堀北真希や広瀬すずのテレビCMでもおなじみ?「レオパレス21」とはどんな企業

賃貸住宅提供の大手

レオパレス21は、賃貸住宅を提供している業者の1つです。レオパレス21は全国展開しており、業界では大手に分類されます。
さらに、レオパレスは国内のみならず、海外にも複数の拠点を持っています。2016年時点で15の拠点をアジア地域に有しており、今後、国内事業で培ったノウハウなどをもとに、海外事業を積極的に拡大する姿勢を示しています。すでに経済発展が進んできている中国のペキンやシャンハイのほか、今後発展の加速が見込まれるフィリピンのマニラなどにも拠点を整備しています。いずれは日本のレオパレス21ではなく世界のレオパレス21になるかもしれません。

店舗形態

レオパレス21では、直営型のレオパレスセンターと、FC型のレオパレスパートナーズの店舗を持っています。直営店、FC店のいずれかだけを重視するのではなく、双方ともバランスのとれた数となっています。

地域別にみると、主要都市にはレオパレスセンターが位置していることが多いです。主要都市の周辺地域をカバーしたい場合には、レオパレスパートナーズの形態が利用される傾向がみられます。コストをかけるだけの価値があると判断できるエリアには直営型のレオパレスセンター、コストを抑えるべき地域にはレオパレスパートナーズの店舗を配置することで、利益とコストのバランスをとりながら出店していることがわかります。

FC加盟店数は?

レオパレス21のFC加盟店数は、約120店です。中・小規模の市や、大都市のレオパレスセンター周辺に立地しています。商圏とするエリアが狭ければ、もともと地元の賃貸仲介業者として活躍していた人の力を生かすこともできます。FCという形態の強みをうまく生かすことができれば、さらにレオパレスパートナーズの数が増えていくと考えられます。

FC加盟店よりもさらに結びつきの弱い各地域の不動産会社は2万社以上に上ります。レオパレスでは必要に応じてこれらの不動産業者の担当者にレオパレスパートナーズになってもらえれば、FC加盟店を増やすことができます。

レオパレス21の強み

強みレオパレス21は、1985年から、快適な都市生活を提供するとの目標で、都市型アパートの本格販売に乗り出しました。その後、バブルの時期(1989年)に株式を公開し、直後にバブル崩壊に襲われました。バブル崩壊では株式市場も大混乱となりましたが、レオパレス21はこの時期を乗り越え、現在も上場企業として活動しています。

このことから、レオパレス21は有事の際にも対応できる力があるといえます。不動産関連の事業は景気動向に左右されやすいため、景気が悪化すれば採算がとれなくなるリスクがあります。現在のレオパレス21は都市部、地方部の両方に多数の支店を有しているほか、海外展開も進めているため、バブル崩壊当時以上にリスク分散ができているといえます。景気が悪化する時期はいつか必ずやってきます。その際にも倒産などの自体に至る可能性が低いことはレオパレス21の強みといえます。

というのも、賃貸仲介業はただ仲介して終わり、というだけではないからです。次の引っ越しの際にも利用してもらうことで、居住者としては安心して同じ会社から賃貸物件を借りることができます。持続可能な経営をすることで、リピーターとなってくれる貴重な顧客の要望に応えられるのです。

さらに、上場企業であるため、不動産オーナーからの注目を集めやすいメリットがあります。不動産を多数保有しているオーナーは資産額が大きいため、株式投資を行っている人も少なくありません。賃貸仲介業大手の会社の中には、非上場の企業もあります。そうした会社と比べれば、レオパレス21は目に留まりやすいといえます。不動産オーナーにレオパレス21の存在を強く認識してもらうことができれば、より魅力的な物件を確保できる可能性も高まります。

運営企業の状況

レオパレス21は、2013年から2015年にかけて、営業利益、経常利益ともに右肩上がりの実績を残しています。リーマンショックで不動産ビジネスも大きな打撃を受けましたが、そこからの回復基調が続いているといえます。賃貸仲介業が全体として成長する中で、しっかりと追い風を受け止めて成長したことがわかります。

レオパレス21が仲介する物件の入居率が同じ時期に右肩上がりになっていることが、増益の背景にあるといえます。今後も入居率を高める努力を重ね、更なる利益の上積みが期待されます。ただ、入居率は最大でも100%であるため、上昇には限界があります。したがって、FC店舗網の拡大や事業の多角化などにより、今後の成長を継続させる必要があるといえます。

不動産ビジネスでは最初に大きな投資を必要とするケースがあります。賃貸仲介業では初期コストはある程度抑えられるものの、関連する不動産ビジネスを開始するとなれば、最初に投下する余裕資金が必要となります。しっかりと利益を上げられているレオパレス21は、新規事業に取り組む際も、必要に応じて大胆な投資を行うことが可能だといえます。

上場企業である

上場レオパレス21は株式を上場している企業です。そのため、株式を発行することで資金を集めることができます。非上場の企業であれば、銀行からの借り入れなど、返済の必要性がある形で資金を入手するのが基本となります。これに対して、上場企業であるレオパレス21は、返済の義務がない資金を調達できるメリットがあります。

ただし、株式を上場していると、経営に対して株主が口出しをする可能性があります。場合によっては他社やファンドに買収される可能性も否定できません。また、業績が悪化すれば株価は低迷し、株式を発行して資金を集めることが実質的に難しくなってしまいます。レオパレス21は株式発行による資金調達という選択肢を持っている一方で、株主に信頼される企業であり続けることが求められています。

株主の信頼を維持するとなると、投資家向けの情報開示(IR)を充実させるなどの取り組みが必要になります。そのため、金銭的、時間的コストがかさんでしまいます。しかし、投資家に向けて積極的な情報開示を心がける中で、自社のコンプライアンス(法令順守)意識を高めることもできます。情報開示が不十分であれば、株主総会などで株主から指摘を受けるからです。株主への対応を面倒な作業ととらえるのではなく、企業経営をよりよくするチャンスととらえることができれば、上場企業であるメリットがさらに生かされるといえます。

サービス品質向上で差別化を図る

賃貸仲介業のメインはもちろん、賃貸住宅を仲介することです。しかし、単に空き物件を顧客に紹介するだけでは、リピーターをつかむことは難しいです。規模がより大きく、多数の紹介物件を持っている業者のほうが有利になってしまうからです。

そこでレオパレス21では、住宅を借りてくれた顧客に対して様々なサービスを提供しています。具体的には、家具や家電製品、インターネット回線などがあらかじめ付属している物件のほか、部屋を顧客の好みに合わせてカスタマイズできるサービスを提供しています。

賃貸住宅となれば、あくまでも借りものなので、自己所有の不動産ほど自由にカスタマイズすることはできません。そのため、没個性的な家になってしまうことを不満に思う利用者が出てきます。そこでレオパレス21ではこうした利用者の不満を解消すべく、カスタマイズ可能な物件も提供しているのです。

こうした取り組みを重ねれば、物件の立地や家賃のみならず、関連サービスの品質も顧客に印象付けることができます。こうなるとより大きな業者と競合しており、自社のほうが紹介できる物件数が少ない場合でも、顧客を獲得できる可能性が高まります。

現在、賃貸住宅の利用者としては、若年の単身世帯が増えてきています。こうした層は平均余命が長く、一度レオパレス21のサービスに満足すれば、再度利用してくれる可能性が高いです。顧客層を考えても、サービス向上で顧客満足度を高めるレオパレス21の戦略は一理あるといえます。

ホテル事業にも取り組む

ホテル事業レオパレス21はホテル事業にも取り組んでいます。「ホテルレオパレス」のブランドで名古屋、博多をはじめとする全国の6都市でホテルの運営を行っています。ホテル事業は地域の中心都市で行えば、ビジネス需要などをとりこむことができ、安定した収益に期待できます。

また、旭川にもホテルを有していることから、外国人を含めた観光客の取り込みにも期待できます。日本政府が外国人観光客の誘致に力を入れている中で、旭山動物園という観光資源があり、降雪量も多い旭川は、外国人にとって魅力的な都市の1つです。実際、ウィンタースポーツを楽しむために南半球や東南アジアから北海道を訪れる外国人観光客が増加しています。今後、旭川のホテルで収益が拡大することが期待されます。

さらに、ホテルと関係の深い事業として、グアムでリゾート事業にも取り組んでいます。グアムは海外のリゾート地としては日本から比較的近く、気軽に訪れてもらいやすいです。株主には優待品としてグアムのレオパレスリゾートでも使える無料宿泊券を提供しています。レオパレス21の株式を保有していれば、無料でグアムのリゾートに滞在できることになります。株主優待がホテル・リゾートの無料宿泊券になっていることからも、レオパレス21が賃貸仲介業以外のビジネスについても積極的に取り組んでいる姿勢がうかがえます。

介護事業にも取り組む

介護事業レオパレス21では、高齢化・人口減少が進む日本の現状に合わせる形で、介護事業への取り組みも行っています。レオパレス21は本業で不動産を多数扱っているため、地域ごとの特性をうまく把握しながら介護ビジネスを拡大できる可能性があります。介護施設を開設するための不動産物件探しの際にも、本業でのノウハウが役立ちます。

2016年現在、レオパレス21は関東地方の1都6県で介護サービス「あずみ苑」を展開しています。レオパレス21の本業である賃貸仲介業は全国展開している事業です。そのため、全国ネットワークを生かして介護サービスでも全国展開できれば、より事業の多角化が進められます。レオパレス21で住宅を賃貸していた利用者が高齢になればあずみ苑を利用するといった流れが生まれれば、一生を通じて居住空間をレオパレス21が提供できることになります。

レオパレス21の競合

アパマンショップエイブルレオパレス21の競合としては、エイブルアパマンショップが挙げられます。これらの会社とレオパレス21の違いを見てみましょう。

まずアパマンショップは日本最大の賃貸仲介業者です。そのため、提供している物件数や店舗数はレオパレス21を上回っています。賃貸仲介業では店舗ネットワークが充実しているほど、より地域ごとのニーズに合った物件を提供しやすくなります。そのため、レオパレス21としては、アパマンに負けない品質で賃貸物件を提供できるかどうかが、競争に勝てるかどうかの分かれ目となります。

もっとも、少ない店舗数であっても1店舗当たりの規模を大きめにするなどしてニーズの把握に努めれば、逆に低コストであることが有利に働く可能性があります。店舗数が多すぎるとコストがかさんでしまい、より魅力的な価格で物件を仲介できなくなってしまいます。引っ越しの際には何かと費用がかさむので、価格に敏感な顧客も少なくありません。レオパレス21は店舗数がアパマンより少ないことを逆に強みとして、低コストで同じあるいはアパマンを上回る品質のサービスを提供することが求められます。

エイブルはアパマンと比べると規模は小さいですが、レオパレス21と並んで大手の賃貸仲介業者です。エイブルではスポーツ支援事業に積極的に取り組んでいます。上場企業であるレオパレス21もCSRの一環としてスポーツ選手の支援に取り組んではいますが、エイブルほどの規模ではありません。CSR活動に後ろ向きだと投資家から判断されれば、株価が下がってしまうリスクがあります。CSR活動は企業のメインの活動ではないものの、上場企業としての社会的責任を果たすべく、エイブルのようなスポーツ支援活動の充実も検討していくことが必要です。

このようにレオパレス21には複数の競合が存在します。ただ、レオパレス21はアパマンやエイブルと比べると、事業の多角化の点で先を行っているといえます。特に、ホテル事業や介護事業については今後も積極的に拡大することが可能です。新たなビジネスの展開も戦略の1つではありますが、現在進んでいる多角化の流れをより速めることができれば、賃貸仲介業が逆風にさらされたときも、競合他社よりも強固な財務基盤を維持できるかもしれません。

- 2016年06月14日