リフォームとリノベーションの意味とは何か?その違いを理解しよう!

リフォーム「リフォーム」と聞いて、まずはじめに何をイメージするでしょうか。
おそらくトイレや浴室、洗面所、キッチンなど、住宅の一部分の内装を一変させるような工事をイメージをされる方が多いのでないでしょうか。

例えば、床のタイルが剥がれてきたので張り替え工事をしたり、キッチンの排水管の流れが悪くなってきたので、一部パイプ交換工事をしたり、汚れてきた部屋の壁のペンキを塗り替えたりなど。これらを一般にリフォームと呼びますが、単に修理と呼んでも意味は同じです。
つまり、リフォームとは、比較的小規模な修繕工事のことを一般に指すのです。
ちなみに住宅の分野で言われる「リフォーム」とは和製英語で、本来のreform(リフォーム)は、改革、改善、是正という意味であり、日本で使われる住宅リフォームは「作り直す」という意味として使われています。
それに対して、「リノベーション」と聞いて何をイメージするでしょうか。
リフォームとリノベーションを混同している人も多いようですが、renovation(リノベーション)は、修復、改装、革新という意味で、住宅リノベーションとは「新しく作る」という意味で使われています。
また、国土交通省では「リノベーション」と「リフォーム」を次のような定義で定めています。

リノベーションとは、新築時の目論見とは違う次元に改修すること(改修)
リフォームとは、新築時の目論見に近づくように復元すること(修繕)

また、リノベーションは住宅などの不動産に限らず、ソフトウェアのプログラムの改善や企業の商品改良、マーケティングの分野など、ビジネスでも幅広く使われています。

リフォームとは、比較的規模の小さい修繕工事を指すと先に解説しました。
それに対して、リノベーションは、比較的大規模な改修工事、大規模修繕工事の意味として使われます。

それでは、リフォームとリノベーションについて、詳しく見ていきましょう。

目次

1.リノベーションとは
☞①あまりにも古い建物の場合、耐久性が不安
☞②ローンの金利が通常の住宅ローンより高い
☞③固定資産税が上がる恐れがある

2.リフォームとは
☞①生活に支障をきたしているか
☞②予算を決めてから、リフォーム業者に見積もりを出してもらう
☞③リフォーム中の生活について考えておく

3.リフォームとリノベーションの違い

1.リノベーションとは

リノベーションリノベーションの対象には、一戸建てやマンション一棟はもちろん、トイレや浴室、洗面所、キッチン、リビングなどの住宅の一部分の大規模改修工事も含まれます。

リノベーションが具体的にどのようなものか、インターネットで「リノベーション事例」と検索をかければ、大まかなイメージが把握できます。
例えばの話、今から高級住宅街を思い浮かべてください。そこにはいくつもの大きく立派な家が立ち並んでいるとします。それぞれの家は平均して7,000万円程だとしましょう。そこに一軒だけ、その高級住宅街で立つにはあまりにも浮いてしまうような古い家が立っていたといます。そこには誰も住んでおらず、トイレや浴室も劣化が激しく、住むには難しい状態です。その古い家は3,000万円で分譲中(売り出し中)でした。

ある日、その高級住宅街に住みたいという一般の男性が現れ、その古い家を買い、2,000万円支払ってまるごとリノベーションをしました。
古かった家が高級住宅街で立っていても何の違和感も感じないよう、付加価値を与えたのです。これによって、その男性は3,000万円の購入費と2,000万円のリノベーション費用の合計 5,000万円で、その高級住宅街に立ち並ぶ一戸建てを手に入れることができたのです。

このように、リノベーションは新築より安く、それでいて立地条件も良い、新築同様の物件を手に入れられることがメリットとしてあげられます。
もちろん3,000万円の古い家を買い、トイレや浴室などの生活上必要な箇所だけをリノベーションして住むのも良いでしょう。
※この他にも税金や手数料など、さまざまな費用が発生しますが、ここでは割愛します。

しかしながら、リノベーションのデメリットとして、以下のようなことが考えられます。

①あまりにも古い建物の場合、耐久性が不安

上述の例のような古い建物の場合、立地条件が良い場所にも関わらず、安く売り出されている物件の場合は注意が必要です。
販売業者もプロです。どんな物件でも業者は販売前には必ず建物の調査をしているはずです。上述のような古い建物は、構造に問題があって、例えリノベーションをしても大きな付加価値は期待できないと判断したのかもしれません。そのような物件は、リノベーションで改修工事をしても、すぐに壊れてしまったり、使い物にならなくなってしまう恐れがあるということです。

特に耐震性には注意が必要です。1981年6月に建物の耐震基準について、大きな見直しが行われました。従って、それ以前に建てられた建物に住んでいる方や購入を検討している方がリノベーションする場合、一度専門家に耐震性について確認してもらったほうが良いでしょう。

※耐震基準について詳しく知りたい方は「耐震基準とは何か?旧耐震・新耐震など具体的な基準について」も参考にしてください。

よくある話、リノベーションをしている最中に、建物を支える鉄が錆びていたり、木造の柱が腐敗していたりなど、いろんな原因でダメージがきている箇所が見つかり、その度に費用が高くなっていくこともあります。
これはリフォームでも同じことが言えます。

②ローンの金利が通常の住宅ローンより高い

高いリノベーションは、リフォームと比べ高額になるケースが多いです。
そのため、多くの場合はローンを組んでリノベーションを実施します。しかし、リノベーション費用は住宅ローンの利用ができないため、リフォームローンを利用がすることになります。これは、住宅ローンより金利が高い傾向があります。
あらかじめ確認しておきましょう。

③固定資産税が上がる恐れがある

リノベーションとは、建物に付加価値を与えて資産価値を向上させると解説しましたが、それと税務との対応は難しく、リノベーションを行ったとしても、それが修繕工事、通常の修理工事だと認められれば、支払う固定資産税は変わらないでしょう。
しかし、一概にはそうとも言えない部分が多いのも事実です。建物の一部分をリフォームをした場合でも、それが建物の資産価値を高めた改修工事として認められてしまい、固定資産税が上がる可能性もあります。
税金に関しては、その工事の内容によって課税額が判断されると考えて良いでしょう。行われた工事が大規模な改修工事、修繕工事に該当するかどうかが重要になります。

リノベーションは、新築で購入するよりは安く抑えられますし、自由に設計できるというメリットもあります。
上述のようなデメリットもしっかり把握しておき、慎重に検討しましょう。

2.リフォームとは

リフォーム部屋の模様替え、ユニットバスの交換、剥がれている壁の修復など、一般の人にとっては、リノベーションと比べ、よく使われる用語だと思います。ちなみに賃貸管理業の不動産会社では毎日のようにリフォームが行われております。
物件にもよりますが、多くの賃貸物件では入居者の入れ替わりが頻繁に行われます。その度に賃貸管理業者は、その部屋を住む前の状態と同じ状態に戻すためのリフォームを行うのです。これを「原状回復」とも言います。

一般家庭ではよく、自宅の不具合箇所をどうするかを考える際、取り替え工事をするか、リフォームかで、メリットとデメリットを比較されることが多いようです。
しかし、浴室やキッチン、建物全体など、リフォームする箇所によって、メリットとデメリットに違いが出てきます。
そこで、リフォームを検討する上でのポイントを紹介します。

①生活に支障をきたしているか

リフォームは比較的小規模な修繕工事です。そこを修理しなくては、生活上不便なのかをはっきりさせます。
リフォーム費用も安くありません。リフォーム事例のカタログには魅力的な写真がたくさん掲載されておりますが、そんなに不便を感じていないのであれば、もう一度検討してみることをお勧めします。

②予算を決めてから、リフォーム業者に見積もりを出してもらう

リフォームの進め方は大まかに以下の通りです。

1.リフォーム箇所の検討
2.リフォーム業者へ相談
3.現地調査
4.リフォームのスケジュール・見積書受け取り
5.契約・工事の実施
6.完成・その他アフターサービス

上記1.のリフォーム箇所の検討については、本当にリフォームが必要なのかを、一緒に生活している家族と話し合う作業になります。2.のリフォーム業者へ相談について、リフォーム業者と相談する前に必ず確認しておくべきことがあります。
それは、リフォームしたい箇所の費用相場と、自分が支払える予算の範囲です。自分が支払える予算範囲は、家族と十分に話し合いましょう。リフォーム費用の相場は、インターネットで簡単に検索できます。

<リフォーム費用相場の一部紹介>

キッチンのリフォーム相場: 50万円〜200万円
トイレのリフォーム相場: 10万円〜100万円
リビングのリフォーム相場:20万円〜200万円
洗面所のリフォーム相場:50万円〜100万円
屋根の塗装・張り替えのリフォーム相場:50万円〜150万円
外壁の塗装・張り替えのリフォーム相場:50万円〜200万円
ベランダ、バルコニーのリフォーム相場:10万円〜100万円

費用相場については、可能であればできるだけ詳細に確認しておきましょう。例えば、今住んでいる家の2階にトイレを1つ増設したい場合の費用相場はいくらか、和室をオシャレなリビングにリフォームしたい場合の費用相場はいくらかなど。
それらを踏まえた上で、リフォーム業者と相談すれば、費用についての話し合いになった時に自分の意見が言えるようになります。

<リフォーム費用相場を詳細に確認した場合の一部紹介>

老朽化したキッチンから最新のシステムキッチンに交換した場合:50万円〜200万円
家の2階にトイレを増設した場合:50万円〜
リビングルームに壁面収納を設置した場合:100万円
ベランダの全交換工事をした場合:40万円〜
駐車場と一体型のバルコニーを設置した場合:100万円〜200万円

③リフォーム中の生活について考えておく

建物の全体的なリフォームの場合、リフォーム中はその家に住めないのであれば、おそらく近くの賃貸物件などでしばらく住むことが考えられます。
キッチンのリフォームの場合は、しばらくは料理ができなくなるため、リフォーム前に作り置きしておいたり、近所の安い飲食店を探しておくなどの準備をしておいたほうが良いでしょう。
浴室のリフォームの場合、リフォーム中はシャワーも使えないことがほとんどなので、近所の銭湯を確認しておきましょう。また、浴室のリフォームの場合、洗濯機が近くにあったりすると、リフォーム作業の邪魔にならないよう、別の場所へ移動させる必要があるかもしれません。そうなれば当然自宅で衣服の洗濯ができなくなるため、近所のコインランドリーの場所を確認しておかなければなりません。

ちなみに筆者は、2週間の浴室のリフォーム中、フィットネスジムへ一ヶ月間だけの申し込みをしました。フィットネスジムには基本的にはスパ(風呂やサウナ)がありますので、リフォーム中は運動も兼ねて毎日通っていました。

リフォームをする場合、普段当たり前のように使っている家電や設備が突然使えなくなります。リフォーム中の生活方法について、あらゆる事態を想定し、十分に準備しておきましょう。

3.リフォームとリノベーションの違い

違いここで知っておいてほしいことは、リフォームもリノベーションも、その家で幸せに生活するための方法だということです。
家族が増えたから部屋を一つ増やしたい、リビングを広くしたい、キッチンを広くしたいなど。それらは家族みんなが快適に生活するためには必要なリノベーションです。

家族の思い出をそのままにしておくために、リビングや浴室、洗面所の形を残したままリフォームをするのも、家族で幸せに生活するための方法の一つです。

耐震性や耐火性、防犯性をさらに強化したり、節電目的の設備を設置したり、バリアフリー設備を設置したり、リノベーションとリフォームは、大規模な改修工事か小規模な修繕工事かの違いだけで、目的は同じです。
それを踏まえた上で、修理するか新しく買い換えるか、言い換えればリフォームかリノベーションかを検討すると良いでしょう。

- 2016年05月02日