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住宅ローンが払えなくなるローンの組み方4例

マンションや一戸建てなどの不動産は一千万円単位の商品なので、住宅ローンを組んで購入する人も多いです。住宅ローンの支払額は月々十数万円になることもあり、金利プランなどによっては今後増額する可能性もあります。

また、住宅ローンは借入期間が長いので、途中で住宅ローンの支払いができなくなる場合もあります。

その「住宅ローンが支払えなくなるパターン」を知っておくことで、これから住宅ローンを組む方も現在組んでいる方も、 注意するポイントが分かってきます。

目次

1. 事例1:借入額が多すぎた
 1-1. 総返済額に注意
  1-1-1. 総返済額の事例
  1-1-2. 総返済額を見るメリット
 1-2. 税金関係がかかる
  1-2-1. 固定資産税について
  1-2-2. 購入時の資金計画
 1-3. ランニングコストは上昇リスクがある
  1-3-1. 管理費が増額するとき
  1-3-2. 修繕維持積立金

2. 事例2:銀行の審査に通ったことにより安心する
 2-1. 金融機関の審査方法
  2-1-1. 「収入」について
  2-1-2. 「個人」について
  2-1-3. 「債務」について
 2-2. 返済比率について
  2-2-1. 返済比率の基準
  2-2-2. 年収別で借り入れできる金額

3. 事例3:環境の変化
 3-1. 負担する金額が大きくなる
 3-2. 収入が変わる
 3-3. 身体的な要因

4. 事例4:住宅ローン支払いの仕組みを理解していない
 4-1. 金利種類について
 4-2. 変動金利の仕組み
 4-3. 「1.25倍ルール」の注意点

5. まとめ

1. 事例1:借入額が多すぎた

額が多い

まず、住宅ローンが支払えなくなる事例として最も多い事例は、借入額が多すぎることです。 一般的に「オーバーローン」といわれることがありますが、過度な借り入れによって返済できなくなる例は少なくありません。

そもそも、借入を起こすときに注意するべきという点ではありますが、借りた後も「借り換え」などによってリスクを軽減することは可能です。

1-1. 総返済額に注意

住宅ローンを借りるときは、金利や月々返済額だけではなく、その住宅ローンを完済するときの総返済額に注意しましょう。 なぜなら、住宅ローンは長期間組むローンであるので、借入額と総返済額には大きな違いが出ることが多いからです。

1-1-1. 総返済額の事例

たとえば、3,400万円のマンションを頭金400万円、住宅ローン3,000万円という資金計画で購入するとします。 住宅ローンの条件は「借入期間35年 金利0.75% 元利均等返済」という条件です。

この条件で住宅ローンを組むと、月々のローン支払額は81,235円になり、総返済額は34,118,671円になります。 つまり、約410万円が35年間トータルで支払う利息になっているということです。これを年換算すると、11.7万円の利息が年間かかっている計算になります。

1-1-2. 総返済額を見るメリット

総返済額を見るメリットは以下の点です。

  • ・利息の大きさが分かる
  • ・月々返済額だけで判断しなくなる

総返済額を見ると、まずその利息額の大きさに驚くことが多いです。今の低金利といわれている時代でさえ、前項のように利息額は百万円単位になります。

また、住宅ローンを選ぶときには、月々返済額で見がちです。 そのため、総返済額できちんと「自分が長期間かけて返済する金額」を見ることによって、その住宅ローンの実態が把握できます。

月々返済額は、あくまで「今のままの金利で推移したとき」の金額です。変動金利を選択しているのであれば、金利変更になった時点で月々返済額は変わります。

そのため、総返済額を必ず把握して、自分が実際に支払う金額を認識しておきましょう。

1-2. 税金関係がかかる

税金

住宅ローンを組む上で忘れてはいけないのが、税金関係がコンスタントにかかってくることです。 つまり、住宅ローンの支払い額以外にも、税金を支払う必要があるので、その金額を加味して考える必要があるということです。

1-2-1. 固定資産税について

固定資産税とは、毎年1月1日に不動産を所有している人に課せられる税金になります。マンションでも一戸建てでも土地でも、不動産を所有していると必ずかかってくる税金ということです。

固定資産税に関しては以下の点を認識しておきましょう。

  • ・評価額が変更になる
  • ・軽減税率の期限がある

固定資産税は、その不動産の評価額に税率を掛けた金額になります。 その「評価額」は3年に1度見直されるので、3年に1度のスパンで固定資産税額が変わることがある点を認識しておきましょう。

また、新築住宅を購入する場合には120㎡までの部分は新築後3年、もしくは5年間の軽減税率があります。 つまり、最初の3年~5年は固定資産税が低いものの、その後に増額される可能性があるということです。

この点も頭において月々返済額をチェックしないと、将来的に返済が苦しくなる可能性があります。 固定資産税の仕組みや軽減についての詳細は、各自治体の主税局に問い合わせましょう。例として東京都の主税局のホームページ※1を紹介します。

※1東京都主税局 固定資産税
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/kotei_tosi.html

1-2-2. 購入時の資金計画

また、不動産を購入するときには、売主である不動産会社や仲介してくれる不動産会社が、「資金計画書」という資料を提示します。 この資金計画書は、月々の住宅ローン支払いや諸費用が記載されている資料になります。

注意するべき点は、この資料に「固定資産税の記載がない」もしくは、「欄外に記載がある」という点です。 そもそも、不動産会社からすると、不動産取得の金額を伝える義務はありますが、税金に関してわざわざ伝える義務はありません。

そのため、極端な話、税金関係の話は割愛しても問題ないということです。 税金関係の話を詳しくしない不動産会社と取引した場合には、不動産取得後に固定資産税を支払うという認識がない人さえいるのが現状です。

これから住宅を取得する人も、既に住宅を取得している人も固定資産税額は把握しておきましょう。 その金額を加味した上で、住宅ローンの月々返済額が支払えるかの検証をするべきです。

1-3. ランニングコストは上昇リスクがある

また、固定資産税以外にも以下のようなランニングコストがあります。

  • ・管理費
  • ・修繕維持積立金

管理費は、管理人や共用部の清掃などに支払う費用です。修繕維持積立金は、共用部の修繕をするときに発生する費用になります。 まずは、この金額を加味した上で月々返済の支払いは苦しくないかを考えましょう。 また、この2つの金額は、将来的に増額する可能性があります。

一戸建てには上記のランニングコストはありません。ただ、修繕費用に関しては自分で貯めておかないと、建物が劣化したときに対応できません。 そのため、一戸建てでも、修繕金は自分で積み立てるという前提で考えるべきです。

1-3-1. 管理費が増額するとき

管理費が増額するときは、共用部分の稼働率が下がったときです。 たとえば、駐車場の設置台数が20台あり、稼働率を8割と見込んでいるとします。8割の稼働率で見込んでいるということは、常時16台分の駐車場利用があるということです。

そのときには、16台分の駐車場使用料が管理会計に組み込まれるため、たとえば1台1万円の使用料であれば16万円が月々の管理会計に組み込まれます。 この金額も加味した上で管理費は積算されているので、想定稼働率を下回れば管理費が上がるというワケです。

もし、マンションを所有していて、稼働率が高めに設定されているのであれば、将来的に管理費が上昇するリスクは高いといえます。

稼働率は重要事項説明書に記載されているので、必ずチェックしましょう。

1-3-2. 修繕維持積立金

修繕維持積立金は、マンション全体の修繕計画によって金額が決まります。 多くのマンションは25年~30年程度のスパンで、長期修繕計画を策定しています。 その計画に変更があれば修繕維持積立は増額になる可能性があります。 また、元々「5年で30%アップする」など、増額する前提で修繕計画を組んでいるマンションもあります。

修繕維持積立金の推移も重要事項説明書に記載されているので、必ずチェックしておきましょう。

2. 事例2:銀行の審査に通ったことにより安心する

安心

住宅ローンが支払えなくなる2つ目の事例は、銀行審査に通ったことにより安心するという事例です。 つまり、「銀行の審査に通過=支払える金額」と思い込んでしまい、結局支払い額が厳しくなるというです。

2-1. 金融機関の審査方法

そもそも、金融機関が住宅ローン審査をするときには以下の点をチェックします。

  • ・年収や会社規模などの「収入」に関すること
  • ・年齢や信用情報など「個人」に関すること
  • ・ほかの借り入れなど「債務」に関すること
  • ・返済比率

2-1-1. 「収入」について

当然ながら、収入がどの程度あるかは審査において非常に大切になります。 単純に収入「額」を見るのではなく、安定的して継続的に収入を得ることができるかが大事なポイントにあります。 そのため、会社規模が安定しているか、雇用形態はどうなっているかなどをチェックします。

2-1-2. 「個人」について

たとえば、高齢であるほど審査は厳しくなります。 たとえば、55歳で住宅ローンを組むとしたら、会社を退職するまで5年~10年程度しかありません。 つまり、35年の住宅ローンを組んでも、借入期間の大部分は年金などで返済するしかないということです。

その状態になると、金融機関としては「年収は高いが定年した後の返済が心配」と判断せざるを得ません。 そのため、自己資金率を厳しく見たり、借入期間は縮小したりします。

また、一度でも他の借り入れでの延滞履歴があると、住宅ローン審査に通ることは難しいです。 なぜなら、金融機関は「延滞」や「債務不履行」が最も大きなリスクだからです。

2-1-3. 「債務」について

ほかの借り入れがある場合には、その借入による月々返済額も住宅ローン返済額に上乗せして考えます。 たとえば、車のローンがあり月々2.5万円支払っているのであれば、その金額を上乗せした上で審査するということです。

2-2. 返済比率について

返済比率

「銀行の審査に通過=支払える金額」と思い込んでしまう最も大きな理由は、返済比率という基準があるからです。 返済比率とは、「年収÷年間返済額」で計算される比率で、言い換えると「返済額は年収の中でどのくらいのパーセンテージを占めているか」を表す数字となっています。

2-2-1. 返済比率の基準

返済比率の基準は、金融機関によっても異なりますが、多くの金融機関が 「年収400万円未満:返済比率30%以内」「年収400万円以上:返済比率35%以内」を基準返済率として設定しています。

また、返済比率を審査するときには、リスクヘッジとして実際の金利よりも少し高めの金利に設定します。 2017年4月現在ですと、審査金利は3%程度に設定している金融機関が多いです。

2-2-2. 年収別で借り入れできる金額

前項の基準を受けて、年収別に借り入れできる金額は以下の通りです。

  • ・年収300万円:約1,490万円の借り入れ
  • ・年収400万円:約3,000万円の借り入れ
  • ・年収500万円:約3,750万円の借り入れ

上記の金額であれば、返済比率はクリアします。 もちろん、この返済比率だけでなく、上述した「収入」「個人」「債務」に関しても加味した上で審査します。

しかし、注意して欲しいのは、あくまで返済比率は目安金額であるということです。 家庭によって「支出額」や「貯金したい金額」などは異なってきます。 そのため、返済比率に収まって審査に通過したからといって、それが支払い可能金額とイコールではありません。

3. 事例3:環境の変化

変化

住宅ローンの支払いができなくなるローンの組み方としては、「環境の変化を加味せずに住宅ローンを組む」という事例があります。 つまり、将来的に支出が増えたり、収入が減ったりしない前提で住宅ローンを組むのは危険ということです。

3-1. 負担する金額が大きくなる

まずは、負担する金額(支出)が多くなることを認識することです。 負担金が多くなるときは、具体的には以下のような状況のときになります。

  • ・家族数が増える
  • ・借入を起こす
  • ・ランニングスコストの増額

最も負担額が大きくなるときは、「結婚」や「出産」によって家族数が増えるときです。 家族数が増えれば生活費も増えますし、子供ができれば養育費や学費が増えます。 そのため、想定外の支出があり、住宅ローン支払いが厳しくなるのは良くある事例です。

また、家族数が増えたことによって教育ローンを組むこともありますし、どうしても車が必要になってくることもあります。 そのため、新たな借り入れを起こすことによって負担増になることがあるというワケです。ランニングコストについては上述した通りになります。

上記の支出額を事前に想定しておくのは中々難しいです。 そのため、おススメの方法としてはFPに今後の支出額を計算してもらう方法です。 特に、新築物件購入時には無料でFPを呼んで、支出額を計算してもらうことができます。 また、既に住宅ローンを組んで不動産を購入している場合でも、FPへ支出を計算してもらうことはできます。

3-2. 収入が変わる

また、住宅ローンは長い期間で組みますので、その期間中に収入が変わることも考えられます。 たとえば、転職による収入減もそうですし、人員削減によって休職期間が出てしまうかもしれません。

そのため、今後も収入が順調に上がっていくという想定で住宅ローンを組み、結局想定通りに収入が上がっていかないことによって 住宅ローンの支払いが困難になる事例もあります。

収入に関しては中々読みにくいところもありますが、現在の収入をベースにギリギリで支払い額を決めないことが大切です。 住宅ローンの借入額を決めるときには、将来収入が減っても良いように余裕を持った返済計画にしましょう。

3-3. 身体的な要因

また、住宅ローン借入者が就業不能状態になってしまうことも考えられます。 たとえば、病気を発症してしまい収入が減少したり、精神的な病気によって就業できない状態になったりという事態も考えられます。

住宅ローンを組むときは、大体の金融機関が団体信用生命保険への加入が条件になります。 団体信用生命保険は「死亡時」以外にも「高度障害」のときにも、その時の残債が補てんされるという保険です。 ただ、就業不能状態のときに必ず保険が下りるワケではないので、その点はきちんと認識しておきましょう。

この点も前項と同じく、余裕を持った返済計画を立てることが大切です。 収入が0になることを想定するワケではありませんが、多少収入が下がっても返済できる金額に設定しましょう。

また、リスクヘッジする方法としては保険へ加入するという方法もあります。 今の保険は色々な種類があり、就業できない状態の際に、給与の一部を補てんするという保険もあります。

4. 事例4:住宅ローン支払いの仕組みを理解していない

分からない

住宅ローンが払えなくなるローンの組み方として、住宅ローンの仕組みを理解していないという事例があります。 住宅ローンの仕組みを理解しないで借り入れを起こし、借入期間の途中で返済金額が変わり、返済できなくなるということです。

4-1. 金利種類について

金利種類は「変動金利」「全期間固定金利」「一部期間固定金利」の3種類があります。

変動金利は次項で解説しますのでここでは割愛します。

全期間固定金利は、借入期間中は絶対に金利は変わらないため、ローン返済額は変わりません。 そのため、上述した「ランニングコストの増額」などに注意していれば、 将来的にローン支払いができなくなるリスクは最も低いです。

また、「一部期間固定金利」については、借入期間の一部期間が固定金利で、その後に新たに金利を組み直すというプランになります。 たとえば、「10年固定金利」などが一部期間固定金利です。10年固定金利でいうと、10年間は金利が一定で、10年を経過した時点で新たな金利で組み直します。 期間経過時は、変動金利に移行する場合が多いです。 この金利は全期間固定よりはリスクが高いですが、変動金利よりはリスクが低い金利プランになります。

4-2. 変動金利の仕組み

最も返済額が変わるリスクがある金利種類は変動金利になります。 変動金利のルールを簡易的に説明すると以下の通りです。

  • ・半年に1度金利の見直しがある
  • ・上記の金利見直しを加味して5年に1度返済額の見直しがある
  • ・金利の見直しによっては金利変更によって返済額の増額があり得る

まずは、変動金利は半年に1度金利が見直されます。 ここで良く勘違いされがちなのですが、半年に一度「金利」の見直しがあるだけであり、返済額が変わるワケではありません。 ただし、金利自体は見直されて、金利が上がっているのであれば利息は上がっています。

そして、半年後にそれらを加味した上で返済額が上がるという仕組みなので、「5年後の金利が適用される」というワケではありません。 その仕組みは理解しておきましょう。

特に2017年現在は低金利の時代なので、長いスパンで見れば金利が上昇していく可能性は0ではありません。 そのため、上述した通り余裕を持った資金計画を組むことが大切になってきます。

4-3. 「1.25倍ルール」の注意点

こちらも変動金利に不随する話ですが、「1.25倍ルール」についてはきちんと理解しておきましょう。

1.25倍ルールとは、金利が変わり5年後に返済額が変更になったときも、「返済額は1.25倍以上にはなりません」というルールです。 これは、返済額が急激に上がることを防ぐためのルールであり、住宅ローン借入者を守るルールです。

変動金利の注意点は、「5年ごとに返済額は変わる」とされていますが、実は「半年ごと」に金利は見直されているという点です。 つまり、半年ごとに返済額に占めるリスクと元金の割合は変動していて、実際には利息額の方が多く、元金が減っていないということもあり得ます。 そのため、仮に「5年後に金利が0.2%上がる想定」として、今の借入金利より0.2%上昇した返済額を計算しても意味がないということです。

1.25倍ルールがあるから安心ではなく、その内情(利息と元金の割合)を知ることが大切です。 このように変動金利の仕組みは複雑なため、繰り返しになりますが、変動金利の場合は特に返済計画に余裕を持ちましょう。

5. まとめ

上述した「住宅ローンが支払えなくなるローンの組み方」の事例への対策は以下の通りです。

  • ・月々返済額だけでなく総返済額をチェックする
  • ・税金や管理費・修繕積立金のランニングコストも加味して計算する
  • ・「金融機関の審査通過=住宅ローン支払いが可能」ではない
  • ・環境の変化や金利リスクがある点を認識する

何度もいっていますが余裕のある資金計画を策定することが、住宅ローンの支払いができなくならないための最も重要な対策になります。 そのため、不動産会社や金融機関の担当者とよく相談して、余裕のある資金計画で住宅ローンを組みましょう。

中古マンション購入に掛かる費用や手続きの流れについて知りたい方は下記のページをご参照ください。
中古マンション購入の流れと注意点、費用の目安などについて

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