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【未公開物件は掘り出し物とは限らない】不動産にはなぜ未公開物件があるのか?

未公開物件ありますよ
不動産会社からこんな言葉を聞いた事はありますか? 一昔前に比べると大分減ったと思いますが、最近でも未公開物件という言葉は聞きます。 未公開物件は掘り出し物であるという認識をしている方もいるので、「未公開物件はありませんか?」と、逆に不動産会社に聞く方もいるくらいです。

レインズの誕生や法整備により、この未公開物件の価値は昔と現代では違います。 そのため、「未公開物件は掘り出し物」とは限らないケースもあり、逆に注意するべきポイントがたくさんあるのです。 今回は、そんな未公開物件がなぜ存在するのか?そして、その注意点は何か?についてのお話です。

1. 不動産流通業界について

不動産業界

未公開物件はなぜ存在するのか?の話をする前に、まず不動産流通業界はどんな業界であったのか?という話をしなければいけません。 結論から言うと、一昔前までの不動産流通業界はグレーな業界であり、それが時を経てクリーンな業界へと進化していきました。

1-1 査定ルールもなく、法整備もされていない状態

一昔前(30年以上前)までは不動産流通業界は査定のルールもあやふやで、契約書の文面や瑕疵担保責任(欠陥があった場合に売主が責任をとる)なども曖昧でした。 中古物件を探す時には、その地元まで足を運び、地元の不動産会社に話を聞かないと、売り物件があるかどうかも分からない状態です。

そんな、情報がクローズされている状態ですので、当然相場も分かりません。 売り物件が高いのか安いのかも分からないままに、不動産会社の言う事を鵜呑みにして、不動産を売買するという状況でした。 日本では海外に比べると新築物件の人気が未だに根強い、「新築至上主義」ですが、それは昔のこのような「中古不動産に対する不信感」の名残が大きな理由でもあります。

そんな中で不動産会社は、売り物件をいかに高く売るかを重視していました。 そのため、不動産会社に訪ねてきた一見さんには見せない物件として「未公開物件」がありました。 あまり見せると情報が出回ってしまい、金額面の交渉などが入り易くなったり、別の不動産会社が勝手に買主を連れてきたりするため、未公開にしている場合が多かったのです。

そして、検討度合いが高まってきたところで、「実は・・・」という入り文句で未公開物件を紹介していたという流れになります。 そのため、まだ不動産流通業界が未整備であったこの時代は、未公開物件=掘り出し物件であったのです。

1-2 レインズの誕生、法整備の完了

1990年にレインズ(ネットワークシステム)という仕組みが出来ました。 簡単に言うと、不動産会社は売り物件をレインズに登録して、不動産会社間で「今、どんな物件が売られているか?」を確認できるようにするという仕組みです。 但し、媒介契約のうち、複数の会社に「売り」の依頼ができる「一般媒介契約」には、レインズ登録の義務はありません。 更に、レインズは不動産業者しか見られないシステムです。 つまり、全ての売り物件が登録されているワケではなく、一般消費者にはそもそも見られないのです。

とは言え、レインズにより、不動産会社は多くの売り物件を共有する事が出来るようになりました。 合わせて、上述した契約書や瑕疵担保責任などの法整備、書面整備も進み、更にはインターネットの発展により、一般消費者でも数多くの情報にリーチ出来るようになりました。 つまり、グレーだった不動産業界がクリーンな業界へと変わっていったのです。

ここで未公開物件について話を戻します。 未公開物件=掘り出し物というのは、前項の話の通り、情報がまだ一般消費者には届きにくい、不動産流通業界がグレーだった時代に起こっていた現象です。 そのため、レインズの誕生、法整備により、そもそも未公開な物件が減っている現状。 そして、相場など不動産に関する情報もインターネットで調べればすぐに分かる今の時代では、未公開物件=掘り出し物の図式は成り立ちにくくなっているのです。

2. 今も未公開物件があるのはなぜ?

未公開物件

そんな、インターネットを通じて色々な情報が得られる現在で、なぜ今でも未公開物件があるのでしょうか?その理由は二点あります。

2-1 レインズ登録義務

一点目はレインズが誕生したからと言って、全ての物件を登録する義務はないので、不動産会社間でも把握していない物件はあるという理由です。 但し、レインズ登録義務がないのは、複数の会社に売却を依頼できる一般媒介契約の時です。 つまり、複数の会社が売却活動をしているので、どこからか情報が洩れる可能性は高いです。 そのため、レインズにも記載されていなく、周囲にも全く認知されていない、正真正銘の「未公開物件」は、ごくわずかになります

2-2 広告をしないケース

二点目は、ネットへの物件掲載やチラシ配布などの広告活動は費用がかかるので、載せないケースがあるからです。 レインズ登録義務がないにも関わらず、情報が洩れておらず、広告にも載せなければ、まさに未公開物件になります。 この時には、未公開物件=掘り出し物になりやすいです。

それは、信頼できる不動産会社一社だけに売却を依頼し、更に一般媒介契約を結んでいる時です。 例えば、Aさんにマンションの「売り」を依頼されたX社(一般媒介契約)は、まず検討しそうな顧客を社内で抱えていないかを確認します。 もし、X社に既にこのマンションを買いそうな顧客がいたら、広告に費用を投下する前に、その顧客に個別アプローチをするはずです。 広告にお金を投下せずに購入者を見つける事が出来れば、X社にとっては一番良いからです。

この状況でマンションを紹介された人にとっては、この物件は未公開物件になります。 更に、この場合X社は自分の希望を加味して紹介してくれたので、未公開物件=掘り出し物になるでしょう。 わざわざホームページやチラシで告知する前に、売っている事を教えてくれたワケですから、自分の希望の物件である可能性が高いです。

3. 不動産会社が意図的に情報を伏せている場合

口をふさぐ

未公開物件が存在する理由として、不動産会社が意図的に情報をオープンにしない場合があります。 前項の場合には、「まずは買ってくれそうな顧客へアプローチする」という理由がありましたが、今回は完全な不動産会社側の都合です。 結論から言うと、不動産会社は両手取引にして利益を大きくしたいので、意図的に情報を伏せる時があります。

3-1 両手取引について

まず両手取引についてお話します。両手取引とは、売主も買主も一社で見つけてくることです。 例えば、Aさんが、マンションの売却をX社に依頼したとします。 X社は、マンションの売却に成功すれば確実に売主のAさんからは仲介手数料を貰えます。 更に、X社が買主Gさんを見つけて来ればGさんからも仲介手数料を貰えます。この状態が両手取引です。

3-2 自社での客付狙い(囲い込み)を行う

このように、両手取引ですとX社にとっては、利益が倍になりますので、X社としたら両手取引をしたいです。 そのため、客の囲い込みを行います。客の囲い込みについて、具体的な例を挙げてご説明します。

例えば、他の不動産会社Z社からX社に「マンションを買いたいGさんというお客さんがいるのですが、そのマンションはまだ売り出し中ですか?」という問い合わせが入ったとします。 その時に、X社はZ社に対して「まだ売れていません」と言ってしまうと、Gさんがマンションの見学に来てしまいます。 そのマンションをGさんが気に入ってしまえば、Gさんを仲介したのはZ社という事になります。

そうなるとX社はGさんからの仲介手数料を貰えない(GさんはZ社に支払う)ので、X社は片手取引になってしまいます。 このような事になるのを防ぐために、X社はまだ検討者もいないのに「今、商談中のためマンションの案内は出来ません」と断るケースがあるのです。 これが「囲い込み」です。

このような不動産会社は、広告も控えるケースが多いため、未公開物件が存在するのです。

4. 売主側の事情で広告制限を希望していることもある

要望

ここまでお話をした「未公開物件はなぜ存在するか?」という理由は、主に不動産会社側の理由でした。 しかし、売主側の事情により広告を制限し、未公開にしている場合があります。 その場合は、広告が世に出ないので、一般消費者にとっては、未公開物件になります。

例えば、売主が、売却していることを「親族に知られたくない」、「近所に知られたくない」場合には、不動産会社に「広告活動は一切しないで欲しい」と要望する事が出来ます。 勿論、レインズに登録義務があれば、別の不動産会社から情報が洩れる可能性はあります。 ただ、その情報が不動産を探していない人の耳にまで入る可能性は非常に低いでしょう。

このような、「売主側の事情」で広告制限をしている場合は、注意が必要です。
例えば、親族と権利関係で揉めている物件を所有してしまった場合には、その家族間のイザコザに巻き込まれてしまうかもしれません。 ご近所付き合いも同じです。例えば、「近所の人と仲が悪いので、家を売却している事が知られたら、色々言われる」などの理由の時にはどうでしょうか。 その物件を購入した人は、前の入居者と仲の悪かった近所の方と付き合いが始まります。 単純に前の入居者との相性が合わなかっただけであれば良いですが、言い方は悪いですが近所の方がクレーマーであれば、非常に大変な付き合いになってしまいます。

更に、注意しなければいけないのが「境界が曖昧」などの、不動産についてのトラブルがある時です。 例えば、境界杭はあるものの、隣人との合意が取れていないまま、こっそり売却をする場合などです。 そうなれば「実測図」などで境界は確定しているものの、最悪の場合は隣人と境界を巡っての裁判などにも発展する可能性もあります。

そのため、売主側の都合で未公開にしている、「未公開物件」には注意する必要があるのです。

5. そもそも未公開物件だから得というわけでもない

バツ

冒頭でも申し上げたように未公開物件は掘り出し物のお得な物件とは限りません。その理由をまとめてみます。

5-1 未公開物件についてのまとめ

・不動産流通業界がグレーであった時代では、そもそも地元の不動産会社しか売り物件を把握していなかったです。
 そのため、そこで得られる未公開物件は、掘り出し物である可能性は高かったです。

・但し、レインズの誕生、インターネットの発展などで、情報が一般消費者にも届く今の時代では、 そもそも未公開物件自体極端に少ないので、何か特別な(良くない)事情がある事が多いです。

・不動産会社が両手取引を狙っているため、情報を隠していることがあります。
 そのような場合の未公開物件はお得であるとは限らないです。

・売主側から広告制限をかけて公開物件にしている場合は要注意です。
 その理由がトラブルに繋がる可能性があるので、その場合の未公開物件はお得どころかリスクでしかありません。

・未公開物件でお得な時は、売主が「信頼できる一社に依頼する」という時だけです。
 そして、その売主が「広告を出す前にまずこの顧客に案内してみよう」という状況の時だけ起こります。

5-2 未公開物件に惑わされない

未公開物件は上記のような理由で今も存在しますが、特別お得な物件とは限りません。 むしろ、通常の物件と同じであり、場合によってはリスクが伴う時さえあります。 更に、不動産会社は、一般消費者は「未公開物件を紹介すれば食いつきが良い」と言う事を知っています。

確かに、マンションを探していて「まだどこにも出ていない、良いマンションの情報があります」と言われたら、「もしかして、すごくお得な情報ではないか」と期待してしまう気持ちは分かります。 ただ、不動産会社は、何でもない普通の情報を「未公開物件です」と、興味を惹かせるためだけのPRとして使うケースも少なくありません

このように未公開物件は売主や不動産会社の都合で、「未公開」としている場合が多いです。 高く早く売りたいのであれば、広告に掲載して、周囲に認知させた方が良いに決まっています。 従って、「未公開物件=掘り出し物、お得な物件」という認識をまず改めましょう。過度な期待は禁物です。

6. まとめ

いかがでしたでしょうか?未公開物件がなぜ存在するか。また、未公開物件は決してお得な物件とは限らないという点を理解頂けたと思います。 冒頭でも言ったように、やはり時代が変わり不動産流通業界が進化したことが一番の原因だと思います。 しかし、昔の名残で未公開物件=掘り出し物と言う考えは根強く残っているのも事実です。

確かに、中には掘り出し物があるかもしれません。 しかし、大抵は通常売り出している物件と同じなので、あくまで「自分が求めている物件かどうか?」というフラットな目で判断しましょう。 「未公開物件だから」と少しでも「良い」先入観をもたないようにすることが大切です。

中古マンション購入に掛かる費用や手続きの流れについて知りたい方は下記のページをご参照ください。
中古マンション購入の流れと注意点、費用の目安などについて

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