大田区に住むときに!パパママ世代が確認したい子育て環境

新婚さんが住居を決めるにあたって気にするポイントの一つは「今、子供ができたら、今の環境は子育てには向くのだろうか」ということではないでしょうか。
また、すでにお子さんがいらして、「手狭になったから引っ越したい」とお考えの方は、お子さんの学習環境や地域の安全性は次の住まいを決めるにあたってとても重要になるでしょう。

東京都心で仕事を持ち、パパママの仕事柄、交通の便がいい東京に住みたいと思っている方は、相当数います。
どちらかが専業主婦もしくは専業主夫にならない子育て家庭は、いざという時に頼り先があるかないかは死活問題です。
パパママが地方出身で実家のご両親が離れて暮らしている場合は、子育てで頼れるのはパートナーと地域の支援だけなのです。

東京の中でも大田区は神奈川と隣接した区であり、田園調布などの比較的安定した地域から神奈川県は川崎の隣である蒲田、さらには空港で有名な羽田など多様な生活環境が混在しています。

大田区に住居を構えた場合の子育て環境について解説します。

目次

1. 東京都大田区ってどんな区?情報収集から始めましょう

(1) ランキングで見る大田区

(2) 大田区の繁華街、オフィス街・蒲田/大森

(3) 大田区の高級住宅街・調布

2. 大田区の子育て環境 幼少期編

(1) 大田区内各地域の保育所数ランキング

(2) 東京都23区南部地域の補助制度比較

3.大田区のその他の子育て世代への支援

1. 東京都大田区ってどんな区?情報収集から始めましょう

大田区は大きく分けて4つの地域に分かれています。
北は品川区に面する大森地域、その隣に高級住宅街でも知られる調布地域、そして川崎に隣接している蒲田地域、空港がある糀谷・羽田地域です。
大田区といってもこれだけ広く、地域ごとに特色があります。
同じ区内であれば助成金や支援制度は基本的には変わりませんが、地域によって安全性や風土・住み心地や家賃相場は異なってきます。

(1)ランキングで見る大田区

4つの地域の特徴を知るにあたって、他の東京23区と比較して「子育て世代の住みやすさ」をインターネットサイトに出ているランキングで比較してみましょう。

■人口ランキング

1位 世田谷区

2位 練馬区

3位 大田区

4位 江戸川区

5位 足立区

まずは基本的な情報として東京のどのあたりで人々が生活しているかを考えましょう。
人が多く住んでいるところは、生活がしやすい環境が整っている場合が多いです。
大田区は第3位にランクインしています。

■出生率ランキング

1位 中央区

2位 港区

3位 江東区

4位 荒川区

5位 千代田区

15位 大田区

たくさんの人が出産していれば、次第に制度も手厚くなるものです。
そこで、まずは出生率のランキングを見てみましょう。

大田区は東京の中での出生率はあまり高くありません。

上位にランクインしている中央区、港区、千代田区は平均所得が700万円以上と他の区より高く、東京に住む高所得者のカップルが住居を構えるときにこの地域を選ぶことからこのランキングの結果になっているようです。
江東区もこの10年で開発が進み、高層マンションが建設されたり、外資系企業が入ってきたりと変化が生まれています。東京駅への距離も近い割に家賃は高くないことから、新婚カップルが多く入ってきているようです。

この中で特殊なのは荒川区です。

荒川区は平均所得も東京都全体でも下のほうで、無職が多い地域でもありますが、荒川区独自の育児サポートは大変手厚いことで有名です。
第3子以降の保育料は無料、親の失業など経済的に困難な事態に陥ると保育料は減額、産後すぐに未就園児の一時保育を受け入れてくれる制度がある、など大変手厚い子育てサポート体制が整っています。
荒川区はいざという時の駆け込み寺的な存在であるようです。

■公園数ランキング

1位 練馬区

2位 大田区

3位 世田谷区

4位 足立区

5位 江戸川区

参照:chintaibest.com/park/

小さなお子さんがいるのに、気分転換に外にも出かけられない、という環境では育児ノイローゼになってしまうかもしれません。
また、お子さんは成長するにつれ、友人と遊ぶ場を求めて外に飛び出していくでしょう。
そのとき、路上ではなく、公園などがあったほうが安心できるというものです。

千代田区や中央区など東京都心のオフィス街など公園は探しても見当たらない、という地域もありますが、大田区は練馬区や世田谷区などと並んで、住居人口が多いため、公園等の設備も整っていると言えるでしょう。

■刑法犯認知件数ランキング

1位 足立区

2位 新宿区

3位 江戸川区

4位 世田谷区

5位 大田区

(警視庁発表データ平成21年~25年トータル件数)

参照:chintaibest.com/chiku/

子育てするならば、安全な街で安心して子供を見守りたいもの。
これは、侵入強盗、ひったくり、車上狙い、自転車盗難の4種類の5年間の犯罪発生数をトータルしたランキングです。

大田区は第5位にランクインしています。

内訳を見てみましょう。

侵入強盗ひったくり車上狙い自転車盗難
足立区2,6456673,19715,486
新宿区1,9092488758,881
江戸川区2,3556222,95215,833
世田谷区2,8124221,36018,146
大田区1,3583151,55910,456

侵入強盗は圧倒的に世田谷区が多いのは、「そこそこお金持ちの家が多い」からであると言えるでしょう。
大田区にも調布近辺は高級住宅街がありますので、プロからターゲットとして狙われる可能性は否定できません。

大田区で気を付けたいのが自転車盗難や車上狙いです。
これは、区全体として「悪さができてしまう雰囲気」というものがある傾向があり、子育てをする上では子供たちに注意を払いやすい環境を敢えて作る必要がある、と考えることも重要です。

(2) 大田区の繁華街、オフィス街・蒲田/大森

さて、大田区全体としてみると「住居人口が多い」「公園などが多く、住む環境としては適している」というデータがありますが、大田区内でも地域によってその状況には格差があるようです。

もう一度、ランキング形式で確認してみましょう。

■2017年住みたくない街ランキング

1位 大田区 蒲田

2位 新宿区 高田馬場

3位 墨田区 錦糸町

4位 足立区 綾瀬

5位 港区 白金台

6位 葛飾区 金町

7位 葛飾区 新小岩

8位 大田区 大森

9位 板橋区 高島平

10位 品川区 五反田

参照:chintaibest.com/sumitakunai_rank/

なんと、大田区は1位の蒲田、8位の大森と2地域もランクインしています。
双方ともに品川から京浜東北線沿いの川崎へ繋がるラインです。

一般的にこの地域は、古くからの繁華街やオフィスが多く、子育てするための地域としてはやや不向きであることは確かでしょう。
刑法犯認知件数ランキングで大田区が上位に挙がってきたのもこの地域の雰囲気によるものと考えられます。

(3) 大田区の高級住宅街・調布

一方で、同じ大田区内でも全く雰囲気の違う地域があります。

高級住宅街で有名な田園調布を有する調布地域は、蒲田や大森とは全く異なるイメージを持つ方が多く、また実際に世田谷区と並んで高所得者層が密集する地域でもあります。

同じくデータで見てみましょう。

■ 区別平均年収ランキング1位の小学校

港区 区立南山小学校 (平均年収 1,409万円)

千代田区 区立番町小学校 (平均年収 1,151万円)

渋谷区 区立神宮前小学校 (平均年収 1,067万円)

品川区 区立第三日野小学校 (平均年収 1,051万円)

大田区 区立田園調布小学校 (平均年収 1,016万円)

参照:https://s.sumai-surfin.com/gakku- betsu-nensyu/state/13

こちらは全て「区立」です。お受験をしないと決めた人の中で、どの学区の平均年収が最も高いかをそれぞれの区で算出したものです。

平均年収が圧倒的に高い港区と千代田区が抜きんでていますが、大田区の区立田園調布小学校も世帯層としてはかなりハイクラスの子供たちが通っていることがわかります。

また、小学校、中学校と私立のコースを進ませたい親御さんは幼稚園から気になるかもしれません。
受験が必要な有名私立・国立幼稚園も大田区内にはありますが、調布地域に密集しています。

いくつか見てみましょう。

■清明幼稚園

園児全体の半数が清明学園初等学校に進学する幼稚園です。

■小さき花の幼稚園

ミッション系の幼稚園で、慶応や学習院などの名門小学校への進学者も出している幼稚園です。

■田園調布ルーテル幼稚園

同じくミッション系の幼稚園で、園内に体操講師がいる幼稚園です。
こういったハイクラスの幼稚園は大田区ですと入園料が15万円、月額保育料が3万円+αというのが相場のようです。
一見高いようですが、それでも世田谷区の成城幼稚園や田園調布雙葉小学校付属幼稚園などは入園料も月額保育料もこれらの幼稚園の2倍以上になります。
そう考えると、大田区調布地域の高級住宅街の私立幼稚園は割安、と考えることもできるかもしれません。

参照:『2018 幼稚園入園情報』

2.大田区の子育て環境 幼少期編

同じ大田区といえども、地域によって住民の年収から地域のカラーまで、それぞれに特徴があることがわかりました。
では、大田区のそれぞれの地域の子育て環境はどのようなものなのか、さらに詳しく見ていきましょう。
子育てをしていく中で地域の協力を最も得たい年齢が0歳~小学校低学年までの幼少期です。

この年齢のお子さんを持つパパママが気にするのは、施設とお金でしょう。

(1)大田区内各地域の保育所数ランキング

小さいお子さんは「誰かが見守っている」必要があることから、「どこの施設に預けられるか」というポイントになります。
女性の社会進出が顕著になり、子供を産んでも仕事に復帰する女性が増える一方、近年話題になるのは「預けられる施設がない」「待機児童」という言葉です。
その状況は「保育園落ちた。日本シネ」という言葉が流行語に選ばれてしまうほどです。
では、大田区内の各地域でこういった施設はどのくらいあるのか、また地域によってばらつきはあるのでしょうか。

ランキング形式で見ていきましょう。

まずは、認可保育園の数を見ていきます。
「認可」保育園とは、施設の広さ、保育士等の数、給食や防災・衛生管理など国や自治体が定めた基準を満たし、認可を受けた保育園のことです。
比較的保育料が安いことが特徴として挙げられ、区立と私立に分けられます。

■区立認可保育所数ランキング

1位 蒲田地域 15件

2位 大森地域 14件

同数3位 調布地域、糀谷・羽田地域 10件

■私立認可保育所数ランキング

1位 大森地域 28件

2位 調布地域 20件

3位 蒲田地域 18件

4位 糀谷・羽田地域 5件

区立の認可保育所は各地域平均的に点在していますが、顕著なのが私立の認可保育所数です。
圧倒的に糀谷・羽田地域の数が少ないのがお分かりいただけるでしょう。
大森地域が若干多いのが特徴です。

では次に、認証保育所数を見てみましょう。

「認証保育所」とは、東京都が認めた保育所で、国が定める基準とは少し異なる基準で作られています。
「認可」保育所の保育料は市区町村が徴収し、申し込みも市区町村になります。

一方で「認証」保育所の申し込みは保育所に直接行い、また保育料も自由に設定されています。
これは、東京都が都民のニーズに応える形で制定した制度であるため、「認証」保育所は大まかに捉えると「認可外保育所」というカテゴリーに含まれます。

■認証保育所数ランキング

1位 調布地域 18件

2位 大森地域 16件

3位 蒲田地域 12件

4位 糀谷・羽田地域 4件

やはり糀谷・羽田地域が圧倒的に少ないことがわかります。

最後に、児童館・こどもの家の数です。
児童館やこどもの家は、子育て世代のパパママにとっては子供を安心して遊ばせることのできる場であり、なおかつ大切な情報交換の場でもあります。

大田区にはどのくらいの児童館・こどもの家があるのでしょうか。

■児童館・こどもの家数ランキング

1位 大森地域 19件

2位 蒲田地域 15件

3位 調布地域 9件

4位 糀谷・羽田地域 7件

ここでも大森地域が多く、糀谷・羽田地域がかなり少ないことがわかります。

(2)東京都23区南部地域の補助制度比較

では次に、大切な幼少期に地方自治体からどれくらいの補助が出るのか、お金の問題について考えてみましょう。

東京都23区ではそれぞれの区で子育て世代のための補助金、助成金の制度に加えて、パパママへの支援制度を設けています。

区内は一律で同じですので、ここでは大田区に近い品川区、世田谷区、目黒区と比較してその制度を見ていきましょう。

■妊婦健診公費負担

まず出産の段階から考えましょう。

妊婦健診は厚生労働省から、「14回が望ましい」と通知されています。
大田区、品川区、世田谷区、目黒区全ての東京23区南部地域は14回分の妊婦健診が公費で負担されます。

なお、少子高齢化を問題視することから話題となった「不妊治療」についても港区などは1年間で最大30万円、5年で150万円の助成を所得制限なしで行っています。
「子供を持ちたいけれども、年齢的に不安がある」というかたは、特に高額になりがちな不妊治療についても気になるところですが、これは各区で制度がバラバラで、大田区でも治療費の一部を助成しています。

■子供医療費助成

お子さんが入院した時の医療費の助成制度です。
東京23区では所得制限なしで設定されていますが区によってその年齢に上限が設けられています。

大田区、品川区、世田谷区、目黒区全ての東京23区南部地域は全て中学3年生まで、つまり義務教育のうちはお子さんの入院医療費について助成が成されます。
千代田区や北区など東京と23区でも一部の地域では高校3年生まで助成の提供範囲内ですので、地域によって若干違うようです。

■認可外保育園の援助

先にも述べましたが、認可保育園は保育料について国が定めた規定があり、安価で抑えられるというメリットがありますが、認可外保育園はそれぞれの保育園が独自で保育料を設定します。
そのため、認可保育園に行けるお子さんを持つパパママと、抽選などで漏れてしまい、やむを得ず認可外保育園にお子さんを預けるパパママではその経済的な負担が異なってきます。
そのため、それぞれの区で認可外保育園にお子さんを預けている場合、援助のためのお金がもらえることがあります。

では、東京23区南部地域では具体的にはどのような制度になっているでしょうか。

大田区:月額最大3万円まで

品川区:月額最大6万6千円まで

世田谷区:月額最大2万円まで

目黒区:月額最大4万円まで

この援助で大きく差をつけたのが品川区です。大田区ですと、先ほど話題に挙がりました調布地域の保育料がぎりぎり賄える金額です。

■私立幼稚園の補助

保育園はフルタイムで働くママのための制度ですが、幼稚園は専業主婦やパートタイムで働くママがお子さんを預ける施設です。

東京都では、所得制限はありますが「保護者補助金」という制度でその費用を補助しています。

東京23区南部地域の制度を見ていきましょう。

大田区:入園料補助金最大11万円

品川区:入園料補助金最大10万円

世田谷区:入園料補助金最大10万円、保育料補助金月額最大1万3200円

目黒区:入園料補助金最大6万円、保育料補助金月額最大1万6200円

ここでは各地域で個性が出てきました。南部地域では押しなべてそこまで大きな違いはないようです。

■その他の制度

大田区には、その他にもショートステイ、トワイライトステイ、出産子供一時金(第3子以降の出生1人につき5万円)などの子育て世代のパパママを支援する制度があります。

3. 大田区のその他の子育て世代への支援

今までは、お子さんが直接利用する施設や制度について詳しく見てきました。
しかし、お子さんがいるのといないのとでは、住居環境への負担も異なってきます。

大田区では、子育て世代のパパママに対して、更なる支援を行っています。

■区民住宅(家族向き)の家賃減額制度

中学生以下のお子さんが1人以上いる世帯は区民住宅の家賃が月額3万円安くなる制度があります。
また、これから生活を共にする新婚さんでも夫婦どちらかの年齢が35歳以下であれば、同じように区民住宅の家賃を3万円減額してもらうことができます。
なお、区民住宅に入居と同時に駐車場の契約を行う場合は、駐車場代金が月額1万円になります。

小さなお子さんがいる家庭では、家族旅行やちょっとしたお出かけでもなかなか電車は使いにくいものです。
最近は世間の目も温かくはなりましたが、特に0歳~6歳くらいまでの小学校に上がる前のお子さんが電車で騒ぐとパパママのストレスになり、外出もままならない人もいます。
幼稚園や保育園の送り迎えにも重宝する車の駐車場が安く借りられるのは家計のお財布にも優しいと言えるでしょう。

なお、当制度は所得基準がありますのでご留意ください。

■お子さんの預かり所

東京での仕事はストレスが多く、しかも子育てとなるとだんだんと疲弊してくるパパママもいるでしょう。
そういう時に利用したいのが大田区子ども家庭支援センターです。

「キッズな」という愛称で呼ばれており、通報ダイヤル制度から、パパママがリフレッシュでき、また子育てについて相談することができる「キッズなルーム」というお子さんの一時的な預かり保育が提供されています。
キッズなルームは月曜から土曜の午前9時から午後6時まで、緊急の場合の夜間休日は児童相談センターが電話で対応してくれます。

育児はパパとママだけでやろうとすると、時々不安が出てくることもあります。
地域のこういった制度があるということを知っているだけで安心できることもありますので、平時の時に一度連絡してみるのも安全対策として良いかもしれません。

- 2017年05月16日