近年、人気急上昇した「武蔵小杉」のマンション相場を調査!

不動産業界では“ムサコ”とも呼ばれる、「武蔵小杉」。近年爆発的に人気が上がっているエリアです。武蔵小杉は、もともとは南武線沿線の電機産業を中心とする工場地帯でした。そのエリアが、今は東京・神奈川エリアを代表する街になっています。

東京でいえば、湾岸エリアに多くのタワーマンションが建築され、今や「ウォーターフロントエリア」としてブランド化されています。豊洲や勝どき、月島あたりが良い例でしょう。そして、神奈川方面は圧倒的に「ムサコ」ブランドが確立しています。
それほどまでに進化した武蔵小杉駅周辺について、今回マンションサプリでは相場情報サイト「マンションマーケット」のデータを用いて、マンションの平均平米単価を調査しました。

調査概要
・対象マンションは「マンションマーケット」に掲載されている分譲マンション、かつ、武蔵小杉駅徒歩15分圏内に立地するマンション
・徒歩1分=80m換算
・単価は、2014年〜2018年の各年4月の月間平均平米単価
・データは2018年5月7日時点

調査結果

このように、武蔵小杉のマンション価格は毎年上昇しており、対象となるマンション数も増えていることも分かります。2014年と2018年を比較すると、なんと23.5%も上昇しており、これほどの上昇率はほかのエリアでも少ないでしょう。

また、武蔵小杉はタワーマンションが多いので、マンションの棟数ではなく「戸数」で見ると、さらに数は増えると考えられます。平米単価が522,955円(2014年)から646,045円(2018年)ということは、70㎡のファミリータイプマンションで約3,660万円から約4,522万円ということです。ここまで価格が上昇しても売れ行きが好調という点からも、武蔵小杉の人気が分かると思います。

武蔵小杉の地価

さて、武蔵小杉の価値がどれだけ上昇したかは、実はマンション価格よりも地価(※1)を見た方が分かりやすいです。以下は、国土交通省が毎年算出している「公示価格」で、武蔵小杉駅周辺の神奈川県川崎市中原区小杉町3丁目(基準値番号中原5-2)の地点です。

  • 2009年:585,000円
  • 2011年:602,000円(上段比+2.9%)
  • 2013年:1,050,000円(上段比+74.4%)
  • 2015年:1,270,000円(上段比+20.9%)
  • 2018年:1,530,000円(上段比+20.4%)

このように、すさまじい勢いで公示地価が上昇していることが分かります。公示地価は不動産鑑定士が取引事例などを基に算出する価格なので、その土地のポテンシャルが良く分かる指標です。

2009年から2018年のわずか10年足らずで地価は約2.6倍になっており、この高騰は上述したマンション価格と同じく、ほかのエリアでもそう見ない高騰です。

(※1)参考サイト 国土交通省 国土交通省地価公示・都道府県地価調査
http://www.land.mlit.go.jp/landPrice/AriaServlet?TYP=1&TDK=14&MOD=2

武蔵小杉の進化

冒頭でいったように、武蔵小杉はもともと電器産業の工場地帯でした。そんな武蔵小杉が変化しだしたのは、1990年代後半のバブルが崩壊した頃からです。この時期に、武蔵小杉周辺では工場閉鎖が相次ぎ、多くの土地が空き地となりました。

その空き地を利用して、行政が街づくりをはじめます。つまり、工場地帯であった武蔵小杉は、工場の閉鎖に伴って住宅地へと変化していくということです。その進化は再開発によって加速していきます。

ザ・コスギタワーの建設

1990年代後半から少しずつ街並みは変化していきますが、武蔵小杉が変わる最も大きなキッカケとなったのは、2008年に建築されたタワーマンション「ザ・コスギタワー」の影響でしょう。このマンションは49階建ての高層マンションで、当時は女優の中山美穂さんを起用したCMで有名でした。

このマンションの売れ行きは非常に好調だったこともあり、各不動産ディベロッパーが武蔵小杉に注目し始めます。

東口から西側・北側へ

ザ・コスギタワーは東口に建築されましたが、徐々に武蔵小杉駅の西側、北口まで再開発は拡大していきます。直近でいうと、2017年に武蔵小杉駅の西側にパークシティ武蔵小杉 ザガーデンが建築され、北側にある日本医科大学武蔵小杉病院のキャンパス再編に付随するマンション建築の話もあります。

現時点でもかなりのタワーマンションが建築されていますが、この計画を見ていると武蔵小杉駅の開発はまだ終わらないように感じます。

住みやすい街「武蔵小杉」

なぜ、武蔵小杉はそこまで人気なのか?・・・色々な要素があると思いますが、まず挙げられるのは「交通利便性」でしょう。武蔵小杉駅は、JR南武線と東急東横線の2つの路線が利用できるターミナル駅です。南武線は、立川~川崎までの結ぶ路線であり、府中本町や津田沼といった駅に停車します。

一方、東急東横線は渋谷から横浜をつなぐ路線であり、副都心線などとも乗り入れています。代官山、中目黒、新丸子、横浜のような主要駅が停車駅である点も特徴です。

武蔵小杉は、この2つの路線を利用して渋谷や横浜といった大都市へアプローチしやすいながらも、街並みとして住宅地で静かです。武蔵小杉は、この点が最も魅力であり、評価されているのでしょう。

その点を証明するように、SUUMOが毎年発表している「住みたい街ランキング」では、以下のようになっています。

  1. 横浜
  2. 恵比寿
  3. 吉祥寺
  4. 品川
  5. 池袋
  6. 武蔵小杉
  7. 新宿
  8. 目黒
  9. 大宮
  10. 浦和

このように、埼玉で人気の浦和や、都内でも人気のある目黒を抑えて6位となっています。ここ何年もTOP10入りしている武蔵小杉ですので、今後も再開発状況などを踏まえ、目が離せないエリアです。

武蔵小杉駅の混雑

魅力のある武蔵小杉駅ですが、最近ではタワーマンションをはじめ、マンションが増えすぎたことで駅の混雑が問題になっています。特に深刻と言われているのが、2010年に開業した横須賀線・湘南新宿ラインのホームです。このホームは武蔵小杉駅の新南口と直結しており、通勤時間帯は改札に長蛇の列ができるほどの状況です。また、武蔵小杉から都心に行く上り電車の混雑率は200%近くになっており、これは首都圏のJRでもワースト3位に入っているほどです。

しかし、2018年4月下旬から、混雑緩和のために新南口に臨時改札がオープンされました。このおかげで、ホームに行くための改札が増え、通勤客が分散したため、従来のように改札外まで長蛇の列になる点は解消されたようです。また、武蔵小杉駅は「南武線連絡通路の一部拡幅」など、ほかにも混雑解消のための開発を予定しています。

通勤時の混雑が気になる人は、改札の様子を確かめるようにしましょう。少し大変ですが、休日ではなく平日の朝に武蔵小杉駅に見に行くのがベストです。ネットで武蔵小杉駅の混雑状況は見られますが、駅の混雑は10分時間が違うだけで異なります。実際自分の目で確かめた方が良いでしょう。

- 2018年07月13日