多くの人が悩む!マンションか?戸建てか?戸建てのデメリットを学んで決めよう

家を購入するときは、エリアや広さ、設備・仕様など色々と迷うものです。
また、そもそもマンションを買うべきか?戸建てを買うべきか?という点を悩む人も多いです。
マンション・戸建てにはそれぞれ良い点・悪い点があるので、どちらが良いかは人によります。

今回は、戸建てのデメリットに焦点を当てて解説します。

マンションか?戸建てか?を考えるときはデメリットに目を向けることが大切です。
デメリットを理解して、そのデメリットが自分にとって致命的なマイナスになるようであれば、別の種類の家を購入した方が良いでしょう。

目次

1.設備・仕様が古い
☞1-1居住性が悪い
☞1-2設備、仕様の入れ替えに費用がかかる

2.木造は耐用年数が低い、価値が低い
☞2-1構造によって耐用年数と査定額が異なる
☞2-2リセールバリューを視野に入れなければいけない理由

3.土地の相場が分かりにくい
☞3-1土地相場が分かりにくい理由
☞3-2中古の売却は取引事例を基にする

4.見えない瑕疵のリスクがある
☞4-1瑕疵の実例
☞4-2瑕疵担保責任とは?
☞4-3中古戸建の瑕疵リスク
・4-3-1建物が木造である
・4-3-2室内が広い

5.セキュリティが甘い
☞5-1オートロック機能がない
☞5-2警備システムが通常で導入されていない
☞5-3開口部が多い
☞5-4ブラインドが多い

6.まとめ

1.設備・仕様が古い

老朽化
まず、中古戸建のデメリットとして最も大きい点は、設備・仕様が古いという点です。

設備・仕様が古いと以下のようなデメリットがあります。

・居住性が悪い

・設備、仕様の入れ替えに費用がかかる

1-1居住性が悪い

戸建てはマンションより気密性が高くありません。
その理由は、戸建てが木造で、マンションが鉄筋コンクリート造である点、そして戸建ての方は開口部が多いという点です。

気密性が高くないということは、隙間風が多かったり、室内の温度を一定に保ちにくかったりするというデメリットがあります。
それは、夏は暑くなりやすく、冬は寒くなりやすいことを意味しており、居住性が悪いと言えます。

1-2設備、仕様の入れ替えに費用がかかる

設備とは、具体的には浴室・キッチン・洗面台・トイレなどの水まわり設備を指します。
また、仕様とはフローリングやクロス、扉などの建具のグレードのことを指します。

前提として、木造の戸建ての方が鉄筋コンクリート造のマンションよりも、以下の理由で設備や素材が劣化しやすいです。

・「木」は、素材的にもろい

・気密性が低いので、湿度や寒暖差が激しくなり、素材へのダメージが大きい

また、新築ではなく中古戸建は、居住者によって室内の使い方に差がありますので、居住者によって劣化具合が異なります。
それは、最初に見学しただけでは全ては分かりません。

たとえば、「収納内」や屋根裏・床下などの部分は見落としがちです。
そのため、中古戸建を購入するのは「劣化具合を全て見極められない」というデメリットもあります。
その対策として、建築のプロが家をチェックする「ホームインスペクション」というサービスがあるくらいです。

仮に、中古戸建を購入して、住んでいくうちに設備や仕様の劣化具合が気になれば、設備・仕様の入替工事を行う必要があります。
そうなれば、大きなリフォーム工事になり、高額の費用がかかってきます。

このように、中古戸建は、設備・仕様が劣化しやすく、既に劣化している分を見極めることも難しいです。
そのため、結果的に中古戸建購入後に大きなリフォームをせざる得えず、コストがかかるリスクがあるということです。

2.木造は耐用年数が低い、価値が低い

木造
中古戸建のデメリットの2点目は、木造は耐用年数が低く、価値が落ちやすいという点です。

この観点から、中古戸建を購入するときには、以下の点を知っておく必要があります。

・構造によって、耐用年数と査定額が異なる

・リセールバリューを視野に入れなければいけない理由

2-1構造によって耐用年数と査定額が異なる

不動産は構造によって、以下のように耐用年数が国税庁※1で決められています。

・住宅用の木造建築:耐用年数22年

・住宅用の鉄筋コンクリート建築:耐用年数47年

そもそも耐用年数とは、「長期にわたり反復使用に耐える経済的に価値があるものの使用」を指します。
つまり、この定義的には、耐用年数が過ぎたものは、経済的に価値のあるものではないということです。

耐用年数は減価償却費を計上するために作られた背景がありますので、上記の年数が経過した時点で「住めなくなる」というワケではありません。
事実、築22年以上の一戸建ても、築47年以上のマンションに住んでいる人もいます。

しかし、実際に一戸建てを売却するときには、耐用年数通り、築20年~25年ほどで査定金額を0円にする不動産会社がほとんどです。
一方、マンションは物件にもよりますが、築40年を経過しても査定額は付く物件も少なくないです。

つまり、中古戸建を購入するときには、中古戸建を再度売却するときには、時期によって建物部分の価値が0円になっている可能性があるということです。
そのため、中古戸建のリセールバリューは土地部分しかありません。

しかし、後述しますが土地部分の価値は、「分かりにくい」というデメリットがあります。

※1耐用年数(建物・建物附属設備)
https://www.keisan.nta.go.jp/survey/publish/34255/faq/34311/faq_34354.php

2-2リセールバリューを視野に入れなければいけない理由

そもそも中古戸建を購入する人の中では、「永住志向」の方も多いと思います。

しかし、以下のようにライフスタイルの変化によって、住宅を買い替えたいタイミングは必ず出てきます。

・子供が増えたのでもっと広さが欲しい

・子供が成長したので個室を増やしたい

・子供が独立したので今の家は広すぎる

このように、広さや個室を増やしたいときもあれば、逆に戸建てが広すぎるという状況もあります。
その場合は、たとえば「もっと大きな一戸建て・マンションに買い替える」や「コンパクトなマンションに買い替える」などの選択肢も出てきます。

しかし、建物価格が0円であれば、土地だけしか売れず、さらに建物は解体してから売却しなければいけないかもしれません。
そうなると解体費用もかかりますので、さらに中古戸建のリセールバリューは下がります。

このように、たとえ「永住志向」で中古戸建てを購入しても、将来的にどうなるか分かりません。
そのため、中古戸建を購入するときは、リセールバリューが低いというデメリットは頭に入れて購入する必要があります。

3.土地の相場が分かりにくい

分かりにくい
中古戸建のデメリットの3点目は、先ほど少し触れましたが土地の相場が分かりにくいという点です。

土地の相場が分かりにくいという点は、中古戸建てを購入するときも売却するときもデメリットになり得ます。

中古戸建の土地相場については、以下の点を認識しておきましょう。

・土地相場が分かりにくい理由

・土地相場が分かりにくいことによるデメリット

3-1土地相場が分かりにくい理由

土地相場が分かりにくい最も大きな理由は、中古戸建ての取引事例が少ないからです。
たとえば、REINS Market Information※2というサイトで「東京西部(中野区、杉並区、板橋区、練馬区)」のエリアで、直近1年間に取引された事例数は以下の通りです。

・戸建て:651件

・マンション:2,402件

このように、取引事例としては3.7倍近くの差があります。
REINS Market Informationというサイトは、REINSというサイトの情報を基にしています。
REINSは不動産会社が中古物件の売却をするときに物件登録するサイトなので、上記の数字は実際の取引数をほぼ網羅している数字と言えるでしょう。

※2REINS Market Information
http://www.contract.reins.or.jp/search/waa01-04DSP.do?r=2004544636031166012

3-2中古の売却は取引事例を基にする

マンションや戸建て・土地などの売却価格は、周辺で取引された事例を基に金額が決まります。
成約した事例をピックアップして、その中から駅距離、広さ、築年数、向きなどの、売却したい物件の条件に近い事例をさらに絞り込みます。

そして、絞り込んだ物件を参考に、査定したい物件価格を算出するという流れです。
つまり、前項のように、取引事例が少ない戸建ては、比較対象が少なく査定額を算出しにくいです。

3-3土地相場が分かりにくいことによるデメリット

土地相場が分かりにくいことにより、戸建て購入者が受けるデメリットは以下の通りです。

・戸建ては土地の価値が大きいので正確な相場が分からない

・不動産会社によって金額が異なる

上述したように、木造戸建ての建物部分は劣化が早く、再度戸建てを売却するときに建物の査定額が0円になることがあります。

そのため、戸建てを購入するときも売却するときも、土地の価値が大切になります。
言い換えると、戸建てを購入するときも売却するときも、土地の価値を正確に見極めることが大切ということです。

しかし、戸建ては事例が少ないので土地の価値を見極めにくく、本当にお買い得な金額なのかの判断がつきにくいです。
不動産会社によっても見解が異なります。

そのため、仮に事例が少なかったことにより相場より高く購入してしまえば、将来的に売却するときには厳しい状況になってしまいます。
土地相場が分かりにくいことにより、適正価格が分かりにくく、高い金額の中古戸建を購入してしまう可能性があるということです。

4.見えない瑕疵のリスクがある

亀裂
中古戸建てのデメリットの4点目は、中古戸建てには、「見えない瑕疵」のリスクがあるということです。

そもそも「瑕疵」とは建物「欠陥」のことです。
つまり、中古戸建は目に見えない建物の欠陥リスクがあるということです。

4-1瑕疵の実例

具体的には以下のような瑕疵があります。

・天井に亀裂があり雨漏りしている

・壁に大きな亀裂がある

・収納内の床に大きな穴がある

・天井裏の雨どいが破損している

上記のように、物件見学時には見つけにくいような瑕疵も多いです。

ただ、このような瑕疵があると生活に支障を来たす場合もあるので、購入者の立場からすると瑕疵があるかどうかは非常に大切なことになります。

4-2瑕疵担保責任とは?

このような「瑕疵」については、売主は責任を負っています。
「責任」とは、たとえば天井に亀裂があり雨漏りがするような瑕疵であれば、物件を引き渡した後でも売主は補修などの対応をする義務があります。

瑕疵担保責任の期間は、新築戸建ての場合は不動産会社が売主なので、主要構造(天井・床・壁など)の瑕疵は10年間保証されます。

しかし、中古戸建の場合は個人が売主になるので、瑕疵担保責任の期間は売主・買主間の合意で決めます。
一般的には、中古戸建の瑕疵担保期間は半年~2年程度になるため、その期間以降は売主の瑕疵担保責任はなくなります。

つまり、瑕疵担保責任の期間が過ぎてから判明した瑕疵は、売主は補修などをする義務がなくなるということです。

ただし、売主がその瑕疵を知っていながら隠していたような、「悪意のある瑕疵」については瑕疵担保責任の期間に限らず売主は責任を負います。

4-3中古戸建の瑕疵リスク

瑕疵リスク
中古戸建が、このような瑕疵リスクが高い理由は以下の点です。

・建物が木造である

・室内が広い

4-3-1建物が木造である

1つ目の理由は、繰り返しますが中古戸建は木造建築だからです。

たとえば、マンションであれば鉄筋コンクリート造が主流なので強固な建物です。
鉄筋コンクリート造は、鉄筋で枠組をしてコンクリートを流し込みます。

つまり、外壁や天井部分も強固なコンクリートで守られている状況のため、「亀裂が入って雨漏りする」のような状況になりにくいです。

一方、中古戸建は断熱木材などをベースに、防水シートや間柱、ボードなどで構成されています。
もちろん、「木材」のみで作られているワケではありませんが、どうしてもマンションに比べると亀裂が入ったり破損したりする可能性は高いです。

4-3-2室内が広い

さらに、戸建てはマンションよりも広い場合が多く、1フロアではなく階層があります。
そのため、床面や天井面・壁面の面積が広く、瑕疵ができる範囲自体が広いという点が、中古戸建は瑕疵リスクが高くなるという2つ目の理由です。

これらの理由により、中古戸建購入の際は、マンション購入の時以上に瑕疵についてしっかりチェックする必要があります。

5.セキュリティが甘い

セキュリティが甘い
中古戸建のデメリットの5点目は、セキュリティが甘いという点です。

具体的には、以下のような理由で中古戸建はセキュリティが甘いです。

・オートロック機能がない

・警備システムが通常で導入されていない

・開口部が多い

・ブラインドが多い

なお、上記の点はマンションと比較してという前提の話です。

5-1オートロック機能がない

基本的には中古戸建はオートロック機能がありません。
仮に、オートロックがあっても侵入は可能ですが、オートロックのあるマンションと戸建てであれば、オートロックのない戸建ての方が空き巣などに狙われやすいです。

事実、警察庁の資料※3によると、戸建てとマンションを100とした場合には、空き巣が侵入しているのは70%以上が戸建てになっています。

※3警察庁 住まいる防犯110番
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_b_1.html

5-2警備システムが通常で導入されていない

戸建ては警備会社の防犯システムが通常で導入されているケースは少ないです。
もちろん、後から個別で加入することはできますが、共同住宅のマンションよりは金額は高くなります。
この点は、特に長期不在時の犯罪につながりやすい点です。

5-3開口部が多い

警察庁の資料によると、戸建て・マンション(3階以下)共に、50%以上が窓からの侵入です。
そのため、戸建てと低層階のマンションでは開口部の多さは、空き巣からすると侵入口の多さにつながります。
つまり、開口部が多い戸建ての方がより侵入されやすいということです。

※4警察庁 住まいる防犯110番
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_d_1.html

5-4ブラインドが多い

空き巣が侵入するときには、窓や玄関から侵入します。
その際、通行人や近所の人に見られないよう、ブラインド(目隠し)が多いことも戸建てのセキュリティの甘さにつながります。

たとえば、マンションではピッキングするとしても、塀などはないので隣人の人にすぐ見られてしまいます。
そのため、玄関ドアの前で堂々とピッキングするのは、空き巣にとっては非常にリスクが高いです。

一方、戸建ては塀に囲まれている家であれば、ピッキングや窓から侵入するときも、周囲の目を気にする必要はありません。
その点からも、戸建てはセキュリティが甘いと言えるでしょう。

6.まとめ

中古戸建てのデメリットをまとめると以下の通りです。
この点を踏まえ、マンションか戸建てかの判断をしましょう。

・設備、仕様が古く居住性が低い

・木造建築のためリセールバリューが低い

・土地相場が分かりにくいので、高い戸建てを買ってしまうリスクがある

・室内に見えない欠陥があるリスクが高い

・セキュリティが甘い

- 2017年09月03日