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住宅ローンの優遇金利とは何か?概要や審査を知って損をしないようにしよう

住宅ローンを借り入れるときには、複数の金融機関を比べるのが一般的です。 「変動金利」や「固定金利」などの金利プランなども選ぶ必要がありますが、 最も大事な指標は「金利」自体です。金利によって返済額が変わってくるので、金利を重視する人は多いのです。

その「金利」の中でも、優遇金利と呼ばれる金利があります。 この優遇金利を良く理解しておかないと、「一番低い金利でローンを組んだのに結果的に損している」という事態にもなりかねません。 今回は、そんな優遇金利について詳しく解説します。

目次

1. 優遇金利について
 1-1. 優遇金利とは?
 1-2. 店頭金利と実質金利との違い
 1-3. 金融機関ごとの優遇金利
  1-3-1. なぜ金融機関ごとに異なるのか
  1-3-2. 店頭金利で選ぶ

2. 優遇金利の推移
 2-1. 当初優遇と全期間優遇
 2-2. 諸費用額にも注目
 2-3. 全期間優遇の注意点

3. 優遇金利の条件
 3-1. 優遇金利の決定時期
 3-2. 優遇金利幅の増減

4. 優遇金利の交渉について
 4-1. 審査の流れ
 4-2. 資料の注意点

5. まとめ

1. 優遇金利について

金利

優遇金利の基本的な事項の解説です。注意する点は、優遇金利のほかに別の名称の金利もあり、優遇金利の数字は金融機関で異なります。 そのため、金融用語として比較的分かりにくい用語でもありますので、まずは概要を理解することが大切です。

1-1. 優遇金利とは?

優遇金利とは、「優遇」される金利のことです。 優遇金利の数字の分だけ金利をマイナスするため支払額が抑えられます。 つまり、優遇金利は高いほどお得な金利になります。 たとえば、「1.5%の優遇金利」の場合には、表示されている金利から1.5%差し引いた金利で融資するということです。

基本的には、どの金融機関も優遇金利を導入しているため、住宅ローンを借りるときには各金融機関の優遇金利を比較する必要があります。

1-2. 店頭金利と実質金利との違い

先ほどもいったように、金利の名称は「優遇金利」だけではありません。 そのほかにも「店頭金利」「実質金利」という名称の金利があります。

店頭金利は基準金利ともいいますが、各金融機関が自由に決める金利のことです。 まさに、(金融機関の)店頭に表示される金利であり、市場環境や動向、そして各金融機関の方針によって金利幅は変わってきます。

イメージとしては、店頭金利は「定価」であり、優遇金利は「割引」になります。

そして、定価から割引を差し引いた実際の金利が「実質金利」と呼ばれています。 たとえば、A銀行の変動金利が店頭金利で2.475%、優遇金利が1.7%だったとします。この場合、実質金利は「2.475%-1.7%」で0.775%ということになります。

1-3. 金融機関ごとの優遇金利

金融機関では店頭金利のまま融資することはほとんどありません。 基本的に住宅ローンを借り入れる人には優遇金利が適用されて、店頭金利より低い金利で借り入れできます。

しかし、その優遇金利は金融機関ごとに違い、さらに金利プランごとによって異なります。 もっというと、金融機関ごとに店頭金利にも違いがあるので、住宅ローンを組む人は店頭金利・優遇金利・実質金利の違いをチェックする必要があります。

1-3-1. なぜ金融機関ごとに異なるのか

金融機関ごとに金利が異なる理由は、「市況の捉え方の違い」「金融機関ごとの戦略の違い」があるからです。

金融機関の住宅ローン金利(店頭金利)は、日本銀行(日銀)の政策金利によって異なります。

また、変動金利は短期プライムレート、固定金利は新発10年物国債に連動します。 そのため、それらの金利の上下に合わせて金融機関が独自に店頭金利を設定するので、金融機関ごとに金利が異なるというワケです。

また、仮に金融機関の戦略として「住宅ローンをたくさん取り込みたい」という思いがあったとします。 そうなると、優遇金利幅を広げて実質金利を下げ、ほかの金融機関と差別化を図るという流れになるのです。 これが、金融機関ごとに金利が異なる理由です。

1-3-2. 店頭金利で選ぶ

仮に、店頭金利と優遇金利が異なるものの、実質金利は同じである金融機関があったとします。 たとえば、「A銀行 店頭金利2.475% 優遇金利1.7% 実質金利0.775%」「B銀行店頭金利2.775% 優遇金利 2.0% 実質金利0.775%」のような状態です。

結論から言うと、この場合は店頭金利の低いA銀行を選びましょう。 なぜなら、今後金利が変動したり優遇金利幅が縮まったりしたときにはA銀行の方がリスクは小さいからです。今は低金利時代ですが、いつ金利が上がるかは分かりません。

もし、市況が良くなり金利が上がったとしたら、金融機関はローン金利を上げるために、まずは優遇幅を縮めます。 優遇幅を縮めるということは実質金利が上がります。そのとき、優遇幅1.7%のA銀行と優遇幅2.0%のB銀行では、縮める金利の値はB銀行の方が大きくなります。

仮に、5年固定金利プランであれば、5年経過後に変動金利へ切り替えることが多いです。 そのため、優遇幅を大きく縮められたB銀行の方が変動金利は高くなっている可能性が高いということです。

ただ、全期間金利が固定されているプランであれば、上述したリスクはなくなるので、A銀行とB銀行はどちらでも良いです。

2. 優遇金利の推移

推移

優遇金利には「当初優遇」「全期間(通期)優遇」という2つの種類があります。 読んで字のごとく、当初優遇は決められた期間(当初)優遇されるタイプで、全期間優遇とは住宅ローン借入全期間優遇されるタイプです。

つまり、優遇される金利の推移が変わってくるということです。 住宅ローンで優遇金利を比較するときには、この金利の推移にも注目しなければいけません。

2-1. 当初優遇と全期間優遇

当初優遇とは、たとえば「当初5年1.5%優遇 その後0.9%優遇」などの金利プランです。 このとき、店頭金利2.475%で3,000万円の借入金額を検討していて、35年で住宅ローンを組むとします。

この条件であれば、当初5年は金利が0.975%(2.475%-1.5%)で月々支払い額は84,336円になります。 そして5年経過後は1.575%(2.475%-0.9%)に金利が上がるので月々返済額は91,767円です。 また、35年の総返済額は38,096,247円となるため、利息は約800万円になります。

一方、たとえば、「全期間1.0%優遇」のときの総返済額を確認しましょう。 金利は1.475%(2.475%-1.0%)になり、総返済額は38,424,892円になります。 つまり、「全期間1.0%優遇」は「当初5年1.5%優遇 その後0.9%優遇」よりも、上記の条件であれば総返済額は328,645円多くなります。

このように、当初期間優遇と全期間優遇は一見どちらがお得な分かりにくいです。 そのため、必ず総返済額での比較をする必要があります。

2-2. 諸費用額にも注目

優遇金利に注目して金融機関を選ぶときには、目先の「返済額の安さ」で決めてはいけません。 必ず総返済額と諸費用額で決めないと、住宅ローンで得をすることはできないからです。 「総返済額」に関しては前項の通りなので割愛します。

住宅ローンを組むときには、金融機関へ手数料や保証料などの諸費用を支払います。 優遇金利だけではなく、その諸費用額も加味して住宅ローンを選びましょう。 たとえば、C銀行とD銀行を比較して、C銀行の方が優遇金利幅は大きいことにより総返済額が30万円お得であるとします。

しかし、C銀行の方がD銀行よりも諸費用が40万円多ければ、せっかく優遇金利で得をしても意味がありません。 手数料や保証料などの諸費用は、金融機関で数十万円の差になることも珍しくないので、優遇幅と合わせて諸費用額はチェックしておきましょう。

2-3. 全期間優遇の注意点

上述したように、当初期間優遇は途中で優遇幅が変わるので、返済額が変わり、分かりにくい側面もあります。 一方、全期間優遇幅は、優遇幅自体は全期間同じなので分かりやすいです。

しかし、全期間優遇でも注意するべきことがあります。 それは、全期間優遇金利でも全期間変わらないのは「優遇」される金利であるということです。 つまり、変動金利の場合、そもそもの基準金利が変われば実質金利が変わり返済額も変わるということです。 たとえば、「店頭金利2.475% 優遇金利1.8%」であれば実質金利は0.675%になります。

しかし、これはあくまで店頭金利が2.475%であったときの話であり、店頭金利が2.575%に上がれば、金利も0.775%に上がります。

変動金利の場合には、半年ごとに金利を見直し、その見直した分を5年ごとに返済額へ反映させます。 そのため、実際には店頭金利が上がったときは5年後に返済額へ上乗せがあるということです。この点は意外と勘違いされがちです。

全期間「優遇金利」は、全期間「実質金利」が同じワケではないという点は理解しておきましょう。

3. 優遇金利の条件

条件

優遇金利の条件は人によって異なってきます。多くの銀行は、「変動金利0.775%(優遇金利1.7%)」のように、その金融機関ができる最大の優遇幅を提示しています。 当然、金利は低く見えた方が借入希望者は増えるからです。

しかし、誰しもが1.7%の優遇金利を受けられるワケではなく、以下のような条件によって変わってきます。

  • ・会社規模
  • ・年齢、年収、勤務形態
  • ・転職歴
  • ・信用情報
  • ・自己資金率
  • ・そのほかの借り入れ

要は、金融機関が継続して安定的に住宅ローンの支払いができるかどうかを判断して決めるということです。

3-1. 優遇金利の決定時期

優遇金利が決まるのは、ほとんどの銀行が仮審査後になります。 つまり、住宅ローンの仮審査をして、承諾か否かの結果通知の際に優遇金利幅も明記されるということです。 優遇金利はホームページに明記されているので、審査承諾の場合には金融機関が掲出している情報通りの金利幅になることが多いです。

3-2. 優遇金利幅の増減

場合によって優遇金利幅が増減することもあります。 ただ、優遇金利幅が縮まるケースは、それほど多くはありません。 なぜなら、優遇金利幅が縮まるということは、「審査が厳しい」ということになります。

審査が厳しいと、たとえば「3,000万円の借り入れを2,500万円に減額(自己資金500万円増やせばOK)」という対応をするからです。 そのため、優遇金利幅を縮める前に、減額という対応を取ることがほとんどなのです。

一方、優遇金利幅が増えるときは、上述した「条件」が良い場合です。 つまり、自己資金率も高く、勤務先や年収も安定している場合には、優遇金利幅を増やしてでも融資したいということです。

4. 優遇金利の交渉について

交渉

結論からいうと、優遇金利の交渉は可能です。 ただ、金融機関が一度優遇金利を設定した後に引き下げるのは、かなり難易度の高い交渉になります。 そのため、実際に優遇金利を交渉で下げるケースは多くはありません。

また、新築物件や中古物件を購入するときには、優遇金利の交渉を行うのはほぼ不可能と思っておきましょう。 なぜなら、不動産会社が金融機関との窓口になるので、直接交渉する余地がないからです。そのため、優遇金利の交渉は主に借り換えのときの話です。

金利交渉するポイントとしては自分の本気度を金融機関へアピールすることになります。 結論をいうと、金融機関に他行で住宅ローン審査をしている「試算」を見せると良いです。

4-1. 審査の流れ

なぜ、他行の試算を見せると良いかというと、それは住宅ローン審査の流れに関係してきます。 金融機関への住宅ローンは仮審査をした後に本申込をして、本審査通過後に金銭消費貸借契約(住宅ローンの本契約)という流れになります。 ただし、金銭消費貸借契約を締結しない限りは、住宅ローンの検討を取りやめることはできます。

特に、優遇金利の交渉をするときには仮審査の前後になるので、まだ審査の初期段階での交渉になります。 そのため、金融機関からすると、「優遇金利の交渉で金利を引き下げたものの断られては困る」というワケです。 そこで、他行でも試算している資料を見せて本気度をアピールする必要があります。

4-2. 資料の注意点

他行で試算してもらった資料をも見せるときには、「返済額」「諸費用」をきちんと明示しましょう。

たとえば、金利が0.5%下がることによって、月々返済額が5,000円、総返済額が120万円下がるとします。 このくらいの差があれば金融機関も「こんなに下がるのであれば借り換え意思は強い」と思います。

ただ、借り換える際には、借り換える側の金融機関に支払う手数料や保証料などの諸費用があるので、 得する金額が諸費用より低いと借り換え意思が弱いと判断されます。 そのため、試算表を持っていくのであれば、返済額と諸費用を明示して、自分がどのくらいお得になるかを分かりやすくしましょう。

5. まとめ

住宅ローンの優遇金利に関しては、以下のポイントを抑えておきましょう。

  • ・店頭金利、優遇金利、実質金利の違いを理解する
  • ・金融機関ごとに店頭金利と優遇金利は異なるので良く見比べる
  • ・優遇金利は「当初優遇」と「全期間優遇」の2種類がある
  • ・優遇金利は総返済額と諸費用額も加味して決める
  • ・優遇金利の交渉は本気度を見せること

特に、金利プランや金利自体を意識し過ぎて、「総返済額」と「諸費用」は見落としがちです。 しかし、この2つを加味しないと本当にお得かは分からないので注意しましょう。

中古マンション購入に掛かる費用や手続きの流れについて知りたい方は下記のページをご参照ください。
中古マンション購入の流れと注意点、費用の目安などについて

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