「そろそろローンも完済するし、売却を考えなきゃなあ。でもいつ売るのがベストなんだろう?」
そんなお悩みを持つ方は多いのではないでしょうか?
不動産の売却は、普通の家庭の方にとって、おそらく人生でもっとも大きな「売却」の体験です。
購入に比べて売却の経験は多くの方にとって少ないため「何から考えて良いのか分からない」という方が多いのかも知れません。
そこで、この記事では不動産を売却するタイミングはどうやって決めればいいのか、詳しく解説します。
この記事を読むことで、不動産売却に向けた第一歩が踏み出せるはずです。
最後まで読んで、しっかり知識を身につけてくださいね。
目次
1. 不動産を売却するタイミングは5つのポイントから考える
2. どんな市況のときに売ると高く売れる?
2−1. 東京オリンピックまでは上昇が続く?
2−2. 2019年の消費増税前は駆け込み需要が見込める!
3. 売却のタイミングに税金が関係あるの?
3−1. 譲渡所得の計算は難しくない!
3−2. 所得税は10%〜30%かかる
4. 築年数は浅いほど高く売れる!
4−1. 15年以内なら高く売れる
4−2. 築15年以上でも高く売れる方法とは?
5. 1年間の間に売れやすい時期がある!
6. 住宅ローンはどれだけ残ってる?
7. まとめ
不動産を売るベストなタイミングは、以下の5つポイントを満たすときです。
もちろんすべてを満たすことはできないかもしれません。
しかし、少しでも有利な状況で売ることで、損を最小限にもしくは利益を出すことができるはずです。
まだ売る予定はないとう方も、
今のうちから売却のタイミングについて考える習慣を付けておくことが、自分の利益の最大化につながります。
覚えておいて損はありません。
それでは、詳しく解説していきましょう。
市況とは、不動産市場全体の状況のことです。
結論を言えば、土地や住宅の価格がもっとも上がっているときに売ると、一番利益を出しやすいということですね。
ここ最近の市況の動きを見てみましょう。
「野村不動産アーバンネット価格動向調査(実勢調査)」によると、首都圏エリアの住宅価格と中古マンションの価格はここ数年安定しています。
特にリーマンショックの影響が収まった2009年以降は、大きな上昇も下落もありません。
(出典:https://www.nomu.com/knowledge/chika/)
一方で、新築マンションの価格は上がり続けています。
三井住友トラスト不動産の「供給と価格の動きから読み取る2016年マンション市場の見通し」によると、首都圏の新築マンションの坪単価推移は、2010年あたりからほとんど下がらず、上昇しています。
しかし、実は新築マンションの供給戸数はそれほど増えていません。
その原因は新築マンションの価格が高止まりしており、これ以上供給すると値崩れする可能性があるからです。
この状況はある程度長続きすることが考えられます。
(出典:https://smtrc.jp/useful/knowledge/column/2016_02.html)
その背景には、政府が中古物件の購買行動を後押しする政策を実施している事実もあります。
日本人は伝統的に「新築信仰」を持っていると言われていましたが、
最近の政策としては中古物件を重視する「いいものを作って、きちんと手入れして、長く使う」方向へ進んでいるのです。
(出典:https://www.mlit.go.jp/policy/tyukozyutaku.html)
不動産そのものへの需要は、東京オリンピックの開催までは緩やかに上昇を続けるものと考えられます。
そのため、現在物件を保有している不動産投資家のみなさんにとっては、
オリンピックの開催まで良好な状況が続くと考えていいのではないでしょうか。
オリンピック開催前が市況としては売り時だとお伝えしましたが、より具体的に言えば
「2019年の春から秋にかけて」がもっとも売り時と言えるかもしれません。
それは、2019年の10月に消費税が10%に増税されることが決定しているからです。
消費税が現在の8%から10%に増税されれば、購入した物件価格の1割も消費税がかかることになります。
増税前に駆け込み需要が発生することは間違いないでしょう。
市況は今後も政策や規制によって変わっていくと考えられます。
市況は自分でコントロールすることができないため、常にアンテナを張って将来を予測する習慣を付けておきましょう。
不動産は売却するときに所得税と住民税がかかります。
できれば、税金が一番小さくなるときに売ることで、税金というコストを最小限にしたいものです。
所得税・住民税は「譲渡所得」に対してかかります。
譲渡所得とは、
譲渡所得=譲渡収入金額 —(取得費+譲渡費用)
という計算式で計算します。
「譲渡収入」とは売却で得たお金のことで、「譲渡費用」は売るために直接かかった費用のことです。
「取得費」は物件を購入したときにかかった費用の合計から建物の減価償却費を引いた金額(実額法)か、譲渡収入金額に5%をかけたもの(概算法)のどちらか大きい方の金額です。
たとえば、譲渡収入が1000万円、取得費が概算法で1000万円×5%=50万円、譲渡費用が50万円だった場合、譲渡所得は900万円と計算できます。
この900万円に所得税・住民税の税率をかけると、売却時にかかる税金の金額が分かります。
譲渡所得に対する所得税・住民税の税率は、5年以下、5年超、10年超で異なります。
5年以下:所得税30%+住民税9%
5年超:所得税15%+住民税5%
10年超(居住用財産のみ)
・譲渡所得の6000万円以下の部分:所得税10%+住民税4%
・譲渡所得の6000万円以上の部分:所得税15%+住民税5%
これを見て分かるように、購入してから5年以下で売ってしまうと、課税所得に39%もの税金がかかってしまうのです。
しかし、5年を超えれば一気に20%まで下がります。
10年以上なら最大で14%まで税率が下がります。
つまり、少なくとも5年以上、もっと税金を抑えたければ10年以上保有してから売った方がいいということが分かりますね。
ただし、物件が居住用の物件なら「3000万円の特別控除」の特例の対象になります。
そのため、譲渡収入が発生しても税金が発生しないことも多いです。
投資用物件の場合は、通常は特別控除が適用されることはありません。
売却前に一時的に自分が住むことで「居住用」と税務署にみなしてもらうというテクニックもありますが、ある程度の期間住まなければならないため、 費用対効果がプラスになる場合のみ有効な手段でしょう。
まとめると、
ということになりますね。
しかし、税金の面では長く保有するほど税金が下がりますが、物件は保有期間が短い(築浅)ほど高く売れるのも事実です。
築浅物件ほど高く売れるのは誰でも知っている常識ですね。
では、実際に築年数によってどのくらいの価格差ができるのでしょうか。
いつごろが売り時なのでしょうか。
まず中古マンションの場合です。
三井住友トラスト不動産の「不動産マーケット情報」によると、
中古マンションは築20年くらいまで徐々に下がり続け、それ以降の価格の下落は小さくなる傾向があることが分かります。
これはエリアに限らず同じような値動きをするようです。
しかし、東京に限ってみれば築15年目にがくんと坪単価が値下がりしていますので、できれば15年以内に売却することが良いのではないでしょうか。
(出典:https://smtrc.jp/useful/knowledge/market/2012_07.html)
次に戸建物件の場合です。
これも「不動産マーケット情報」を見ると、少し古い情報ですが、中古戸建ての場合は、時期による価格変動の大きさに差は小さく、ゆるやかに下落し続ける傾向があります。
しかし、細かく見れば築16年〜20年の物件の価格の下落が大きいですので、戸建ても高く売りたいなら15年以内がベストと言えるでしょう。
(出典:https://smtrc.jp/useful/knowledge/market/2006_06.html)
できるだけ物件を高く売って、税金を抑えたいという方は築10年〜15年の間で売るのが一番いい売り方だということが分かります。
築15年を超えるとマンションも戸建てもかなり安くなってしまいます。
しかし、15年以上たった物件の価格の下げを小さくする方法もあります。
それが修繕をきちんと行うことです。
不動産の業者は、物件を売るときに修繕工事の実施状況を説明する責任があります。 また、買い手も築年数の古い物件を購入するときには、修繕工事の実施状況を調べます。
築年数は古くなるほど修繕の必要性が高まるため、修繕がどの程度行われているかをとても気にするのです。
そこで、築年数が15年以上になるような古い物件を売却するときには、
修繕をすること、そして
その実施状況を買い手や仲介業者にしっかり説明することが大事です。
きちんと説明していれば、値下がり幅も大きくはならないはずです。
ただし、不動産は物件による差異がかなりあり、いつ売るのがベストと一般論では言い難いです。
付加価値の高い物件なら、値下がりがほとんどないこともあるでしょう。
あくまで目安として考えておいてください。
さて、ここまでは10年や15年というかなり長期のお話をしてきました。
「じゃあ来年あたりに売却しよう」と考えたときに、短期の売却のタイミングについても検討しなければなりません。
実は1年のうちに、高く売れやすい時期とそうでない時期があります。
1年のうち、もっとも物件が高く売れやすいのは、引っ越しシーズンの2月〜3月です。
逆に4月〜8月あたりは売れにくい傾向にあります。
次に売れやすいのが9月ごろです。
3月と9月がもっとも需要が高まるため、この時期に合わせて売却の準備を進めましょう。
売却準備は少なくとも3ヶ月はかかると考えて、3月までの売却を考えるなら10月〜11月までに、 9月ごろの売却を考えるなら5月〜6月ごろから準備を進めるようにしましょう。 どうしてもこの時期に合わせられない事情などがない限り、このタイミングに合わせることがとても大事です。
最後に、自分の組んだ住宅ローンの観点からいつ売るのがベストなのかを考えてみましょう。
ほとんどの方は住宅ローンを組んで物件を取得していると思われます。
その場合①ローン完済後の売却②ローン完済前の売却で、検討するべきことが異なります。
①ローン完済後の売却
この場合、考えるべきは売却益を最大化することなので、そこまでシビアに売却計画を立てなくても問題ありません。
最悪でも損失はないからです。
②ローン完済前の売却
この場合、売却益でどれだけ残債をカバーできるかが問題になります。
売却益で残債をカバーできなければ、その不動産投資はおおむね失敗です。
損失をどこまで小さくできるか、綿密な売却プランを立てましょう。
また、次の物件への投資を考えている場合、残債が残っていることは大きな問題になります。
残債が残っていても借りられるローンはありますが、ローンが重なって資金計画が確実に圧迫されます。
まとめると、
ということです。
「いつ売るのがベストなんだろう?」そう思っていたあなた。
売却するタイミングについてなんとなく検討がつくようになったでしょうか?
もう一度内容を振り返りましょう。
今日は以上のポイントだけでも覚えておいてください。
理想を言えば、2019年前に築15年以下の物件を売るのがベストタイミングですね。
現在保有10年程度の物件を持っている方なら、ちょうど2019年は売り時でしょう。
まだ保有数年程度という物件を持っている投資家の方は、オリンピック後の市況の変化を見極めて、今のうちから物件価値を維持する努力をしておいた方がいいかもしれません。 売却のタイミングに迷ったら、この記事の内容を思い出して参考にしてみてくださいね。