新築マンションは、モデルルームを見て購入することが多いので、実物を見るワケではありません。
そのため、実物とのギャップによってクレームになることもあります。
そのクレームを事前に知っておくことが、購入時に「何を注意するべきか」という点に繋がります。
そこで今回は、新築マンションで起こりやすいクレームを9つ紹介します。
クレームの種類を「間取り」「仕様設備」「音」の3つの大枠に分けての解説です。
目次
1.間取りに関してのクレーム
☞下がり天井や梁について
☞広さの表記について
☞サービスルーム
・納戸(S)とは?
・納戸(S)になりやすい部屋
2.細かい設備や仕様についてのクレーム
☞窓の種類について
・多いクレーム
・対策について
☞キッチンの仕様設備について
☞オプションの多さについて
☞庇について
3.音に関してのクレーム
☞外部からの音について
☞内部の音について
4.まとめ
1.間取りに関してのクレーム
まず、新築マンションで起こりやすいクレームとしては、以下のような「間取り」に関してのクレームです。
・下がり天井や梁について
・広さの表記について
・サービスルームについて
新築マンションは、建物が完成する前に購入する、いわゆる「青田買い」が多いです。
そのため、図面集で間取りを見て部屋を想像しなくていけません。
大抵の不動産会社が、モデルルームを構え1部屋再現していますが、モデルルームになる部屋はそのマンションで一番間取りが良い部屋が多いです。
そのような事情から、いざ建物が完成して実物を見た後に、「想像していた間取りではない」というクレームが多いです。
下がり天井や梁について
間取りのクレームの中でも最も多いクレームが、下がり天井や梁についてのクレームです。
下がり天井とは一部天井が下がっている(低い)箇所のことで、梁は「柱・梁」と呼ばれる躯体部分です。
どちらも圧迫感があります。
図面上だと、下がり天井と梁は点線で表記されていることが多いので、まずその点を見落としている人がいます。
下がり天井や梁は、建築途中で変わることも多いので、図面集に表記することはしません。
そのため、親切な不動産会社であれば、どのくらい下がっているかを説明します。
ただ、わざわざ説明しない不動産会社も多いです。
これらが原因で「実物と違う」というクレームが起こりがちということです。
この対策としては、「必ず下がり天井と梁の高さを聞く」ということになります。
モデルルームには「青図」と呼ばれるゼネコン(施工会社)が持っている資料が置いてあることが多いです。
その青図には計画段階の「高さ」が記されているので、少なくとも現時点での高さは分かります。
仮に、「青図を置いていない」と言われても、「施工会社に確認してください」と言うべきです。
不動産会社がきちんと調べれば、「分からない」ということはあり得ません。
広さの表記について
また、これは入居後に起こりがちですが、「広さ」に関してのクレームもあります。
重要事項説明書に書いてあることがほとんどですが、図面集に記載の広さは「壁芯面積」になります。
つまり、壁内部も面積に含まれているということです。
しかし、実際にその部屋を登記した後の「登記面積」は「内法面積」を採用しています。
内法面積とは、壁は含まずに純粋に部屋の広さだけを表記した面積です。
入居後には入居者の名前で登記され、登記後には「登記簿謄本」が郵送されてきます。
その登記簿謄本の中には、所有者氏名などのほかに「登記面積」の表記があるので、その登記面積が「図面集と違う」というクレームにつながるというワケです。
特に、50㎡ギリギリのマンションは気を付けましょう。
住宅ローン控除など「税制優遇」が受けられる部屋は、大抵「登記面積50㎡以上」の部屋になります。
そのため、登記面積50㎡を切る部屋は税制優遇が受けられないということです。
50㎡くらいの部屋であれば、登記面積は図面集記載の面積よりも2~3㎡減るので、52~53㎡くらいの部屋は要注意です。
こればかりは売主にすら分からないことなので、そのような部屋は「税制優遇が受けられない」という前提で、購入を進めるのが対策になります。
サービスルームについて
物件によっては、「2LDK+S(納戸)」のように表記されている部屋もあります。
Sとは、一般的に「サービスルーム」という呼び方をします。
購入検討者が「サービスルームとは何ですか?」と質問することもありますが、営業マンがあまり理解していないと、「少し広さの狭い部屋で普通の部屋と変わりません」と回答します。
しかし、この回答は間違いで、サービスルームと通常の「洋室」は根本的に違います。
納戸(S)とは?
そもそもサービスルームの表記は、その居室の広さではなく、「窓からの採光」などが関係します。
建築基準法で、「窓から一定の採光を得ることができなければサービスルームという表記になる」という決まりがあるということです。
もちろん、これ以外にも色々な条件がありますが、簡単にいうと上記のような部屋がサービスルームになります。
納戸(S)になりやすい部屋
上記のような部屋がサービスルームになるため、部屋の廊下側の部屋などがサービスルームになりやすいです。
廊下があるので、陽の光が入ってきにくいですし、窓も大きくない場合が多いからです。
そのため、色々と条件はあるものの、サービスルームは「陽当たりが悪い部屋」と認識しておくと良いでしょう。
営業マンが「普通の部屋とあまり変わりません」という言葉を、そのまま信じてはいけません。
2.細かい設備や仕様についてのクレーム
つづいて、以下のような「マンションの細かい設備や仕様」についてのクレームです。
・窓の種類について
・キッチンの仕様設備について
・オプションの多さについて
・庇について
先ほどと同様、建築に関してのことですが、前項で紹介した点よりも細かい部分です。
しかし、マンションは一千万円単位の高額な商品なので、細かい点も目につきやすく、このようなクレームが多くなります。
購入者の立場から考えると、上記のような点を事前に知っておくことで対策になります。
窓の種類について
意外と多いクレームが「窓の形状」です。
マンションには、以下のように色々な種類の窓があります。
・透明ガラス
・曇りガラス
・網入りガラス
また、上記の窓の種類に加え、窓が二重でその間に空気の層がある「複層ガラス」。
また、単純に窓が二重になっている「合わせガラス」。
そして、窓が1枚で構成されている「単板ガラス」があります。
多いクレーム
窓の種類でも多いクレームは以下のようなクレームです。
・曇りガラスだとは思わなかった
・網入りガラスだとは思わなかった
・複層ガラスだと思ったら単板ガラスだった
曇りガラスは、主に廊下側の窓につかわれます。
廊下側から室内が見えないように、あえて曇りガラスにしているということです。
ただし、隣地との取り決めなどによって、リビング・ダイニングの一部が曇りガラスになっていることもあります。
また、網入りガラスは消防の関係(飛散しないようになど)で、隣地に近い窓などに設置されます。
そのため、これもリビング・ダイニングに設置されることがあります。
しかし、特にリビング・ダイニングは「透明ガラス」を想像している人が多く、いざ実物をみて網入りガラスや曇りガラスだったときにクレームになることがあります。
また、複層ガラスの方が断熱性は高かったり、結露ができにくかったりするので、「複層ガラスだと思ったら単板ガラスだった」といクレームも多いです。
対策について
このようなクレームが起きないようにするためには、図面集の窓ガラス表記を良く確認することです。
不動産会社によって異なりますが、以下のように窓の種類によって表記を変えていることが多いです。
・網入りガラス「○印の中に×印」
・曇りガラス「▲表記」
・複層ガラス「◎表記」
図面集には上記以外に色々な記号があるので、窓の種類をまじまじと確認しないことが多いです。
ただ、窓ガラスの種類は、意外と部屋の印象を変えるので、購入時には必ず確認しておきましょう。
キッチンの仕様設備について
つづいて、キッチンの仕様・設備についてです。
キッチンの仕様・設備は、モデルルームとは異なることが多いです。
なぜなら、次項の「オプションの多さについて」にも関連しますが、以下のような設備はモデルルームでしか付いていないことが多いからです。
・全自動食器洗い機
・ディスポーザー
・食器棚
特に、部屋の「広さ」や「金額」が異なるマンションは要注意です。
そのようなマンションは、部屋ごとに仕様設備を替えている可能性があるからです。
また、部屋の広さによっては、キッチンのサイズが異なります。
そのため、「サイズ的に食洗器が設置できない」などのこともあり得ますので、その場合はリフォームしても設置は難しいということです。
こちらの対策としては、モデルルームで良く確認することです。
自分の検討している部屋とどう違うのかを、営業マンにヒアリングして理解しておきましょう。
オプションの多さについて
前項でいった「キッチンの仕様・設備」以外にも、モデルルームには以下のようなオプションがあります。
・壁紙を張り替えている
・照明が特殊
・バルコニータイル
・ミラーなどの備品設置
モデルルームは、基本的に「良く見せるため」に色々と工夫しています。
壁紙を「エコカラット」と言われる、タイル調の壁紙に張り替えるなどは良く行うことです。
また、照明を全てダウンライトに変えたり、バルコニーにタイルを置いたりして、部屋全体をおしゃれな雰囲気にしている場合もあります。
いずれにしろ、モデルルームにはオプションがたくさんあるので、どれがオプションかは確認しましょう。
オプション品には「option」というようなシールが貼ってあることが多いですが、不動産会社によっては「文章」でまとめているところもあります。
そのような場合には非常に分かりにくいので、「絶対必須な仕様設備」がある場合は、営業マンに直接確認しましょう。
庇について
また、こちらも細かい部分ではありますが、バルコニーの庇についてものクレームも多いです。
バルコニーは、上階のバルコニーの床部分は、そのまま自分の部屋の庇になります。
そのため、大抵の部屋は、自分のバルコニーの床部分と同じ面積で、庇があるということです。
ただし、マンションは高い建物になるので、「斜線制限」に引っかかることがあります。
良く、マンションで立方体ではなく、ナナメにカットされているマンションがあると思います。
下層階は戸数が多く、上層階になるにつれて戸数が少なくなるマンションです。
このようなマンションは「斜線制限」に引っかかっているということで、その制限に該当する部屋の形は通常とは異なります。
その「通常とは異なる部屋」の中には、庇がない部屋があるということです。
庇がないと陽の光がダイレクトに入ってくるので、夏は日差しが強く暑くなります。
また、洗濯物は雨が降ったらすぐに濡れてしまうので、意外と日常生活に支障を来たすのです。
この「庇」に関しての対策は、模型やCG画像を良く見ることです。
モデルルームにある模型やパンフレットのCG画像は、建築関係者がきちんとチェックしているはずなので、庇部分も再現されています。
3.音に関してのクレーム
最後に、以下のような音に関してのクレームです。
・外部からの音について
・内部の音について
音に関しては、マンションの住戸内に関してだけではありません。
外部からの音もクレームになることがあります。
外部からの音について
外部からの音に関しては、「幹線道路」や「線路」が近いマンションに起こりやすいです。
基本的には、マンションの室内は窓を閉めた状態で「40db(デシベル)以下」になるよう設計されています。
40dbとは、「図書館」や「静かな住宅地」並みの静けさです。
そのため、通常の設計で室内を40db以下にするのが難しい場合は、「二重サッシにする」などで対策を行います。
騒音測定機などで「外部のデシベル」を測り、そこから二重ガラスの遮音性を引いて算出するというやり方です。
しかし、あくまで「計算上」の数値なので、そのまま信じてはいけません。
どうしても、サッシのスキマや換気口などから音は入ってきます。
そのため、どうしても音が気になる人は、幹線道路沿いや線路沿いのマンションは避けた方が賢明でしょう。
内部の音について
また、マンションは集合住宅なので、隣戸の音が響いてしまうのは仕方ありません。
良くあるクレームとしては、「二重床」「二重天井」「遮音性に優れている」という点を誤解して、「音はしない」と認識してしまうことです。
いくら二重床・二重天井のマンションでも、子供が走れば音は響きます。
また、マンションの壁の構造などによっても音の伝わり方は異なります。
そのため、「遮音性に優れている」という点はメリットの1つと認識しておき、「音がしない」と認識するのは避けましょう。
4.まとめ
このように、新築マンションは実物を確認しないで購入することが多いので、「想像と違う」というクレームが多いです。
いずれも「図面集を良く見る」「営業マンに聞く」「情報をそのまま信じない」などが対策になります。
マンションサプリ 編集部 - 2017年06月11日