マンション投資に失敗する6個の事例

マンション投資は、比較的安定した収益を得られる投資です。
しかし、あくまで「投資」ではあるのでリスクもあります。

今回は、そんなマンション投資のリスクによって、実際にマンション投資で失敗してしまった事例を6個紹介します。
その失敗体験を反面教師にして、マンション投資の糧にしましょう。

目次

1.入居用マンションと同じ視点で物件を選んだ
☞最高の環境を選んでしまった
☞投資用マンションの居住者は「賃貸」である
・投資用マンションの入居者は「賃貸用」を探している
・入居用の視点でマンション選びをすると物件価格が高くなる

2.1つの指標だけで物件を選んだ
☞「施設」というアピールポイント
☞「施設」は移転・閉店する

3.価格だけで物件を選んだ
☞物件価格は大事な指標
☞物件価格が安いと利回りは上がる

4.現地の確認を良くせずに物件を選んだ
☞物件の印象は変わる
☞物件見学を1回しかしない

5.空室保証の仕組みを良く理解していなかった
☞空室保証の仕組み
☞空室保証は賃料の見直しがある

6.身の丈以上の借入を起こしてしまった
☞アパートローンは物件の収益性も見る
☞審査通過が「返済可能額」ではない

1.入居用マンションと同じ視点で物件を選んだ

入居用マンション
まず、マンション投資に失敗した1つ目の事例は、入居用マンションと同じ視点で物件選びをした事例です。
マンション投資をする人の中では、自ら居住するマンションの購入経験がある人も多いです。

ただ、投資用マンションは入居用マンションと違う視点で選ばなければいけないので、居住用マンションの購入経験者ほど、その点には気を付けましょう。

最高の環境を選んでしまった

投資用マンションを選んでいたAさんは、投資用マンションを色々と調べていました。
ネットで情報を検索したり、投資用不動産を扱う業者へ話を聞きに行ったりと、実際にいくつか物件見学もしていました。

その中で、以下のように最高の環境の物件がありました。

・南向きで陽当たり抜群の5階住戸

・目の前は戸建て街なので遮るものはない

・築5年の築浅物件なので非常にきれいな物件

・最新設備が搭載されている

Aさんは、このマンションに自らも「住みたい」と思ったくらいなので、賃借人もすぐに付けられると思い、このマンションの購入を決意しました。

しかし、この「自分が住みたい」と思う視点が、結果的にマンション投資の失敗に繋がってしまうのです。

投資用マンションの居住者は「賃貸」である

入居用マンションの視点で投資用マンションを選ぶと失敗する理由は、結論から言うと「賃料が高くて借り手が付きにくいから」という理由です。

なぜ、借り手が付きにくいかというと、以下の理由からです。

・投資用マンションの入居者は「賃貸用物件」を探している

・入居用の視点でマンション選びをすると物件価格が高くなる

あくまでマンションに居住する人は「賃借人」であり、「購入者」ではないという点が重要になります。

投資用マンションの入居者は「賃貸用」を探している

そもそも、投資用マンションは、賃借人を付けて、その賃借人からもらう賃料収入を収益としています。
そして、その賃借人は賃貸用物件を探しているので、「永住すること」を目的としていません。
もちろん、結果的に長期間住むこともありますが、最初から「一生住むところを探す!」という視点で物件選びをしている人は少ないでしょう。

しかし、入居用の視点でマンションを探すと、そのマンションに「永住」するという前提で物件選びをしてしまいます。
つまり、入居用の視点でマンション選びをすると、賃借人の「数年程度住む部屋を探している」というニーズと、ギャップが生まれてしまうということです。

入居用の視点でマンション選びをすると物件価格が高くなる

もちろん、上述したように、入居用の視点でマンション選びをすると、非常に条件の良い物件を取得できます。
室内を見た限りでは、賃貸検討者も良い印象を持つでしょう。

しかし、問題は「物件価格」です。
永住志向で物件選びをすると環境が良い部屋になりますが、そのような物件は価格が高いです。
しかし、高い価格で物件を取得するということは、当然ながら賃料も高く設定しないと利益を上げられません。

そのため、結果的に「条件は良いけれども賃料が高い」という物件を選ぶことになってしまいます。
賃料が高い部屋は、そもそも検討段階で賃貸検討者の候補から外されるので、物件見学者自体が少なくなります。

先ほどの「環境が良い部屋」を買ったAさんのマンションも例外ではなく、賃料が高いため見学者が非常に少なく、見学に来ても「賃料が高い」という理由で検討見合わせになることが多かったです。
そのため、結果的に賃料を下げることになり、予想していた利回りを得ることが出来なくなりました。

このように、入居用の視点でマンション選びをしていまうと、賃料が高くなり、結果的に空室が長くなるという失敗に終わるケースが多いです。

2.1つの指標だけで物件を選んだ

一つ
マンション投資に失敗した2つ目の事例は、1つの指標だけで物件選びをしてしまった事例です。

指標とは、「エリア」や「周辺環境」「室内環境」などの、物件を選ぶ「条件」のことです。
特に、「エリア」だけに特化した場合には、そのエリアの価値が下がる出来事が発生すれば相場は崩れてしまいます。

「施設」というアピールポイント

賃借人が物件を選ぶときには、以下のような「エリア」の要素を重視します。

・最寄り駅はどこか

・駅徒歩距離

・周辺施設の利便性

この中で「周辺施設の利便性」だけに注目してマンション投資をしたBさんの話をします。
Bさんは投資用物件を探していたときに、「大型商業施設がある」という理由に注目して、ある物件を選びました。

その物件は、駅距離も遠く、最寄り駅自体も交通利便性が良くはなかったのですが、大型商業施設が近くにあるという魅力は強いと判断しました。
そんな施設が近くにあれば、賃貸検討者も大勢来ると考えたのです。

しかし、これが投資失敗の原因になりました。

「施設」は移転・閉店する

なぜ、Bさんが投資に失敗したかというと、施設は移転したり閉店になったりすることがあるからです。
結局、物件の近くにあった大型商業施設は、Bさんが物件を購入した2年後に閉店になってしまいました。

Bさんの読み通り、大型商業施設が近くにあったときには、「利便性が高い」という理由で、すぐに賃借人が付きました。
しかし、大型商業施設が閉店した3か月後に入居者は退去し、その後も中々賃借人が付きませんでした。

その物件は「大型商業施設が近くにある」という「売り」を除くと、ただの不人気エリアの駅遠物件なので無理もありません。

このように、「エリア」の中で、しかも「周辺利便施設」という1つの指標だけで物件選びをすると危険です。

必ず、複合的な要素で物件選びをして、環境が変わっても、ほかの「売り」で勝負できる物件を選びましょう。

3.価格だけで物件を選んだ

価格
マンション投資に失敗した3つ目の事例は、価格だけで物件選びをしてしまった事例です。
この事例は、1つ目の事例として紹介した「環境が良く高価格の物件を選んだ(入居用マンションの視点)事例」の逆になります。

入居用の視点でマンション選びをするのも良くありませんが、かといって物件の価値を考えずに価格だけで物件選びをしても失敗します。

物件価格は大事な指標

たしかに、投資用マンション選びにおいて、物件価格は非常に重要です。
投資用物件を選ぶときには必ず「利回り」を計算します。
要は、「このマンションからどのくらい利益を得られるか?」という点を重視するということです。

利回りは、「年間想定賃料÷物件取得費用」で計算されます。
試しに、以下の物件で利回りを計算してみましょう。

・物件価格2,200万円

・物件取得時の諸費用85万円

・年間想定賃料120万円(月々賃料10万円)

上記の物件利回りは、「年間想定賃料120万円÷物件取得費用2,285万円」という式になり、利回りは5.25%となります。
つまり、約19年間(100%÷5.25%)物件を運用すれば、物件取得費用は回収されるという計算です。

もちろん、固定資産税などのランニングコストがかかってくるので、実際には回収までの期間はもう少しかかりますが、この利回りはマンション投資において最重要指標と言っても過言ではありません。

物件価格が安いと利回りは上がる

当然ながら、先ほどの計算式は物件価格が安いと利回りは高くなります。
仮に、前項の例で物件価格が1,500万円なら8%という利回りです。
マンション投資で失敗したCさんは、まさに、このような「低価格」で「利回り高い」の物件を購入してしまいました。

しかし、物件価格が安く、そのエリアの物件よりも異常に利回りが高い物件は、何かしらのリスクがある場合が多いです。
今回のCさんの物件は、「隣人トラブル」という大きなリスクがありました。
ただ、Cさんは物件価格だけに注目していたので、隣人についてはノーチェックで物件取得をしてしまったのです。

Cさんの購入した物件の隣人は、非常に神経質な人で、少し音を立てるだけでクレームを言うような人でした。
そのため、入居者が現われても退去するまでの期間が短く、物件の見学者にもクレームを言う人だったので、中々賃借人も付きません。
Cさんは「隣人もいずれ退去するだろう」と思っていましたが、2年経っても退去する気配がなかったので、ついに物件を手放すことにしました。

しかし、隣人の存在を知られているので、結局1,300万円まで価格は下がり、さらにマンションを所有していた2年間で実に7か月も空室期間がありました。
そのため、トータルの収益は大きく赤字になり、結果的にマンション投資は失敗に終わったのです。

このように、低価格のマンションで利回りが異常に高い物件は、何かしらのリスクがないかを必ずチェックしましょう。

4.現地の確認を良くせずに物件を選んだ

目隠し
マンション投資に失敗した4つ目の事例は、現地の確認をよくせずに物件を選んだ事例です。
現地確認は物件選びでも重要なポイントですが、時間がない方などは疎かにしがちなので注意しましょう。

物件の印象は変わる

物件の印象は、朝・昼・夜、そして平日・休日で大きく変わります。
特に、ターミナル駅などの大きな駅ほど、その変化は大きくなります。

たとえば、酒をメインにしている飲食店は、基本的に夜しか営業していないことが多いです。
そのため、夜の街も確認しておかないと、「え?こんな店あったの?うるさくて治安が悪そう」などと思われてしまいます。

当然ながら、賃貸物件を探している方も、街の様子は重要視します。
物件を見学しているときに街の印象が少しでも悪ければ、検討を取り止めることもあります。

物件見学を1回しかしない

マンション投資を考えているDさんは、ある会社の役員でした。
また、不動産会社に勤務していたこともあったので、ある程度不動産については詳しいと自分では思っています。
そのため、投資用マンションも1回の見学で決めてしまいました。

物件見学した日は会社の合間に抜け出した平日の夕方で、物件はもちろん、街の様子にも好印象を抱きました。
そのため、即決して購入したのですが、結果的にそのマンション投資は失敗に終わります。

なぜなら、その物件の魅力は机上のものであり、実際に魅力と感じる人は少なかったからです。
というのも、その物件の魅力は「駅から徒歩5分」「商業施設へも徒歩7分」という利便性でした。

しかし、実際には机上の数字よりも、もっと時間がかかってしまいます。
「駅から徒歩5分」に関しては、駅までの道の途中で大通りを渡る必要があり信号待ちが長いです。

また、道自体も歩きにくく薄暗いので、その道を避けると駅までのルートが変わります。
そのため、歩きやすいルートで行き、信号に引っかかってしまうと、実際には駅まで10分以上の時間がかかってしまったのです。

また、商業施設も同じように、実際に歩くと徒歩12分以上の道のりでした。
Dさんは社用車で街をぐるっと周っただけなので、この事実に気づくことは出来なかったのです。

Dさんは、「抜群の立地条件」が魅力で賃料を高く設定していましたが、このエリアを知っている人なら、「道の歩きにくさ」「信号待ちの長さ」は有名です。
そのため、借りる人は中々現れずに、予想していた収益を上げられませんでした。

5.空室保証の仕組みを良く理解していなかった

空室
マンション投資に失敗した5つ目の事例は、空室保証の仕組みを良く理解していなかった事例です。
空室保証はマンション投資家に人気がありますが、同時にトラブルの元にもなっているので気を付けましょう。

空室保証の仕組み

空室保証は、不動産会社と賃貸借契約を結び、その不動産会社が第三者に賃貸(又貸し)するという仕組みです。
つまり、その「第三者」が賃貸していない空室の状態でも、マンションオーナーは不動産会社から賃料をもらえるので、空室時も賃料を保証できるということです。

ただし、空室保証プランにするときには、不動産会社に月額5%~10%ほどの手数料を支払います。
そのため、「家賃は5%~10%減るけれども、空室時にも賃料収入が途切れることがない」という点が、空室保証最大の魅力です。

マンション投資の最大リスクは「空室リスク」なので、その点を上手く解消できている空室保証は人気があります。

空室保証は賃料の見直しがある

マンション投資をはじめようとしているEさんは、投資する物件を決め、「空室保証」タイプの契約形態に決めました。
空室保証を展開している賃貸管理会社Z社の「10年保証プラン」という謳い文句に魅力を感じたのが決め手です。

しかし、結局はこの「10年保証プラン」のおかげでマンション投資は失敗に終わってしまいました。
というのも、「10年保証プラン」というのは、必ずしも「10年間同じ賃料を保証する」ということではないからです。
むしろ10年間賃料が変わらないことの方が稀です。

実際に、空室保証の契約書には「2年に1回のペースで賃料を見直す」と明記されています。
しかし、Eさんは「10年保証」を「10年賃料が変わらない」と思い込んでいたので、その点を見逃してしまったのです。

ただ、結局は2年後に賃料を10%下げざるを得なくなり、Eさんが想定していた収益から大きくかけ離れてしまいました。
実は、空室保証契約でマンション投資をした人の中で、同じような失敗ケース※は多いので注意しましょう。

※全日本不動産協会 【国交省】サブリースに関するトラブル防止について
http://tokyo.zennichi.or.jp/tohonbu/topics/2016/09/5-2.html

6.身の丈以上の借入を起こしてしまった

アパートローン
マンション投資に失敗した6つ目の事例は、身の丈以上の借入を起こしてしまった事例です。
マンション投資の場合には、「アパートローン」を組むので、入居用住宅のローンである「住宅ローン」とはルールが根本的に異なります。

その「ルールの違い」が、身の丈以上の借入につながるので、その点は十分注意して借入額を検討しましょう。

アパートローンは物件の収益性も見る

アパートローンも、住宅ローンと同じく「年収」「会社規模」「勤続年数」「過去の延滞歴」などを審査します。
要は、「この人は安定的に継続して収入があるか?」を審査されるということです。

ただ、アパートローンに限っては、「その物件の収益性」も審査対象になります。
投資するマンションの収益性が高ければ、そのマンションの賃料収入できちんとローン返済ができるからです。

また、仮にローンを滞納しても、金融機関はその物件を担保に融資しています。
つまり、収益性が高く、資産価値が高いマンションであれば、最悪の場合売却して返済金額に充てることができます。
そのため、物件の収益性もアパートローンの審査対象になるのです。

審査通過が「返済可能額」ではない

アパートローンを組んで投資用マンションを購入しようとしているFさんという人がいました。
Fさんは、いくつかの金融機関でアパートローン審査をしましたが、いずれも「減額」での承認になってしまいました。
つまり、Fさんは2,800万円の借入を希望していたのですが、いずれも「1割(280万円)自己資金」が条件になり、借入金額を2,540万円まで減額されたということです。

しかし、4つ目に審査したG銀行で、やっと満額2,800万円の回答が出ました。
Fさんは、ほかの銀行では減額承認であり、G銀行だけ満額承認に多少の違和感を覚えましたが、不動産営業マンの「銀行が承認するということは返済できる金額ですよ」という営業トークを信じてしまいました。

しかし、いざマンション投資をはじめてみると、アパートローンの返済と自分の居住費のダブルでの支払いは厳しいことを知ります。
というのも、投資用マンションを取得すると、固定資産税もかかりますし、不動産取得税などもかかってきます。

また、投資用マンションだとローン控除や各種税制優遇はありません。
さらに、賃借人入れ替え補修費用などのランニングコストもかかるので、自分の予想していた支出よりも高くなってしまったのです。
銀行の満額承認に喜んで借入したものの、きちんと自分の支出を計算していれば、自分の身の丈に合っていない借入額だったと分かります。

Fさんは、結局支出が厳しく、このままでは破産してしまうと思い、泣く泣く物件を手放しました。

- 2017年07月22日