マンションの値下げはマンション売却時、多くの人が悩む問題でしょう。 マンションの値下げについては、不動産仲介会社との媒介契約時に契約締結時までの値下げのタイミングについて事前に決めておくことが望ましいです。
マンションの値下げについて考える前に、マンション売却の最終的な価格が出るまでの流れについて触れておきたいと思います。
マンション売却の最終的な価格が出るまでの流れは、以下の通りです。
マンション売却時に、値下げについて考えるタイミングは、査定価格から売却価格を決めるタイミングと、売出し後売れない場合、購入希望者から値引き交渉が入った時の3つになります。 この内、特に大切なのが、 売り出し後売れない場合の値下げ戦略です。
売出し開始後の値下げについてはできれば売出し前にその戦略を考えておくべきです。その時は以下の点に気を付けると良いでしょう。
これは、特に事前に戦略を考えていない場合にありがちなことですが、1カ月売出しをかけて売れなかったからといって10万円だけ値下げするといった方法はあまり効果がありません。
例えば、3,550万円の物件が3,540万円になったからといって広告を見ている人にそう大きな影響はありません。 広告を見ている側としてはあなたの物件以外に多くの物件を見ているはずで、その中の1物件が10万円だけ毎月下がっていったとしても、値下げに気付かない可能性もあります。
ただし、小幅な値下げでも効果的な場合があります。それは、例えば4,000万円を3,980万円に下げるといった、価格帯が変わる値下げを行う時です。
このように4,000万円台から3,000万円台に値下げするという方法は、視覚的に効果が高いばかりだけではありません。 不動産情報のインターネットサイトが発達した昨今では、多くのユーザーはインターネットを利用して不動産情報を検索しています。 こうした不動産情報の検索サイトでは価格帯で物件を分けていることが多く、4,000万円台の時には見られていなかった物件が、3,000万円台になることで検索するユーザーが増える(変わる)というメリットがあります。
マンション売却価格の値下げについては、1カ月毎に10万円といった小幅な値下げではなく、3カ月、もしくは半年といったスパンで値下げを検討するのがおすすめです。
3カ月にする理由は、専任媒介契約や専属専任媒介契約の有効期限が3カ月以内となっていることから、 媒介契約では3カ月を一つの節目とすることができるからです。 そもそも、売却査定から不動産仲介会社に依頼しており、不動産仲介会社としては売却できる価格で査定を出しているはずで、3カ月間成果がないということはそれだけ力がない不動産会社と見ることができます。 3カ月経ったタイミングで、値下げをするか、もしくは不動産会社を変えてみるという選択を検討すると良いでしょう。
半年という期間も同様で、3カ月で売れなかった場合は再度契約をすることになりますが、再契約しても売れなければ再度値下げを検討するか、不動産会社の変更を検討してみると良いでしょう。
強気の売却価格は、相場よりも少し高いが、この価格で売却できれば満足、という価格です。マンションの売却価格は需要と供給により決まるため、丁度良いタイミングでドンピシャのマンションを探している人がいれば相場よりも高い強気な売却価格でも売れてしまうことがあります。
相場に近い売却価格はその名の通り相場に近い価格で売出しを掛けます。相場に近い売却価格でも、タイミング良く購入希望者が現れなければ成約につながらないことは充分に考えられます。 最低売却価格は、売却するマンションの住宅ローン残債等、最低でもこの価格で売却できなければいけないという価格です。
売出しの価格で、これら3つの価格を決めて置き、例えば1年以内に売却をしたいのであれば強気の売却価格で売出しをかけるのは最初の3カ月間、相場付近の価格で売出しをかけるのは10カ月目まで、最低価格で売出しをかけるのは11~12カ月目といった形で時期まで決めておくと万全です。
上記で設定した売却価格で売出しをかけ、購入希望者が現れたとしても、ほとんどの場合購入希望者は値引き要求をしてきます。値引き交渉にはどのように対応すると良いのでしょうか。
購入希望者が現れてからの値引き交渉に応じるかどうかは、売出し開始からの経過期間で考えると良いです。 例えば、売出し開始から2週間で購入希望者が現れ、100万円の値引きを要求しているよう な場合、その後値引きのない購入希望が入る可能性があります。
しかし、売出し開始から半年経った後の100万円値引き要求であれば値引きをするかどうか検討する価値は大いにあります。 不動産情報は半年も掲載されていれば、不動産の購入を考えている多くの人の目に触れているのが通常です。半年間も目立った購入希望者が現れていないようであればその後他の購入希望者が現れる可能性も低いでしょう。
ここまで売却価格の値下げと購入希望者が現れてからの値引き交渉についてお伝えしてきましたが、基本的に上記2つは別物だと考えておく必要があります。
2つを同じものだと考えておくと、例えば「どうせ100万円の値引き交渉が入るのだから、2,900万円で契約することを考えて3,000万円を売却価格としておこう」といった考えにつながりますが、3,000万円を売却価格としている場合と2,900万円を売却価格としている場合とでは、すでにご説明したように不動産情報の検索サイトで検索するユーザーに大きな違いがあります。
最終的な契約価格を考えておくことは確かに大切ですが、適切な売却価格の設定をしなければ、そもそも購入希望者から値引き交渉が入ることすらありません。
上記の例で言えば、まだ売出しから間もないのであれば「3,000万円で売出して2,900万円での契約を目指す」と考えるより、「2,900万円で売出して値引き交渉には応じない」という作戦の方がうまく行く可能性は高いと言えます
最初は値引き交渉まで含めて考えるのではなく、売却価格をいくらに設定すれば購入希望者が現れるのかを考えると良いでしょう。
マンション売却で値下げを考えるタイミングは、売出しを始める時と、売出してから購入希望者が現れるまでの間、購入希望者からの値引き交渉の3つがありますが、それぞれについて事前にある程度の戦略を立てておくことが大切です。
値下げの戦略については不動産仲介会社と打ち合わせをしながら決めていくと良いですが、その際には今回の記事を参考にすると良いでしょう。