マンション購入時の火災保険加入は必須?その補償や仕組みを理解しよう

1.火災保険とは

火災保険とは、火災や落雷、破裂や爆発、風水害などによって、建物や家財(事業用建物の場合は什器・備品)などに損害が生じた場合に、その損害を補償する保険です。 火災保険は対象が建物という不動産価値の非常に高い資産に対する保険となりますから、場合によっては数千万円の損害を想定しなければいけないケースもできてきます。 こうしたことから、最悪のケースを想定して慎重に火災保険契約を締結しなければなりません。

大金で購入した分譲マンションが火災等によって焼失してしまっても、その損失を簡単には取り戻せない、という事情が日本にはあります。 日本には失火責任法という法律があり、軽過失(不注意)によって発生した損害については賠償責任を負わないと定められています。 たとえば、マンションに住んでいて他の居住者の過失で自分のマンションが焼失してしまっても、火元の居住者に対して損害賠償請求ができません。

これは失火責任法という日本の法律ができた当時の事情によるものです。木造家屋が一般的であったために過失責任で損害賠償を認めると過酷な賠償を負わせることになることに配慮したものとされています。 鉄筋コンクリートや難燃性の素材が珍しくない現時点でも同じ法律を適用するのは公平を欠くようにも思えますが、そのように規定されている以上いたし方ありません。 このため、マンションに居住する人は火災保険で自分の資産に対する備えをしておく必要があるのです。

自己所有のマンションであれば住居の居住者が火災保険に加入しなければなりません。賃貸マンションについては建物の所有者がかけるのが通常です。

火災保険は住み続ける限り払わなければならないコストですから、購入時に必要なコストとして見積もっておく必要があるでしょう。 また、これから触れることになりますが、火災保険の補償対象は「火災」に限らず様々な損害を補償してくれます。何が補償され何が補償されないのか、ということをきちんと押さえてから火災保険に加入しましょう。

2.共用部分と専有部分

マンションの火災保険は複雑です。マンションには専有部分と共用部分があり、火災保険を掛けるのは専有部分となります。専有部分は簡単に言うと部屋の中、ということになります。 専有部分の範囲の決め方として、壁の内側の面積を基準とする「上塗り基準」と壁の中心線を基準とする「壁芯基準」の二つがあります。「上塗り基準」の方が壁の部分だけ面積が狭くなりますから、評価額も安くなります。 一般的には壁の内側を基準とする「上塗り基準」が採用されているともいわれていますが、どちらの基準を採用しているかという点は事前に確認しておく必要のある事柄です。

共用部分はエレベータ、階段、エントランスホールなど専有部分に属さない建物部分を指します。 共用部分の火災保険については管理組合が加入することが通常です。この場合には火災保険の加入も管理組合の業務となります。火災保険の新規加入や条件変更などは管理組合の総会決議が必要です。 ちなみに、出席組合員の過半数の賛成で可決されれば火災保険に関する業務を管理組合が実施することができます。

3.建物の保険金額

火災保険は、被った損害の補償を受けるものです。このため、火災保険は生命保険のように保険金額を自由に設定できるわけではありません。 生命保険は1億円の保険や2億円の保険であっても高額な保険料を払って条件を満たせば満額受け取ることができます。 これに対して、火災保険は被った損害の補償ですから、建物の評価額を超える金額はもとより支払われません。火災保険は掛け金を高額にしても意味がないことになっています。 このため、マンションに火災保険を掛ける場合には、評価額がいくらになるのか、が重要なポイントとなります。 では、新築マンションを購入したような場合に、マンション評価額はどのように決まってくるのでしょうか。 建物全体の評価額の算出にはいくつかの方法がありますが、マンション購入時にかかった消費税から算出する方法があります。

建物の評価額=消費税額÷0.08

マンション購入費には建物部分と土地部分の合計金額が必要ですが、土地部分には消費税がかかりません。このことから上記の式が成り立つわけです。

そして、建物評価額は共用部分の評価額も含まれており、火災保険における評価額は共有部分を差し引いたものでなくてはなりません。

火災保険における評価額=建物評価額-共用部分評価額

共用部分評価額は40%~60%程度と言われています。火災保険の評価額は、購入費から土地部分と共用部分を差し引くことになるため、一般的には購入費の4分の1程度とされているようです。

4.マンション購入時-火災保険の加入

マンションを購入するときには同時に火災保険に加入することになるのが一般的です。というのも、住宅ローンを組む時に銀行側の条件として火災保険に加入することが要求されることが多いからです。

マンション自体の購入に関しては時間をかけますが、保険の加入に関しては保険の知識が少ないために細かく検討することを嫌う人が多いでしょう。 損害が発生してしまってから保険がきくのかどうかを確認するという人も少なからずいるのが現状です。 また、マンション購入時に銀行や不動産会社が火災保険を提案してくるのですが、どうしても提案の中から選んでしまいがちです。しかし、必ずしも提案された中から選ばなければならないものではありません。 火災保険の購入時に必要なのは、補償内容や保険料など各種条件を十分に比較検討することです。 もし、分からないことがあるのであれば保険の提案者に具体例を挙げさせてひとつひとつ確認していく粘り強さが必要です。 銀行などが提案してきた火災保険でも不要な補償を外してリーズナブルな価格で火災保険を利用したいものです。

まず、必要な補償と検討を要する補償を順番に見ていきましょう。

必要な補償

・火災

最も基本的な補償ですが、火災以外にも落雷・破裂・爆発などによる損害も補償されます。特に火災に限らず落雷であっても補償されることについて、火災保険の加入を検討して初めて知ったという人も多いようです。 落雷が原因で家電製品が壊れた場合には、火災保険で補償される場合があります。補償されるのは「建物」の他に「家財」が補償の目的とされていなければなりません。

まずは、火災保険で補償される範囲が意外に広いことを覚えておいてください。もし、被害が出たときは補償の対象になるか自信が無くても、保険会社に対して遠慮なく補償されるのかどうかを問い合わせてみてください。

・水濡れ

給排水設備の故障や他の居住者の居室内で生じた水濡れ事故を補償します。この補償は専有部分での漏水事故を補償するもので、共有部分からの漏水に関しては共用部分の火災保険が保証します。 たとえば、上の階の居住者が起こした水濡れ事故で自分の建物や家財が損害を受けた場合でも、自分の火災保険から「水濡れ」の補償を受けることができます。 このケースでの水濡れ事故が上の階の居住者の過失に基づくものであれば、その人に対して損害賠償請求をすることもできます。 保険を使うのか、上の階の人に請求するのか、どちらかを選べますが、より簡単な方を選択するというのであれば保険という選択かもしれません。

やはり、面と向かって上の階の居住者に損害を賠償ください、というのは勇気がいるものです。 なお、給排水設備自体に破損が出たとしても「水濡れ」による損害とは言えないため、「水濡れ」を理由とした損害賠償はできないことになっています。

・盗難

盗難に伴う建物の破損や家財の被害を補償します。宝石などの高額品は「明記物件」として、契約時に申告が必要です。30万以上の高額品に対して補償が必要な場合に火災保険でカバーします。 その他、帳簿や設計図なども補償の対象となりますので、あらかじめ明記しておけば補償の対象とすることができます。

・個人賠償責任保険

自分の過失で漏水などが起きた場合には、損害を賠償しなければなりませんので、このための補償は個人賠償責任保険からになります。 また、失火による責任は軽過失であれば損害を賠償しなくても済みますが、重過失による失火の場合には損害賠償責任を負うことになります。 重過失かどうかは個別事情の判断にはなりますが、てんぷらを揚げていたのにその場を離れ油に引火して延焼してしまった場合に、重過失が認められたケースがあります。 通常の損害保険は重過失のような場合は補償の対象外とされることが多いですが、個人賠償責任保険の場合は重過失であっても補償してくれます。 火災に関しては損害額が大きくなる可能性があるので、個人賠償責任保険は是非とも検討しておきたいものです。

検討を要する補償

水災や雪災の補償については、不要な場合には対象から外しましょう。 水災とは台風や暴風雨を原因とした洪水・土砂崩れ・高潮などによる損害を指します。 あくまで自然災害が原因となったものですから、建物構造物が破損したことによる漏水などは水災では補償されません。 水災については高層階にあるマンションや高台にあるマンションなど浸水の心配がなければ不要です。もっとも、近くに崖があるかどうかで土砂崩れの心配があるので若干注意が必要です。また、雪が降らない地方に関して雪災の補償は不要です。 自分の住んでいる地域にどんなリスクがあるのかを国土交通省が提供しているハザードマップ(国土交通省HP)で確認しておきましょう。

このように、火災保険に加入する際にはひとつひとつ検討して補償内容を上手に絞ることが自己責任で求められます。マンション向け火災保険や、カスタマイズできる火災保険を利用することをお勧めします。

5.売却時-火災保険を解約

マンションを売却してしまったら保険は必要なくなります。このため、火災保険を途中解約することになりますが、このとき残りの保険期間分の保険料が返還されます。 火災保険の保険料は加入時に一括して払っているのであれば、このような返還金が発生します。

ここで注意しておかなければならないのは、売却契約が完了した瞬間に火災保険を解約してはいけないということです。 何らかのトラブルがあって引き渡しが先延ばしになると、そのタイミングで火災保険が必要になっても取り返しがつきません。 確率的には非常に小さいリスクですが、万が一の時のために加入した保険ですので、解約のタイミングには注意しましょう。 火災保険の解約のベストタイミングは売却マンションの引き渡しが完了してから、ということを覚えておいてください。

なお、マンションを売却して新しい所有者が現れても、従来の火災保険は新所有者に引き継がれません。火災保険の保険金を受け取れるのはあくまでも火災保険の保険証券に記載された従来の所有者のみと決まっています。

6.一戸建てとの違い

マンションの火災保険について、まとめの意味で一戸建ての火災保険との違いという視点で比較してみます。

一戸建てとマンションは火災保険料について比較すると一戸建ての方が、火災保険料が高くなります。一戸建ては建物全体の補償が必要なのに対して、マンションの専有部分のみ保証してもらえば足りるからです。

また、マンションの火災保険料カットをしたいのであれば、集合住宅の特性からマンションは水災や風災に対する耐性が一戸建てよりもあるため、思い切って補償から外してしまうことも可能ではあります。 一般的には一戸建ての火災保険ではマンションのようにはいかないため、フルに補償をしてくれる保険を選択することになります。

一方で、マンションは階下への水漏れなど被害が複数居住者に広がってしまう可能性もあることから、加害者責任を負う場合の備えが必要となります。これに対しては火災保険の特約を付帯することになり、マンション特有の負担ということになります。 このように、マンションの火災保険を契約する場合には単純に自己所有物の補償という視点だけではなく、集合住宅の性質上多くの当事者に対する配慮が必要ということです。

管理組合の規約を詳しく確認することも必要ですし、周りに対する損害を与える可能性があることから、どこまで保険で補償してもらうのかいろいろなケースを想定しておかなければなりません。

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