不動産売買契約当日はいくつかの書類を持参する必要があります。 売主側としては、手付金を受領したり、場合によっては仲介手数料を支払ったりと当日お金も動くためしっかりと書類の用意をしておくようにしましょう。
不動産売買契約日当日には以下のものを持参する必要があります。 不動産会社の担当者は、同時に数人のお客さんの担当をしているため、詳しく伝えることを忘れていたり、伝えなくとも分かるだろうと考えたりしていることもあるため注意が必要です。
宅地建物取引士による重要事項の説明後には、重要事項説明書と売買契約書に署名と捺印をしますが、この時使用する印鑑を持参する必要があります。
契約書や重要事項説明書に押す印鑑については、印鑑証明書を挺出する必要はありませんができれば実印を用意しておきましょう。
不動産売買契約時には、運転免許証や各種健康保険証など公的機間が発行した身分証明書の挺出が必要となります。
これは、犯罪収益移転防止法という法律により、不動産の売買取引を行う場合には、マネーロンダリングやテロ資金供与防止のため、不動産仲介会社が本人確認をすることが義務づけられているからです。
本人確認に必要な書類(いずれか1点)売主が共有名義の場合には、全員の本人確認が必要となります。
不動産売買契約書にはその契約金額に応じて収入印紙を貼る必要があります。 不動産売買契約書にかかる印紙税に関しては、平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成されたものは軽減税率が適用されます。 収入印紙は契約金額によって変わり、その税率は以下の通りです。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
10万円を超え50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円を超え100万円以下のもの | 1,000円 | 500円 |
100万円を超え500万円以下のもの | 2,000円 | 1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下のもの | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5,000万円を超え1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え10億円以下のもの | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え50億円以下のもの | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
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不動産売買契約で売主は買主から手付金を受領しますが、受領した金額を記載した領収書を用意する必要があります。 一般的に手付金は1割程度で、100万円や50万円とキリの良い数字とする場合もありますが、売主と買主との交渉で金額を決めることができます。 手付金は、放棄することで契約を解約できる解約手付としての役割と果たすため、買主としてはできるだけ多く、売主としてはできるだけ少なく支払うのがお得になるため、お互いの納得できる金額を事前に決めておく必要があります。 なお、領収書にも印紙税が課されますが、不動産売買契約においては、不動産会社が売却した領収書には印紙を貼る必要がありますが、一般の個人が売主となる場合には印紙を貼る必要はありません。
仲介手数料は、不動産会社に売却を依頼して売買契約が制約した場合に支払う必要があるもので、法律で上限額が決められています。
契約金額 | 仲介手数料の上限 |
---|---|
200万円以下 | 5% |
200万円を超え400万円以下 | 4%+2万円 |
400万円超 | 3%+6万円 |
上記金額は、あくまでも上限額なので必ずしも上限額を支払う必要がありません。 最近では仲介手数料を半額とする場合や売主の仲介手数料を受け取らない不動産会社も増えていますが、一般的には上限額を仲介手数料としている会社が多いです。 仲介手数料の値引き交渉をしたい場合には売買契約締結前に不動産会社と交渉しておきましょう。 なお、仲介手数料は契約時に支払う場合や決済時に支払う場合があるため支払いのタイミングについても事前に話し合っておく必要があります。 また、仲介手数料は「成約」に対して支払われる手数料ですが、不動産売買契約は契約が成立した後、引き渡しまでに解約となることも少なからずあります。 その際、仲介手数料を支払うかどうかも不動産会社によって異なる点に注意が必要です。
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不動産の所有者は固定資産税を支払う必要がありますが、その請求は1月1日時点の所有者に届きます。 一般的に不動産売買契約では決済日の前日までを売主負担とし、決済日以降を買主負担とするため、固定資産税納税通知書に記載されている金額を日割計算して、決済日にお支払いを受けることとなります。
現在は登記識別情報通知という書類となっていますが、これは権利証のことで、昔から所有している不動産の場合にはそのまま権利証です。 これは、その不動産の所有者を示すもので契約日当日には間違いなくその不動産の所有者であることを示す大切な書類となります。 書類は複数にわたる場合もあるため、事前に不動産会社に確認してもらっておくと良いでしょう。
契約日当日には上記書類を持参する必要がありますが、書類を忘れた場合にはどうすれば良いのでしょうか。
不動産売買契約においては、実は法律的には署名があれば押印も要らないのですが、後日のトラブルを防ぐために署名と印鑑はセットの方が良いでしょう。 印鑑は認印でも構わないため、実印を忘れた場合には近くの印鑑屋で購入して利用しても良いでしょう。 不安であれば、後日実印をついたものと差し替えるという方法もあります。
不動産売買契約においては本人確認が法律で義務付けられているため、身分証明書を忘れてしまっては法律上契約ができないことになります。 忘れてしまった場合、トラブルを避けるためには取りに帰る方が良いでしょう。
収入印紙は必ずしも当日に貼る必要はありません。 ただし、貼っておかないと過怠税が課されるため後日必ず貼っておくようにしましょう。
領収書を忘れた場合には、買主に了承をもらって後日のお引き渡しでも良いかお願いしてみると良いでしょう。 なお、領収書は何でも構わないので近くの店で購入して領収書を発行しても構いません。
仲介手数料の支払いを契約日に設定していた場合に、仲介手数料を持参するのを忘れた場合には後日振り込みとするか、もしくは、当日受領した手付金から支払うと良いでしょう。
不動産売買契約日当日の権利証や固定資産税等納税通知書の提示は義務ではありません。 忘れた場合には当日は最新の登記事項証明書で所有者を確認すると共に、後日コピーを郵送するなりメールするなりして間違いないことを確認する形で良いか確認すると良いでしょう。
心配であれば事前に不動産会社の担当者に預けておいても良いでしょう。
不動産の売買契約では売主が立ち会うのが前提ですが、お互いの日程が合わない場合には代理人を立てて契約を結ぶ場合もあります。
その際に追加で必要となる書類は、以下の2点です。
遠方での契約の場合等、代理人を立てる場合には契約日までに必ず用意しておくようにしましょう。
不動産売買契約は金額の大きな契約なだけに、契約当日に用意しておくべき書類を忘れてしまっては買主の信頼を失い、契約そのものがなくなる可能性もあります。
事前に必要なものを確実に用意しておくと共に、忘れてしまった場合には買主に了承をもらって最善の方法を選ぶようにしましょう。