今、日本で社会問題なっているのが「空き家問題」です。
空き家が増えすぎたことによって、空き家の有効利用や空き家の処分などを進めています。
今回は、そんな空き家問題にスポットを当てて、空き家対策に取り組む自治体や民間企業のサービスを6つ紹介します。
目次
1.自治体の「解体費用」の助成について
☞自治体の助成内容について
☞補助金の対象となる地域や状態
☞補助金の対象となる施設
2.自治体の「空き家活用」の助成について
☞空き家活用の助成内容
☞補助金の対象となる施設
3.自治体のリフォーム費用の助成について
☞自治体のリフォーム費用助成内容について
☞そのほかの助成内容
4.東急住宅リースの空き家サービス
☞賃借人の手間を減らすサポート体制
☞貸し出し期間のカスタマイズ
5.積水ハウスグループの空き家サービス
☞グループ間でのシナジー効果
☞グループ間の長期サポート体制
6.リログループの空き家サービス
☞リログループの空き家サービスの特徴
☞リログループのサービスと空き家の相性
7.まとめ
1.自治体の「解体費用」の助成について
日本では、平成25年時点で空き家が800万戸超ある状態のため、国としても空き家を減らすためのさまざまな取り組みをしています。
なぜなら、空き家が増えることで「犯罪リスク」「災害リスク」が上昇し、エリアの資産価値まで下げてしまう可能性があるからです。
ただ、国は大枠の対策を描いているだけで、空き家の助成に関しては自治体が主導で行っています。
自治体の助成内容について
各自治体で助成内容が異なるので、結論から言うと、空き家が存在する役所へ問い合わせましょう。
自治体が展開する助成内容としては、以下の内容であることが多いです。
・不良住宅や空き家の解体(除去)費用の補助金
・不良住宅や空き家の所有者を特定する補助金
・「空き家住宅の実態把握」などにかかる補助金
上記のうち、一般所有者に関係があるのは「解体費用」の補助になります。
ただ、空き家を解体する場合には、例外もありますが所有者の許諾が必要なため、自治体が所有者特定などに関しての費用も国から助成されます。
解体費用の補助金に関しては、多くの自治体が「(除去工事費)+「除去により生じる損失補償費」×8/10」の費用を補助します。
補助金の対象となる地域や状態
空き家解体の補助金が出るとはいえ、補助金が出る地域や状態は以下のように定められています。
・空き家等対策計画に定められた空き家であること
・空き家が居住環境や地域活性化を阻害していること
まずは、自分の空き家が空き家等対策計画の則っているかどうかを確認しましょう。
例として、東京都大田区の空家等対策のガイドライン※1を紹介します。
また、先ほどいったように、自分の空き家が居住環境や地域活性化を阻害していたりする場合のみ、補助金の対象となる点は認識しておきましょう。
上記のようなケースは、たとえば「ボロボロの空き家周辺の景観を乱している」や「広大な土地であり解体すれば大きな商業施設が建築できる」のようなケースです。
この場合は、自治体としては補助金を出してでも、空き家を処分したいということです。
※1東京都大田区 空家等対策計画
http://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/sumaimachinami/kenchiku/akiyatoutaisakukeikaku.html
補助金の対象となる施設
空き家の解体時に補助金の対象となるかは、前項に該当した上で、さらに以下の施設である必要があります。
・不良住宅と認定される施設である
・誰も住んでいない施設である
自分の住宅が不良住宅かどうかというかは、住宅地区改良法※2で定められています。
この法律から要点を抜粋すると「空き家が居住用建築物で、構造や設備が不良であるため住むのが難しくなっている建築物」です。
つまり、築年数が古く、構造上倒壊の恐れがあったり、設備が改修不可能で居住できなかったりする住宅のことを「不良住宅」といいます。
そのほかの詳しい概要については、国土交通省ホームページ※3を確認ください。
※2住宅地区改良法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35HO084.html
※3国土交通省 空き家再生推進事業について
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000011.html
2.自治体の「空き家活用」の助成について
前項では自治体が行っている「空き家解体」の助成についての話でしたが、今回は空き家を活用するための助成について解説します。
空き家はエリアや物件によっては改修工事をすれば有効活用できますので、その助成も行っています。
ただ、こちらも前項と同様、自治体で細かいルールなどは異なるため、詳しくは空き家がある自治体に問い合わせてみましょう。
空き家活用の助成内容
自治体が行う空き家活用の助成内容は以下の通りです。
・建築物の改修等にかかる費用の補助
・建築物の所有者の特定に要する費用
・空き家の実態把握に要する費用
前項と同様、一般消費者に関係するのは、1つ目の「建築物の改修等にかかる費用の補助」になります。
また、補助金の対象となる地域や状態については、前項と同じなので割愛します。
補助金の対象となる施設
空き家活用の対象となる施設に関しては、以下のような施設が該当します。
・施設活用時にその建築物が使用されていないこと
・今後も住宅などに利用する予定がない施設
上記のように、自治体が空き家改修のために助成する施設は、居住の用途などの建築物ではありません。
基本的には、その空き家を改修して「地域住民への貢献」につながる施設のみ該当します。
そのような施設は、たとえば「児童館」や「地域住民のコミュニティスペース」などです。
3.自治体のリフォーム費用の助成について
つづいて、自治体が展開する空き家リフォーム費用の助成についてです。
繰り返しになりますが、こちらの制度も自治体によって諸条件が異なります。
以下に記載しているのは、先ほども紹介した東京都大田区の条件です。
自治体のリフォーム費用助成内容について
自治体が行うリフォーム費用の助成については、以下のような条件があります。
・工事費総額10万円以上であること
・空き家をバリアフリー化すること
・空き家の環境対策、防犯対策に関するリフォームであること
上記の条件を満たしていれば、リフォーム費用の5%を補助してくれます。
単純に空き家をリフォームするだけでなく、その家に長く住み、たとえ空き家の状態がつづいたとしても周辺に迷惑をかけないことを助成の条件としたワケです。
そのほかの助成内容
こちらは東京都大田区の助成内容ではありませんが、人口増加を図り空き家の助成をしている自治体もあります。
たとえば、茨城県利根町は、以下のような条件を満たせば助成してくれます。
・空き家の購入者、賃借人が町外から移転し、さらに5年以上居住
・中学生以下の子供と同居であること
・税金の滞納がないこと
ただ東京都など、人口の多い自治体にはこのような助成はありません。
もし、自分の空き家のあるエリアが過疎化の進んでいるエリアなどであれば、上記のような助成があるかもしれません。
一度、自治体に問い合わせてみると良いでしょう。
所有者からすると、購入者や賃借人へ特典として告知することで、売却や賃貸がスムーズにいきます。
4.東急住宅リースの空き家サービス
つづいて、民間企業である東急住宅リースが提供する空き家サービスについて解説します。
空き家問題を受け、民間企業も空き家解消のためのサービスを展開しています。
東急住宅リースも空き家活用に特化したサービスを展開しているので、本項ではそのサービス内容を紹介します。
賃借人の手間を減らすサポート体制
まず、空き家を賃貸などで活用するということは、通常の投資物件よりも手間はかけたくないものです。
なぜなら、空き家は相続として得た物件が多く、自分でじっくり投資用として選んだ物件ではないからです。
そのため、東急住宅リースでは以下のような、賃借人の手間を極力減らすサポート体制をつくっています。
・家賃滞納保証
・設備フリーメンテナンスサービス
・明渡保証
・修繕手配
・退去立ち合い
家賃保証サービスは空室時にも賃料を保証してくれるサービスです。
この保証があれば、空き家を活用したことによる損失を極力減らせます。
また、設備改修工事を1工事5万円まで無料で対応してくるのもメリットです。
空き家は築年数が経過していることが多いので、設備関係も劣化している場合があります。
そのため、この設備フリーメンテナンスサービスがあれば、ちょっとした修繕費用の捻出などを抑えることができるのです。
また、賃借人が家を明け渡さない場合に、家を明け渡すまでの賃料を保証するというサービスも展開しています。
これも、空き家の管理を不動産会社に任す上で安心できるサービスです。
貸し出し期間のカスタマイズ
通常、物件を賃貸するときには期限を決めずに賃貸借契約を結びます。
一応、「更新月」という区切りがありますが、日本は借地借家法が賃借人有利にできているため、オーナーの自己都合で賃借人を退去させるのは非常に難しいです。
ただ、東急住宅リースは「定期借家契約」を積極的に行うので、空き家管理をするときには便利です。
もちろん、他社でも定期借地契約を実施していますし、空き家以外の物件でも定期借地契約を結ぶことは可能です。
しかし、定期借地契約だと、賃料も減りますし不動産会社からしても、契約の手間が増えます。
そのため、定期借地契約を避ける不動産会社もいます。
ただ、空き家は「今は住まないけど、2~3年後住むかもしれない」という状況が多いので、東急住宅リースではそのニーズをくみ取り、積極的に定期借地契約を提案してくれるのです。
詳細に関しては、東急住宅リースのホームページ※4確認下さい。
※東急住宅リース
http://www.tokyu-housing- lease.co.jp/
5.積水ハウスグループの空き家サービス
つづいて紹介するのは、積水ハウスグループの空き家サービスになります。
積水ハウスはハウスメーカー大手であり、2016年の売り上げを見ると、ダイワハウスに次ぐ日本2位の規模を誇ります。
グループ間でのシナジー効果
空き家を活用すると一言でいっても、以下のように色々な方法があります。
・空き家の売却
・空き家の賃貸
・空き家を解体して土地のみ売却
・空き家を解体してほかの用途へ有効活用
上記のように、空き家活用は選択肢が多いため、空き家は「そもそもどのように活用するべきか?」を迷うことも多いです。
また、仮に空き家を解体して有効利用する場合には、色々な業者が絡むことになります。
たとえば、空き家を解体して店舗経営するとしましょう。
その場合には、空き家の解体業者、店舗の建築業者、店舗への賃付け業者などが必要です。
積水ハウスグループは、不動産の売却や賃貸だけでなく、建設会社もグループ会社にいるのでワンストップで空き家活用のコンサルティングができます。
このような状況で空き家活用をすれば、所有者の手間も減り、リレーションも取りやすいので、所有者としてはメリットが大きくなります。
グループ間の長期サポート体制
また、空き家を賃貸や店舗として管理した場合は、継続して建物を所有するということです。
そのため、経年劣化によるメンテナンスなど、定期的に手を施す必要が出てきます。
その点も、積水ハウスのグループ会社で請け負うことができます。
賃付けは、テレビCMも行っているMASTが請け負いますし、リフォームや修繕などもグループ会社で行うことができます。
このように、積水ハウスグループは、空き家に関してのサポート体制が充実しているのです。
そのほかの詳細につきましては、積水ハウスグループのホームページ※5で確認ください。
※5積水ハウスグループ
http://www.sekisuihouse.co.jp
6.リログループの空き家サービス
つづいて紹介する空き家サービスは、リログループによる空き家サービスになります。
リログループは、元々福利厚生の問題解決や海外赴任のサポートを行っている会社です。
ただ、空き家が社会問題になったのを受け、空き家ならではのサービスを展開しています。
リログループの空き家サービスの特徴
リログループの空き家サービスの最大の特徴は、法人取引が多いため大手企業の社員が賃借人になりやすいという点です。
なぜ、法人取引が多いかというと、先ほどいったようにリログループは福利厚生サービスも展開しているからです。
単純に賃借人を探すだけではなく、元々リログループの強みである「法人社員」という顧客にアプローチできるので、間口を広く賃借人を募集できます。
それは、空き家へ早期賃付けをする上で大きなメリットになるというワケです。
また、ホームページ※6から簡単に査定ができる点も特徴の1つです。
※6リログループ
http://www.tenrusu.jp
リログループのサービスと空き家の相性
前項でいったように、リログループは法人取引が特徴です。
実は、この「法人取引」こそ、空き家との相性が良い事業になります。
なぜかというと、空き家は賃借人が付きにくい場合があるからです。
空き家は築年数が経っている物件が多いので、建物内部が劣化していることもあります。
ただ、法人取引であれば法人が借り上げて社宅にする可能性もあり、法人の方でリノベーションする場合もあるのです。
この点から、空き家と法人賃借の相性は良く、リログループの「法人に強い」という点は、そのまま「空き家に強い」と置き換えることができます。
7.まとめ
空き家問題のサービスは以下の点を認識しておきましょう。
・自治体は解体やリフォームなどの助成をしている
・自治体によって助成内容は異なるので確認する
・民間企業も空き家向けサービスを実施しているので各社で比較してみる
空き家をどのように活用したいかによって、どのような助成やサービスを受けるかは異なります。
まずは、自分がどのように空き家を活用したいかを思い描くところからスタートしましょう。
マンションサプリ 編集部 - 2017年06月15日