現在の住まいの売却する前提で、新居を探す人も多いかと思います。 その場合の悩みの多くは住宅ローンではないでしょうか。 ここでは買い替えを前提とした場合のローンについて紹介します。スムーズな買い替えを実現するためにもきちんと理解して役立てて下さい。
買い替えローンとその他のローンでは何が違うのでしょうか?まずは買い替えローンのご説明をした後に、「通常の住宅ローン」「つなぎローン」との違いをご説明します。
買い替えローンとは、「今所有している物件を売却しても残ってしまうローンと、新しく物件を購入するためのローンを、合わせて組むことができる住宅ローン」です。
例えば、今所有しているマンションを売り、新たに5,000万円のマンションを全額ローンで購入する場合。 仮に今のマンションには3,000万円のローンが残っていたとします。しかし、そのマンションの査定額は「2,500万円」でした。 つまり、500万円ローンが残ってしまうので、この500万円分は手持ち資金から捻出しなくてはいけません。 その「残った500万円」と「新しく買う物件5,000万円」の計5,500万円のローンを組むことが出来るのが「買い替えローン」です。
通常の住宅ローンは、その物件の借り入れのためだけに組むローンです。つまり、前項の例で言うと「新たに買う5,000万円のマンション」だけのローンしか組めないということになります。 従って、買い替えローンではなく通常のローンを組むと、上記「500万円」のローンは手持ち資金で捻出する必要が出てきます。
買い替え時に今の自宅のローンが全部返済できずに、その返済できなかった分の金額を手持ちで捻出できない、若しくはしたくないときは通常の住宅ローンは使えません。 その時に使うのが「買い替えローン」という事です。
つなぎローンと買い替えローンは全くの別物とお考え下さい。つなぎローンとは、「不動産を担保に入れられない時に一時的に無担保で借入を行うローン」の事です。
例えば、土地を購入し、建物を建築する時。その建築費3,000万円の支払い方法が「建物上棟時(外観だけ完成している状態)に30%の900万円を支払い、建物引渡時に70%の2,100万円を支払う」と取り決めていたとします。
その際、上棟時にかかる900万円は通常の住宅ローン、買い替えローンでは組めません。理由は「上棟の段階では建物完成前なので抵当権(担保)が付保出来ない。つまり無担保ではお金を貸せない」という点と、そもそも「買い替えではない」という点が理由です。
その時に使用するのが無担保でもローンを組める「つなぎローン」です。 つなぎローンは無担保な分金利が高いので、建物が完成をして通常の住宅ローンを組める段階(抵当権を付保出来る段階)になったら、すぐに低金利の住宅ローンに組み替える方がほとんどです。 従って「通常の住宅ローンを組むつなぎのためのローン」という意味で「つなぎローン」と言われています。
「買い替えローンは便利」だと思われた方もいらっしゃると思います。メリットも勿論ありますが、デメリットもありますので、こちらを把握した上でご判断ください。
まず大きなメリットは「手持ち資金を捻出しなくて済む」という点です。「1-1」の例でお話しをすると500万円分は手持ちで捻出する必要があり、捻出できなければ、マンションの売却が出来ない状態になります。 不動産価格は市況によって大きく変化しますので、必ずしもローンの残債が全て返済できる金額で売れるとは限りません。その状態に陥った時に救いの手段となるのが買い替えローンです。
もう一つのメリットは、金利が通常の住宅ローンと同じと言う事です。買い替えローンは、新たに購入する物件に抵当権を付保しますので、その購入する物件以外での借り入れは本来出来ません。 出来たとしても、その部分だけ金利が高く設定されてもおかしくはありません。しかし、買い替えローンでは購入物件だけではなく、売却物件のローン残額分も含めて、全て同じ金利になる点はメリットと言えます。
大きなデメリットは「手続き関係が煩雑になる」という事です。例えば今のマンションをA銀行でローンを組んでおり、売却をしてもローンが残ってしまうとします。 そして、新たに購入するマンションはB銀行でローンを組むとします。その時には、A銀行が付保した抵当権の抹消手続きと、B銀行が付保する新たなマンションへの抵当権の設定、及び新たなマンションへの所有権の登記が同日になります。 つまり、新たにマンションを購入する場合には、売却するマンションと購入するマンションの引渡日を同日にする必要があります。そこが大きなデメリットです。
例えば、中古マンションに住み替えの場合には、今のマンションが「いつ売れるか?」そして新たな中古マンションを「いつ買えるか?」が分からないので、売るマンションと買うマンションの2つを同日にすることは、かなりの調整と運が必要です。
また、新築マンションへの買い替えの場合は、新築マンション側の「引渡日」は決まっています。 その引渡日が1年後か半年後か2か月後かは、物件によって違いますが、その引渡日に合わせて、今のマンションを売却しなければいけません。例えば、今のマンションの売却活動をしていて「新築マンションの引渡まで半年ある」場合には、売却する中古マンションも半年後の入居が前提です。 購入する方は、入居が「半年後」と、かなり先になってしまうので、すぐに引越したい方などは検討から外れます。このように売却活動がしにくくなるというデメリットがあります。
もう一つのデメリットは「審査の厳しさ」にあります。当然担保となる不動産以外に借入金額が増えるので、金融機関の審査が厳しくなります。
注意点は「売却額の見積もり」です。例えば、新たに4,000万円のマンションを買うために、今のマンションを売却するとします。売却するマンションに3,000万円のローンが残っていて、査定額2,500万円。 つまり500万円のローンが残ってしまうので、新たなマンションと合わせて4,500万円の買い替えローンを組む必要があります。その前提で、新たなマンションの売買契約を締結していたとします。
しかし、この査定額2,500万円はあくまで査定額ですので、実際には2,300万円でしか売れない可能性もあります。 そうなると、ローンの残額は500万円ではなく、700万円になってしまい、ローン残額も合わせて4,500万円の前提で審査をしていた買い替えローンが、4,700万円の借り入れで再審査になってしまいます。
もし再審査になり否決されてしまうと、新しく購入するマンションの契約が不履行になり、違約金が発生しての契約解除になる可能性があります。 従って、売却する側の査定額は低く見積もっておき「この金額でなら売れる」という金額で買い替えローンを審査しましょう。 また、新しく購入するマンションの方で「停止条件付契約」が締結出来るとしたら、そちらで契約をしましょう。 停止付条件契約とは、「今のマンションが○月〇日までに売れたら契約は続行します。もし売れなかったら契約は白紙解約になります」という内容の契約です。
住み替えローンは非常に便利なローンですが、諸々デメリットと注意点があります。特に「2-3」でお話しをした注意点は違約金が発生する可能性もありますので、十分に注意が必要です。 ただ、仕組みやデメリットをしっかり理解しておけば、非常に便利なローンですので、ご理解の上で使用して頂ければ幸いです。
マンションの売却価格をより詳しく知りたい方、具体的に売却を検討されている方は、お気軽にご相談ください。
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