都心タワーマンションの中古価格上昇に陰り?マンションスコアからタワーマンションの最新価格動向を読み解く!

皆様もご存じのとおり、ここ近年中古マンションの価格は上昇の一途を辿っています。特に都内のタワーマンションについては、節税対策を目的とする国内富裕層によるマンション購入、また、湾岸エリアや都心3区を中心に価格を押し上げる大きな要因となった海外富裕層のマンション購入の影響もあり、都心タワーマンションの中には、1年間で3割以上も価格が上昇したマンションも見受けられます。

マンションサプリでも、特に値上がりの著しいマンションのピックアップ記事をご紹介しておりましたが、ここ最近、不動産に携わる人々の間では「タワーマンションの価格は既に天井を迎えている」「ここからタワーマンションの価格は下がる」などといった声も聞こえるようになりました。

実際に、ポータルサイト等を見てみると、マンションの価格上昇に伴って中古の売り出しが急増したため、1建物内で売り出し住戸が数十件もあるマンションも存在しています。明らかに供給過多と思われるマンションも現れはじめた中、現在のタワーマンション価格動向について調べてみる事にしました。

タワーマンションの価格上昇は打ち止め!?最新価格動向を読む!

今回はマンションマーケット(※1)が公開しているマンションスコア(※)を元に、特に価格上昇の著しいと言われるタワーマンションの最新価格動向を調べる事にしました。今回調査したマンションは以下の5件です。

❐セントラルレジデンス新宿シティタワー
❐クロスエアタワー
❐パークコート麻布十番ザ・タワー
❐赤坂タワーレジデンストップ オブザヒル
❐THE ROPPONGI TOKYO

では、早速詳細を見てみましょう。
(※マンションスコアは、マンションマーケット独自の評価方法により算出したマンションごとの相場情報です。対象マンションの取引事例や近隣のマンションの取引事例を考慮して算出した想定価格となります。)

※1マンション相場情報サイト「マンションマーケット」:https://mansion-market.com/
全国約10万棟のマンションの相場価格(資産価値)や、過去の価格推移、賃料相場等を公開しています。

1、セントラルレジデンス新宿シティタワー

2013年頃:77万円/㎡
最高期:96万円/㎡(2015年上旬)
現在:88万円/㎡

セントラルレジデンス新宿シティタワーは2014年~2015年上旬を境に大きく価格が上昇していますね。一時期は95万円/㎡を超える勢いでしたが、2015年の中旬以降価格は上昇せずに少し下がり、現在では90万円前後をキープしています。
一時期は価格が大きく上昇したものの、そこからやや下落したケースです。

2、クロスエアタワー

2013年頃:85万円/㎡
最高期:122万円/㎡(2015年中旬)
現在:122万円/㎡

クロスエアタワーは2013年に竣工し、2014年に第一弾の価格上昇、そして2015年に第二弾の価格上昇が見て取れます。2015年の中頃には122万円/㎡を記録し、現在に至るまで122万円前後をキープしています。2度に分けて価格が上がり、現在もその価格を維持しています。

3、パークコート麻布十番ザ・タワー

2013年頃:130万円/㎡
最高期:190万円/㎡(2015年中旬)
現在:158万円/㎡

パークコート麻布十番ザ・タワーは、2015年に入ってから急激な価格上昇を迎えており、2015年中頃には190万円/㎡という高単価を記録した後、現在は158万円/㎡まで価格が下がっています。短期間のうちに急激な上昇と下落が見られるケースです。

4、THE ROPPONGI TOKYO    5、赤坂タワーレジデンス

❐THE ROPPONGI TOKYO
2013年頃:130万円/㎡
最高期:190万円/㎡(2015年中旬)
現在:185万円/㎡

❐赤坂タワーレジデンス トップオブザヒル
2014年頃:120万円/㎡
最高期:172万円/㎡
現在:170万円/㎡

上記2件は2015年に入り価格が上昇し、現在でも同様の価格をキープしているマンションです。どちらも最新スコアは最高期の単価にやや劣りますが、それでもほとんどに変わらず価格を維持しています。

確かに価格上昇は止まっているように見える・・・が?

上記の内容を踏まえますと、確かにタワーマンションの価格上昇は止まっている(物件によっては価格が下がっている)ように見えます。しかし、上記の物件以外のタワーマンションも調べてみると、現在も緩やかに価格が上昇し続けている物件もあり、一概に価格上昇が止まったと言う事はできないように感じます。

価格が下がっているマンションと価格が上がり続けているマンションそれぞれの特徴として、価格が下がっているマンションは数ヶ月の短期間に急激な価格上昇がみられたのに対し、価格が上がり続けているマンションについては急激な上昇は少なく、徐々に価格が上がり続けているという傾向が見受けられます。


徐々に価格が上昇しているタワーマンションのマンションスコア(左から、白金タワーパークタワー目黒シティタワー大崎ステーションフロント

これらをまとめると、短期間で急激な価格上昇を見せたタワーマンションについては現在価格の調整期間にあり、徐々に価格が上昇してきたマンションについては現在も上昇傾向、または価格維持傾向にあると結論付ける事ができそうです。

タワーマンションの今後の価格展望

最後に、誰もが気になる今後の価格展望について、2015年の初め頃は「2020年の東京オリンピックまで価格は上昇し続ける」と言われる事が多かったものの、急激なタワーマンションの価格上昇とここ最近の調整期間を踏まえ、「2020年よりも前にピークを迎える」「既に価格のピークに来ている」という声も聞こえ始めています。

近年の急激なタワーマンションの中古価格上昇は、冒頭の通り節税を目的とする国内富裕層と投資目的の海外富裕層の存在が大きな要因でした。現在では国内富裕層は一通り物件の購入を終え、さらには人民元の切り下げや、節税を目的とするタワーマンション購入への対策強化報道もあり、国内外の富裕層の動きはやや落ち着いています。

その一方で、価格上昇に伴い譲渡益を目的とした売り出し住戸は増加し、タワーマンションは供給過多気味になってしまっていると考えます。中古マンションの価格は基本的に需給バランスで成り立つものですから、供給過多になれば必然的に価格上昇はストップし、そのままの状態が続けば下落します。それらを踏まえると、大きな外的要因がない限り今後大幅にタワーマンションの中古価格が上昇する可能性は少なく、現在の市況がしばらく続く(または価格がやや下がる)のではないかと筆者は考えます。

皆様は今後のタワーマンションの中古価格展望について、どのように考えますか?
上の資料等を参考に、お時間のある際にでも是非考えてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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- 2015年12月04日