賃貸業界の老舗「エイブル」は実はCHINTAIとも繋がりが深い!?

賃貸住宅提供の大手

エイブルは、賃貸仲介業の大手の1つです。北海道から沖縄まで全国をカバーしており、店舗数も最多クラスの業者です。賃貸仲介業者は規模が大きければ大きいほど、取り扱い物件数も多くなる傾向があります。物件数が多いと、顧客が納得できる物件選びがしやすくなります。大手の業者が勢力を保つことができている要因の1つに、この満足度の高さがあります。とりあえず店舗に立ち寄った顧客からもしっかりと要望をヒアリングすれば、希望通りの物件を紹介出来る可能性が高いのです。

エイブルは現在、東京や名古屋でもビジネスを積極展開していますが、もともとは大阪で生まれた会社です。大阪生まれだけあって、大阪地区でのビジネスは現在でも活発です。もちろん大阪から離れた地域でもエイブルを利用できますが、特に大阪周辺地域で賃貸住宅を探すなら、エイブルが強みを発揮してくれるかもしれません。

店舗形態

エイブルは、直営店のほかにネットワーク店を持っています。ネットワーク店とは聞きなれない名称かもしれませんが、エイブルではFC店のことをネットワーク店と呼んでいるのです。賃貸仲介業では店舗数の多さが重要です。エイブルもFC形態を利用することで、店舗網を充実させていることがわかります。

ネットワーク店という名称からは、FC店も直営店もしっかりと本部と結ばれている状態が伝わってきます。特にFC店は本部との結びつきが弱くなると、エイブルの全体戦略に合わなくなるリスクがあります。こうしたリスクをなくすためにも、FC店との密接なつながりを保つことが求められています。ネットワーク店という名前通り、強固なネットワークでFC店が全体戦略にあった営業活動を行うことができます。

FC加盟店数は?

日本全国では、エイブルのFC加盟店はどのくらいあるのでしょうか。エイブルではFC加盟店を随時募集しています。そのため、時期による変動はあるものの、2016年2月時点で376店のFC店を構えています。

エイブルの店舗展開の特徴としては、直営店が多いことが挙げられます。FC店のほうがコストを下げやすいのでFC店が大半を占める賃貸仲介業者もあります。ただ、エイブルでは2016年2月時点で、直営店数がFC店数を上回っています。国内の直営店数は416店であり、FC店よりも10%ほど多いことがわかります。これらに加えて、海外店舗が10店あります。エイブルは大阪からスタートした地方の賃貸仲介業者でしたが、海外に進出できるまでの体力がついてきたことがわかります。

直営店ではエイブルのサービス品質を維持しやすいメリットがあります。一方、直営店が多すぎると、コストダウンが不十分になってしまいます。FC店を増やすほうが、業界環境が悪化した際にも対応がとりやすくなります。今後FC店が増加すれば、エイブルの利益率が向上することが期待されます。

さらに、エイブルではFC店を募集する際に、重点的に募集する地域を明確に示しています。エイブル店舗が少ない空白地帯でFC加盟店を増やしたいからです。中には県庁所在都市が重点募集地域となっている都道府県もあります。こうした空白地帯を埋めることができれば、さらにシェアを拡大できる可能性があります。今後、FC店を順調に増やすことができるかが、エイブルが成長できるかに大きく影響するといえます。

顧客サポート

 

賃貸住宅を借りる人は、他の住宅から引っ越してくることになります。引っ越しの際にはトラブルがつきものです。運送中に荷物が破損したり、紛失したりする可能性があるからです。また、コストが予想以上にかかってしまうこともありえます。エイブルではこうした引っ越しに対する不安を最小化できるよう、引っ越し取次業務を行っています。

賃貸住宅を借りる人は必ず引っ越しをして来ることになります。住宅を借りる手続きだけでも神経を使うのに、さらに引っ越しの負担までかかってしまうのです。エイブルはこの引っ越しをサポートすることで、顧客の負担を減らしています。単に引っ越しを取り次ぐだけではなく、保健にも自動加入させてくれます。万一、引っ越し中に荷物が破損した場合なども、保険があれば安心できます。

顧客を丁寧にサポートすることは、顧客を扱う業種としては当然といえます。しかし、自社の期間ビジネスにおけるサポートにとどまらず、セットで利用してもらえるサービスを提供している点が、エイブルの強みといえます。まとめて依頼したほうが顧客としても安心感があるほか、エイブル側はより多くの収益を得られるメリットがあります。顧客とエイブルがウィン―ウィンの関係になれるのです。

このほかにも、エイブルの仲介で住宅を借りた人向けに「エイブルの入居者保険」を提供しています。入居前の物件探し、その後の引っ越しに加えて、入居後の安心も提供しているのです。きめ細かなサービスを提供し顧客満足度が上がれば、エイブルは収益アップとリピーター獲得につなげることができます。特に、引っ越しの多い人が何度もエイブルのサービスを利用してくれれば、エイブルの収益に大きく貢献します。何度も賃貸仲介業者を使っていれば、各業者の良しあしが次第に分かってきます。こうした事情に詳しい顧客の心をしっかりとつかみ、継続的に利用してもらえればエイブルの顧客サポート体制が役立ったことになります。

運営企業の状況

状況1968年に創業したエイブルは今や全国でビジネスを展開しています。事業の状況は、1人暮らし世帯が増加するなどの影響もあり、おおむね好調です。2015年10月期には37.476百万円の売上高を達成したことからも、エイブルのビジネス規模が大きいことがわかります。

また、事業を営む地域も、東京・大阪・名古屋の三大都市圏に加えて、広島や仙台などの地方都市へも拡大しています。地方都市でも大学があれば下宿する学生がいるほか、大手企業の支社に転勤してくる会社員などが賃貸住宅を探すことがあります。海外展開もすでにスタートしていることから、前向きに進んでいる様子がうかがえます。

基幹となる賃貸仲介業においては、2015年10月期に15万件を超える実績をあげました。1日あたり400件以上の仲介を行った計算になります。日々、エイブルを通じて住宅を借りている人がいるのです。

CHINTAIブランドもエイブル系

「ネットでCHINTAI」や「CHINTAIで部屋さがそう」といったフレーズを聞いたことがある方が多いのではないでしょうか。このCHINTAIブランドは、エイブルの系列です。人によっては、エイブルの名前よりCHINTAI(公式)のほうがなじみ深いかもしれません。
CHINTAIは海外不動産の仲介は行っていないものの、国内不動産の取扱は多数あります。エイブルでなかなか物件が見つからない場合でも、CHINTAIで希望の物件が見つかることがあります。

複数のブランドを併存させることは、一見すると効率が悪いように思えるかもしれません。しかし、CHINTAIとエイブルはいずれも知名度が高いブランドです。エイブルはこれらのブランド価値を存分に生かしながら、より多くの住宅を仲介することを目指しています。

CHINTAIはどちらかといえばマンションやアパートの集合住宅の仲介に強いといえます。そのため、集合住宅を探す人はCHINTAI、戸建て住宅を探したい人はエイブルが支援することができます。相乗効果がうまく発揮されるよう、今後も工夫しながらパートナーシップを強めていくことが期待されます。

事業の多角化について

エイブルでは、不動産オーナーとの信頼関係を高めるためにも、不動産管理業に取り組んでいます。賃貸オーナーは、家賃の滞納や入居者からのクレームに対応する必要があります。こうした対応を煩わしいと感じ、せっかく持っている物件を賃貸に出していないオーナーもいると考えられます。

エイブルではオーナーに代わって、家賃をはじめとする料金の管理のほか、クレーム処理などを行うサービスを提供しています。賃貸仲介業と合わせて取り組むことで、新たな賃貸物件を提供してもらえる可能性が高まるメリットがあります。

その他の事業には、人材派遣業があります。エイブルの賃貸仲介ビジネスでは、多くのオーナーと入居希望者を結び付けています。これと同様に、人材を募集する組織と、仕事を探している人材とをマッチングさせるのが人材派遣業です。どちらもよりよいマッチングの実現を手助けするビジネスである点が共通しています。

さらに、コインパーキング事業や社宅代行業にも取り組んでいます。オーナーが活用を検討している土地が賃貸住宅に向かない場合でも、パーキングにするなどの代案を提案することができます。複数の土地や物件を持っているオーナーも少なくないので、オーナーをトータルサポートし、エイブルへの信頼を高めることが期待できます。

エイブルの将来性

エイブルは、創業の地である大阪とその周辺、人口が集中し利益を上げやすい東京大都市圏では店舗数が多い反面、地方部の店舗網はあまり充実していません。店舗数が少ないと、数の少なさ以上に物件を確保しづらくなり、ビジネスが難しくなります。

もちろん、収益性の高い都市部の案件を多数手がけることは重要です。しかし人口減少によって都市部の人口もいつかは減少していきます。それまでに新たなビジネスに積極的に取り組むことに加え、地方部の顧客開拓に取り組むことも求められます。

現在のエイブルは、CSR活動にも積極的であることから、資金力に余裕があると考えられます。CMをはじめとする広告宣伝活動に力を入れることも有益ですが、将来を見据えた先行投資がしっかりできるかどうかが、今後問われていきます。

スポーツ支援に積極的

 

スポーツ支援エイブルは、企業の社会的責任(CSR)活動の一環として、スポーツ支援に積極的に取り組んでいます。スポーツの支援といえばCSRの定番ではありますが、エイブルは競合他社と比べてもスポーツ支援に積極的だといえます。では、エイブルがどのようなスポーツや選手を支援しているのかを見てみましょう。

まず、知名度が高い選手としては、女子スキージャンプの高梨沙羅選手のスポンサーとなっています。高梨選手はオリンピックや世界選手権などでの活躍が多くみられます。日本でもスキーといえば高梨選手を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。エイブルにとっても高梨選手の活躍が自社の知名度やブランドイメージ向上につながっています。

さらに、男子テニスのダニエル太郎選手ら若手のほか、首都大学野球の支援も行っています。特定のスポーツや選手だけを支援するのではなく、幅広い活動を行っていることがわかります。

加えて、現役選手の引退後のキャリアをサポートするアスリートネットワークを支援する取り組みも行っています。単に試合に出て目立つ選手にだけ支援しているわけではないのです。企業がスポーツを支援する目的には、CSRのほかに知名度の向上があります。野球やサッカーのチームを保有する企業があることからもわかります。エイブルではもちろん知名度アップにも役立ててはいますが、CSR活動として目立ちづらい部分での支援も行っているのです。

エイブルの競合

全国に豊富な直営店と、店舗網拡大に役立つFC店を数多く持つエイブルですが、競合する業者も数多く存在します。そこで、エイブルにどのような競合が存在するのか、エイブルにとって脅威となる競合の特徴は何かを理解しておきましょう。

アパマンショップ

まず、最大の競合といえるのがアパマンショップです。アパマンは国内最多の店舗数を誇る賃貸仲介業者です。物件数がモノをいう業界だけに、店舗数で劣っているエイブルはアパマンの脅威をひしひしと感じることになります。ただ、アパマンとエイブルでは1点、大きな違いがあります。その違いとは、直営店の割合です。全国に1,000以上の店舗を展開するアパマンでは、FC店が8割以上を占めています。これに対し、エイブルは過半数が直営店です。経営効率の観点からすれば、FC比率の高いアパマンに軍配が上がります。しかし、エイブルもしっかりと利益を出せていることを考えると、品質の維持をしやすい直営店が多いことは評価すべきです。量の確保はアパマン、質の確保はエイブルが、それぞれ特に重視していることがわかります。

レオパレス21

その他の競合としては、レオパレス21が挙げられます。レオパレスは上場企業であることから、常に投資家の厳しい視線にさらされながら経営を行っています。そのため、よりよい経営を目指す意識がどうしても求められることになります。2015年から2016年にかけて、レオパレスは物件の入居率を高めてきています。入居率の高さは、営業努力や質の高さを示しています。レオパレスがより魅力的な物件を多数提供すれば、エイブルにとっての脅威度は増すと考えられます。

- 2016年05月20日