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「事故物件」の売却、購入時の注意点について

物件を売買するときには、事故物件を売買することもあります。

滅多にない物件ではありますが、自分の物件が事故物件であったとき、または事故物件を購入しようとしているときは注意が必要です。

その注意点を知らずに物件を売買すると、引渡後に仲介業者や売主・買主の間でトラブルが発生してしまうこともあります。

今回は、事故物件とはどのようなものか?
また、売却するとき、購入するときにどのような注意点があるかを解説します。

目次

1. 事故物件とはどのような物件か?
 1-1. どのような物件か?
 1-2. 実際の判例
  1-2-1. 昔の建物にあった事故
  1-2-2. 20年以上前の自殺事件
  1-2-3. 性風俗の営業として利用されていたマンション

2. 事故物件を売るときに注意すること
 2-1. 事故物件かどうかの判断を自分でしない
 2-2. 知っている事実は全て告知する
 2-3. 事故物件の内容を正確に伝える
 2-4. 価格設定を考える
  2-4-1. 価格を下げて売り出すメリット
  2-4-2. 値引き交渉も覚悟する
 2-5. 伝えるタイミングを考える

3. 事故物件を買うときに注意すること

4. まとめ

1. 事故物件とはどのような物件か?

事故物件

事故物件とは、その物件に住むことで居住者に心理的な瑕疵が発生してしまう物件のことです。
瑕疵とは「欠陥」「きず」などの意味がありますので、心理的な瑕疵とは 居住者が心理的に嫌な気持ちになり生活しにくい状況になることを言います。

1-1. どのような物件か?

実は、「心理的な瑕疵が発生する物件」は定義が曖昧です。
つまり、事故物件はどのような物件か?と言われても、明確な答えはないということです。

一般的に心理的瑕疵が発生する事故物件と言われるような物件は、以下のような物件です。

  • ・物件内で自殺があった
  • ・同じマンション内で殺人事件があった

このような物件に居住する人は、上記の事実を知れば「怖い」や「気味が悪い」などと感じる人が多いです。
そのため、上記のような物件は、居住者が心理的瑕疵を感じるとして、事故物件という扱いになります。

後ほど詳しく解説しますが、事故物件を売却するときは、購入者に上記のような事件や事故が合った旨を伝える義務があります。

しかし、その事実を伝えると、当然ながら売却金額が下がったり、売りにくくなったりします。
そのため、事故物件かどうかの判断は、売却する上では重要なことになるのです。

1-2. 実際の判例

判例

先ほど言ったように事故物件の定義は曖昧なので、ケースによっては購入者から訴えられることもあります。
実際の事例※1を基に、事故物件認定されたかどうかを確認していきましょう。

今回例に挙げるのは以下の事例です。

  • ・昔の建物にあった事故
  • ・20年以上前の自殺事件
  • ・性風俗の営業として利用されていたマンション

事故物件に関する事例は多くあります。
つまり、事故物件と告知せずに売却して、売買契約締結後に購入者側から訴えられる事例は多いということです。

ケースバイケースではありますが、判決を知ることで、どのような物件が事故物件と判断されるかを学んでおきましょう。
※不動産適性取引推進機構
https://www.retio.or.jp/case_search/search_result.php?id=58


1-2-1. 昔の建物にあった事故

この案件の概要は以下の通りです。

  • ・土地の売買事例
  • ・土地には建物があった
  • ・17年前に火災事故があり、焼死者を出していた
  • ・既に建物は取り壊されている
  • ・売主側はその事実を伝えず売却した
  • ・引渡後に事実を知った購入者が訴えを起こした

結論から言うと、この事例では買主の訴えは棄却されました。

その理由は、「17年前という過去のことである」「既に建物は取り壊されている」「その後駐車場として使用していた」などの理由です。

要は、昔のことであり、焼死事故は風化しているものと判断されたということです。
ただ、判決の中には「知っていた事実は昔であろうと伝えておくのが望ましかった」という旨の文言はありました。

1-2-2. 20年以上前の自殺事件

この事件の概要は以下の通りです。

  • ・個人の住宅建築を目的とする土地売買事例
  • ・所有者の妻が別の場所でバラバラ殺人事件に巻き込まれた事件があった
  • ・その事件が原因で子供が20年以上前に自殺をしている
  • ・その事件や自殺は近隣住民の記憶に残っているほどの出来事であった
  • ・既に建物は取り壊されていた
  • ・買主が心理的瑕疵を負ったとして慰謝料を請求

結論からいうと、この時の判決は買主の主張が通り、媒介業者が慰謝料を支払うことになりました。

この物件を売却するときに、媒介業者は20年以上も前のことであり、建物も取り壊されていたので、説明する必要はないと考えていました。

しかし、バラバラ殺人事件が関係している自殺であり、20年経った今でも近隣住民の記憶に残るほどの事件であったため、 判決では購入者の心理的瑕疵は大きいと判断されました。
支払われた慰謝料などの合計は1,815万円です。

一見すると、前項の事例のように、「時間が経過している」「建物は取り壊されている」ため、心理的瑕疵がないように感じます。

しかし、自殺につながる事件内容が凄惨であったため、結果的に心理的瑕疵は認められました。
このように、一概に「○○年経過したから事故物件ではない」とは言えないのです。

1-2-3. 性風俗の営業として利用されていたマンション

この事例の概要は以下の通りです。

  • ・マンションの1室が売買された
  • ・前入居者が性風俗店に利用していた部屋であった
  • ・その用途説明がなかったため買主が説明義務違反の損害賠償を求めた

結論から言うと、この事例は買主側の意見が認められ仲介業者が慰謝料を支払いました。
なぜなら、前入居者が性風俗店に利用されていたという事実が、購入者の心理的瑕疵に当たると判断されたためです。

最も大きなできごとは、購入者がマンションの総会や理事会に行く度、「性風俗店として使われていた」と噂され、恥ずかしい思いをしたということです。

そのような出来事を引き起こした理由が「過去に性風俗店として利用されていた事実」なので、心理的瑕疵を認めたということです。
この事例は、前項までで解説した「事故物件」とは毛色が異なります。

ただ、「心理的瑕疵がある」という点においては、事故物件と言えるでしょう。
一般的には、人の死にまつわることが心理的瑕疵にあたり、そのような物件を事故物件と言います。

しかし、必ずしも人の死にまつわることではなく、その事実を隠していたことによって購入者が嫌な気持ちになったり心に傷を負ったりすることも「事故物件」になることを覚えておきましょう。

2. 事故物件を売るときに注意すること

売却

このように、事故物件の定義が曖昧である以上、事故物件を売却するときは以下の点に注意する必要があります。

  • ・事故物件かどうかの判断を自分でしない
  • ・知っている事実は全て告知する
  • ・事故物件の内容を正確に伝える
  • ・価格設定を考える
  • ・伝えるタイミングを考える

2-1. 事故物件かどうかの判断を自分でしない

まずは、事故物件かどうかの判断を自分だけでしないことです。
「これって事故物件になるかな?」と思ったことは、不動産業者に必ず言いましょう。

不動産業者も全ての事件・事故を正確に把握できるわけではないので、売主から知らせないと分からないときもあります。
その上でプロである不動産業者に、そもそも説明するのか?説明するときはどのように説明するのか?を相談することが大切です。

2-2. 知っている事実は全て告知する

事故物件と思われる物件は、不動産業者や買主には全て告知することが重要です。
先ほどの例のように、「20年以上前」の事件でも、その事件内容によっては事故物件として扱わなければいけないこともあります。

事故物件をネットなどで調べると、「事件や事故発生から8年が目安」などが記載されている場合もありますが、それは1つの事例を切り取っただけに過ぎません。
先ほどの事例からも分かるように、たとえば「20年前の事件」であっても、その内容によって心理的瑕疵かどうかの判断は異なります。

また、先ほどの性風俗の事例も、仮に購入者が総会や理事会に全く出席しない方であれば、もしかしたら問題なかったかもしれません。

つまり、事件や事故の内容や購入者の性格、さらには近隣住民がどのように思っているか?などの複合的な要素で、心理的瑕疵があるかどうかは判断されるということです。
そのため、知っている事実は全て告知をする方が安心して物件を売却できます。

2-3. 事故物件の内容を正確に伝える

また、事故物件の事件・事故内容は正確に不動産業者へ伝えましょう。
たとえば、その部屋で自殺があったときに、以下の2パターンの伝え方だと、購入検討者はどのように思うでしょうか。

  • ・この部屋で若い男が自殺した
  • ・この部屋で14年前に若い男が自殺した。持病を苦にしての自殺で病院に搬送されて、搬送先の病院で亡くなった。その後、その男の妻が5年住み、わたしが購入した。

上記2パターンだと、大分印象が変わると思います。

事件・事故の内容にもよりますが、今回のケースでは14年という昔の出来事であり、実際に亡くなったのは部屋ではなく病院です。
また、その後に妻が一定期間住んでいると事実もあります。

このようなケースの場合は、不動産業者へ内容を正確に伝えることで、購入検討者への話し方も変わってきます。
その話し方によって、売却価格や成約率を左右するのです。

2-4. 価格設定を考える

価格

ただし、どのように説明しても、事故物件である以上は相場より価格が落ちてしまうのは仕方のないことです。

ただし、価格設定を以下のどちらのパターンにするかは良く検討しましょう。

  • ・値引きを受け付けない価格設定にする
  • ・値引きを受け付ける価格設定にする

結論から言うと、値引きを受け付けない価格設定にする方が良いでしょう。
つまり、相場より価格を下げて売り出すということです。


2-4-1. 価格を下げて売り出すメリット

価格を下げて売り出すメリットは以下の点です。

  • ・集客が増える
  • ・事故物件である旨を切り出しやすい

まず、価格を下げることで集客が増えます。
物件をどんなに気に入っても、事故物件であるだけで購入を見合わせる人はいます。
そのため、少しでも集客を多くし、事故物件であることを気にしない人を探すべきです。

また、たとえば相場価格より1割下げて物件を売り出したとします。
その場合、購入検討者は「なぜ安いのか?」という質問をしてくると思います。
その流れで「実はこの物件は過去に・・・」と話しを切り出すことが出来るのです。

事故物件である旨は切り出すタイミングが難しいので、価格を下げて売り出すことで きっかけが掴みやすいです。
また、この理由は物件見学の時点で言えば良いので、集客には影響しません。

2-4-2. 値引き交渉も覚悟する

ただし、価格を下げたとは言え、更なる値引き交渉が入る可能性は高いです。
そのため、残債などの関係で確実に売却しなければいけない金額の下限が決まっているのであれば、その下限よりは少し高く売り出すと良いでしょう。

また、相場よりかなり安くしている旨を、ほかの競合物件の事例などを用意して、分かりやすく説明することも重要です。
その点は営業マンの力量次第なので、不動産業者選び時には注意しましょう。

2-5. 伝えるタイミングを考える

また、事故物件であることを伝えるタイミングも重要です。
先ほど「なぜ安いのか?」という質問の切り返し時に言うとスムーズと伝えましたが、検討始めたころがベストなタイミングです。

なぜなら、まだ本格的に検討していない状況で伝えるとトーンダウンし、 検討が進んでいた状況で伝えると「何を今さら」と不信感を持たれてしまうからです。

そのため、購入予定物件のラインナップに入り、本格的に検討する少し前の段階で伝えるのがベストなタイミングと言えるでしょう。

3. 事故物件を買うときに注意すること

購入

一方、事故物件を買うときに注意することは、自分で物件情報を調べるということです。

調べる方法としては以下の3つがあります。

  • ・ネットを利用して調べる
  • ・地元の不動産業者に聞いてみる
  • ・近隣住民に聞いてみる

まずは、ネットで調べてみることです。
今は、事故物件かどうかを調べるサイトもありますので、そのサイトを利用することで過去の事件や事故を調べることができます。

また、地元の不動産業者に聞いてみるという方法もあります。
地元の不動産業者はそのような情報には詳しいので、事故や事件があれば知っているはずです。

後は、少しハードルは上がりますが、近隣住民に聞いてみるのも1つの方法です。
先ほどの事例にあった「20年前の自殺」は近隣住民であれば確実に知っている情報です。
そのため、近隣住民と話す機会があれば、事件・事故について聞いてみると良いでしょう。

4. まとめ

このように、事故物件について以下の点に気を付けましょう。

  • ・事故物件かどうかはケースバイケースなので一概には言えない
  • ・知っていることは不動産業者に全て伝える
  • ・基本的には事故物件と認定されそうであれば必ず告知する
  • ・物件購入時は事故物件かどうかを自分で調べる

上記のことをすることで、売却しやすく、また購入後に安心できます。

マンション売却を成功させるコツや売買の流れについて知りたい方は下記のページをご参照ください
「マンション売却を成功させるコツを不動産業者が徹底解説」

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