賃貸物件に住むときには、敷金や礼金というコストだったり、更新料というコストだったり、月額賃料以外のお金がかかってきます。
更新料は決して安い金額ではないので、人によっては更新料を支払いたくないという方も多いです。
そこで今回は、「そもそも更新料とは何か?」という基本的な部分から、更新料は金額交渉ができるのか?などの深い部分まで、更新料について解説します。
目次
1.更新料とは?
2.更新料の支払い義務について
☞更新料は払わないといけないものか?
☞更新料を支払わないとどうなる?
3.金額交渉は出来るか?
☞金額交渉について
・立地が良い物件
・戸数が多い物件
・不動産会社が管理している物件
☞更新料がない物件
4.まとめ
1.更新料とは?
更新料とは、賃貸借契約の期間更新をするときに支払う料金になります。
大体の物件で賃貸借契約の期間は2年間なので、「更新料は2年に1回かかる費用」と認識している人も多いです。
日本では昔からある慣習であり、元々は「契約を更新するお礼」として賃借人からオーナーへ支払われた金額です。
昔は、オーナーが大地主のことが多く、賃借人からすると立場が上であるので、このような慣習が生まれたといわれています。
最高裁の判例では、更新料とは「賃料の補充や前払い、契約継続の対価などの趣旨を含む複合的なもの」と定義されています。
料金額は、通常「月額賃料の1か月~2か月分(最近は1か月が多い)」が相場金額です。
たとえば、更新料が「月額賃料1か月分」で賃料が10万円のマンションがあったとします。
そのマンションを更新する際は、月額賃料10万円と同額10万円の更新料の、計20万円の支払いが発生するということです。
更新料が2か月分の場合は、合計30万円の出費です。
2.更新料の支払い義務について
更新料を支払うときに、「更新料ってなんでかかるのだろう?」と疑問に思ったことがある人もいると思います。
先ほどいったように、更新料の相場は月額賃料の1か月分ですので、決して安い金額ではありません。
更新料は払わないといけないものか?
結論からいうと、更新料は基本的に支払わなければいけない金銭になります。
ただし、それは「賃貸借契約書」に記載があるので契約義務がある」という意味合いです。
更新料に関しては「借地借家法」と言われる、賃貸借契約の基になっている法律に明記されているワケではないので、更新料をめぐっての訴訟は少なくありません。
ただ、こちらも結論からいうと、最高裁の判例でも「更新料の徴収は有効である」という判決になっています。
つまり、法的にも更新料は合法と判断されたということになります。
以下が、最高裁の判例結果です。
「賃貸借契約書に具体的に記載された更新料の条件は、更新料金が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法第10条により無効ということはできないとされる」
つまり、以下のような更新料設定であれば、更新料は有効判断されるということです。
・月額賃料に照らし合わせて妥当な金額である
・賃貸借契約書にきちんと明記されている
この判決には「1年間で月額賃料2か月分」という更新料も含まれています。
そのため、借地借家法で明記されていないものの、消費者契約法に習ってきちんと契約書を交わしていれば更新料は有効となります。
判例の詳細を確認したい場合には、全日本不動産協会のホームページ※1で確認ください。
更新料を支払わないとどうなる?
更新料を支払わないということは、賃貸借契約の内容に違反しているということなので、オーナーから立ち退きを迫られてもおかしくありません。
また、オーナーから更新料を支払う旨の訴訟を起こされる可能性もあります。
ただし、借地借家法は賃借人を保護する要素が強い法律なので、それを基にして作られている賃貸借契約書も賃借人は保護されます。
具体的にいうと、いくら賃借人が違約しているからといって、立ち退きを完了させるのは非常に難しいということです。
これは、「自分の物件に違約している賃借人がいる」オーナー側よりも、「住む家を追われる」賃借人の方が、圧倒的に不利益を被ると判断されているからです。
そのため、更新料を支払わないと、立ち退き請求や訴訟を起こされる可能性はありますが、実際に立ち退きをさせる状況までいたることは少ないといえるでしょう。
3.金額交渉は出来るか?
更新料に関しては多い質問の1つに、「更新料の金額交渉はできるのか?」という点です。
そもそも、更新料は賃貸借契約書に明記されているので、更新時に「支払わない」というのはフェアではありません。
そのため、もし金額に不服があるとしたら賃貸借契約書を締結する前に、オーナーと協議するのが妥当といえます。
金額交渉について
金額交渉に関しては、オーナーと話し合うことで金額の交渉をすることは可能ではあります。
実際には、仲介をしている不動産会社に伝え、その不動産会社がオーナーへ伝えるという流れになります。
結論からいうと、金額交渉が成功する可能性は極めて低いです。
理由は、オーナーも更新料は一時収益として見込んでいますし、金額交渉を受けなくても他の賃借人がいるからです。
特に、以下のような物件であれば、更新料の金額交渉はさらに難しくなります。
・立地が良い物件
・戸数が多い物件
・不動産会社が管理している物件
立地が良い物件
立地の良い物件であれば、賃借人は集まりやすいので、わざわざ更新料の金額交渉をする賃借人と契約を結ぶ必要はありません。
そのため、更新料の金額交渉には応じない場合が多いのです。
戸数が多い物件
1人(または1社)のオーナーが、戸数の多い1棟のアパートやマンションなどを運営している場合にも、更新料の金額交渉はしにくいです。
なぜなら、その賃借人と契約を結べなかったとしても、ほかの賃借人からの収入が入ってくるからです。
たとえば、1戸のマンションで不動産投資をしているオーナーだとすると、その1戸と賃貸借契約を結べないと、投資不動産からの賃料収入は0円になります。
つまり、更新料を下げてでも、賃貸借契約を結びたい可能性があるということです。
不動産会社が管理している物件
マンションやアパートは個人がオーナーの場合もありますが、不動産会社がオーナーとして管理している場合もあります。
不動産会社が管理している物件では、更新料の交渉は難しいです。
理由は、「戸数が多い物件」と同様、そのほかにも賃借人はたくさんいるので、更新料を下げても契約を結ぶ必要がないというのが1点目の理由です。
もう1点は、不動産「会社」は賃借人の事情を加味して更新料を下げることはしないという点です。
不動産会社だと、ある意味ビジネスライクな対応になるので、賃借人によって対応を変えることはほぼありません。
仮に、住民間で更新料の違いが判明すれば、トラブルの元になる可能性があるという点も理由になります。
更新料がない物件
このように、更新料の交渉ができる物件は、決して多いとはいえません。
そのため、更新料を支払うのを避けたい場合には、そもそも更新料を設定していない物件を選びましょう。
賃貸物件を探すときに、不動産会社に「更新料なしの物件を探している」と伝えたり、ネットなどで検索するときに「更新料なし」にチェックをつけたりすれば見つかります。
また、UR賃貸や東京都住宅供給公社など、公的賃貸住宅には更新料はないので、そのような物件を狙って下がるという方法もあります。
4.まとめ
このように、更新料に関しては、以下の点を覚えておきましょう。
・更新料とは何か?を理解する
・更新料は基本的には支払い義務がある
・更新料の金額交渉はできるが受けてくれる可能性は低い
昔からの慣習ですが、更新料は支払う前提で考えておいた方が良いです。
ただし、明らかに月額賃料とかけ離れた更新料設定をしている場合などは合法といえないケースもあります。
そのときは、オーナーと交渉すると良いでしょう。
マンションサプリ 編集部 - 2017年05月09日