不動産投資に失敗する6つの理由

不動産投資は、あくまで「投資」なので成功もあれば失敗もあります。不動産は物件を購入して、その物件からの収益が利益になるので、「物件探し」から既に成功か失敗かの要素は含まれています。

不動産投資における失敗は、大きく分けて7種類の失敗です。

その失敗「理由」を知っておくことで自分の不動産投資の参考になります。

今回は、そんな失敗例7つを紹介します。

目次

1.「安いから」という理由で物件を選ぶ
☞価格が安いには理由がある
☞利回りが高く見える

2.現地を良く確認しない
☞車での現地確認
☞特定の時間帯しか見学しない

3.収支の見通しが甘い
☞経費の把握
☞経年劣化

4.賃貸借契約を知らない
☞立ち退き
☞原状回復

5.修繕計画が甘い
☞修繕は外観だけではない
☞細かい項目を年数ごとに決める

6.分譲住宅と同じに考えてしまう
☞階数
☞方角
☞室内スペック

7.まとめ

1.「安いから」という理由で物件を選ぶ

安いまず多い失敗理由としては、「価格」だけで物件を選んでしまうということです。結論から言うと、価格だけで不動産を選ぶと一見利回りは高く見えますが、空室リスクと家賃下落リスクが高くなります。そのため、結果的に利益が上がりにくい物件になってしまうのです。

不動産は、一千万円単位の高額な投資商品のため、金額が高いと大きな負担になりかねません。

そのため、「価格」は不動産選びで大事な要素ではあります。

重要な要素である分、以下の点を良く理解しておきましょう。

価格が安いには理由がある

価格が安いということは理由があります。主には以下のような理由です。

1.立地が悪い

2.建物のスペックが悪い

3.物件自体に問題がある

立地が悪いとは「駅から遠い」「エリア的に治安が悪い」などです。その不動産に住む人が立地的なネックを感じてしまえば、その不動産は賃付けするのが難しくなります。入居者は「立地」に関して重視するので、立地が悪いと賃付けしにくい物件になります。

また、「築年数が古い」「エレベーターがない」など、建物自体のスペックが低い時も不人気物件になりやすいです。

そして、「修繕積立金が不足している」「居住者のマナーが悪い」など、物件自体に問題がある場合も苦戦しやすい物件です。

このような物件は空室になりやすく、また家賃も下落しやすいです。そうなると、せっかく安く物件を取得しても利益は少なくなるどころか、場合によっては赤字物件になってしまうのです。

利回りが高く見える

不動産投資をするときに「利回り」は大事です。利回りは「(年間収益-年間経費)÷物件取得価格」で求められます。たとえば、年間の家賃収益が300万円(月25万円)、年間経費が40万円、物件取得費用が4,000万円であれば、利回りは6.5%になります。

当然利回りが高いほど物件取得にかかった費用を回収しやすいです。価格が安いということは物件取得価格が安いので、利回りは高く見えやすいのです。

だたし、そこに「空室率」を加味しなければいけません。

空室があれば収益は減り、利回りは極端に落ちます。たとえば、上記の例でいうと2か月空室があるだけで50万円収益が減ります。そうなると利回りは5.25%まで下がってしまうのです。

物件が安いことは魅力的です。しかし、立地や建物スペック、物件自体の問題など、「空室率を高める要素」も含めて検討する必要があります。

2.現地を良く確認しない

現地つづいて、 物件取得に関しては「現地確認」が大切になってきます。不動産は現地を見ないと、物件の良し悪しは判断できません。しかし、現地を良く見ないで物件を決めてしまう人は意外と多いです。

それは、地図上でしか物件の良し悪しを判断していなかったり、「想定家賃」などの数字でしか物件を判断していなかったりという点が理由です。

しかし、物件は現地が最も大事なので入念に確認する必要があります。

車での現地確認

車で物件を見て、その物件の周りをグルっと見学しただけで物件の良し悪しを判断する場合には、色々な見落としリスクがあります。

たとえば、車での現地確認は駅まで「歩く」アプローチを知ることはできません。駅まで歩くアプローチは「長い信号がある」「道が狭く歩きにくい」「車通りが多く危ない」「夜道が暗く危険」など、デメリットはたくさんあります。

また、裏通りや近所の様子を感じることも難しいです。仮に、自分の欲しいと思った物件が 「商業施設に近い」というメリットがあったとします。しかし、その商業施設へ歩くとき、嫌悪施設を通ったり、歩きにくい道を通ったりする場合もあります。そのような場合には、商業施設が近いというメリットは半減してしまうのです。

特定の時間帯しか見学しない

エリアによっては昼間の雰囲気と夜の雰囲気がガラッと変わるエリアもあります。たとえば昼間は比較的静かであるのに、夜になると駅前は騒がしくなるなどです。

そうなると、その物件に入居する人の「ネック」が増える可能性があるので、自分が想定していた賃料では賃付けできないかもしれません。つまり、空室率が高まるか家賃下落による賃料収入の減少ということになってしまうのです。

このように、現地をきちんと歩いて確認しないと、物件のデメリットを正確に把握できないリスクがあるのです。

3.収支の見通しが甘い

収支の見通しまた、物件取得時も取得後も言えることですが、収支の見通しが甘いという失敗理由もあります。不動産投資は、「経営」に近い部分があります。たとえば、経費の計算や収益の将来リスクを判断する点などです。

そのため、
きちんと将来的な収支を計算して、賃料下落リスクや空室リスクを加味した上で収支を計算しておく必要があります。

経費の把握

まず、基本中の基本である「経費」について把握しておきましょう。不動産は株やFXなどの投資商品とは違い「実物資産」です。そのため、物件の維持・管理には経費がかかってきます。

その経費は収益から差し引かれる金額なので、経費の見通しが甘いと収支の見通しもあまくなります。

経費とは具体的に以下のような項目です。

1.税金

2.ローン

3.管理費、建物修繕費

4.補修費用

5.賃貸管理費

6.保険費用

7.その他

不動産を取得すると、一時的に「不動産取得税」がかかり、継続的に「固定資産税」がかかります。また、ローンを組めばローン支払いがありますし、物件全体では管理費建物修繕費もかかります。

そして、賃貸管理を不動産会社に代行すれば代行費用もかかりますし、建物には火災保険や地震保険などの保険料もかかってくるのです。ほかには、確定申告を税理士に依頼した場合にかかる「報酬料」や物件管理のためにかかる「交通費」などもあります。

これらの経費は正確に把握しておくことが大切です。

物件取得時はもちろんですが、将来的な上昇リスクなどもきちんと考えておきましょう。詳細は次項で解説します。

経年劣化

不動産は実物の資産であるが故に、時間が経つにつれて劣化していきます。

劣化するということは、以下のリスクがあります。

1.賃料下落

2.退去リスク

3.建物修繕費用の上昇

4.修繕積立金未納

5.クレーム

経年劣化するということは家賃が下がる可能性があります。また、劣化具合がひどい場合には、入居者の印象が悪くなり更新のタイミングで退去されてしまうことが多くなるのです。

その劣化を止めるために建物の修繕費用を上げざるを得ないのですが、修繕費用が上がると、結果的に賃借人が支払えなくなり未納になってしまうリスクもあります。また、それら一連の事態に対してのクレームを受ける可能性もあるのです。

このように、不動産投資は実物資産であり賃貸人という「人」がいるので、将来的なリスクがある点は良く理解しておきましょう。

4.賃貸借契約を知らない

賃貸借契約書
また、不動産投資をする人も現在している人も、賃貸借契約については詳しく知っておきましょう。

結論から言うと、賃貸借契約とは賃借人に有利な法律になっています。賃貸借契約のベースは「借地借家法」という法律であり、その法律が賃借人に有利なように作られているのです。なぜ賃借人に有利なように作られているかというと、賃借人の方がリスクを負ってしまうからです。

立ち退き

たとえば、「立ち退き」に関して、オーナーの方が強い権利を持っていれば強制的に賃借人は立ち退かなくてはいけません。しかし、賃借人が次に住む家を簡単に探せるとは限らないので、最悪の場合「住む家がない」という事態になり得るのです。

一方、オーナー側は住む家を追われるほどの事態にはなりません。そのため、仮に家賃を滞納していたとしても、そう簡単には立ち退かせることはできないのです。

原状回復

また、よく勘違いされがちな点でいうと、「補修費用の請求」に関してです。結論からいうと、経年劣化に関しては賃借人に費用負担を請求することはできません。つまり、賃借人が日常的に部屋で生活している限りは、賃借人に補修費を請求できないのです。

一昔前は、経年劣化分の補修費をオーナーは賃借人に請求していることもありました。本来であれば「不当請求」になるのですが、実際には賃借人が補修費用を支払っているケースが多かったです。

しかし、国土交通省が原状回復によるガイドライン※1を整備したことによって、原状回復費用の回収は減額している傾向にあります。これが本来の姿ではあるのですが、昔よりもオーナーの補修費用負担は大きくなり、さらに賃借人に有利な状況になったことは事実です。

※1国土交通省 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html

5.修繕計画が甘い

修繕先ほど言ったように不動産は実物資産なので経年劣化します。そのため、特にアパートやマンションを一棟経営している人は、

資産価値を保つために建物を修繕しなければいけません。

その修繕に関しての計画を立てる必要があり、その計画が甘いとどんどん資産価値は落ちていってしまいます。

修繕は外観だけではない

建物の修繕は外観だけではありません。下水につながる排水管や、水を供給する配管関係もあります。これらは建物内部の床下や天井裏に埋め込まれているケースが多く、修繕も難しい場合が多いです。

そのため、きちんと修繕のことまで考えて建物をつくっていない場合には、当然建物の劣化が早くなります。配管関係が劣化してしまい機能不全に陥ると、建物として維持していても住むことは難しくなってしまうのです。

そもそも 配管関係は修繕しやすい建物かどうかも大切ですし、「どのように」「どのくらいの周期で」修繕するかも大切になってきます。

細かい項目を年数ごとに決める

結論をいうと、プロの修繕業者に相談した方が良いです。建物修繕は、ノウハウがないと不動産を販売している不動産会社ですら分からない専門的な項目なのです。そのため、1棟の不動産投資の場合には、まずはプロの修繕業者へ相談しましょう。

修繕において大事な点は以下です。

・修繕する具体的な項目

・修繕内容

・修繕周期

・修繕金額

修繕する項目をピックアップするだけでなく、修繕内容も計画しておく必要があります。たとえば、「設備の入れ替え」が必要な場合もありますし、「塗装・コーティング」だけで問題ない場合もあります。

また、修繕周期が5年の箇所もあれば、3年の箇所もあり、さらに修繕金額も項目によって大きく異なります。 その一覧表を事前につくり、定期的に計画を見直すことが大切です。

修繕を怠れば経年劣化が激しくなり、空室リスクと家賃下落リスクが高まります。また、過度に修繕すれば修繕費用が膨らみ、投資物件からの収益を圧迫してしまうのです。そのため、 正確な修繕計画の策定は不動産投資において大切になってくるというワケです。

6.分譲住宅と同じに考えてしまう

分譲住宅さいごに、

分譲住宅と同じような考えで物件選びをしてしまうという失敗です。

分譲住宅とは、自分が居住するために購入する物件と思ってください。要は、分譲住宅は基本的に「永住」もしくは「長期間住む」ことを前提に物件選びをするということです。この話は、一棟の不動産投資というよりは、不動産投資において最も数が多い「1室のマンション投資」についての話になります。

不動産投資は「賃貸物件」になります。賃貸物件を選ぶときに「永住」を前提として選ぶ人は極めて少ないです。「長期間住む」という視点の人はいると思いますが、分譲住宅ほど多くはないです。その違いをきちんと理解した上で物件選びをする必要があります。

結論から言うと、賃貸物件では以下のような諸条件は、分譲住宅ほど重要度は高くありません。

1.階数

2.方角

3.管理状況

4.室内スペック

5.コミュニティ

6.デザイン性

上記のような項目は、確かに良い条件の方が賃付けもしやすく家賃も高く設定しやすいです。しかし、大事なことは、賃借人は「分譲住宅ほどは重要視しない」ということです。

その点を理解しないで物件を選んでしまうと、高い物件を買ってしまうことなり、結果的に利回りが低い物件になりかねません。

階数

まず、階数に関しては高い方が賃料は上がりやすいです。なぜなら、 眺望や陽当たりが良いという点と、その恩希が将来にわたって保証される可能性が高いからです。低層階であれば、目の前に建物ができれば、陽当たりと眺望は阻害されます。

ただ、階数に関しては分譲住宅ほどの賃料アップはありません。たとえば、12階建てのマンションを「購入」するとします。仮に、2階住戸が4,000万円で最上階の12階住戸が4,800万円と、20%ほどの賃料差がつくことはザラにあります。

一方、賃貸の場合には2階住戸が12万円で12階住戸が14.4万円(20%アップ)まで上がることは少ないです。理由は、「永住目的」ではないので陽当たりと眺望を分譲住宅ほど重視しないからです。

方角

方角も前項と同様です。分譲住宅は永住することも視野に入れるため、 陽当たりが良い南向きの金額が非常に高いです。言い換えると、分譲住宅であれば、方角が良ければ高くても売れるのです。

しかし、賃貸は分譲住宅ほど方角を重視しないので、高い金額で方角の良い部屋を買ってしまうと、思ったほどの賃料設定ができない場合があります。それは結果的に利回りの低下につながるのです。

室内スペック

室内のスペックも前項と同様です。

室内スペックとは、具体的には以下のようなことを言います。

1.建具や壁紙などの仕様

2.キッチン設備

3.浴室の機能

4.床材や色合い

上記で例に挙げた点は、確かにスペックが高い方が賃借人は喜ぶと思います。たとえば、キッチンには食洗器は付いていて方が良いですし、浴室にミストサウナは付いていた方が良いです。また、床材や建具は高級感があった方が良いですし、壁紙も色などが付いているとデザイン性も高いです。

しかし、賃貸物件において、上記のようなスペックにしたことによって「2万円賃料が高くなる」といった場合はどうでしょうか。「ここまで機能はいらないので、2万円賃料が安い物件が良い」という人は多いはずです。

つまり、前項と同様、室内スペックは高い方が良いものの「永住目的」ではないので、過度に高いスペックは不要ということです。

逆にスペックが高いということは、物件価格も高くなります。そのため、賃料を上げざる得ないということなので、その賃料アップに賃借人が納得しなければ空室リスクと家賃下落リスクは高まります。

7.まとめ

このように、不動産投資で失敗する理由は、結果的に「空室リスク」や「家賃下落リスク」につながる点です。 この2つの大きなリスクにつながってしまうと不動産投資は失敗しやすくなります。 上述した点を良く理解して、不動産投資をしてみてください。

- 2017年03月24日