一括借り上げとは?仕組みやリスク・トラブル事例を徹底解説

一括借り上げ」という言葉をご存知でしょうか。一括借り上げとは、投資用不動産の管理に関する言葉で、「サブリース契約」という言葉と代替されている場合もあります。この一括借り上げは現在トラブルなどが増えてきている関係で、不動産業界では注目されているのです。

そこで今回は、一括借り上げの仕組みや、一括借り上げが誕生した背景など、一括借り上げの詳細について解説します。その点を踏まえた上で、一括借り上げのリスクを理解して、トラブルに巻き込まれないように注意しましょう。

目次

1.一括借り上げとは?
☞サブリースとの違い
☞一括借り上げをする流れ

2.一括借り上げのメリット・デメリット
☞一括借り上げのメリット
☞一括借り上げのデメリット

3.一括借り上げが生まれた背景と収支構造
☞一括借り上げが誕生した背景
・それぞれの事業の特徴
・一括借り上げの誕生
☞不動産会社の収益構造
・一括借り上げをする手数料
・そのほかの収益について
☞一括借り上げのリスクとトラブルとのつながり
・リスクは小さくしたい
・1件の利益自体は小さい
・管理物件が多い方が利益を上げられる

4.一括借り上げのリスクとトラブル事例
☞説明不足によるトラブル
☞契約打ち切りトラブル

5.一括借り上げの制度改革と注意点
☞土地活用は「経営」である~賃料設定と稼働率~
・土地活用は「経営」である~キャッシュフローについて~
・一括借り上げの必要性をジャッジする
・契約書をきちんとチェックする

6.まとめ

1.一括借り上げとは?

一括借り上げそもそも一括借り上げとは、まず自分が所有する投資用不動産(賃貸マンションなど)を不動産会社が一括で借り上げます。その上で、不動産会社が賃借人を募集して、その不動産を賃借人に転貸するという流れになります。そのため、オーナー側からすると、不動産会社が借り上げてくれているので、仮に賃借人が付かなくても、不動産会社が家賃を保証しているというメリットがあります。ただ、一方で不動産会社に手数料を支払う必要がある点はデメリットです。

サブリースとの違い

「サブリースと一括借り上げは同じ」と思っている人がいます。確かに、サブリースと一括借り上げは似ているのですが、厳密にいうと違いがあります。一括借り上げとサブリースの違いを説明するために、一括借り上げを行うときの流れを簡単にご説明します。

1.オーナーが保有している「賃貸マンション」などの物件を不動産会社が一括で賃貸する

2.一括借り上げした物件を不動産会社自らが賃借人を募集して転貸する

上記1を「一括借り上げ」または「マスターリース契約」といい、上記2を「サブリース契約」というのです。つまり、本来「一括借り上げ」とは、オーナーと不動産会社が結ぶ賃貸借契約のことを指すのです。一方、「サブリース契約」とは、不動産会社が転貸したときの賃借人と結ぶ賃貸借契約のことを指します。ただ、一般的には上記1,2を分けずに、まとめて「サブリース」と表現することが多いです。しかし、本記事では、この2つの言葉は明確に分けて解説しますので、違いを理解しておいてください。

一括借り上げをする流れ

一括借り上げを行う詳細の流れは以下の通りです。

1.不動産会社とマスターリース契約を結ぶ

2.不動産会社に鍵の引渡をする

3.不動産会社が賃借人を募集して賃付け(賃貸借契約の締結)をする

4.賃借人の入退出があるごとに不動産会社が修繕などの手配を行う

5.マスターリース契約の更新、賃料の相談

6.リフォーム工事や大規模修繕の相談

このように、基本的には不動産会社とマスターリース契約を結べば、後は不動産会社が主導して手続きはしてくれます。

2.一括借り上げのメリット・デメリット

つづいて、一括借り上げのメリット・デメリットを解説します。このメリット・デメリットをしっかり抑えておかないと、一括借り上げで利益を上げることは難しいです。

一括借り上げのメリット

メリット一括借り上げのメリットは以下の2点です

1.空室リスクがない

2.管理の手間がない

通常の不動産投資であれば、不動産会社に賃付けを依頼します。しかし、そのときには不動産会社は賃料を保証しているワケではないので、賃付けができない空室期間は収益が0円になってしまうのです。不動産投資において、空室になるということが最も大きなリスクなので、そのリスクを解消できるという点は一括借り上げの最も大きなメリットといえます。

また、一括借り上げは管理の手間がないことも大きなメリットです。通常の不動産投資であれば、日常的な管理はオーナー自らが行います。たとえば、入退出のクリーニングや修繕などの作業です。しかし、一括借り上げであれば不動産会社がその部屋を「借りている」ので、その辺の面倒な手続きは全て不動産会社が行ってくれるのです。

一括借り上げのデメリット

デメリット一方、一括借り上げのデメリットは以下2点になります。

・手数料がかかる

・トラブルリスクがある

手数料がかかるという点は、上述した通りです。マスターリース契約を結んだ不動産会社に、家賃の10%~15%程度の手数料を支払う必要があるのです。不動産投資は元々そこまで大きな利益を生むような投資ではないため、10~15%程度の手数料でも命取りになります。

不動産投資の性質は、どちらかというと「少しの利益を安定的に積上げていく」という性質の投資です。そのため、たとえばマンション1室の投資だと、「年間収入が120万円あり支出が年間70万円。差し引くと年間で50万円の収益が上がった」のような、決して利益が大きいとはいえないけれども、毎月安定して収入を得られる投資になります。そのため、手数料がかかるという点は、たとえ10%~15%程度だとしても、この少ない利益をさらに圧迫するのです。この点は、不動産投資においては大きなデメリットであるということは理解しておきましょう。

また、トラブルリスクについては、トラブル事例と合わせて後述します。後述するトラブル事例が、そのまま自分にも降りかかるかもしれないという「リスク」が、一括借り上げをする際の大きなデメリットです。

3.一括借り上げが生まれた背景と収支構造

収支構造ここまでで、一括借り上げの仕組みとメリット・デメリットを理解できたと思います。次に解説する「一括借り上げのリスク・トラブル事例」の話の前に、そもそも一括借り上げが生まれた背景と収支構造の説明をします。この一括借り上げの「背景」と「収支構造」を理解すれば、一括借り上げのリスク・トラブル事例の理解がスムーズになるからです。

一括借り上げが誕生した背景

一括借り上げが誕生した背景には、不動産会社が「ストック型ビジネスをつくりたい」と思ったという理由が大きいです。不動産事業における「ストック型ビジネス」とは、不動産を所有して賃貸でまわすことにより、小さいリスクで安定した収入を上げるビジネスのことです。不動産会社の事業は、主に以下の3つの事業が主な事業になります。

1.土地を仕入れて、その土地に建物(一戸建てやマンションなど)を建てて売る

2.不動産の売買を請け負い、仲介手数料で利益を上げる

3.賃貸マンションやビルをたくさん建てて、賃貸収入を主な収入源にする

それぞれの事業の特徴

上記1の事業だと、「土地の購入費や建物の建築費などの借入額が多くなる」というリスクがあります。また、「市況によって売買価格が左右されやすい」というリスクもあるので、事業全体としてリスクが大きいのです。また、上記2の事業リスクは小さいですが、単発で終わってしまい利益も上記1に比べると大きくありません。

上記3に関しては、まさに不動産事業における「ストック型ビジネス」です。しかし、賃貸マンションやビルを多く保有することは、大きな初期費用が必要なため、財閥系や一部大手の不動産会社に限られます。そのため、新興企業や、中堅不動産会社は上記3でのストック型ビジネスを行うことは不可能なのです。

一括借り上げの誕生

そこで、土地を持っている富裕層に向けて、「建物を建ててくれれば空室時も私達が家賃を保証し管理も私達がします」という、「一括借り上げ」のビジネスモデルが流行ったのです。一括借り上げだと、不動産会社は支出するワケではないので、リスクは小さいです。また、たくさん一括借り上げ物件を保有すれば、ストック型のビジネスとして、小さいリスクで安定的な収益を上げられます。このような理由から一括借り上げが誕生して、近年に爆発的に流行ったのです。

不動産会社の収益構造

そもそも不動産会社が一括借り上げをして利益を上げている項目は以下の4点です。

1.一括借り上げをする手数料

2.提携している関連業者からもらう仲介料や紹介料

3.メンテナンスや修繕の請負い

4.税理士などの斡旋

上記4点の中でも主な収益源は「1.一括借り上げをする手数料」になります。

一括借り上げをする手数料

冒頭でも少し触れましたが、一括借り上げをすると、オーナーにとっては「空室保証を不動産会社がしてくれる」という大きなメリットがあります。ただ、一方で不動産会社にとっては、空室状態になっても賃料を保証しなければいけないという「リスク」になるのです。

また、転貸するときには相場通りの賃料で貸す場合が多いので、一括借り上げをするときにはオーナーから手数料を貰わない限りはビジネスとして成り立ちません。この、「オーナーから貰う家賃の10%~15%程度の手数料」が、不動産会社が一括借り上げをするときの主な収入源です。この手数料率は、不動産会社によって異なります。

そのほかの収益について

上記2については、一括借り上げは土地の所有者に「投資用不動産を建築しませんか?」と、事業を提案するところからスタートするときもあります。つまり、賃貸管理を行うだけでなく、投資用不動産の設計や施工まで関わることができるのです。

一括借り上げを行っている不動産会社は、自社の関連会社で施工会社を持っているか、提携している施工会社がある場合が多いです。そのため、投資用不動産を「建築する」という段階から事業を始めることができれば、「建築費」や建築会社への「紹介料」を収益として計上できるのです。

また、オーナーに対して大規模修繕業者の斡旋や、管理会社の斡旋なども行っています。さらに、オーナーが確定申告をするときの税理士の斡旋などを行う不動産会社もあるほどです。斡旋した場合には、それぞれの会社や税理士事務所から紹介料をもらい、それも収益として計上します。

一括借り上げのリスクとトラブルとのつながり

リスク上述した内容が、一括借り上げの収益構造であり、一括借り上げが誕生した背景になります。これが次項の「一括借り上げのリスクとトラブル」につながっているのは、以下の3点が大きな理由です。

1.ストック型ビジネスが根本になるのでリスクは小さくしたい

2.ストック型ビジネスが根本になるので1件の利益自体は小さい

3.収益構造的に少しでも管理物件が多い方が利益を上げられる可能性が広がる

リスクは小さくしたい

上記1の通り、基本はストック型ビジネスとして誕生しているので、リスクは極力小さくしたいという考えです。そのため、リスクがあると分かれば、そのリスクを小さいするために、オーナーが不利益を被る状態になる可能性があるのです。

1件の利益自体は小さい

また、上記2のようにストック型ビジネスは薄利多売です。1件の手数料は賃料のわずか10%~15%程度なので、物件によっては月々千円単位の利益である場合もあります。そのため、「1.リスクは小さくしたい」で紹介した「リスク」には一段と敏感になり、少しでもリスクがあることには手を出したくありません。結果として、オーナーには不利益である「賃料の切り下げ」などに、つながりやすくなってしまうのです。

管理物件が多い方が利益を上げられる

さらに、上記3のように、管理物件が多いほど利益を上げるチャンスは増えます。しかし、前項でいったように「リスクがある物件に手は出したくない」というのも事実です。そのため、管理物件はどんどん増やして利幅は大きくするものの、利益を上げるために「家賃減額」や「契約打ち切り」を平気で行う不動産会社が出てきたのです。これら3点は、全て一括借り上げ「誕生の背景」と「収益構造」につながっています。そのため、この2つのことは一括借り上げのリスクにつながってくるのです。

4.一括借り上げのリスクとトラブル事例

トラブル一括借り上げで良くあるトラブルは、「ローンを組んで不動産投資をして一括借り上げしたものの、数年後には家賃を減額されて赤字経営になってしまった」というような内容が多いです。これらのトラブルが起こる「原因」こそが、一括借り上げを利用するオーナーが抱える最大の「リスク」と言い換えることができます。以下に、実際のトラブル事例を紹介していきますので、そのトラブルの「原因」がそのままオーナーのリスクと認識ください。

説明不足によるトラブル

先ほども少し触れましたが、一括借り上げの不動産投資をするときには、「賃貸マンション(もしくはアパート)を1棟建てましょう。その賃貸管理は全てうちの会社で行います」のようなケースもあります。このときのセールストークは、「不動産投資をすると節税効果もあって、不労所得にもなります。空室時にもうちの会社で家賃保証するのでリスクは小さいですよ。」というような内容です。このセールストークに納得してもらった方に、借入を起こしてもらい(もしくは現金で)投資用不動産を建築してもらうのです。

こちらも先ほど触れましたが、一括借り上げを行う不動産会社は建築を請け負う建築業者と提携している、またはグループ会社などであることが多いです。つまり、一括借り上げをする投資用不動産の建築を受注すると、その不動産の一括借り上げ時の手数料収入だけでなく、施工費や提携会社への紹介料や仲介料などの利益も上げられるのです。一括借り上げをした物件は、最初の賃料設定は無難に設定しますし、「新築」であるため人気があります。

そのため、一括借り上げを行った最初の数年は、投資として順調に推移するケースが多いです。ただ、建物が古くなったり、供給過多などで環境が変化したりすると、入居者募集のために家賃の下落を求められるケースが多いのです。
このときに、一括借り上げで得る収支計画は「当初の家賃」で設定している場合が多いので、家賃が下がった瞬間に資金計画はマイナスに傾く可能性があるのです。特に、今回のように一括借り上げだけでなく建築関係の利益も得られるときには、不動産会社にとっても利益額は大きいです

そのため、何とかして事業化しようと、最初の収支計画を甘く提示してオーナーの印象を良くしようとする悪質な不動産会社もいるのです。そして、建築工事を受注するときや、一括借り上げをするとの「リスク」や「ランニングコスト」の説明が不足、もしくはほとんどされていないという問題が発生しているのです。

このように、一括借り上げの事業を受注したいがために、一括借り上げのリスク説明が不足している場合があるのです。さらには、そもそもリスク説明をしなかったり、読みの甘い収支計画を提示したりすることもあるのです。

契約打ち切りトラブル

日本経済にもバブルや景気の波があるように、不動産業界にもバブルや景気の波があります。その景気の波が絶頂のときに一括借り上げ物件の投資をすると、建築費が高く投資金額が大きくなりがちなのです。そうなると、家賃設定も高く付けざるを得なくなります。

そのため、数年経った後に不動産市況が落ち込むようなことがあれば、非常に厳しい状況に追い込まれます。具体的には、高い賃料だと賃借人が入らないため、賃料を下げざるえないことが多いのです。また、一括借り上げを行う不動産会社の中には「終了プロジェクト」と称して、収益性が悪化したサブリース物件を強制的に契約打ち切りにすることもあるのです。赤字物件の契約を強制的に打ち切らないと、家賃保証をしている不動産会社が赤字になってしまうこともあるからです。

たとえば、大幅な賃料減額を求めて、これにオーナーが応じない場合には「一括借り上げ契約そのものを解除します」と迫るなど、非常に悪質なやり方です。この問題は2013年4月15日の衆議院予算会議でも取り上げられ、消費者庁と国土交通省が連携して取り組んでいくべきだと指摘されたほどの大きな問題になっていました。

5.一括借り上げの制度改革と注意点

注意前項のような一括借り上げによるトラブルが多数発生したことを受けて、国土交通省は制度改正に乗り出しました。具体的には、一括借り上げのマスターリース契約をするときに、「将来は家賃が減額する可能性がある」との説明を、一括借り上げをする不動産会社に義務付けたのです。

ただ、制度が改正されたとはいえ、まだまだ一括借り上げを選択する際には注意するべきことがあります。以下のような注意点を意識した上で、一括借り上げをするかは決めましょう。

土地活用は「経営」である~賃料設定と稼働率~

経営土地活用は不動産投資であると同時に「経営」であるという意識を持ちましょう。一括管理をするということは、1室の投資ではなくアパート経営などの1棟経営を指す場合がほとんどです。1棟の不動産投資と1棟の不動産投資では、根本的に考え方が異なります。最も大きな違いは「借入額」の違いです。1室の不動産投資であれば、1,000万円単位の借入額で済みますが、1棟の不動産投資の場合には、億単位になる場合もあります。

投資額が大きい分リターンも大きいですが、「リスク」を計算しておかないと大変なことになります。リスクとは、「家賃はいくらで設定するべきか」「どのくらいの稼働率で計算するべきか」のことです。この「賃料設定」と「稼働率」に関しては、不動産会社によって「読み」が異なります。不動産会社によっては、「相場以上の賃料」で「稼働率9割」のような、読みの甘い収支計画を提示してくる不動産会社は平気でいます。そのため、自分が経営者の意思を持ち、賃料は最高でも相場並み、稼働率も7割~高くても8割程度で読んでおいた方が良いです。

土地活用は「経営」である~キャッシュフローについて~

また、経営者であると「キャッシュフロー」もきちんと考える必要があります。キャッシュフローとは、簡単にいうと「支出がいつ・いくらあり、収入がいつ・いくらあるのか」ということです。特に支出については、「いつ」「いくらか」は細かく把握しておきましょう。

たとえば、不動産取得税の支払額とタイミングです。1棟の不動産投資であれば、場合によっては不動産取得税で100万円以上かかる場合もあります。また、不動産取得税は、不動産を購入した後、かなり時間が経ってから請求されるので「タイミング」にも注意が必要です。

また、収入に関しても具体的に自分の口座に「いつ」「いくら」入ってくるのかを把握しておきましょう。収支バランスだけ考えて「黒字」になると思っていても、お金の流れを見ると「赤字」になるタイミングがあるかもしれないからです。

一括借り上げの必要性をジャッジする

そもそも、一括借り上げが必要かどうかも良く考えましょう。盲目的に「手間がかからない」「空室リスクがない」という理由だけで一括借り上げを選択するのは非常に危険です。そもそも、一括借り上げをしている時点で、家賃10~15%の支出があることを忘れてはいけません。家賃10~15%ということは、その不動産が生み出す全体売上の10~15%ということです。この支出額を「事業」に置き換えると、非常に高額な「経費」になることが分かると思います。

そのため、そもそも自分が不動産投資をしようとしているエリアが、「空室リスク」が小さいエリアであれば、一括借り上げを行う必要はありません。むしろ、一括借り上げをして、「全体売上の10~15%の支出がある」という点が大きなリスクになり兼ねません。

契約書をきちんとチェックする

さいごの注意点は、一括借り上げをするマスターリース契約を結ぶときの「契約書」に関してです。マスターリース契約を結ぶ際には、以下のポイントに気を付けましょう。

1.免責期間はあるか

2.一括借り上げ契約の解約条件

3.賃借人が退去した後のリフォーム工事や定期メンテナンス費用の負担

4.更新手数料や敷金はどうするか

上記1の免責事項とは、家賃保証しない期間です。たとえば、「マスターリース契約を結んだ当初〇か月間」や「新たに賃料募集をかけた当初〇か月間」などです。上記2については、自分に不利な条件がないかを確認しましょう。上記3,4については、どのような取り決めになっているかを確認しましょう。ここで大事なのは「自分に不利な項目がないか」という点もそうですが、「その契約内容で利益が上がるか」も重要です。

仮に、更新手数料や敷金が不動産会社に吸収されるとしても、それで利益が上がるのであれば問題ありません。このような項目に注意して契約を結べば、「説明不足」などのトラブルリスクも回避しやすくなります。

6.まとめ

このように、一括借り上げとサブリースは根本的に違い、一括借り上げはトラブルが多く報告されています。しかし、このトラブルを理解しておけばリスクも理解できるので、一括借り上げを利用しているオーナーは対策を講じることもできるのです。一括借り上げは長期スパンでの不動産投資になります。そのため、今から一括借り上げを行おうとしている人はもちろん、現在一括借り上げを行っている人も、上述したリスクについて再度見直すことをお勧めします。

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- 2016年12月14日