不動産を相続する時の登記・税金から売却までの手続きをポイントごとに解説

相続した不動産を売却する時は、相続、売却、税務申告など、さまざまな専門知識を必要とする手続きが待ち構えています。そのため、個々の場面で専門家のアドバイスを受けながら進めて行く必要があります。

ただ、専門家に相談するにしても、大まかなスケジュールや最低限の専門用語を知っておかないと、次に何をすべきか、いま何を話しているのかわからないまま事が運んで行ってしまい、思わぬ障害や損失に発展する恐れもあります。

そこで今回は、相続不動産を売却する際の基本的な知識について解説していきたいと思います。専門家に相談する前の予備知識として覚えておくと、相続を円滑に進めることができます。

■不動産を相続した時の手続き

まず、相続について簡単に説明します。 相続とは、親などの死亡により、子や孫などの血縁者が亡くなった方(被相続人)の財産を譲り受けること で、被相続人の財産(預貯金や不動産など)については、その名義を相続人に変更する必要があります。

譲り受ける人(相続人)が単独の場合にはさほど面倒な手続きにはなりませんが、相続人が複数の場合は「 遺産分割協議 」という話し合いの場を設けて財産の配分方法などを決める必要があり、ほとんどのケースで専門家にアドバイスを請うことになります。相続不動産の売却において関わる専門家とは、「司法書士」「弁護士」「不動産会社」になります。

Ⅰ.専門家の役割

司法書士が扱う事案は「登記」になります。相続不動産の名義人を変更する際は、「 相続登記 」を行う必要があり、司法書士が相続人の代理人となって手続きを行います。

弁護士が扱う事案は「相続トラブルを法律に則って話し合いで解決を図る」ことです。相続は財産が絡むため、弁護士はトラブルが発生しないよう仲裁役となって財産分与などの調整を行います。

不動産会社は「相続不動産の売却」を扱います。売却が進まないことには相続も完了しませんので、相続案件の経験が豊富な不動産会社への依頼が不可欠になります。

Ⅱ.相続の手続きはどのように進めて行くのか?

相続人が単独の場合は、早い時期に司法書士に依頼して相続登記を行います。一方、相続人が複数の場合は揉める可能性もあるため、相続人全員が納得する形で配分方法を決める必要があります。

そのため、相続人全員が遺産分割協議の場で財産の配分について話し合いますが、財産の配分などで揉める可能性がある場合は、この時点から弁護士が仲裁役として関わるケースもあります。

遺産分割協議が妥結したら、弁護士(司法書士でも可)によって作成された「 遺産分割協議書 」にその内容が記載されます。遺産分割協議書は、相続において最も重要な位置付けになる書面ですので、大切に保管する必要があります。

また、不動産の相続では名義変更の手続きを行わなければなりません。単独相続でしたら相続人は自ずと決まりますが、複数の場合は、「 代表相続人 」が相続するか、共有名義とするかに分かれます。一般的に、複数の相続人が共有名義人となるケースは、より複雑なトラブルに発展する可能性が高いことから、多くの場合で代表相続人方式が採用されます。

ちなみに、代表相続人とは複数の相続人がいる場合に遺産分割協議において決められる幹事役で、法律的に何らの権限がある存在ではありません。相続不動産を売却する場合は、代表相続人が相続不動産の名義人となり、司法書士に相続登記を依頼し、名義を代表相続人に変更します。

相続不動産の売却を円滑に進めるためには、相続登記を早期に完了させる必要があり、各相続人の迅速な協力が必須となります。相続登記が完了したら、相続不動産を売却して現金化し、代表相続人が遺産分割協議書の内容に基づいて配分します。

なお、必ずしも売却だけが財産分配の方法ではない場合もあり、例えば、相続人の一人が自宅用として相続した家に住むというケースも当然考えられます。その場合、不動産を相続した人が現金を支払うなどして分配に替える旨を、遺産分割協議書に記載することになります。

■事前に準備しておくことで、より円滑に手続きを進めることができる

突然の事故死などで相続が発生する場合は、特別な相続手続きが必要になりますが、ほとんどの場合、高齢による老衰や病気などを理由に亡くなるのではないかと思います。そんな亡くなる前の段階で相続の準備をするのは、縁起が悪いと感じられるかも知れません。

でも、誰だっていつかは死ぬ時が来るのです。相続の準備を前もってしておけば、亡くなった時のゴタゴタの中でも不案内な心理状態を軽減することができます。「備えあれば憂いなし」です。

まず、事前に準備が可能な事として「 遺言 」があります。遺言の方式としては、多くの方が「公正証書遺言」を採用されます。もし、被相続人が遺言もままならない状態であれば、相続人の間で代表相続人を決定しておくだけでも、相続手続きの迅速化につながります。

また、事前に弁護士・司法書士から必要な手続きや書類などの指示を受けておくと、相続が発生した時、何をすべきか理解した状態で臨むことができます。

この事前準備については、あくまで手続きを円滑に進める事を目的とした選択肢のひとつであり、前もって相続の準備を行うことに抵抗を感じるという場合は、状況に応じて専門家に指示を仰ぎながら進めて行くこともできます。

■相続不動産の売却では不動産会社選びが最も重要!

遺産分割協議をもって代表相続人を選定し、相続登記が完了したら、次は売却に関する具体的な行動に移ります。相続不動産の売却を不動産会社に依頼する際は、次の2つのポイントに着目して不動産会社を選ぶようにします。

まず1つ目のポイントは、 相続案件の経験が豊富な不動産会社を選ぶこと です。相続財産のうち現金については金額が明確ですし、有価証券や貴金属などについては現金化が比較的容易なため、分配に支障を来たすことも少ないと思われます。

しかし、不動産の場合は、代表相続人を決め相続登記が完了してから買主を探し始めますので、売りに出してから売却が完了するまで、通常、2~6ヶ月程度の期間を要します。その間、相続人は売却が決まるのをただ待っているしかありません。

後述しますが、相続税には納付期限があるため、できるだけ早く売却できるに越した事はありません。また、葬儀費用や相続登記費用など、それまでに掛かった費用を精算する必要もあるため、現金化が早くなればそれだけ負担も軽減されます。

これらの事情から、相続不動産の売却は一般の物件以上にスピーディな対応が求められます。相続不動産の売却に精通している不動産会社であれば、それらの事情を考慮した売却活動を展開してくれますので、経験豊富な不動産会社への依頼が不可欠になってくるのです。

ポイントの2つ目は、 相場に裏付けされた査定金額を提示する不動産会社を選ぶこと です。当たり前だろうと感じられるでしょう。ただ、不動産会社の中には、自社で売却依頼を獲得するために無理して他社よりも高い査定金額を提示する会社もあります。

【関連】 適切な価格で売却に出すことが必要

希少エリア内の物件であれば、中には相場より高く売れることもありますが、そうではない普通の物件であれば、インターネット等で相場価格が衆知されるようになった現在では、ほぼ相場に近い金額に落ち着くことになります。

また、遺産分割協議で想定した価格を相場よりも高く見積った場合、配分額の問題もあって高く査定した不動産会社に心が動いてしまうかも知れません。そんな売主側の弱みにつけ込み、取り合えず高い査定で依頼だけは獲得しながら積極的な営業活動をせず、売主側がしびれを切らし始めた頃に、待ってたとばかりに相場よりも大幅に低い金額で買い取りを申し出るような業者もあります。査定が高いという理由だけで飛びつくのは、危険を伴う恐れもあるのです。

では、どうやって、相続案件に精通し、適正な査定価格で早期売却を目指す不動産会社を探せば良いのでしょう?ヒントは“専門家は専門家を呼ぶ”です。例えば、遺産分割協議書を作成した弁護士や相続登記を依頼した司法書士から不動産会社を紹介してもらうという方法もあるでしょう。相続を扱う専門家なら、相続に強い不動産会社を知っている可能性が高いということです。

■相続不動産の売却に伴う費用と税金

相続不動産の売却では、相続税をはじめとする税務申告や相続手続きに要する費用について覚えておく必要があります。特に、相続税については申告までの日程がタイトであり、加えていくつかの特例制度もあることから、迅速に進めて行かなければなりません。

Ⅰ.税金

①相続税

まず、相続税の手続きの流れを表で説明します。

時期 やること
(1) 被相続人の死亡,(相続発生) 市町村役場に死亡届提出(死亡の翌日から7日以内)
葬儀(領収証保管)
遺言書の有無を確認
法定相続人の確定(一定範囲内の親族→戸籍により確認)
被相続人が残した財産と債務の確認
(2) 3ヶ月以内 相続放棄するか限定承認(財産と債務の相殺)するかの期限
(3) 4ヶ月以内 遺産分割協議の確定(遺産分割協議書作成)
不動産の相続登記
(4) 10ヶ月以内 相続税申告および相続税納税期限
(5) 3年10ヶ月以内 相続取得費加算特例の適用期限,→相続不動産の売却に伴う所得税減税の特例

次に、表の各項目の詳細について説明します。

(1)の被相続人が残した財産と債務の確認作業として、相続財産の課税評価を算出します。

土地 死亡した年の路線価が基準となる
小規模宅地等の特例が適用される場合は評価減となる
建物 固定資産税評価額が課税の対象となる
有価証券 死亡時の時価が課税の対象となる
保険金 非課税枠(500万円×法定相続人の数)を差し引いて課税される
現金 金額がそのまま課税の対象となる

同じく相続人が残した債務と、葬儀費用を算出します(住宅ローンは団信保険によって残債がなくなる場合は非該当)

債務 →死亡後、確実に相続される債務
葬儀費用 →領収証の金額

相続財産の額から債務と葬儀費用を差し引いた金額に対して、基礎控除額を差し引きます。

基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数

最後に、相続税の総額および各相続人に配分される税額などを計算します。

  • 相続税の総額を計算 → 相続税率一覧表を参照
  • 各相続人に税額を配分する
  • 兄弟姉妹、孫の税額は20%加算
  • 配偶者の税額軽減特例(1億6000万円または法定相続分のいずれか高い金額まで)

これらの準備を、相続税申告・納税の期限(死亡後10ヶ月以内)の前に完了させておきます。

ちなみに、基礎控除や税額特例などによって相続税が掛からない場合に、申告が不要なケースと必要なケースがあります。

相続税が掛からないケース 申告
課税対象となる評価額が基礎控除以下である 不要
配偶者の税額控除を利用する 必要
小規模宅地等の特例を利用する 必要
上記以外の特例・控除制度を利用する 必要

なお、 相続不動産が売れていない状況 では、実際いくら相続したのか決まっていないため、各相続人が相続税をどの程度負担するのか確定していません。この場合は、 「法定相続分」という民法上の規定に則って一旦納税を済ませ、売却が完了したら、あらためて売却金額をもとに更正(修正)請求する ことになります。

②所得税

次は、不動産の売却後に利益が出た場合に課せられる「 譲渡所得税 」です。相続財産の売却に伴う譲渡所得税では、「 相続取得費加算特例の適用 」が重要なポイントになります。これは、 「相続を知った日の翌日から3年10ヶ月以内」に売却が完了していれば、納税済みの相続税が売却経費として、売却利益から控除することができる という制度です。

また、譲渡所得税の申告に際して相続不動産の「 取得費 」の算出が必要になりますが、先祖代々受け継いだ不動産ですと取得費が算出できない場合もあります。そのため、 税務上の規定で、売却代金の5%に相当する額を「 概算取得費 」として算出 します。

③印紙税

不動産の売買契約書に貼付する収入印紙代です。

④固定資産税・都市計画税

相続してから売却が完了するまでの相続不動産の固定資産税・都市計画税です。

Ⅱ.相続不動産の売却に係る費用

①司法書士に対する報酬

相続登記において掛かる費用です。内訳は、登録免許税と司法書士に対する報酬です(登録免許税は税金ですが、登記費用に含んで精算するため便宜的に費用に分類します)。

②弁護士に対する報酬

遺産分割協議書の作成費用および権利調整業務に対する報酬です。

③仲介手数料(不動産会社に対する報酬)

仲介手数料は不動産を売却したときに不動産会社に支払う報酬です(計算式:売却代金の3.24%+64800円)。

④家財撤去費

売却するためには、家屋内の家財道具を撤去する場合がありますので、その費用も見ておきます。

⑤抵当権抹消登記費用

住宅ローンや被相続人が残した債務がある場合、売却代金の一部をそれらの返済に充てることになりますが、相続不動産を担保にそれらの債務を借りている場合は、通常、担保(抵当権)を抹消しなければ売却できません。そのため、司法書士に対する 抵当権抹消登記の費用が発生します。

■まとめ

あらためて相続不動産の売却の手続きをおさらいしますと、遺産分割協議(弁護士)、相続登記(司法書士)、相続税の申告および納税(※弁護士・不動産会社)、不動産の売却(不動産会社)、譲渡所得税の申告および納税(※不動産会社)という流れになります。

それぞれの場面で、専門家のアドバイスが必要となることがおわかり頂けるでしょう。※印については、対応してくれる専門家もいるという意味の表記ですが、該当するのが税関連であるため、できればこの部分にも対応してもらえる方が助かるはずです。

そうなると、相続不動産の売却を全般的にサポートしてくれる存在が必要であり、その存在として最も適しているのは不動産会社 と言えるでしょう。不動産会社が主導して動けば、弁護士・司法書士との連携、売却手続き、税申告とほとんどの場面で関わってもらえるため、相続の全体像を理解しながら進めて行くことができます。

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