「吉祥寺」のマンション相場を調査!“人気の街”の相場はいかほど?

吉祥寺は、「住みたい街ランキング」でも常に上位に選ばれるエリアであり、一時期は第1位を独占していた時期もあったほどです。とはいえ、吉祥寺は都心から離れているので、実は東京都民でも「行ったことがない」という人は結構います。

今では、豊洲勝どき月島あたりの湾岸エリア、そして近年開発が進む武蔵小杉エリア、ほかにも新駅誕生で期待が高まる品川エリアなども人気のエリアと言えるでしょう。しかし、吉祥寺に関しては、人気に浮き沈みがなく、ここ10年以上ずっと「人気」エリアとして有名です。

それほどまでに人気の街「吉祥寺」を対象に、今回マンションサプリでは相場情報サイト「マンションマーケット」のデータを用いて周辺のマンション相場を調査しました。

調査概要
・対象マンションは「マンションマーケット」に掲載されている分譲マンション、かつ、駅徒歩10分圏内に立地するもの
・徒歩1分=80m換算
・各年の年間平均平米単価で比較(2018年は1月1日〜5月14日)
・徒歩1分=80m換算
・データは2018年5月15日時点

調査結果

結果をみると、吉祥寺エリアはほぼ毎年マンション価格が上昇しています。しかし、実はほかのエリアと比べると上昇率が極めて高いとは言えません。なぜなら、吉祥寺駅の2014年から2018年の上昇率は15.3%ですが、たとえば武蔵小杉駅では上昇率23.5%となっているからです。

もちろん、15.3%という上昇率も十分高いのですが、全体的にマンション価格が上昇している中で、吉祥寺よりも上昇率が高いエリアは存在します。というのも、そもそも吉祥寺は人気エリアだったので、既に価格が上がっていたからです。逆に、武蔵小杉のようなここ数年で人気に火がついたエリアでは、マンション価格高騰に連動して、非常に高い上昇率になっていると予想されます。

吉祥寺の歴史

では、なぜ吉祥寺という街が人気なのか?という解説の前に、吉祥寺という街はどのような歴史を辿ってきたのかを見ていきましょう。
吉祥寺の歴史は江戸時代まで遡ります。江戸時代、幕府は火事で焼失した街を再建築するため、都市計画に基づき費用を貸与する政策を実施しました。その際、農村だった吉祥寺エリアも開墾され、数多くの住人が移住してきたことが、吉祥寺エリアに人が集まったキッカケです。

当時、吉祥寺エリアの武蔵野台地は水利が悪かったのですが、玉川上水の開通に伴って水利も良くなり、利便性も高まりました。とはいえ、もともとの土壌は農地に向いていなかったこともあり、農村ではなく商業の街へと発展していったのです。

その後、大正時代に起きた関東大震災によって、被災した市街地から多くの人々が吉祥寺に移り住みます。人口が急増したのを機に、更に街としての発展を遂げます。そして、美しいケヤキ並木で知られる成蹊学園が池袋から移転したこともあり、住宅街・学生街としての今の街並みが形成されていきました。

吉祥寺エリアが人気な理由は?

さて、前項のような歴史背景から、吉祥寺は商業施設がたくさんありながらも、住宅として閑静な街並みという側面も持っています。そんな吉祥寺の魅力は、まさに「ベッドダウン」と呼べる立地であり、住みやすい環境が整っている点でしょう。それを、色々な観点から紹介していきます。

1.交通利便性が良い

吉祥寺駅は、中央線・総武線の停車駅であり、各駅停車のほかに快速と通勤快速も停車します。また、東京メトロ東西線と、京王井の頭線も停車駅となっているので、4路線利用可能な駅なのです。

そんな吉祥寺駅からは新宿駅まで14分、渋谷駅まで16分、東京駅まで27分と、都心の3台拠点へダイレクトでアクセスできます。後述しますが、これほどまでに住環境が揃っていて、なおかつ都心にアクセスしやすい街はなかなかありません。だからこそ、吉祥寺は人気の街になっているのです。

2.商業利便性が良い

吉祥寺は26の商店街があり、7つの大型商業施設があります。たとえば、コピス吉祥寺や東急百貨店といった大型商業施設から、個人経営のインテリアショップまで、店舗の種類も幅広いです。

さらに、単なるレストランではなく、ロシア料理やスペイン料理、ネパール料理などの各国の料理店があったり、お洒落なカフェがあったりと、ショッピング施設以外のお店もたくさんあるのです。つまり、わざわざ遠出する必要がなく、吉祥寺付近で買い物は完結してしまうというわけです。

3.住環境が良い

最後に、住環境が良いという点を紹介していきます。住環境の良さは、吉祥寺エリアの用途地域と、広大な公園の存在が分かりやすいでしょう。

・用途地域
吉祥寺エリアは、駅前にたくさんの商業施設を持ちながらも、駅から数百メートル離れただけで閑静な住宅街になります。この点は、用途地域を見るとそのような街づくりを目指していたことが分かります。吉祥寺エリアは、駅前こそ「商業地域」であり、高い建物や商業施設を建築できるエリアです。

しかし、数百メートル歩けば、ほとんどが「第一種低層住宅専用地域」であり、住居系エリアが広がります。第一種低層住宅専用地域は、住居系地域の中でも最も建物の建築制限が厳しく、基本的には住宅しか建築できません。そのため、閑静な住環境が守られるというわけです。

たとえば、武蔵小杉エリアを見てみましょう。武蔵小杉エリアも比較的住居エリアとしては整っていると言われています。ただ、武蔵小杉エリアの用途地域を見てみると、駅前には広範囲で商業地域が広がり、離れた場所も第一種住居地域や近隣商業地域となっております。

第一種住居地域は住居系エリアなのですが、第一種低層住宅専用地域に比べると、建築できる建物は多いので、第一種低層住宅専用地域ほど閑静ではありません。この点からも吉祥寺エリアの住環境の良さが分かると思います。

・広大な公園
吉祥寺には「井の頭公園」という広大な公園があります。井の頭公園は35haあり、東京ドームの約7.4倍の規模に相当します。そもそも、東京都内で「駅徒歩5分以内に存在する35ha以上の公園」は、代々木公園や上野公園などを含めわずか5つしかありません。

井の頭公園はその5つの中の1つであり、観光できるスポットやキッズが遊べるスポット、そしてアミューズメントゾーンとスポーツゾーンもあります。そのため、公園内を散策するだけでなく、水生物園や自然文化園で遊んだりスポーツしたりと園内で色々楽しむことができます。このように、交通利便性や商業利便性に加え、「住みやすさ」も兼ね備えたエリアだからこそ、吉祥寺エリアは人気のエリアと呼ばれる街なのです。

- 2018年06月21日