<JR線・メトロ・東急線・都営線>東京23区4沿線、価格上昇率ランキング!

不動産はエリアによって大きく価格が異なります。また、価格だけでなく上昇率も異なりますし、上昇していたとしても、上昇理由はエリアによって違うでしょう。特に現在は、マンション価格が高騰しているため、エリアによって上昇率の違いが大きいです。また、不動産のエリアは基本的に駅・沿線に分けられます。これは、市区町村よりも駅や路線をベースに物件を選ぶ人が多いからです。たとえば、「西武池袋線の池袋~練馬で探している人」は多いですが、「練馬区で探している」という人は少ないと思います。

今回マンションサプリでは、東京都内のJR線、メトロ、東急線、都営線の4路線を対象に、周辺のマンション価格を算出。2017年5月と2018年5月の平均平米単価を比較し、価格上昇率ランキングを作成しました。

調査概要
・対象沿線は、都営地下鉄、東京メトロ、東急電鉄、JR線の4線 (※JR線のみ、対象駅数が多い上位10沿線)
・対象マンションは、「マンションマーケット」に掲載されている2007年築、かつ、駅徒歩10分圏内(800m)に所在する分譲マンション
・徒歩1分=80m換算
・データは2018年6月22日時点

調査結果

さて、上昇している路線をピックアップする前に、下落している路線をピックアップしましょう。中でも最下位の東急東横線の11.32%は群を抜いて下落しています。そのほかは、下落率が高くても埼京線の-2.08%なので、ほぼ全ての路線で上昇、もしくは若干の下落で済んでいるということです。ここで生じる疑問は、「なぜ全体的にマンション価格が上昇しているにも関わらず、東急東横線だけは大きく下落しているのか?」という点です。結論からいうと、東急東横線は既にマンション価格が上昇していたと考えられます。

東急東横線とは、渋谷発で代官山中目黒都立大学などの人気エリアを通り、自由が丘田園調布などの高級住宅も網羅しています。さらに、武蔵小杉日吉横浜みなとみらいなどの神奈川県の人気スポットも網羅しています。そのため、関東に存在する路線の中でも、1,2位を争うほど人気の路線といっても過言ではありません。日本全体の市況が良くマンション価格が上がるときは、セオリーとしてはまず人気の路線が上昇します。そのため、東急東横線は既にマンション価格が上がったことで下落に転じたと考えられるのです。

さて次に、上昇率上位の路線に目を向けてみましょう。少々意外でしたが、常磐・成田線が1位、常磐線が3位という結果でした。常磐線は上野・千住・を通り茨城方面へ伸びており、成田線は途中の我孫子から成田方面へ分岐します。いずれにしろ都心エリアというよりは、東東京エリアからさらに東の方へ伸びている路線です。では、なぜこの路線の上昇率が高いかというと、以下2つの理由が考えられます。

東東京エリアは元々安い

東急東横線のエリアは、東京の中でも城南・城西と呼ばれるエリアです。このエリアは非常に人気があり、物件価格も高いです。一方、常磐線・成田線などの東東京エリアは城東エリアと呼ばれ、城西エリアよりは価値が落ちます。とはいえ、城東エリアは東京駅などの都心に近く、「交通利便性は良いが安い」という、一種の穴場的なポジションなのです。

近年、日本全体でマンション価格は上昇し続け、特に首都圏のマンションは高騰していました。上述した東急東横線などを代表とした城西・城南エリアは、特に上昇したと言えます。しかし仮に、マンション価格が1年間で15%上昇した場合でも、1年間で収入が15%アップする人はあまりいないでしょう。つまり、マンション価格は高騰する一方で、収入がマンションの価格高騰に追いつけず、経済的に購入できない人が増えたということです。そのため、城南・城西エリアでマンション購入を検討していた層は、次なる候補として城東エリアに目を向け、「意外と便利で安い」城東エリアの物件を購入したと思われます。購入者(需要)が増えれば自ずとマンション価格が上昇するので、上記のように大きな上昇率となったのです。

インバウンド需要

もう1つの理由としては、「インバウンド需要を見込んだ購入者が多かった」という点でしょう。政府は2020年までに4,000万人の訪日観光客を目標にしており、現時点では順調に推移しています。しかし、ホテルや旅館不足が問題となったため、先日「民泊新法」が施行されたのです。

要は、インバウンド需要は今後も増える可能性があり、その意味で城東エリアは強みがあると言えます。その理由としては、まず物件価格が城南・城西エリアほど上がっていないという点は大きいです。物件価格が上がっていない分、将来的に上昇率が大きくなった時の資産価値向上はインパクトがあります。また、1位になったのが成田方面につながる成田線であることから、「成田駅まで近い」というニーズが上がったことが考えられます。この点も、インバウンド需要を見込んだ購入者が増えたことの表れと言えるでしょう。

今後もインバウンド需要とマンション価格の関連は強いと考えられます。とはいえ、東急東横線の下落率が大きいということは、城南・城西エリアが手の届く価格になったのかもしれません。マンション価格は、インバウンド需要とほかの路線との対比をすると、上昇と下落の予測が立てやすくなります。

- 2018年07月13日