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マイナス金利政策と住宅ローンの関係とは?

マイナス金利という言葉が最近では定着してきました。 日本初のマイナス金利政策を導入してから半年が経ち、その効果の程も少しずつ見えてきた状態です。 マイナス金利が一般消費者に影響を及ぼすとすると、現時点では「住宅ローン」が一番だと言えます。
今回は知っているようで意外と知らない「マイナス金利政策と住宅ローン」の関係についてお話します。

1. マイナス金利政策について

マイナス金利

そもそもマイナス金利政策とは何か?という点からお話します。

1-1 ゼロ金利政策、量的緩和政策について

まず、マイナス金利政策の前段階である「ゼロ金利政策」と「量的緩和政策」についてです。 ゼロ金利政策とは、日本銀行(以下、日銀)が取った金融政策で、その名の通り金利を0にする政策です。 具体的には無担保コールレートと呼ばれる、銀行間が無担保で翌日返済を原則に貸し借りする金利を0にすることです。 無担保コールレートは、政策金利と言われる「日本全体の金利をどうしたいのか?」という金利と連動します。

つまり、政策金利を0にすることで民間銀行などが企業や個人に貸し出す金利を下げます。 金利を下げることによって、企業や個人もお金を借りやすくなり、市場にお金がたくさん回ります。 そうすると、賃金が上がり消費が促され、活性化し更に世の中にお金が回ります。 世の中にお金が回ると、お金の価値が下がり(つまり物価が上がる)デフレの払拭に繋がります。このような構図を狙っているのです。

量的緩和は日銀が国債を買い入れることによって市場にお金を供給することを言います。お金を市場に供給する事の目的はゼロ金利政策と同様です。

1-2 マイナス金利とは?

では前項を受けてマイナス金利政策とは何か?をお話します。 マイナス金利政策とは、単純に先ほどの「ゼロ金利」を「マイナス金利」にした政策です。 つまり、ゼロ金利政策と目的は同じで、もっと市場にお金が回るように仕掛けたという事です。 同じ時期に「質的緩和」という政策もよく聞かれましたが、これも「量的緩和」と目的は同じです。 しかし、量的緩和の時には買い入れなかったETFなどの他の債券も日銀が買い入れるという政策です。

マイナス金利政策は、2016年1月の日銀政策決定会合で導入されました。 欧州では既に導入している国もありますが、日本では初めてのことでしたので、かなりニュースなどでも報道されていました。 具体的には、日銀の当座預金に預けているお金に-0.1%の金利が掛かるという内容の政策です。

日銀の当座預金にお金を預けられるのは金融機関だけですので、民間人には直接関係ありません。 しかし、この政策の意図は「ゼロ金利政策の時よりも、もっとお金を世に出しなさい」という意図があるので、間接的に関係してきます。

銀行は、日銀の口座にお金を預けていると利子がつくどころかお金が減ってしまいます。 そのため、そのお金を世の中の企業や個人に貸し出すという流れになります。そのため、お金が世の中にまわるようになるのです。

2. 住宅ローン「固定金利」の仕組み

固定金利

さて、マイナス金利政策について理解したところで、続いて住宅ローンの仕組みを理解しておきましょう。まずは固定金利の仕組みからです。

2-1 固定金利は何を指標に変動するか?

固定金利が基準にする金利は「新発10年国債の利回り」が指標にいなります。いわゆる「国債」と呼ばれる債券です。 債券の金利は基本的には需要と供給のバランスで決まりますので、需要が高まれば価格が上がり金利は下がります。 逆に供給が過剰になれば価格が下がり金利は上がります。
つまり、今後国債の需給バランスがどうなるかで固定金利は決まるのです。

結論から言うと、「マイナス金利政策により国債を買う人は増え金利は低下」します。理由は二点あります。 一点目は「量的・質的緩和による国債の買い入れ」、二点目「他の債券の魅力、発行の低下」が挙げられます。

2-2 それぞれの理由

まず一点目の「量的・質的緩和による国債の買い入れ」です。こちらは単純な話でマイナス金利政策と、量的・質的緩和政策はセットになっています。 そのため、マイナス金利政策が続行している限りは、量的・質的緩和が続くとすると、日銀が国債を買い入れ続けるという事です。つまり、国債の価格は上昇し利回りは低下します。

二点目の「他の債券の魅力、発行の低下」です。会社が独自に出す債券を社債と言います。 ある会社が新規事業をしようと思い、金融機関から融資をしてもらうのではなく、世の中に債券を売ることによって資金用達をする手段です。

この債券には「金利」があります。仕組みは国債と一緒で「〇〇社債:年利0.5%」の社債であれば、例えば1,000万円分投資をすれば年5万円の利益を得る事になります。 社債の利回りは他の金融商品の金利に影響を受けます。マイナス金利政策により他の金融商品の金利が下がりますので、社債の利回りも下がります。 マイナス金利政策が導入されることが決まってから社債の発行を取りやめた会社もあるくらいです。

つまり、社債や他の債券の利回りが低下し魅力が薄れている中で、安全資産であり、日銀が買い入れることにより、債券価格が上がる可能性(売買益が出る可能性がある)がある国債の人気が高まるのです。 国債の人気が高まるという事は、債券価格は上昇し、利回りは低下します。

3. 住宅ローン「変動金利」の仕組み

変動金利

変動金利の指標は固定金利とは異なり、「短期プライムレート(以下、短プラ)」と呼ばれる金利に連動します。 短プラとは、「1-1ゼロ金利政策、量的緩和政策について」で出てきました、「無担保コールレート」に連動します。つまり、政策金利に連動するという事です。

そのため、変動金利もマイナス金利になれば当然金利は下がる傾向にあります。変動金利が下がる理由は単純で、政策金利と直接連動しているからです。

4. マイナス金利政策が住宅ローン金利に与える影響

住宅ローン

ここまでのお話しの通り、マイナス金利政策が導入されたことにより、住宅ローン金利は下がる傾向にあります。 一見「政策金利が下がる→日本全体の金利が下がる→住宅ローン金利も下がる」という単純な構図で考えがちです。 しかし、住宅ローンの種類によって金利の指標が違います。

単純に、「マイナス金利政策が導入された=全ての金利が下がる」と思うと危険です。 例えば、日本国債の格付けが何かの原因で下落し、国債離れが続いたらどうなるでしょうか。 国債は売られますので、価格が下がり利回りは上がります。国債の利回りと連動している固定金利は上がる可能性があるという事です。

現に、マイナス金利政策にも関わらず変動金利の基準となる短プラのレートは、1.475%と今までと変わらない水準で推移しています。 しかし、住宅ローン金利は各銀行が「優遇金利」と呼ばれる、自社独自の数字を設定し金利をマイナスしているので実質変動金利は下がっています。
このことからも分かるように「変動金利=政策金利」となっており、原則である「変動金利=短プラ=政策金利」の構図は崩れているのです。

この点をしっかり見極めずに単純な考えのもとで住宅ローンの種類を選んでしまうと今後の予想が大きく外れてしまう事もあるのです。

5. まとめ

今回、マイナス金利政策と住宅ローンの関係はテーマにした理由は「必ず」はないという事をお伝えするのが目的です。 先ほど言ったように「政策金利=短プラ=変動金利」の構図ですが、今回は、短プラは変わらず政策金利と変動金利だけ連動しています。

このように、原則はあるものの、何が起こるか分からないという事です。 マイナス金利政策が導入されているから金利は今後上がる事はないと見越して全て変動金利で借りたとします。 勿論、借入期間中ずっと上がらない可能性もありますが、政策変更や連動制の希薄さにより変動金利が上がるかもしれません。

結局今後の金利動向を正確に読む事は不可能ですが、少なくとも自分の考えの基で金利種類を選ばないと後悔することになりかねません。

※ 本記事は2016年07月時点の内容になります。

中古マンション購入に掛かる費用や手続きの流れについて知りたい方は下記のページをご参照ください。
中古マンション購入の流れと注意点、費用の目安などについて

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