マンションや一戸建てを購入する際、ほとんどの方が住宅ローンを利用されることと思います。 従来の住宅ローンに対する考え方と言えば、毎月の返済を減らすためにできるだけ多くの自己資金を投入したり、早期完済のために繰上げ返済するなど、 住宅ローンを借りることに対して抵抗感を持つ方が多くいらっしゃいました。 しかし、近年では、1%を切るような超低金利のローン商品が出てきたり、住宅ローン控除などの優遇制度によってローンを借りることに対するハードルが下がってきています。 そこで今回は、これからマイホーム購入を検討される方に、あらためて住宅ローンの基本的な知識および住宅ローンを組む際の手順などについて説明して行きたいと思います。
住宅ローンとは、自宅(マンション・一戸建て・一戸建てを建てるための土地等)を購入するために、その土地・建物を担保にして金融機関から資金を借りることです。 返済方法としては「元利均等」と「元金均等」という2種類の形態があります。それぞれ一長一短がありますので、ここではおもな特徴をお話しします。
その言葉通り、返済期間中の住宅ローンの元金(元本)を均等に分割して返済する方法で、 均等に分割された元本に利息が加算されて返済していくことになります。 特徴としては、返済当初の負担が大きくなるデメリットはあるものの、元本を早く減らせることから、元利均等返済と比べて利息の総支払額が少なくなるメリットがあります。
これは、元本と利息を足した額が定額になるよう元本と利息のバランスを調整し、毎月の返済額を同じ金額にする方法です。 こちらの特徴は、毎月の返済額が変わらないため、家計が立てやすいメリットがあります。 一方で、元本の減りが遅いため、利息の総支払額は元金均等返済に比べて多くなってしまうデメリットがあります。実情として、ほとんどの方は元利均等返済を選択しています。
住宅ローンの利息は前述の「返済方法」に加え、「金利水準」、「返済期間」によって総利息額が変わり、3つのうちどれかひとつでも少なくなると利息額は減ることになります。
現在のような超低金利水準の時勢では利息額は少なくなりますし、反対に金利が高い時期では利息額は多くなります。実際、平成初頭のバブル期には、利息が元本以上の額になるほどの高金利でした。
住宅ローンに限らずローンの一般的な特徴として、返済期間の長短によって支払う利息の額が変動します。 ローンの利息は、総返済額(元本+利息)から返済した額を引いて残った金額(残った元本+利息)にも利息が付されるため、返済期間が長くなると利息を払う期間も長くなり、利息に付く利息が大きくなります。 反対に、返済期間が短くなれば利息を払う期間が短くなりますので、利息に付く利息は少なくなり、総返済額も少なくなります。
住宅ローンを組む際、返済額に影響を及ぼす最も大きな要素は「借入金額」ですが、ここで述べた「返済方法(元金均等or元利金等)」、 「金利水準」、「返済期間」の選び方次第でも総返済額が変わるのだという事を覚えておきましょう。
住宅ローンには、国や地方自治体などの公的な融資と民間金融機関の融資があり、それぞれ基準や手続きが異なります。 ここでは、一般的に最も利用されている民間金融機関の住宅ローンについて説明していきます。 また住宅ローンでは、借りる方の希望に応じて金利や組み合わせなどさまざまなタイプを選択することができますので、併せてご紹介していきたいと思います。
ここで言う銀行とは、都市銀行、地方銀行、信託銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、JAが該当します。 民間の銀行であることから、住宅ローンのラインナップは豊富で、銀行ごとに金利や諸費用などに特色があります。
住宅ローンの金利には「変動金利型」と「固定金利型」があります。変動金利型は、市場金利が変動するとローンの返済額も変動し、固定金利型は借入時に確定した金利が最後まで変わりません。 仮に変動金利を選択したからと言っても返済額が毎月変わるわけではなく、返済額は5年ごとに見直されます(5年ルール)。 銀行は通常、金利の見直しを年2回行いますが、返済額は5年間据え置かれ、その間に変動した金利を集計して5年経過時に返済額を見直します。 また、5年ルールによって返済額が大幅に上昇した場合の返済不能を回避するために、それまでの返済額の1.25倍を上限とする規定があります(1.25倍ルール)。
現在のような超低金利の時勢では、これ以上の金利引き下げは事実上不可能なため、上昇する可能性の方が高いと考えられます。 そのため、固定金利型を選択して金利上昇に備えるという考え方も賢い選択と言えるでしょう。 ただ、変動金利型に比べて固定金利型の金利は高いため、せっかくの超低金利のメリットが十分生かしきれないというジレンマもあります。
そこで、金利を一定期間据え置く「期間固定金利特約」を付加することによって超低金利のメリットを享受する方法があります。 これは、金利タイプとしては変動型になるものの、2年~10年程度の期間は金利が据え置かれ、返済額が変わらないという特約です。 銀行によっては、固定期間を最短1年としたり、最長20年とするところもあります。 また一部の都市銀行などでは、1つの物件に対して2本の住宅ローンを組み、1本は固定型とし、もう1本は変動型の期間固定金利特約とする「ミックス金利型」というローンを提供するところもあります。 他にも、子育て時期に世帯収入が減少するリスクに備えた「ライフステージ応援プラン」や、1本のローンの中で固定と変動の割合を自由に動かすことができる「変動セレクト型」など、従来と比べて金利選択の幅が格段に多くなっています。
フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関との提携による住宅ローンです。 おもな特徴としては、最長35年の長期間に渡り固定金利で融資を受けることができる点、省エネルギー性能等の基準を満たした住宅であれば、一定期間金利を引き下げる「フラット35S」の利用が可能となる点、保証料や繰上げ返済等の諸費用が不要な点などが挙げられます。 また、自分で銀行を指定することができたり、金利や事務手数料が銀行によって異なり、特にネット専用住宅ローンを扱う銀行の中には金利を1%台(2016年1月現在)とするところもあるなど、金利の低さも人気の理由のひとつと言えます。
それでは、実際の住宅ローン手続きに入っていきます。 通常、手続きのほとんどを不動産会社の営業マンが代行することになりますが、借りるのは自分ですから、どのような流れで進めて行くのかは知っておいた方が良いでしょう。
購入物件が決まったら、売主に対して「購入申込書」または「買付証明書」を提示し、申込みの権利を確保しておきます。そして、同時に住宅ローンの事前審査を申込みます。 これは、購入資金の裏付けとなる住宅ローンが借りられるかどうかを、物件を契約する前に銀行の審査に掛ける手続きです。
事前審査が承認されたら、物件の購入契約を結び手付金を支払います。手付金の額は、売買金額の5%~10%程度が相場になります。 契約が終わったら住宅ローンの本審査を申込みます。事前審査の承認があるので本審査もほとんどのケースで承認されると考えられますが、稀に不承認となるケースがあります。 これは、事前審査後に新たな借金をしたり、連帯債務者(または連帯保証人)が過去に債務事故を起こしていたりするなどの新事実が発覚した場合に起こりうる事ですので、注意が必要となります。
本審査が承認されれば、次は金銭消費貸借抵当権設定契約(住宅ローンの契約)です。 まず、市区町村役場に出向き、新住所への住民票異動の手続きを行い、ローン契約に必要な書類を入手します。 その後銀行に出向き、ローン契約書面に署名・押印し、必要書類を提出します。
最後の手続きとなる、残金決済・引渡しです。 売買代金から手付金を引いた残金と、司法書士や不動産会社への報酬等の諸費用を精算し、売主から必要書類や鍵などを受領して住宅ローンの手続きは終了となります。
先に述べたように、事前審査と本審査で異なる事実が発覚した場合は、たとえ事前審査が承認されていたとしても、本審査が不承認となる場合があります。 ここで、審査時にチェックされる内容にはどのような項目があるかを見て行きます。
目安としては満3年以上になります。
上場企業などの有名企業であれば信用性は高いと言えますが、中小企業であっても、企業業績等に特段の問題が無ければ、融資に支障を来たすことはありません。 また、自営業や経営者の場合は、過去3年分の決算状況や所得が判断基準となり、業績が不安定な場合などは、融資を受けられない可能性もあります。
最低年収の基準は金融機関によって異なり、200万円以上とするところもあれば400万円以上とするところもあります。
住宅ローンの審査では「団体信用生命保険」への加入を条件とする金融機関がほとんどで、過去に重い病気やケガをした方の場合、加入できない可能性もあります。 健康状態に不安のある方は、事前に同保険に加入できるかどうか確認しておく必要があります。 ただ、同保険加入に抵触する場合でも、一定範囲内で加入できるケースがあり、またフラット35では同保険の加入を条件としていないところもありますので、これも確認しておいた方が良いでしょう。
車やショッピングローンなど、過去から現在に掛けての借入れ状況が審査されます。 仮に延滞や返済不能等の事故があった場合は、住宅ローンを借りることが難しくなります。また、クレジットカードの利用状況も審査されます。 頻繁に大きな金額が利用されているなどの場合、滞りなく返済されていたとしても、住宅ローン返済に支障を来たす可能性を考慮し、カードの解約・退会が条件となる場合があります。
購入しようとする物件(土地・建物)が、ローン金額の担保として十分かどうかを審査します。必要に応じて現地調査を行う場合もあります。
購入申込み時から決済・引渡し時までに必要となる書類等を、表にまとめましたので参考にしてください。
手続き | 必要な書類等 | 入手先 |
---|---|---|
購入申込時 | 購入申込書(買付証明書) | 不動産会社にて用意 |
事前審査時 | 認め印 | |
直近年とその前年分の所得証明書(または源泉徴収票) | 市区町村役場、勤務先 | |
身分証明書(運転免許証等) | ||
返済中のローン明細書等 | 借入先 | |
勤務先および勤続年数確認書類(健康保険証の写しなど) | ||
物件資料(欄外に詳細を記載) | 不動産会社にて用意 | |
購入契約時 | 実印 | |
収入印紙 | 郵便局など | |
手付金 | ||
本審査時 | 事前審査時と同じもの | |
住民票 | 市区町村役場 | |
印鑑証明書 | 市区町村役場 | |
自己資金確認書類(通帳の写しなど) | ||
勤務先および勤続年数確認書類(健康保険証の写しなど) | ||
ローン契約時 | 新住所の住民票 | 市区町村役場 |
新住所の印鑑証明書 | 市区町村役場 | |
収入印紙 | 郵便局など | |
実印 | ||
銀行印 | ||
身分証明書 | ||
決済・引渡し時 | 新住所の住民票 | 市区町村役場 |
新住所の印鑑証明書 | 市区町村役場 | |
実印 | ||
銀行印 | ||
住宅ローンを組んだ銀行の通帳 | ||
身分証明書 | ||
登記費用 | ||
仲介手数料 | ||
※火災保険契約書類 | 保険会社より指示 |
※物件資料・・・土地・建物登記簿謄本、売買契約書、重要事項説明書、建物図面、公図、実測図、物件パンフレット等
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