上昇率から見る中央区のタワーマンションの相場とは?

現在、日本全体のマンション価格は上がっていますが、もちろん全物件が上昇しているわけではありません。特に、タワーマンションがたくさん建築されている東京都中央区では、上昇しているマンションもあれば下落しているマンションもあります。

そこで、今回マンションサプリでは、中央区内のマンション価格(㎡単価)が、2017年1月~2018年1月の1年間でどのくらい変動したかを調べました。それを基に、中央区のタワーマンション相場を見ていきましょう。

調査概要
・対象マンションは、相場情報サイト「マンションマーケット」に掲載されている分譲マンション、かつ、階数20階以上のマンション
・地上20階以上のマンションをタワーマンションとする
・2017年1月と2018年1月の月間平均平米単価を比較して上昇率を算出
・データは2018年2月14日時点

調査結果


中央区のタワーマンションでは、最も上昇しているマンションで16.89%、最も下落しているマンションで-10.97%です。

前提として、マンションは経年劣化していくものなので、築年数が経過するほど価格は下落します。そのため、普通に考えると2017年1月と2018年1月で築年数が1年経過しているので、マンション価格は下がることが普通であり、上昇する方が例外なのです。

また、確かに下落率が高いマンションもありますが、それは2017年の価格が高かっただけかもしれません。つまり、上記のランキングだけでなく、今後のマンション事情なども加味して相場は考えるべきということです。

中央区とはどのようなエリア?

そもそも中央区とはどのようなエリアなのでしょうか?
中央区には以下のような駅があり、このラインナップを見てもらえるとエリアの印象は分かりやすいと思います。

銀座駅
京橋駅
日本橋駅
築地駅
勝どき駅
月島駅

銀座・京橋・日本橋など、全国的に見ても知名度が高いエリアや、築地という日本最大の鮮魚市場もあります。また、湾岸エリアの代表格である勝どき、下町風情が残る月島というように、ローカルな部分も兼ね備えたエリアです。

特に、銀座や日本橋などは人が住むイメージがないかもしれませんが、東銀座は比較的静かなエリアですし、日本橋付近の人形町などは住宅も多いです。そして、何より交通面などの利便性が非常に高いエリアなので、特にビジネスマンには人気のエリアになります。

また、勝どきや月島までいくと喧騒から離れますので、マンションもたくさんある居住区と言えるでしょう。このエリアは大型商業施設「ららぽーと」がある豊洲が近いこともあり、ファミリーの方も多く住んでいるエリアになります。

また、中央区は、港区千代田区とともに「都心3区」と言われており、東京23区の中でも特にステータスが高く、また不動産価格も高いエリアです。

データで見るタワーマンション

次に、「タワーマンション」をデータ(※1)で見てみましょう。
なお、ここでいうタワーマンションとは、地上20階建て以上のマンションを指します。

・全国で建築および計画されているタワーマンションは285棟の10.6万戸になる
・首都圏では186棟の8.1万戸なので、全国シェアは76.1%になる
・そのうち東京23区は124棟の5.5万戸なので、戸数でいうと全国の半分以上の数字
・2017年以降のタワーマンション建築は中央区18棟、14,675戸で1位

歴史を紐解くと、1990年代後半にタワーマンションは増加していきました。というのも、タワーマンションはステータスが高いので、値崩れが起きにくく資産価値があると考えられていたからです。そのため、首都圏などの大都市圏で規制緩和によるタワーマンション建築が増加したということです

ただ、2008年に起きたリーマンショックを皮切りに、マンション自体の供給数は絞られ、当然タワーマンションの供給数も絞られました。実際に、2009年には3.57万戸建築されたタワーマンションですが、2010年には1万戸台にまで落ち込みました。しかし、景気の上振れによって2012年以降は増加に転じて、それ以降は順調に増加傾向にあります。

このように、タワーマンションの建築は一時的に落ち込んだものの、戸数自体は増加傾向にあること。そして、タワーマンションは23区に集中しており、特に湾岸エリアの中央区で2017年以降も全国で1位の供給量という点を覚えておきましょう。

(※1)不動産経済研究所
https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/283/md20170425.pdf

マンション価格はどうなっているの?

さて、次に全国的なマンション価格の推移を見ていきましょう。以下のデータが、不動産経済研究所が出典している、新築マンション価格推移(※2)になります。

年代マンション価格
1997年4,374万円
2002年4,003万円
2007年4,644万円
2012年4,540万円
2017年5,908万円

上記のように、2000年代前半からマンション価格は右肩上がりで、2017年には過去25年間で最高額となっています。中古マンション価格もこれに準ずるので、2018年時点のマンション価格は非常に高水準と言えるでしょう。
一方、新築マンションが販売初月でどのくらいの割合契約したかという、「契約率」のデータは以下の通り(※2)になります。

年代契約率
1997年75.1%
2002年75.4%
2007年69.7%
2012年76.3%
2017年67.3%

契約率の好不調は70%と言われており、2017年は70%を下回っています。ちなみに2016年も68.8%であったので、2年連続で70%を下回ったのはリーマンショック以来です。つまり、マンション価格は高まっているものの、消費者の購入意欲は若干下落傾向にあるということです。

(※2)不動産経済研究所
https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/317/z2017.pdf
https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/290/s2017-16.pdf

中央区のタワーマンション相場は?

さて、ここまでで中央区のエリア的な特徴、タワーマンション事情、そしてマンション全体の価格推移と契約率についてお話してきました。これらを踏まえて、今後の中央区のタワーマンション相場を見ていきましょう。まずは、「現在」の中央区のタワーマンション相場からです。

中央区のタワーマンションの、2018年1月の平均単価は859,677円(㎡単価)になります。つまり、55㎡2LDKで約4,728万円、70㎡3LDKで約6,017万円が相場価格ということです。

さて、ここでタワーマンション相場は今後どうなるか?という話です。2018年1月の平均は859,677円(㎡単価)でしたが、2017年1月平均は¥865,749です。つまり、中央区全体的には、1年間で約0.7%下落しているということになります。

そして、前項で解説したポイントは以下の点です。

・タワーマンションの供給量は上昇傾向
・中央区のタワーマンションは2017年以降で全国1位
・契約率が低下しており購買意欲は高くない

上記1,2より、今後中央区のタワーマンションの供給量はさらに増えると予想されます。供給が増えれば、需給バンス的に価格は下落する可能性があります。そして、全体的な契約率は落ち込んでいる今、タワーマンションを購入するターゲットは少なくなると予想されます。さらに、2017年と2018年を比較すると、中央区のタワーマンション価格は上昇しているわけではありません。

つまり、今後中央区では供給が多くなるものの、購入意欲とターゲット数が追い付かずに、さらに下落する可能性があるということです。そのため、売るなら「今」、買うなら「少し待つ」のが得策と言えるかもしれません。

ただし、マンション相場は日本景気とも連動するので、将来のことを明確には言えません。そのため、あくまで参考として認識しておいてください。

- 2018年05月04日