品川区の子育てのしやすさはどの程度?支援など行政の取り組みを分析

品川区は東京南東部に位置する区です。品川駅付近のエリアは大半が品川区となっており、品川区内には数多くの有名企業の本社が構えられています。また天王州アイルや大井町など商業施設が複数建ち並ぶ駅も存在しており、ビジネス、商業の両面で大きな影響力や動員力を持っています。

羽田空港へのアクセス性も良く、品川区からすぐの場所にある品川駅は複数の路線が乗り入れるターミナル駅であると同時に、新幹線の停車駅であるために、交通面でも重要な役割を担っています。

さらにリニアモーターカー新幹線の停車駅の出発駅としても今後利用される予定になっており、リニアモーターカー新幹線開通の暁には、名古屋まで40分程度でアクセスが可能になると言われています。このように品川区は東京23区の中でも、様々な面で重要性の高い区であるといえるでしょう。

その品川区は人口のピーク時であった1970年代よりは住む人が減っているものの、近年では駅前のタワーマンションの建設などにより、再び人口が増加傾向にあります。特に空路からのアクセスが良好であることから、外国人が住むマンションも増加しており、日本人、外国人問わず富裕層が多く住んでいます。

そんな富裕層が多く住む品川区ですが、子育てのしやすさ、サービスの充実度合いはどのようになっているのでしょうか。

目次

1.現在の品川区における子供に関する状況
☞品川区の待機児童と保育所の状況は?
☞認証保育所を利用する際の補助金制度は
☞一時保育場所はあるのか

2.品川区の児童手当は?片親の場合は
☞児童手当の支給額は
☞児童扶養手当はどの程度もらえるのか
☞都内だからこそもらえる児童育成手当

3.品川区の子供の医療費に関する制度は
☞中学校卒業までは基本的に無料
☞医療費が助成されないケースは
☞医療証の発行を申請するにはどうしたら良いか

4.子育てで困ったときはどこに相談できる?
☞困ったら子育てセンターや児童センターに相談
☞子育てを楽しもう!こんなイベントも

5.品川区と言えば小中一貫教育

6.まとめ

1.現在の品川区における子供に関する状況

品川区の現在の人口は2017年時点で約38万人強。昼間の人口や50万人以上をも言われており、大企業の本社が数多く存在するだけあって、品川区に勤務に来る人は大変多くなっています。

品川区内の子供の人数を見ると0~4歳は17000人、5~9歳は14000人、10~14歳は12000人ほどであり、0~14歳のいわゆる年少人口は合計で4万3千人です。

品川区の待機児童と保育所の状況は?

待機児童東京都内、特に23区内で深刻な問題となっている、いわゆる待機児童ですが、品川区でも数多くの待機児童が発生しています。2015年4月には約200人、2016年4月では100人台と数だけ見れば削減に成功しており、世田谷区などと比べればまだ少ない方だと感じられるかもしれません。

しかし待機児童とはあくまでも行政に対し、保育所に子供を預けることを申請した上で、却下されてしまい、その結果保育所に預けることができなかった幼児や乳児のことを差す数字となっています。

それ以上に数が多いと見られているのが「潜在的待機児童」です。これは出産による退職などで、とりあえず自宅で母親などが子供の世話をしているが、もし保育所に空きがあるのならば子供を預けて働きに出たいと思っている親、そして預けたいと考えている子供の数を指します。

保育所は4月時点の待機児童数よりも、10月に行われる調査時のほうが、数が多く出る傾向になっており、過去には10月時点で品川区でも1000人以上の待機児童を記録したこともあります。

待機児童は国会でも頻繁に取り上げられる話題だけあって、品川区でももちろん何も対策を講じていないわけではありません。認可保育園、認証保育所、小規模保育事業等の新規開設によって2010年から2015年で約3600人の保育所利用可能人数の増加を行っていますし、2017年にも13箇所の保育所を新たに解説し、利用可能人数も約1000人の増加となっています。

その一方でこれだけ待機児童が発生している背景には、品川区の0~5歳人口の急激な増加があります。2011年から2016年にかけては3000人近い増加を見せています。保育所利用可能人数を増やしても、品川区内に住む子供全員を預かることはできない状況ですし、人口の配置にもばらつきはあります。

特定のエリアでは子供が少ないので保育所に余裕がある、しかし別のエリアでは子供が多いので保育所になかなか入れないといったこともあるのでしょう。そういった配置による需要のばらつきは、小規模保育所の開設で品川区も対応を行っていますが、待機児童の抜本的な解消策はなかなか見いだせないようです。

また特に競争率が高い0歳児、1歳児を預かるには保育士の数も必要になります。0歳児を預かるには、子供3人につき最低でも保育士が一人はいないといけません。当然乳児が多い保育所にはその保育を行う保育士の数も相当必要になるのですが、保育士の低賃金などの労働問題によって、慢性的な人手不足も続いています。これも待機児童発生の一因になっています。

品川区は人口も子供も増えているので、それほど影響はありませんが、将来的に子供の数が激減することが予測される自治体では、保育所を作ってもすぐに不用な施設になるだろうという考えのもと、保育所の設立に消極的なこともあります。

このように待機児童に関しては様々な要因が絡んできています。品川区は財政も豊かであり、保育所も毎年続々と開設されてしていますから、比較的子供を預けて働きやすい環境と言えるでしょう。

認証保育所を利用する際の補助金制度は

認可保育所は保育料額の規定により一定額になっています。収入が非常に少ない、もしくは生活保護家庭などは保育料は0円ですし、市町村民税の納付が1,031,300円以上かつ0歳児、第1子であるならば最高で77300円の保育料になります。通常は0歳児の第1子の場合3~4万円の間の保育料になるでしょう。親の収入によって保育料は変わってきます。

しかし認証保育園の保育料は区の規定ではなく、それぞれの保育所が独自に決められます。保育士の数が必要な0歳時ならば保育料が7~8万円になることも珍しくありません。認可保育園と認証保育園の保育料格差が非常に大きな自治体もあるのです。

ただし品川区の場合は認証保育園と認可保育園の保育料の差額は、区に申請を行うことで、支給されます。月額6万円の認証保育所に子供を預けていても、親の収入を認可保育園の保育料規定に当てはめて月3万円ならば、差額の3万円はちゃんと返ってきます。 認証保育所に預けても経済的な負担が認可保育所と変わらないのは、子育て家庭にとっては嬉しいポイントです。

一時保育場所はあるのか

一時保育場所自宅で子供の面倒を見ている人でも、一時的に子供を預けて外出をしなくてはいけないこともあります。そんな時に子供を預けられる場所として「オアシスルーム」が区内の児童センターや保育園9ヶ所に設けられています。年度内60日以内で、1時間あたり500円で利用できるので、通院やちょっとしたリフレッシュタイムにも利用できます。また一時的な預かり保育を実施しているNPOもあります。

2.品川区の児童手当は?片親の場合は

片親子供を育てるにあたって気になることの一つに、行政の金銭的な支援もあるでしょう。まずは誰もがもらえる助成金の一つに児童手当があります。これは児童を自分の保護家で育成している親に与えられる手当であり、全国共通の金額になっています。

児童手当の支給額は

児童手当規定額としては3歳になるまでの子供が月額15,000円。3歳から中学校卒業までは月額1万円になります。また子供の数により変化もあり、3人以上子供がいる家庭では第3子の児童手当は3歳から15歳までの間も月額15000円になります。

児童手当には所得制限もあり、所得700万円ほどになると、一律で月額5千円の支給額になります。ただこの児童手当の所得制限は世帯収入ではないので、夫婦ともに所得600万円ほどであれば制限にかかりません。

児童手当は4ヶ月分がまとめて支給される方式になっており、2,6,10月に振り込まれます。これは自治体によって異なるのですが、品川区の場合はこの月だと覚えておきましょう。5歳と1歳の子どもがいる家庭ならば(10000×4)+(15,000×4)で10万円が3ヶ月に一回振り込まれます。15000円は3歳になる前の月までの支給ですが、10000円は16歳までではなく、中学校卒業で打ち切られる点に注意をしてください。

支給の申請は子供が生まれてから15日以内、もしくは転居してきてから15日以内に役所に申請すれば、翌月から支給されます。印鑑や住民票、マイナンバーと行った基本的な書類の他に課税証明書や振込口座の通帳が必要になるので注意をしましょう。15日をオーバーすると申請が遅れた月の分は支給されません。申請後の翌月から支給されます。

児童扶養手当はどの程度もらえるのか

父もしくは母がいない家庭に対し、生活の安定や自立を目的に支給される手当が児童扶養手当です。母子家庭、父子家庭、また両親がいない家庭で子供を保護している人間が支給を受けられます。子供が18歳になった年の3月31日、障害を持っている場合は20歳まで支給を受けられます。

収入に応じてそれぞれ支給される金額は異なってきますが、扶養親族0人で満額の支給を受けられる人は収入84万円以下となっています。支給額は月額で42,330円。そこから親の収入によって少しずつ減っていきます。二子がいる場合は5千円加算、三子もいる場合はさらに3千円加算されます。

また助成金の他に

・都営交通の無料パス

・JR通勤定期乗車券の割引

・水道・下水道基本料金の免除

・粗大ゴミ収集手数料の免除

といった優遇制度もあります。助成金は4,8,12月に4ヶ月分まとめて振り込まれます。

都内だからこそもらえる児童育成手当

児童手当、児童扶養手当は全国共通の手当ですが、児童育成手当は一部の自治体のみ支給される手当になっています。これも基本的には母子家庭、父子家庭、父や母が死亡したり行方不明である、また遺棄されている児童の養育者などに支給されます。

支給額は月額13500円であり2,6,10月に4ヶ月分まとめて振り込まれます。所得制限があり、扶養親族0人の親では613万円以下でないと支給が受けられません。比較的支給のための条件はゆるくなっています。

もし10歳、6歳、2歳の子供がおり、親の年収(収入)が100万円程度でしたら児童手当で月35000円、児童扶養手当で毎月約48000円、児童育成手当で毎月40500円合計で123000円ほどの支給が受けられます。

3.品川区の子供の医療費に関する制度は

医療費子供を育てていると、病院を利用する機会は非常に多いです。乳幼児は病気に対する抵抗力がなく、また自分で自分の症状を親に伝えられる能力を持ちません。親としては乳幼児の体長に何か異変が起こった時は、大事になる前に、病院に行き、様子を見てもらいたいと思うものでしょう。

しかし病院に見てもらった際の医療費に関しては自治体にその扱いを一任されていることが多く、児童手当のように省庁の管理になっていません。15歳まで無料という自治体もあれば、一部の補助にすぎないという自治体もあります。

中学校卒業までは基本的に無料

中学校品川区における15歳までの医療費の補助を見てみましょう。

http://www.city.shinagawa.tokyo.jp/hp/page000017800/hpg000017744.htm

「子どもすこやか医療助成費」と名付けられ上記のページに書いてあります。内容としては15歳到達後最初の3月31日までの基本的な医療費に関しては全額区の負担になっています。 乳幼児が病院にかかるときも、その費用は品川区が負担してくれるので、子育て世帯の負担を大きく軽減できるものになっています。保険診療費の中の自己負担分を品川区が支払うので、実質的な個人の負担は0円となります。

東京都内の医療機関で診察を受けた場合は、品川区の医療証及び健康保険証を提出すれば、その個では支払いが発生しません。一方東京都以外の医療機関で診察を受けた場合は、一旦自己負担金を支払い、その後区に医療費が発生したことを提出し、後日還元されるという仕組みになっています。旅行先などで診察をうける時は、一旦現金を払わなければいけない点には注意をしましょう。

診療代以外にも入院をした場合の標準額、高額療養費の自己負担分、治療用装具の費用についても健康保険の範囲内と認められれば支給を受けられます。

医療費が助成されないケースは

一方で、一部医療費が支給されないケースもあります。主に高額となる治療を受けた場合の自己負担以外の金額は、個人での支払いが必要になります。

・健康診断や入院時のベッドの差額、夜間の割増料金や、紹介状を介さない大病院での治療代→診察に伴うオプション的な費用は自己負担になります。

・交通事故など加害者がいるもの→加害者の保険などにより支払われることになり、品川区の負担からは外れます。

・保育園や幼稚園、小学校などで怪我をした場合。→「日本スポーツ振興センター災害共済給付制度」から治療費が支払われる場合は品川区の負担ではありません。

・転出をした時

・健康保険の資格がない時

・生活保護を受けている時

以上のケースでは医療費負担が発生します。

医療証の発行を申請するにはどうしたら良いか

子どもの健康保険証は両親の職場が加入する健康保険組合などから発行されますが、子供の医療証は親が申請しなければいけません。子どもの出生や転入から1ヶ月以内に、品川区のホームページから申請書をダウンロードし、そこに必要事項を記入。

そして健康保険証と朱肉を使う印鑑を持参し、区役所や出張所に申請を行いましょう。健康保険証が発行されていない時点でも、とりあえずの申請は可能です。その場合後日健康保険証の写しを送付します。

また出生や転入から1ヶ月を過ぎても発行申請はもちろん可能ですが、遡って出生日や転入日までの医療費の還元を受けられず、あくまでも発行を行った日からの医療費の助成になります。

ですので早めに申請をしておかないと、還元を受けられないことも起こりえます。

4.子育てで困ったときはどこに相談できる?

子育てに悩む子育てに関して、特に最初の子供を産んだときは大きな不安を抱える人も多くいます。経済的な問題から育児方針、精神的に不安定になる人もいるでしょう。そういった初心者ママ、パパのための取り組みは品川区では行っているのでしょうか。

困ったら子育てセンターや児童センターに相談

品川区では子育てに悩む親、また子供からの相談を受け付ける施設として子育て支援センターを設けています。場所は戸越銀座駅の近くであり、気軽に立ち寄れる場所になっています。子供の教育や家庭内における夫婦の問題、両親や義両親との関係についてなど、幅広い育児と家庭の問題について対応してくれます。

また品川区内25ヶ所ある児童センターでも同様の相談をすることができるので、戸越銀座付近までなかなか行けないという人も、自分の家の近くの児童センターに行けば同じように相談をすることができます。

また初心者ママのためには、保健センター内でも様々相談を受け付けています。離乳食の作り方や、母乳の与え方、虫歯対策はどうしたら良いかなど子供の健康に関する悩みの解決相談に乗ってくれます。生後1,2ヶ月の赤ちゃんの育て方に関する教室や、お母さん同士の交流の場なども設けられているので、最寄りの児童センターや保健センターの予定表をチェックしてみると良いでしょう。

さらに子育ての専門家に1対1で相談できる「子育てネウボラ相談員」という制度もあります。これは保健師・看護師・教員・保育士といった資格を持つ相談員に子育て情報の提供や、子育てプランの作成といったサポートを受けられる制度になっています。区内5ヶ所の児童センターで相談を受けられるので、より専門的に悩みの解決をお願いしたいと思っている方は、この制度も利用してみましょう。

子育てを楽しもう!こんなイベントも

イベント品川区で行われているイベントでも、子育てに役立つお楽しみイベントなどがあります。年1回行われる「品川子育てメッセ」は品川区の子育てに関するいろいろな行政・民間・NPO団体・自主グループ・地元商店・企業といった団体が参加しているイベントになっています。

また区でも喘息児童のための水泳教室や、親子で楽しめる将棋教室、学校の校庭を開放してのスポーツ教室、産後ママのボディケアなどのイベントを開催しています。

5.品川区と言えば小中一貫教育

品川区の教育面での最大の特徴といえば、すべての小中学校で、小中一貫教育を実施していることです。9年間継続した教育プランの下、確かな学力を築き上げ、また急激な環境の変化をなくし、子どもたちが幅広い継続した人間関係を築き上げられるようにしています。6校で小中施設一体型の校舎となっており、一貫校の強みをさらに発揮できるようにカリキュラムの作成を行っています。

6.まとめ

品川区の子育てに関する様々な制度、施設などについてご紹介をしました。品川区は人口が急増しているエリアであり、待機児童に関しても決定的に解消するための施策が行われていない状況になっています。

しかし公立校でも中高一貫校が多いなど、先進的な取り組みには定評もあり、また富裕層が多いために、質の高い教育を受けさせたいとい親が比較的たくさん住んでいるエリアとなっています。また世帯別の収入も平均額も、都内の自治体の中でも高くなっており税収も多いために比較的、公共の子育てに関する各種の制度は充実しているといえるでしょう。

地価も高くなかなか一般的な収入のサラリーマンでは住むのが難しい品川区ですが、子供の為を考えるのであれば、一念発起して収入を伸ばし、子どもをのびのびと育てられ、また子供が自分の可能性を開拓している環境として、品川区に住むことを検討する価値は十分にあるのではないでしょうか。

もちろん子育て以外の面、 住みやすさや、通勤時間の短さ、空路の利用しやすさ、駅の利用しやすさ、買い物や観光面をとっても品川区は大変充実しています。高い不動産賃料や物件価格に見合うだけの価値を十分住む人に提供してくれるでしょう。

※提供内容には注意を払っておりますが、調査時期により現状と異なる場合があります。最新の情報につきましては各市区役所までお問い合わせください。

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杉並区の子育てについて

- 2017年04月24日