マンションの資産価値のモノサシ③マルチ世代

平均寿命が延び世帯も分化 マルチな世代の社会に

世帯数と平均世帯人員の年次推移(出典:平成28年国民生活基礎調査)

世帯数と平均世帯人員の年次推移(出典:平成28年国民生活基礎調査)

長寿社会の到来と都市化は、家族のカタチに大きな変化をもたらしました。昭和22年に男50.06年、女53.96年だった平均寿命は、平成29年に男81.09年、女87.26年と大きく延び(出典:厚生労働省平成29年簡易生命表)都市化が進む中で世帯が分化。昭和28年に5.0人だった平均世帯人員は、世帯分化が進み平成28年に2.47人へと減少(出典:国民生活基礎調査)しました。

日本中で見られた「三世代世帯」の割合は昭和61年の15.3%から平成28年には5.9%へ減少。「夫婦と未婚の子のみ」の世帯が41.4%→29.5%と減る一方で「単独世帯」は18.2%→26.9%、「夫婦のみ世帯」が14.4%→29.5%と増加し多様な世帯・世代がつくる社会へと変化しました。

「三世代世帯」の減少や高齢者の「単独世帯」の増加は今後も続くと予想されており、単身層から子育て層、高齢者までマルチ(多様な)世代が暮らしやすい街や住まいのニーズがさらに高まっていくでしょう。子育て層や高齢者の事を考えると交通利便性や生活利便性だけでなく、安全・安心かつ健康的に暮らせる街や住まいが理想といえます。

コンパクトに施設が揃う駅前再開発マンション

横浜線・京王相模原線のターミナル駅「橋本」駅前

横浜線・京王相模原線のターミナル駅「橋本」駅前

マルチな世代が暮らしやすい住まいとしてまず挙げられるのが、駅前再開発で誕生したマンションです。多くの駅前は街の起点であり、商業施設や公益施設だけでなく医療施設や金融機関、保育施設なども揃っているところも多い。駅直結のマンションならフラットアプローチで往来もスムーズです。通勤や通学だけでなくオフタイムに家族で出掛けるのも便利。高齢者も暮らしやすいのでシニア層の購入も目立ち、終の住処(ついのすみか)としての存在感も高まっています。

都市部の駅前立地のタワーマンションは生活利便性が高い半面、管理費や駐車場が高いなど経済的な負担は大きい。価格も比較的高いので、共働き層などある程度の収入がある世帯でなければ手が届かないのが実情です。予算を考慮した場合、郊外エリアの駅前立地マンションや長寿社会を見据えて計画されたアクセスの新しい街を探すという選択肢があります。

健康長寿を目指す「柏の葉キャンパス」などTX線に注目

柏の葉キャンパスの駅前

柏の葉キャンパスの駅前

つくばエクスプレス線の「柏の葉キャンパス」は、公・民・学が連携した特徴的な街づくりを進めています。あらゆる世代が健やかに安心して暮らせる「健康長寿都市」を掲げています。ららぽーと柏の葉北館3階に気軽に利用できる「街のすこやかステーション」を設置。健康増進プログラムも用意されています。「ららぽーと柏の葉」や「柏の葉T-SITE」などの商業施設をはじめ教育関連施設、医療施設、公益施設などが充実していてマルチ世代が暮らしやすい住環境です。県立柏の葉公園などのレジャースポットも充実していて子供や高齢者が安心して楽しめる憩いのスポットも豊富にあります。

2005年に開業したつくばエクスプレス線は、「秋葉原」駅~「つくば」駅までの58.3㎞を20駅・最速45分で結んでいます。「柏の葉キャンパス」駅をはじめとする新たに誕生した街には、広々としていて整備された街区が誕生し価格の値頃感もあって人口流入が進んでいます。高架中心に結ばれた沿線には踏切が無く移動もスムーズ。全ての駅にホームドアがあるなど安全への取組みも充実しています。「流山おおたかの森」駅や「三郷中央」駅など魅力的な街も多く通勤アクセスがクリアできるなら新駅のマンションを候補にするもの良いと思います。

同じ場所で暮らせることが約束されているわけではありませんが、住み替えを前提としない住居は生活に安定感をもたらします。また、住み替え不要なマンションは、転居費用が掛からないので経済的なメリットもあります。ライフステージの変化を見据えて街やマンションを選ぶことは、住まいで後悔しないための大切な視点だと思います。

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著者プロフィール 岡本郁雄(おかもといくお)
岡本郁雄(おかもといくお)

ファイナンシャルプランナーCFP®、中小企業診断士、宅地建物取引士。不動産領域のコンサルタントとして、マーケティング業務、コンサルティング業務、住まいの選び方などに関する講演や執筆、メディア出演など幅広く活躍中。延べ3000件超のマンションのモデルルームや現地を見学し、マンション市場の動向に詳しい。神戸大学工学部卒。岡山県倉敷市生まれ。

- 2018年09月28日