必要ですし、住民税は売却の翌年に急増するため、手元の現金が一時的に不足するリスクがあります。売却の前段階で税金の全体像を把握し、資金計画に余裕を持たせておくことが、安心して売却を進める最大のコツだと感じています。
マンション売却で税額を正確に把握するには、譲渡所得の計算を4つの手順に分けて進めることが確実です。売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた金額が譲渡所得となり、そこに所有期間に応じた税率を掛けて最終的な税額が算出されます。取得費の計算には減価償却の処理が必要なため、この部分を正確に把握するかどうかで納税額が数十万円単位で変わることもあります。
譲渡所得の計算式は次のとおりです。
譲渡所得 = 売却価格 - 取得費 - 譲渡費用
この式を成立させるために必要な数字は、売却価格・取得費・譲渡費用・所有期間の4つです。売却価格は不動産売買契約書に記載された金額です。固定資産税の精算金を受け取っている場合は、その金額も売却価格に加算して計算します。
取得費とは、マンションを購入した際にかかった費用の合計から建物部分の減価償却費を差し引いた金額です。土地については経年によって価値が変動しないため、減価償却の対象になりません。建物部分のみ減価償却費の計算が必要です。
譲渡費用とは、売却のために直接かかった費用のことで、仲介手数料や売買契約書に貼付した印紙税が該当します。一方、引越し費用や抵当権抹消にかかった司法書士報酬は譲渡費用に含まれないため、注意が必要です。
取得費の計算は、マンション売却の税額計算でもっとも複雑な部分です。建物と土地に分けて考える必要があり、計算の精度が税負担に直接影響します。
まず、購入時の売買契約書を確認し、建物価格と土地価格が区分されているかを確認します。新築マンションの売買契約書には通常、建物価格と土地価格が明記されています。区分の記載がない場合は、固定資産税評価額の比率で按分する方法か、国税庁が公表している建物の標準的な建築価額表を参考にして建物価格を算出します。
建物価格が確認できたら、次に減価償却費を計算します。居住用マンション(マイホーム)の場合の計算式は以下のとおりです。
減価償却費 = 建物購入価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
マンションに多い鉄筋コンクリート造(RC造)または鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の場合、償却率は0.015です。経過年数は築年数ではなく、自分が取得してから売却するまでの期間を指します。6ヶ月以上の端数は1年として切り上げ、6ヶ月未満の端数は切り捨てます。
以下に構造別の償却率をまとめます。
| 建物の構造 | 法定耐用年数 | 居住用償却率 |
|---|---|---|
| 鉄筋コンクリート造(RC造) | 47年 | 0.015 |
| 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) | 47年 | 0.015 |
| 鉄骨造(骨格材肉厚4mm超) | 34年 | 0.020 |
| 木造 | 22年 | 0.031 |
取得費に含められる費用は建物価格・土地価格だけではありません。購入時に支払った仲介手数料、不動産取得税、登録免許税、印紙税、購入後に行ったリフォーム費用なども取得費に加算できます。購入時の書類をできる限り残しておくことが、税負担を減らすうえで重要です。
具体例で確認します。2010年に鉄筋コンクリート造のマンションを建物価格2,500万円・土地価格1,500万円の合計4,000万円で購入し、2026年に売却するケースを想定します。所有期間は16年です。
譲渡費用として計上できるかどうかは、「売却のために直接必要な費用かどうか」が判断基準です。国税庁の定める基準では、売却に直接要した費用のみが譲渡費用として認められます。
以下の表で認められるものと認められないものを整理します。
| 譲渡費用になるもの | 譲渡費用にならないもの |
|---|---|
| 売却時の仲介手数料 | 引越し費用 |
| 売買契約書の印紙税 | 抵当権抹消登記費用 |
| 売却のための測量費用 | ハウスクリーニング費用 |
| 借家人への立退料 | 修繕・リフォーム費用(売却後) |
| 売却のための建物取壊し費用 | 住宅ローンの繰上返済手数料 |
仲介手数料は売却価格の3%+6万円(税別)が上限と定められており、マンション売却では最大の譲渡費用になるケースがほとんどです。売却価格が3,000万円であれば仲介手数料は最大96万円(税込約105.6万円)となり、この金額を譲渡費用として差し引けることで課税対象の譲渡所得を圧縮できます。
購入当時の売買契約書や領収書が見当たらない場合、取得費を証明できる資料がないことになります。その場合、税法上の救済措置として「概算取得費」を使うことができます。概算取得費とは、売却価格の5%を取得費として計算する方法です(国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」)。
たとえば4,000万円で売却したマンションの場合、概算取得費は200万円です。実際の購入価格が3,000万円だったとすると、取得費が2,800万円も少なく計算されることになり、その分だけ譲渡所得が多くなって税負担が増えます。
概算取得費はあくまで資料がまったく見当たらない場合の最終手段です。不動産会社からもらった重要事項説明書、金融機関からの融資関連書類、当時の通帳の振込履歴なども取得費を裏付ける参考資料になることがあります。また、売却前に購入当時の不動産会社に問い合わせると、取引記録が保管されているケースもあります。購入時の書類は売却まで確実に保管しておくことが、結果的に大きな節税につながります。
計算式を見ると複雑に感じるかもしれませんが、分解すれば手順は明確です。なかでも見落としがちなのが、取得費に仲介手数料やリフォーム費用も含められる点です。購入後に行ったリフォームの領収書が残っていれば取得費に加算でき、譲渡所得を圧縮できます。売却を検討し始めたら、まず購入時の書類を引っ張り出して整理することをお勧めします。概算取得費5%に頼らずに済むかどうかで、税負担が大きく変わります。
マンション売却における税率は、所有期間が5年を超えるかどうかで約2倍の差が生まれます。譲渡所得が同じ500万円であっても、5年以下では税額が約198万円、5年超では約101万円と、約97万円の差が出る計算です。ただし所有期間だけで売却タイミングを判断するのは危険で、マンション価格の推移や3000万円特別控除の活用可否なども組み合わせて総合的に考える必要があります。
譲渡所得税の税率は、所有期間5年を境に「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」の2種類に分類されます。短期と長期で税率がほぼ倍違うのは、短期間での転売による投機的取引を抑制するという政策的な意図があるためです。
以下の表で3つの区分の税率をまとめます。
| 区分 | 所有期間の条件 | 合計税率 |
|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 売却年1月1日時点で5年以下 | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 売却年1月1日時点で5年超 | 20.315% |
| 10年超軽減税率(6,000万円以下部分) | 売却年1月1日時点で10年超の居住用 | 14.21% |
実際に数字で差を確認してみます。譲渡所得が600万円あったとして、短期と長期でそれぞれ税額を計算すると次のようになります。
同じ利益でも税額に約116万円の差が生まれます。この差は、売却価格が高いほどさらに拡大します。利益が1,000万円であれば短期と長期の差は約193万円、利益が2,000万円であれば差は約387万円にもなります。
所有期間の計算で多くの方が見落とすのが「起算日の基準」です。不動産の譲渡所得における所有期間は、実際に購入してからの経過年数ではなく、売却した年の1月1日時点でカウントします(国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」)。
具体的な例で確認します。2020年7月に購入したマンションを2025年10月に売却する場合、実際の経過期間は5年3ヶ月です。しかし判定基準は売却年(2025年)の1月1日時点であるため、2020年7月から2025年1月1日までの約4年6ヶ月が所有期間とみなされます。5年に満たないため短期譲渡所得となり、税率は39.63%が適用されます。
同じ物件であっても、2026年1月以降に売却すれば、2026年の1月1日時点での所有期間が5年6ヶ月となり、長期譲渡所得として20.315%が適用されます。数ヶ月の売却タイミングの違いが、百万円単位の税額差を生む可能性があります。
売却活動は一般的に媒介契約から成約・引き渡しまで平均3〜6ヶ月かかります。5年の区切りが近い場合は、逆算してこの活動期間を見込んだ上で動き始めることが大切です。年末近くになっても成約に至らなければ、翌年1月1日以降の引き渡しを目指す交渉をするだけで長期扱いになるケースもあります。
競合サイトの多くは所有期間ごとの税率の説明にとどまりますが、実際にどれほどの差が生まれるかを具体的な価格帯で把握しておくことが売却判断に直結します。以下は取得費と譲渡費用を差し引いた後の譲渡所得別・所有期間別の税額比較です。
| 譲渡所得 | 短期(39.63%) | 長期(20.315%) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 200万円 | 約79万円 | 約41万円 | 約38万円 |
| 500万円 | 約198万円 | 約102万円 | 約96万円 |
| 1,000万円 | 約396万円 | 約203万円 | 約193万円 |
| 2,000万円 | 約793万円 | 約406万円 | 約387万円 |
| 3,000万円 | 約1,189万円 | 約610万円 | 約579万円 |
居住用マンションの場合、3000万円特別控除が使えれば譲渡所得が3000万円以下であれば税額はゼロになります。つまり、上記の税額比較が問題になるのは、3000万円特別控除を適用できない場合(投資用、居住実態なし、過去3年以内に同特例を使った場合など)や、控除後もなお譲渡所得が残る場合です。
首都圏のマンション価格が上昇している昨今、購入価格を大幅に上回る金額での売却が増えており、3000万円特別控除を超える譲渡所得が発生するケースも出てきています。その場合は所有期間が税負担に直接影響するため、売却タイミングの検討が重要度を増しています。
税率が低くなる5年超を待つことで節税できる一方、売却を先延ばしにしている間にもマンションの資産価値は変化します。東日本不動産流通機構の「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年)」によると、築年数が経過するにつれて成約価格は下がる傾向があり、特に築6年から築25年の間は5年経過するごとに数百万円単位での価格下落が見られます。
税率の差だけで考えると、たとえば譲渡所得500万円のケースでは短期と長期の税額差は約96万円です。しかしその間にマンション価格が200万円下落すれば、節税額96万円から200万円の値下がり分を差し引くと、むしろ早期売却のほうが有利だったという計算になります。
売却タイミングを判断する際は、以下の3点を組み合わせて考えるとよいでしょう。
2026年4月時点では、マンション市況は都市部を中心に高止まりの傾向が続いています。相場が高いうちに売却できる機会という観点では、税率を待つよりも現在の価格水準で売却を決断することが合理的なケースも少なくありません。不動産会社に査定を依頼し、現在の売却見込み額と税額を組み合わせたシミュレーションをしてから判断するのが、もっとも現実的なアプローチといえます。
「あと半年待てば長期になるのに」という相談はよく聞きますが、待つことで本当に得をするかどうかは個別の状況によります。特に首都圏の高額マンションは、税率の差以上に価格の変動幅が大きいことがあります。また売却活動には3〜6ヶ月かかるため、「5年超えてから動き始めよう」では実際の引き渡しが間に合わないケースもあります。年明け後に引き渡しを設定するという交渉をうまく活用することも一つの選択肢として覚えておくとよいでしょう。
マンション売却の税負担を左右する最大の要素は、5つの節税特例をどれだけ使いこなせるかです。居住用マンションの売却であれば、3000万円特別控除だけで数百万円から最大で約1,189万円(譲渡所得3,000万円・短期の場合)の税負担がゼロになります。ただし各特例には適用条件があり、複数を同時に使えないものもあるため、自分の状況に合った特例を事前に把握しておくことが欠かせません。
3000万円特別控除は、居住用マンションを売却した際に譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける制度です。正式名称は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。所有期間を問わず適用でき、譲渡所得が3,000万円以下であれば税額がゼロになります。
主な適用要件は以下のとおりです。
この特例でとくに見落とされやすいのが「3年に1度」という制限です。過去2年以内に同特例を使っていた場合は適用できません。また、売却益が3,000万円を超える場合でも、超過部分だけに税率がかかります。たとえば譲渡所得が4,000万円なら、3,000万円を控除した残り1,000万円に対してのみ課税されます。
夫婦共有名義でマンションを保有している場合、それぞれが要件を満たせば夫婦双方で3,000万円ずつ適用でき、合計6,000万円まで控除が可能な点も覚えておくとよいでしょう。
注意が必要なのは、同特例と住宅ローン控除は原則として同時に使えない点です。売却後に新居を住宅ローンで購入する場合、どちらの節税効果が大きいかをシミュレーションしたうえで選択する必要があります。
10年超所有軽減税率の特例は、売却年の1月1日時点で所有期間が10年を超える居住用マンションを売却した場合に、通常の長期譲渡所得税率20.315%よりさらに低い税率が適用される制度です。
税率の仕組みは、課税譲渡所得の6,000万円以下の部分に14.21%、6,000万円超の部分に20.315%が適用されます。通常の長期税率と比べて6,000万円以下の部分で6.105%の差があり、譲渡所得が6,000万円あった場合には単純計算で約366万円の節税効果となります。
この特例の大きなメリットは、3,000万円特別控除と同時に適用できる点です。たとえば3,000万円特別控除を差し引いた後の課税譲渡所得に対してさらに軽減税率を適用できるため、両方を組み合わせることで大幅な節税が可能になります。
主な適用要件をまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所有期間 | 売却年1月1日時点で10年超 |
| 用途 | 居住用財産(マイホーム)の売却 |
| 前回適用からの間隔 | 前年・前々年に同特例を受けていないこと |
| 売却相手 | 特別な関係にある者への売却でないこと |
買い替え特例は正式には「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」といい、マンションを売却して新しい居住用不動産に買い替える際に、売却によって生じた譲渡所得への課税を将来の売却時まで繰り延べる制度です。売却時点での税金がゼロになるため、手元資金を新居の購入に充てやすくなります。
ただし課税が免除されるわけでなく「先送り」であることが重要な点です。将来また売却する際に課税が発生するため、永住するつもりの物件へ買い替える場合に効果が高く、近い将来また売却する可能性がある場合には慎重に判断する必要があります。
買い替え特例と住宅ローン控除は同時に使えません。どちらが有利かは個人の状況によって異なります。野村証券FinWingの試算例によると、譲渡所得3,300万円・住宅ローン4,000万円で買い替えた場合、3,000万円特別控除を適用した場合の節税額は約627万円に対し、住宅ローン控除の還付額は約309万円であり、3,000万円特別控除が有利という結果が出ています。譲渡所得が大きいほど3,000万円特別控除の優位性が高まりますが、譲渡所得が少額であれば住宅ローン控除のほうが有利なケースもあります。
マンションを売却して損失が出た場合に使えるのが、譲渡損失の損益通算と繰越控除です。この特例には2種類あり、状況によって使い分けます。
1つ目は「居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」です。売却損が出た年に新たな居住用不動産を住宅ローンで購入する場合に適用できます。売却損を給与所得などと相殺して所得を圧縮し、控除しきれなかった損失は翌年以降3年間繰り越せます。なお、この特例は住宅ローン控除との併用が可能です。2026年4月時点では、2025年12月31日までの譲渡を対象とした期限付き特例であるため、2026年以降の売却での適用可否は最新の税制改正大綱を確認する必要があります。
2つ目は「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」で、買い替えをしない場合でも適用できます。ただし売却したマンションに売却前日時点で10年以上の住宅ローン残債があり、かつ売却価格がローン残債を下回っていることが条件です。対象となる損失額はローン残債から売却価格を差し引いた金額が上限となります。
以下の表で2種類の違いを整理します。
| 項目 | 買換えあり特例 | 買換えなし特例 |
|---|---|---|
| 買い替えの要否 | 新居の取得が必要 | 買い替え不要(賃貸転居でも可) |
| 住宅ローン残債の条件 | 新居でローン10年以上が必要 | 売却前日にローン残債>売却価格 |
| 所有期間 | 売却年1月1日時点で5年超 | 売却年1月1日時点で5年超 |
| 住宅ローン控除との併用 | 可能 | 可能(ただし所得ゼロの年は不可) |
| 繰越控除の所得上限 | 合計所得3,000万円超の年は不可 | 合計所得3,000万円超の年は不可 |
相続によって取得したマンションを売却する場合、通常の売却とは異なる特例が使える可能性があります。「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」です。相続時に課税された相続税のうち、売却したマンションに対応する一定額を取得費に加算できる制度で、取得費が大きくなることで譲渡所得が圧縮され、課税額を抑えられます。
適用の主な要件は次の3つです。相続または遺贈によって財産を取得した者であること、その財産の取得に際して相続税が課税されていること、相続開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却することです。この「3年以内」という期限は非常に重要で、期限を過ぎると特例が使えなくなるため、相続後に売却を検討している方は早めに動くことが大切です。
なお、相続したマンションの所有期間は、被相続人(亡くなった方)が取得した日から引き継いで計算します。たとえば被相続人が20年前に購入していたマンションを相続した場合、相続直後に売却しても長期譲渡所得として扱われます。
以下の表で5つの特例の基本情報を一覧で確認できます。
| 特例名 | 主な条件 | 節税効果 | 住宅ローン控除との併用 |
|---|---|---|---|
| 3000万円特別控除 | 居住用、3年に1度 | 最大3,000万円控除 | 不可 |
| 10年超軽減税率 | 所有10年超の居住用 | 税率14.21%(6,000万円以下部分) | 可(3,000万円控除と併用可) |
| 買い替え特例(課税繰延) | 所有10年超・買替先の条件あり | 課税を将来に繰延 | 不可 |
| 譲渡損失の損益通算・繰越控除 | 損失発生時・5年超所有 | 給与所得等と最大3年相殺 | 条件付きで可 |
| 相続取得費加算の特例 | 相続後3年以内の売却 | 相続税を取得費に加算 | 状況による |
特例の選択を誤ると、数百万円単位で損をする可能性があります。特に買い替えを検討している方は「3,000万円特別控除か住宅ローン控除かの選択」が最大の分岐点です。譲渡所得が大きければ圧倒的に3,000万円控除が有利ですが、譲渡所得が小さい場合は住宅ローン控除のほうが長期的に有利なケースもあります。また、相続したマンションの売却では「3年以内」という期限が見落とされやすい落とし穴です。売却を急いでいない方でも、この期限だけは必ず意識しておくことをお勧めします。
マンション売却後の確定申告は、会社員であっても年末調整とは別に自分で手続きが必要です。譲渡所得が発生した場合に申告が義務となるのはもちろん、売却で損失が出た場合でも特例を活用するためには申告が必要になるケースがあります。申告期限は売却した翌年の2月16日から3月15日で、2026年売却分(令和8年提出分)の期限は2027年3月15日となる見込みです。申告を怠ると本来の税額に加えて最大20%の無申告加算税と延滞税が別途課されます。
確定申告の要否は、売却によって利益が出たかどうかと、使いたい特例があるかどうかの2軸で判断します。大きく3つのケースに整理できます。
1つ目は、譲渡所得(売却益)が発生した場合です。売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた金額がプラスになった場合、譲渡所得税の申告・納税義務が生じます。会社員で年末調整を受けていても、不動産の譲渡所得は給与所得とは別に分離課税で申告しなければなりません。3,000万円特別控除によって税額がゼロになる場合でも、特例を使う以上は確定申告が必要です。申告しなければ特例の適用は認められません。
2つ目は、譲渡損失が発生し損益通算や繰越控除の特例を使いたい場合です。売却で損失が出た場合は原則として確定申告の義務はありませんが、損失を給与所得などと相殺して税金を取り戻せる損益通算の特例を使う場合には申告が必須です。
3つ目は、譲渡所得がゼロまたはマイナスで特例も使わない場合です。このケースに限っては確定申告は不要です。ただし、売却損失があるのに特例要件を確認せずに申告しないと、本来受けられた節税の機会を失うことになります。
以下の表でケースごとの申告要否を確認できます。
| 状況 | 申告の要否 |
|---|---|
| 譲渡所得(売却益)が発生した | 必須 |
| 3,000万円特別控除など特例を使いたい(税額ゼロでも) | 必須 |
| 損益通算・繰越控除の特例を使いたい | 必須 |
| 譲渡損失が出たが特例を使わない | 原則不要 |
| 売却益がなく特例も使わない | 不要 |
確定申告の期間は毎年2月16日から3月15日です。2026年分(2026年中に売却した分)の申告期間は2027年2月16日から3月15日となる見込みです。売却後すぐに書類を整理し始めることで、申告期間直前の慌て準備を避けられます。
申告方法は3種類あります。e-Tax(電子申告)、税務署への書類持参、郵送です。近年はスマートフォンやPCから手続きができるe-Taxが普及しており、計算ミスの自動チェック機能があるため初めての方でも利用しやすい環境が整っています。
必要書類は売却の状況によって異なりますが、基本的に必要なものは以下のとおりです。
| 書類 | 入手先 |
|---|---|
| 売買契約書(売却時) | 不動産会社から交付 |
| 売買契約書(購入時) | 手元保管のもの |
| 取得費・譲渡費用の領収書類 | 手元保管 / 不動産会社 |
| 登記事項証明書 | 法務局 |
| 住民票の写し | 市区町村 |
| 譲渡所得の内訳書 | 国税庁ホームページからダウンロード |
| 確定申告書(第一表・第二表・分離課税用) | 国税庁ホームページまたは税務署 |
| 特例を使う場合の添付書類 | 特例の内容による |
申告の流れは大まかに4段階です。まず必要書類を収集し、取得費と譲渡費用を計算して譲渡所得を算出します。次に使える特例の確認と申告書への記入を行い、期限内に提出・納税して完了です。所得税の納税は3月15日が期限ですが、住民税は確定申告の内容をもとに翌年6月以降に課税される仕組みのため、所得税の納税後も資金を確保しておく必要があります。
申告期限を過ぎた場合や申告自体をしなかった場合に発生するペナルティには、無申告加算税と延滞税の2種類があります。どちらも本来の税額に追加で課されるため、申告を怠ると最終的な負担額が大きく膨らみます。
無申告加算税は、申告をしなかったことへの罰則です。令和7年分以降の税率は次のとおりです。
| 状況 | 納付税額50万円以下 | 50万円超300万円以下 | 300万円超 |
|---|---|---|---|
| 税務調査前に自主申告 | 5% | 5% | 5% |
| 調査の事前通知後に申告 | 15% | 15% | 15% |
| 調査後(期限後申告・決定) | 15% | 20% | 30% |
たとえば譲渡所得税が200万円あった場合に無申告のまま調査を受けると、50万円以下の部分に15%・残り150万円に20%が課されて、合計37.5万円の無申告加算税が発生します。これに本来の税額200万円を合わせると237.5万円の支払いになります。
延滞税は、納税が期限内に行われなかった場合に日数に応じて課される税金です。2026年4月時点の特例税率は、法定納期限の翌日から2ヶ月以内は年約2.4%、2ヶ月を超えると年約9.1%が適用されています。税務調査で発覚した場合は調査時点までの期間分すべてが対象となるため、発覚が遅れるほど金額が膨らみます。
申告を忘れていたと気づいた場合は、税務調査の通知を受け取る前に自主的に期限後申告をすることで、無申告加算税の税率を5%に軽減できます。気づいたら早めに動くことが重要です。
マンション売却に関わる税金のうち、住民税だけは所得税とは異なるタイミングで納付します。この点が見落とされやすく、売却の翌年に「急に引き落とし額が増えた」と驚く方が多いです。
所得税(復興特別所得税を含む)は、確定申告書を提出する際、つまり翌年2月16日から3月15日の申告期間中に合わせて納付します。一方、住民税は確定申告の内容をもとに各自治体が計算し、翌年度の6月から課税が始まります。
給与所得者の場合、勤務先を通じた特別徴収(給与天引き)で毎月の住民税が増額される形で徴収されます。2026年にマンションを売却して売却益があった場合、翌2027年6月以降の給与から天引き額が増えることになります。
自営業者など普通徴収(自分で納付書で支払う方法)を選んでいる場合は、市区町村から納税通知書が届き、通常年4回に分けて支払います。いずれの場合も、住民税の増加分は売却後1年以上経ってから発生するため、事前に資金計画に組み込んでおくことが欠かせません。
売却益が500万円あった場合の住民税額は、長期譲渡所得なら約25万円、短期譲渡所得なら約45万円です。この金額が翌年の住民税に上乗せされる形で請求されます。
確定申告の相談で一番多いのが「売却益が出たのに申告しなかった」というケースです。税務署はマンションの所有権移転登記情報を把握しているため、申告漏れは時間差で必ずチェックされます。税務調査が来てから慌てて申告すると無申告加算税が最大30%まで上がるケースもあります。一方、気づいた時点で自主的に申告すれば5%で済むため、忘れていた場合でも早急な行動が有利です。また「3,000万円控除で税額ゼロだから申告しなくていい」という誤解も多く見られますが、控除を使うためには申告が必須である点は絶対に忘れないでください。
売却益が出なかった場合、譲渡所得税はかかりません。売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた結果がマイナスまたはゼロになれば、課税の対象外です。また、売却益が出た場合でも居住用マンションであれば3000万円特別控除を使えることが多く、譲渡所得が3000万円以下なら税額ゼロになります。国土交通省の住宅市場動向調査によると、マンションの売却価格が購入金額を下回るケースも一定数存在するため、まず自分の売却が利益になるかどうかを計算してみることが重要です。
はい、会社員でも確定申告が必要です。マンション売却による譲渡所得は給与所得とは別に分離課税で計算されるため、勤務先での年末調整とは別に、自分で確定申告書を提出しなければなりません。3000万円特別控除を使って税額がゼロになる場合でも、特例の適用自体に確定申告が必須です。申告しなければ特例の適用は一切認められません。期限は売却した翌年の2月16日から3月15日です。
原則として、譲渡損失のみが発生した場合は確定申告の義務はありません。ただし、損失を給与所得などと相殺して税金を取り戻せる損益通算の特例を使いたい場合は確定申告が必須です。所有期間が5年超の居住用マンションで損失が出た場合には特例の対象になる可能性があるため、要件を確認してから判断するとよいでしょう。節税になるケースでは申告することで所得税の還付を受けられることもあります。
マンション売却で譲渡所得が発生すると、翌年度の住民税に上乗せされる形で課税されるためです。所得税は確定申告時に納付しますが、住民税は売却した翌年の6月以降に前年の所得をもとに計算・課税される仕組みです。会社員の場合、給与から天引きされる住民税の月額が翌年6月から増額されます。たとえば2026年にマンションを売却した場合、2027年6月以降の住民税が増えることになります。金額は長期譲渡所得なら譲渡所得の5%、短期譲渡所得なら9%が目安です。
購入時の売買契約書が見当たらない場合は、売却価格の5%を取得費とみなす「概算取得費」を使って計算します。たとえば4000万円で売却した場合、取得費は200万円として扱われます。実際の購入価格が3000万円だった場合と比較すると、取得費が2800万円少なくなり、その分だけ譲渡所得が多くなって税負担が増します。契約書以外にも、購入時の重要事項説明書・登記識別情報・銀行の振込履歴・当時の不動産会社への問い合わせなどで一部の費用を確認できるケースがあります。書類が残っているものを可能な限り集めてから計算するとよいでしょう。
同時に使うことはできません。マンション売却時に3000万円特別控除を適用した場合、売却した年の前年・翌年・翌々年に購入した新居では住宅ローン控除が使えなくなります。どちらを使うべきかは個人の状況によって異なります。譲渡所得が大きい場合(目安として約350万円以上の長期・約700万円以上の短期)は3000万円特別控除が有利で、譲渡所得が少額であれば住宅ローン控除のほうが合計節税額が大きくなる場合があります。売却前に不動産会社や税理士に試算を依頼してから判断するのが安全です。
相続で取得したマンションの所有期間は、自分が相続した日ではなく、亡くなった方(被相続人)が取得した日から引き継いで計算します。たとえば被相続人が20年前に購入していたマンションを相続した場合、相続後すぐに売却しても所有期間は20年超として扱われ、長期譲渡所得の税率が適用されます。また、相続後3年以内の売却であれば相続税の一定額を取得費に加算できる「相続取得費加算の特例」が使える可能性があります。この3年という期限は見落とされやすいため、相続後は早めに売却の可否を検討することをお勧めします。
固定資産税は1月1日時点の所有者が1年分全額を負担する義務があります。そのため売却した年の固定資産税は法的には売主が全額納めることになります。ただし実務上は、引き渡し日を境に日割りで精算し、引き渡し日以降の分を買主から売主に支払ってもらう「固定資産税精算」が慣行として行われています。売主が受け取る精算金は売却価格の一部として扱われ、譲渡所得の計算に含まれます。一方、管理費や修繕積立金の精算金は譲渡価格には含まれません。
居住用マンションと比べていくつかの違いがあります。まず3000万円特別控除や10年超軽減税率の特例など、マイホーム向けの節税特例は一切使えません。また、売主が課税事業者の場合、建物部分に消費税が課税されます。ただし2年前の課税売上が1000万円以下の免税事業者であれば消費税は不要です。譲渡所得の計算方法や税率の仕組み(5年超で20.315%、5年以下で39.63%)は居住用と同じです。投資用物件では特例の恩恵がない分、所有期間による税率の差がより直接的に手残り額に影響します。
期限後でも申告できます。期限後申告として扱われ、本来の税額に加えて無申告加算税と延滞税が課されます。ただし税務調査の事前通知を受け取る前に自主的に申告すれば、無申告加算税は5%に軽減されます。税務調査後になると最大30%まで上がります。また延滞税は遅延日数が長くなるほど増加するため、気づいた時点でできるだけ早く申告することが重要です。「どうせペナルティを払うなら…」と放置しても問題は解決せず、発覚が遅れるほど負担が大きくなります。
税金の計算や特例の適用可否については税理士への相談が最も確実です。不動産売却に詳しい税理士であれば、取得費の計算から適用できる特例の判断、確定申告書の作成まで一括してサポートを受けられます。費用の目安は申告書作成代行で5万円から15万円程度が一般的です。また、税務署でも確定申告期間中には無料の相談窓口が開設されており、自分で申告する場合の疑問を解消することができます。不動産会社が提携税理士を紹介してくれるケースもあるため、売却を依頼している不動産会社に相談してみるとよいでしょう。
税金の相談で一番多く耳にするのは「申告の必要があるとは知らなかった」「特例を使えると思っていなかった」という声です。マンション売却は一生に何度もある経験ではないため、事前に制度を調べた人とそうでない人の間で、最終的な手残り額に数百万円の差が生まれることがあります。特に3000万円特別控除は申告しなければ適用されないという点、相続したマンションの3年以内売却という期限、所有期間が1月1日基準で判断されるという落とし穴の3点は、多くの方が最初から知っておくだけで大きな節税につながります。税金の仕組みを正確に理解して売却に臨むことが、後悔しない売却への近道です。
マンション売却を経験した方70名を対象に、売却時の税金に関する実態調査を実施しました。
| 回答 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| しっかり調べた | 31名 | 44.3% |
| ある程度調べた | 26名 | 37.1% |
| あまり調べなかった | 9名 | 12.9% |
| まったく調べなかった | 4名 | 5.7% |
「しっかり調べた」「ある程度調べた」を合わせると81.4%の方が事前に税金を調べており、税金への関心の高さが伺えます。一方、約18%は十分な調査をしないまま売却に臨んでいます。税金の仕組みは所有期間や特例の有無で手残り額が大きく変わるため、査定依頼と並行して基本的な税金の知識を整理しておくことをお勧めします。
| 回答 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 活用した(税額ゼロになった) | 38名 | 54.3% |
| 活用した(税額が減った) | 20名 | 28.6% |
| 活用しなかった(要件を満たさなかった) | 8名 | 11.4% |
| 特例の存在を知らなかった | 4名 | 5.7% |
特例を何らかの形で活用できた方は全体の82.9%にのぼり、居住用マンションの売却では多くのケースで節税が実現できています。一方、5.7%の方は特例の存在自体を知らなかったと回答しています。特例は自動適用されず確定申告が必須のため、売却前に適用要件を確認し、必要に応じて税理士への相談も検討するとよいでしょう。
| 回答 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 自分で期限内に完了した | 29名 | 41.4% |
| 税理士に依頼して期限内に完了した | 28名 | 40.0% |
| ギリギリだったが期限内に完了した | 10名 | 14.3% |
| 期限を過ぎてしまった | 3名 | 4.3% |
期限内に申告を完了した方は95.7%と高い割合でしたが、約14%は直前まで準備が整わなかったと回答しています。確定申告には売買契約書・取得費の領収書類・譲渡所得の内訳書など多くの書類が必要です。売却が決まった時点から書類を整理し始めることで、翌年の申告期間に余裕を持って対応できます。
| 回答 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 事前に把握していた | 28名 | 40.0% |
| 不動産会社から説明を受けて知った | 22名 | 31.4% |
| 売却後に初めて知った | 16名 | 22.9% |
| 現在も詳しくわからない | 4名 | 5.7% |
売却後に初めて住民税の増額を知った方は22.9%にのぼり、翌年の家計に影響が出たケースも複数見られました。住民税は売却の翌年6月から増額されるため、売却益がある場合は確定申告後も翌年度の住民税額を見込んだ資金計画が必要です。給与天引き(特別徴収)の方は特に翌年の手取り額の変化を事前に把握しておくとよいでしょう。
| 回答 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 税理士に相談した | 24名 | 34.3% |
| 不動産会社に相談した | 27名 | 38.6% |
| 税務署の無料相談を利用した | 8名 | 11.4% |
| 誰にも相談しなかった | 11名 | 15.7% |
| 合計(いずれかに相談) | 59名 | 84.3% |
何らかの専門家に相談した方は84.3%にのぼり、多くの方がプロのサポートを活用していることがわかりました。相談しなかった15.7%の方の中には、申告手続きや特例の判断に不安を感じたという声もありました。不動産会社が提携税理士を紹介してくれるケースも多いため、売却を依頼する段階から税金について相談できる体制を作っておくと、手続きがスムーズになります。